353 / 356
今度こそはじまるハッピーガチャライフ
336. ガチャは素晴らしい物
しおりを挟む
「はあ…」
御神木様のため息が聞こえてきた。まあそうだろうね…御神木様は御神木らしく立派な態度を取っていたつもりなんだろう。だけど御神木様がそれを台無しにするような態度を取るもんだからため息も出てしまうってもんだ。まあどっちも御神木様だからどっちの御神木様のことを話しているのかだんだん良くわからなくなってきたが。
「もういいです。実はですねガチャのスキルを更新しました」
いや、その話はステータスカードに表示されてたから知っているが…
「それでですが、今まで私達はこの世界のものを触れることが叶いませんでした。なのですが、皆様の協力により? 一部限定ですが触れることが出来るようになったのです」
「…悪いけどもう少しわかりやすくお願いします」
うん、たけだけじゃなく誰もがよくわからないって顔をしている。触れるようになったからと何があるのかがわからない。一部と言うくらいなのだから一部の人と触れ合えるってことではないと思うんだ。例えば巫女ととか。巫女と触れ合えたからと言って何がある?
「もう~ 面倒なのじゃっ 結論だけ言えばいいじゃろう! …ガチャから出るカードを私達に渡すのじゃっ」
「…は?」
いや、元からもらったスキルだから御神木様たちだって使えないことはないだろうになんで欲しがるの。
「作られたスキルだから御神木様たちも使えるだろう?」
「そうなんだけどそうじゃないのじゃっ 例えば浮遊! そんなもんはスキルを使うまでもなく浮くことくらい朝飯前じゃっ ガチャも同じなのじゃ…ポイントなどなくとも引くことは出来るが、それだけで使うことも食べることも出来ないのじゃよっ」
えーとつまり…
「人の使用したスキルで出た物だけは触れることが出来るようになった、ということなんです」
「今までで一番すごいことなのじゃ! さあカードを渡すのじゃっ」
なるほどな~ いつも見ているだけで触れたことがなかった世界のものを触れるようになって御神木様ははしゃいでいるのか。ということなら渡したっていいだろう。俺はインベントリからカードを取り出しひとまず1枚渡してみた。
「…なんで選んだのはこれなのじゃ?」
「え、いや…使い道がないし」
俺が取り出したのは石碑。そもそも何の石碑なのかもわからないし、今後も使うつもりがなかったものだ。触ってみるだけならこれでもいいかなーと。カードを両手で両端を掴み腕をフルフルと震わしつつも御神木様はちゃんとカードを手に持っている。ちゃんと触れることが確認されているね。
「どうせなら破いて実物にしたものも触れるか見せてくださいよ」
「うう…いじめじゃ…ふぬー!」
そう言いながらも御神木様はカードを破り石碑を実物に変えた。
「これで満足かー!」
ペシペシと石碑を叩き目に涙をためている。意地悪するのはこのくらいで勘弁しておくかね。後が怖そうだし。こう見えても神様のたぐいだからね。
「はいどうぞ」
「ぬ…これじゃーーーー! はわ~~」
食べ物関係をいくつか渡すと御神木様が嬉しそうにくるくると回っていた。
報告が終わり俺たちは箱庭へと帰ってきた。それぞれが思うように行動を始める。俺は1階のテーブルがある席に座った。それにしてもやっぱりガチャはいいものだよな~ 何が出るのかわからないワクワクと変なものが出た時のがっかり感、それと欲しいものが出た喜びと一度に体験できる。あの御神木様たちだってわざわざ人の使うスキルに触れられるようにしてまで体験したがったくらいだ。
「さて」
ガチャの素晴らしさを再認識したところで俺はゆっくりと自分のペースで元の世界に帰る手段を作っていこうと思う。そのために何を考えて構成していかないといけないかまず書きだしてみるかな。ノートと色鉛筆を手に取り机に向かうと文字を書き始めた。
「りょーちゃん大変! 雪ちゃんがいないっ」
「え?」
俺は急いで地図を取り出し雪乃の位置を探るが見つからなかった。なぜだ…?
『リョータ大変だっ 王城から連絡があって隣国から宣戦布告を受けたって!』
『ルシアさん…なんでそれを俺に?』
『何を言っているっ 隣国は魔王が占領したっていう宣言付きで言ってきたんだ。無関係じゃないだろうがっ』
今度はルシアさんかよ…というか魔王いたんだ? いや、俺じゃなくてたけに言ってくれ。あー連絡手段が無いのか。
『聞こえているかリョー…』
俺はイヤリングを外しそれをインベントリにしまった。どっちにしてもこの世界のことは自分たちで何とかしてくれよ。俺は響子に向き合うと雪乃をどう探すか話し合うのだった。
─────────────────────────
本編完結です。長い間お付き合いくださりありがとうございました。
毎日公開予約時間に追われながら慌てて書いたりしていましたので誤字脱字もひどく、文章もおかしなところが多いですが、最後まで付き合ってくださった方には感謝しかないです。後少し後日談と他キャラの視点を本編の間に挟みまして3月末までには完結タグをつけさせていただきます。後日談ですがこの人はどうなったの? と知りたい人がいましたら感想にでもあげておいてください。完結タグをつけるまでの間に書ける人の話から順に書いていきますのでよろしくお願いします。
御神木様のため息が聞こえてきた。まあそうだろうね…御神木様は御神木らしく立派な態度を取っていたつもりなんだろう。だけど御神木様がそれを台無しにするような態度を取るもんだからため息も出てしまうってもんだ。まあどっちも御神木様だからどっちの御神木様のことを話しているのかだんだん良くわからなくなってきたが。
「もういいです。実はですねガチャのスキルを更新しました」
いや、その話はステータスカードに表示されてたから知っているが…
「それでですが、今まで私達はこの世界のものを触れることが叶いませんでした。なのですが、皆様の協力により? 一部限定ですが触れることが出来るようになったのです」
「…悪いけどもう少しわかりやすくお願いします」
うん、たけだけじゃなく誰もがよくわからないって顔をしている。触れるようになったからと何があるのかがわからない。一部と言うくらいなのだから一部の人と触れ合えるってことではないと思うんだ。例えば巫女ととか。巫女と触れ合えたからと言って何がある?
「もう~ 面倒なのじゃっ 結論だけ言えばいいじゃろう! …ガチャから出るカードを私達に渡すのじゃっ」
「…は?」
いや、元からもらったスキルだから御神木様たちだって使えないことはないだろうになんで欲しがるの。
「作られたスキルだから御神木様たちも使えるだろう?」
「そうなんだけどそうじゃないのじゃっ 例えば浮遊! そんなもんはスキルを使うまでもなく浮くことくらい朝飯前じゃっ ガチャも同じなのじゃ…ポイントなどなくとも引くことは出来るが、それだけで使うことも食べることも出来ないのじゃよっ」
えーとつまり…
「人の使用したスキルで出た物だけは触れることが出来るようになった、ということなんです」
「今までで一番すごいことなのじゃ! さあカードを渡すのじゃっ」
なるほどな~ いつも見ているだけで触れたことがなかった世界のものを触れるようになって御神木様ははしゃいでいるのか。ということなら渡したっていいだろう。俺はインベントリからカードを取り出しひとまず1枚渡してみた。
「…なんで選んだのはこれなのじゃ?」
「え、いや…使い道がないし」
俺が取り出したのは石碑。そもそも何の石碑なのかもわからないし、今後も使うつもりがなかったものだ。触ってみるだけならこれでもいいかなーと。カードを両手で両端を掴み腕をフルフルと震わしつつも御神木様はちゃんとカードを手に持っている。ちゃんと触れることが確認されているね。
「どうせなら破いて実物にしたものも触れるか見せてくださいよ」
「うう…いじめじゃ…ふぬー!」
そう言いながらも御神木様はカードを破り石碑を実物に変えた。
「これで満足かー!」
ペシペシと石碑を叩き目に涙をためている。意地悪するのはこのくらいで勘弁しておくかね。後が怖そうだし。こう見えても神様のたぐいだからね。
「はいどうぞ」
「ぬ…これじゃーーーー! はわ~~」
食べ物関係をいくつか渡すと御神木様が嬉しそうにくるくると回っていた。
報告が終わり俺たちは箱庭へと帰ってきた。それぞれが思うように行動を始める。俺は1階のテーブルがある席に座った。それにしてもやっぱりガチャはいいものだよな~ 何が出るのかわからないワクワクと変なものが出た時のがっかり感、それと欲しいものが出た喜びと一度に体験できる。あの御神木様たちだってわざわざ人の使うスキルに触れられるようにしてまで体験したがったくらいだ。
「さて」
ガチャの素晴らしさを再認識したところで俺はゆっくりと自分のペースで元の世界に帰る手段を作っていこうと思う。そのために何を考えて構成していかないといけないかまず書きだしてみるかな。ノートと色鉛筆を手に取り机に向かうと文字を書き始めた。
「りょーちゃん大変! 雪ちゃんがいないっ」
「え?」
俺は急いで地図を取り出し雪乃の位置を探るが見つからなかった。なぜだ…?
『リョータ大変だっ 王城から連絡があって隣国から宣戦布告を受けたって!』
『ルシアさん…なんでそれを俺に?』
『何を言っているっ 隣国は魔王が占領したっていう宣言付きで言ってきたんだ。無関係じゃないだろうがっ』
今度はルシアさんかよ…というか魔王いたんだ? いや、俺じゃなくてたけに言ってくれ。あー連絡手段が無いのか。
『聞こえているかリョー…』
俺はイヤリングを外しそれをインベントリにしまった。どっちにしてもこの世界のことは自分たちで何とかしてくれよ。俺は響子に向き合うと雪乃をどう探すか話し合うのだった。
─────────────────────────
本編完結です。長い間お付き合いくださりありがとうございました。
毎日公開予約時間に追われながら慌てて書いたりしていましたので誤字脱字もひどく、文章もおかしなところが多いですが、最後まで付き合ってくださった方には感謝しかないです。後少し後日談と他キャラの視点を本編の間に挟みまして3月末までには完結タグをつけさせていただきます。後日談ですがこの人はどうなったの? と知りたい人がいましたら感想にでもあげておいてください。完結タグをつけるまでの間に書ける人の話から順に書いていきますのでよろしくお願いします。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
296
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる