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響子視点③

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 今回は魔法の練習ではなく、スキルの使い方や体力づくりをするらしい。私と雪ちゃんの持つスキルは普段の生活になら役に立つけど戦闘には全く役に立たないものしかない。なのでざっくりと使い方を教わった後はひたすら体力づくりをすることになり、げんなりだ。魔法職であろうと体力がないと魔王討伐の旅をするのに厳しくなるからなんだろうだけど、はっきり言ってつらい。

 私と雪ちゃんが走りこんで休憩してる間も武ちゃんは元気にスキルの練習をしている。勇者という職を貰っただけあり、私達より体力が高いんだろうね。ちょっとだけうらやましい気もする。だけど私は回復職でよかったと思っている。前に出るのは怖いし、なにより自分たちを襲ってくる相手だからという理由だろうと生き物に手をかけるだなんて…こんな話をしたら覚悟が足りないとか言われそうだから口には出さないけどね。

 それにしても雪ちゃんは思ったよりも疲れていないように見えるね。私はこんなにへばっているのに雪ちゃんは軽く汗をかいているだけで、平然としている。本当は休憩なんていらないんじゃないだろうか? まあもともと雪ちゃんは運動神経もよくて運動部に入っていたくらいだし、部活動に参加していなかった私と比べたらだめなんだろうけど。

「あー回復使いたいっ」
「雪乃はそればかりだね。だけど魔法で回復させちゃうと体力が付かなくて、今までやってたものが無駄になるからやめた方がいい」
「うんわかってるよぉ~」

 それに雪ちゃんはどこで勉強してきているのか色んな事を教えてくれる。今言っていたこともその一つで、最初のころ私はすぐ回復をして雪ちゃんに怒られたんだよね。

「さて、休憩はおしまい。もっと体力をつけないと武に置いて行かれちゃうわよ」
「ええ~っ もうちょっと休みたかったぁ」

 口は文句を言うけど雪ちゃんの言うこともよくわかる。だってたけちゃんはいまだスキルの使い方をあれこれとやっているんだからね。

「武は少し休憩しなさいよ~」
「おー もうちょっとでつかめそうだからこれ終わったらな」
「本当男ってばかよね」
「もう雪ちゃんは~」

 その気持ちもわかるけど、頑張っている人には素直にすごいねって言った方がいいと思うよ? こういったところが雪ちゃんは不器用だと思う。私だったらりょーちゃんにすごいねーってちゃんと言うもん…そのりょーちゃんはここにいないんだけどね。早くりょーちゃんのいる世界へ帰りたい。

「さあ響子もう10週走るわよ」
「うええ~…5週にして欲しい」
「スタート!」
「ああっ」

 雪ちゃんが私の言葉を無視して走り出す。ううう…私は雪ちゃんより体力がないのに同じ量なんて無理だと思う。走り出した雪ちゃんを追って私は泣く泣く走り始めた。
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