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第1章 白石直人

2話 ファンタジーは不思議だらけ

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「ここが冒険者ギルドかー」

 目の前にはちょっとした旅館サイズくらいな建物がある。木造建てで古ぼけているがそれなりに頑丈そうに見える。

「とりあえず中に入りましょうか。」

 クラスタに促されギルドの中へ入っていく。正面奥にカウンター、右の壁に紙が何枚も貼ってあり室内にはテーブルと椅子がいくつかならんでいた。
 そのまま真っ直ぐ進み、受付と思われるカウンターの少し左に向かうと、タブレットのようなものの前で足を止める。

「これが、ステータス表示パネルです。画面に手を置くとみることができるんですよ。」
「なるほど、毎回ギルドにこないとみれないのか…」

 ちょっと面倒だと思う。

「あ、持ち歩き用にパネルの上にアイテムを置けば、そのアイテムを使用して他の場所にいても見られます。」
「アイテム?」
「はい。文字がうつしだせるサイズで、音がなるか光る機能があるものならなんでも大丈夫です。ちなみに私は手鏡です。」
「なんで音か光がいるんだ?」
「ステータスに変化があったときに反応するようになっているみたいですね。」

 なるほど。手鏡でもいいなら反射するものとかでもいいのかもしれない。

「何かアイテムお持ちでしたらやってみましょう。」
「アイテムかー…」

 持ち物を確認するためにポケットを漁って初めて気がついた。

 あれ?学生服だわ。そういえば学校へいくところだったっけ…

 そんなこと考えながら探してみると、麻袋(さっき受け取ったもの)、学生証、ハンカチ、万能工具、スマホをもっていた。

 万能工具?たしかに持ってるけど、ポケットにいれてたっけ?まあ、夢ならなんでもありなのかなー

「なにが使えそう?」

 まあ、どうみてもスマホだよな…学生証やハンカチとかどうみても無理そうだし、万能工具とかさらにつかえそうもない。

 持ち物を全部取り出して一度クラスタに見てもらうと、

「そうですね…これとか良さそうです。変わった魔法具ですが。」

 やっぱスマホか。うん、それしかないよね。

「ん?魔法??ってことは魔法とかも存在してるのか…?」
「あ、いってなかったですね。魔法の適正があれば誰でも使えますよ。」

 冒険者、魔法。超ファンタジーな世界だ!ちょっとだけ浮かれてしまう。

「問題なければこの魔法具をパネルに置いてみましょうか。」



 勧められるままスマホをパネルの上に乗せてみると少しの間柔らかい光に包まれ、その後ゆっくり光がひいていった。
 手にとって見ると、アプリのアイコンが増えているのを確認できた。


 『白石直人のステータス』


 そのままだな…

 手に持っているスマホの画面を眺めていると、

「すみません。呼ばれていますのでいちど失礼します。また、後ほど説明させていただきますね。」

 それだけクラスタが言うとあっという間にさっきまでいたはずのクラスタはいなくなり、目の前には誰も立っていなかった。一瞬で消えてしまったのだ。

「え、ちょっ!」

 辺りを見回してみたがすでにその場にはいなかった。こんなところに1人]残された直人は流石にどうしていいのか困惑ぎみだ。

 誰かに呼ばれたって…誰に?そもそも誰も声なんて、かけてこなかったよな??
 どゆこと?
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