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旅支度
響子視点④
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岩の間にぽっかりと空いている穴をくぐり私達はその奥へと足を運んだ。ここは王都の北の方にあるダンジョンで、今日私達は実戦演習という名の魔物を相手にした実践を経験するためにとここへ連れてこられたの。だから私と武ちゃんそれと雪ちゃんだけじゃなくて、鎧とかを着た人が3人ほどついてきている。
「ほら見えてきましたよ。あれが最初に経験するとこになる魔物ですね」
私達は示された方を見て魔物を確認した。どう見てもただのネズミにしか見えない…だけどこれが魔物だという。
「まずは倒してみましょうか。勇者様からどうぞ」
「お、おう」
武ちゃんが腰にさしてある剣を鞘から抜き魔物に向って体を向け武器を構えた。念のためにとすぐ後ろに鎧を来た人が張り付いている。
「い・・・行きます」
武ちゃんが深呼吸をしたあと剣を握りなおしネズミに向かって走り出す。近づいてきた武ちゃんに気がついたネズミは武ちゃんに向かって同じように近づいていく。私は普通のネズミなら逃げるのに逃げないから魔物なんだろうか? とぼんやりと考える。武ちゃんが剣を振るより先にネズミが武ちゃんに噛みつく。
「いてっ このーっ」
その噛みついてきたネズミを自分の体と壁に挟むように武ちゃんは壁にぶつかる。ネズミは小さな声をあげて武ちゃんから離れ足元に落ちた。えーと…剣使わないんだ?
「ちゃんととどめを刺すんだ」
「え?」
「気絶しているだけかもしれない」
「な、なるほどっ」
ちょっといやそうな顔をしながら武ちゃんはネズミに剣を突き刺した。
「よし、聖女様。魔物に噛みつかれた場所を回復してやってください。魔物に付けられた傷は小さなものでも回復しておかないと後でどうなるかわからないからね」
なるほど…つまりバイ菌が入るとあぶないよと。
「ヒール」
小さな傷なので回復量は少なくていいだろうと私は下級回復魔法を使用する。傷はあっという間に塞がった。やっぱり魔法ってすごい。
「よし、次は大賢者様。魔物がやってきたら倒して見てくれ」
「わかりました」
少し歩くとさっきと違う魔物が現れる。
「お…あれはスライムか」
「そのようね」
武ちゃんと雪ちゃんが次に視界に入った魔物の名前を口にした。私達はここへ来る前に魔物の種類について少し教えてもらって来ているので、この辺の浅いところにいる魔物は全部知っているのよね。他についてはそれぞれその魔物の強化版みたいな感じでざっくりとしか教わっていない。すべてを覚えるのは大変だから系統だけ覚えろと言われた。
「えーと…洞窟の中では火魔法は使ってはいけないんだったわね。なら…アースバレット」
雪ちゃんが魔法を使用すると周辺の小石がいくつか浮き上がりスライムに向かって飛んでいった。するとスライムはまるで風船が弾けるかのように飛び散り、ころりと何かが転がり落ちる。
「あれが核です。今の魔法で傷がついたのでスライムは体の維持が出来なくなりました。その核の傷を治すとスライムが復活するので気を付けてください。さて、お次は聖女様ですね」
「…え?」
「え、ではありませんよ。たとえ回復職だとしても下層の魔物くらい杖で殴れば倒せますから」
…え? 私も魔法で倒しちゃダメなの?? そんな言葉が顔にでも出ていたみたい。すぐにこんな返事が返ってくる。
「緊急時以外魔法での攻撃はやらないように。回復のために魔力は残しておいてください」
「うえええ~?」
「頑張れ響子」
「応援しているわ響子」
2人とも他人事だと思って…ぐぬー仕方がない。2人の攻撃から漏れた魔物とか倒さないといけないんだろうし、ここは頑張るっ
「スライム…」
これを私が杖で殴って倒すの? 通路を塞ぐように体を伸ばしたスライムが目の前にいる。たまに移動している核を杖で…?
「こ、このーっ」
まるで私を馬鹿にするかのように核は上の方を移動する。私は必死に飛び跳ねながら杖を振り回すのだった。
「ほら見えてきましたよ。あれが最初に経験するとこになる魔物ですね」
私達は示された方を見て魔物を確認した。どう見てもただのネズミにしか見えない…だけどこれが魔物だという。
「まずは倒してみましょうか。勇者様からどうぞ」
「お、おう」
武ちゃんが腰にさしてある剣を鞘から抜き魔物に向って体を向け武器を構えた。念のためにとすぐ後ろに鎧を来た人が張り付いている。
「い・・・行きます」
武ちゃんが深呼吸をしたあと剣を握りなおしネズミに向かって走り出す。近づいてきた武ちゃんに気がついたネズミは武ちゃんに向かって同じように近づいていく。私は普通のネズミなら逃げるのに逃げないから魔物なんだろうか? とぼんやりと考える。武ちゃんが剣を振るより先にネズミが武ちゃんに噛みつく。
「いてっ このーっ」
その噛みついてきたネズミを自分の体と壁に挟むように武ちゃんは壁にぶつかる。ネズミは小さな声をあげて武ちゃんから離れ足元に落ちた。えーと…剣使わないんだ?
「ちゃんととどめを刺すんだ」
「え?」
「気絶しているだけかもしれない」
「な、なるほどっ」
ちょっといやそうな顔をしながら武ちゃんはネズミに剣を突き刺した。
「よし、聖女様。魔物に噛みつかれた場所を回復してやってください。魔物に付けられた傷は小さなものでも回復しておかないと後でどうなるかわからないからね」
なるほど…つまりバイ菌が入るとあぶないよと。
「ヒール」
小さな傷なので回復量は少なくていいだろうと私は下級回復魔法を使用する。傷はあっという間に塞がった。やっぱり魔法ってすごい。
「よし、次は大賢者様。魔物がやってきたら倒して見てくれ」
「わかりました」
少し歩くとさっきと違う魔物が現れる。
「お…あれはスライムか」
「そのようね」
武ちゃんと雪ちゃんが次に視界に入った魔物の名前を口にした。私達はここへ来る前に魔物の種類について少し教えてもらって来ているので、この辺の浅いところにいる魔物は全部知っているのよね。他についてはそれぞれその魔物の強化版みたいな感じでざっくりとしか教わっていない。すべてを覚えるのは大変だから系統だけ覚えろと言われた。
「えーと…洞窟の中では火魔法は使ってはいけないんだったわね。なら…アースバレット」
雪ちゃんが魔法を使用すると周辺の小石がいくつか浮き上がりスライムに向かって飛んでいった。するとスライムはまるで風船が弾けるかのように飛び散り、ころりと何かが転がり落ちる。
「あれが核です。今の魔法で傷がついたのでスライムは体の維持が出来なくなりました。その核の傷を治すとスライムが復活するので気を付けてください。さて、お次は聖女様ですね」
「…え?」
「え、ではありませんよ。たとえ回復職だとしても下層の魔物くらい杖で殴れば倒せますから」
…え? 私も魔法で倒しちゃダメなの?? そんな言葉が顔にでも出ていたみたい。すぐにこんな返事が返ってくる。
「緊急時以外魔法での攻撃はやらないように。回復のために魔力は残しておいてください」
「うえええ~?」
「頑張れ響子」
「応援しているわ響子」
2人とも他人事だと思って…ぐぬー仕方がない。2人の攻撃から漏れた魔物とか倒さないといけないんだろうし、ここは頑張るっ
「スライム…」
これを私が杖で殴って倒すの? 通路を塞ぐように体を伸ばしたスライムが目の前にいる。たまに移動している核を杖で…?
「こ、このーっ」
まるで私を馬鹿にするかのように核は上の方を移動する。私は必死に飛び跳ねながら杖を振り回すのだった。
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