たとえばこんな異世界ライフ

れのひと

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第3章 勇者修行開始?

27話 卵狩り

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 ざわざわと賑わうたくさん人がいききしているここは、王都の冒険者ギルドのいっかく。少しだけおいてある椅子に腰掛けテーブルに肘を置きぼんやりとクラスタは周りを眺めている。他の冒険者はパーティを組み楽しそうに会話をしていたりダンジョンの話に花を咲かせていた。だがクラスタは1人で座っている。誰も声をかけてこようとはしない。

「はぁ~」

 思わずため息も出てしまう。それはなぜかというと数日前気がついたら1人宿において行かれたことから始まっている。するとクラスタは突如立ち上がりギルドの外へ出て行った。するとその傍に2人の姿が現れた。

「お、クラスタありがとう。助かるわー」
「イエイエドウイタシマシテ。」

 こんなことが数日繰り返されている。目の前に出てきたのは直人とアストレアの2人だ。つまり卵集めの後すばやく帰れるようにクラスタが待機していたのである。帰還方法は魔法具の指輪だ。今回アストレアの分も準備してあるのだ。
 アストレアはカイナを見つけると2人で帰っていった。最近は護衛といいつつカイナはダンジョンにまではついてこなくなった。冒険者ギルドでお迎えをしている感じになっている。

 「卵集めは順調ですか?」

 少しだけジト目をしたクラスタがたずねてくる。

「うーん…いまいちかな。まだ3個ってところだ。」

 どうやら卵はでにくいらしい。卵集めを始めて3日になるが1日1個というペースだ。

「あれ…2人で3個ですか?」
「いや、僕が3個。クラスタは5個だな。」
「2人でそれなら結構でているのでは…私は一度も見たことがないですよ?」
「…適正ってやつかな?」

 なるほどと2人で納得しあう。つまりクラスタは適正皆無だということになるのだが本人は気にしていないのか気がついていないのか普通にうなずいている。

 冒険者ギルドを出てそのまま宿に戻り直人とクラスタは食事をすませた。部屋に戻り『ディメンションウォール』の中に入る今日入手した卵以外孵化しているので最初の1匹とあわせ3匹、布をかぶった生き物がうろうろしている。全部『フラカン』のとこの卵だ。

「布かぶった鳥とか不思議すぎだろう…」

 布に手をかけてみる。すると掴んだはずなのに次の瞬間には鳥は別のとこに移動していた。どうやら布を取ろうとすると発動する魔法かスキルのようだ。普通に捕まえるだけなら出来るので手で持ち鳥かごを作り中に入れる。その隙間から布をつまむ。しゅっと音がしてかごから鳥が消えた。

「……」

 また別の場所で歩いている。どうやっても無理なのかもしれない。直人はあきらめ『ディメンションウォール』をでたあとそのまま眠った。

 朝のまぶしさを瞼に感じ目を覚ます。今日は『サラキア』のダンジョンへ行くことになっている。昨日までと同じように一度ギルドに集合だ。こうしないとカイナが上から起こられてしまうのだ。
 ギルドでアストレアを待っていると先にクラスタのほうが現れた。

「ナオトさんひどいです…朝ご飯くらい一緒にしてもいいじゃないですか。」
「すまん。収納棚にあるもので済ませたからそのまま来たんだ。」
「そうですか…」

 もういつものことなのかクラスタはあきらめた顔をしていた。今日もクラスタは留守番だ。ずっと冒険者ギルドにいるわけではなさそうだがいつも朝と夕方にはここにいる。

「待たせたかしら?」

 目の前には長い銀髪をポニーテールにして服装は冒険者っぽい格好をしている女がいた。アストレアだ。

「いや、そんな待ってないよ。」
「ならいいわ。『フラカン』のスライムも落ち着いたし、今日は『サラキア』でいいのよね?」
「ああそうだ。」
「初めていくから楽しみだわ。」

 楽しそうに言うアストレアに対して直人は少し曇った顔をしている。そう『サラキア』にはトラウマになりかけた怪人(シザークラブ)がいるのだ。
 カイナに挨拶をして2人は直人の『ディメンションウォール』に消えていった。残ったカイナとクラスタの間には少しの沈黙が訪れた。次の瞬間2人の目が獲物を捕らえた。直人の知らないところで2人は意気投合し実はこの待ち時間を利用して男漁りをしていたのだがこれは別の話。



 コンコン。
 『ディメンションウォール』の中にある扉の1つをノックする。

「はぁ~い。どうぞ~。」

 扉を開け中に入る。相変わらず長い緑色の髪の毛が床まで垂れている。イレーネの部屋にやってきたのだ。イレーネはまだ仕事をする前だったのかネネとお茶をしていた。

「なんだ、初心者か。」

 ちらりと確認した後またお茶を飲むのに戻った。

「ネネそれはちょっと態度悪いんじゃないかい?」
「ん。今、お茶飲むのに、忙しい。」
「ナオトさん今日はどのような用で~?」

 イレーネは突然現れた2人が気になるようだ。ネネの態度は放置だ。

「ああ、ちょっと顔を出しつつ『ヴィータ』に繋がるとこから出させてほしいんだ。ちょっと『サラキア』のダンジョンに行ってきたいからさ。」
「ダンジョン、いくの?」

 目を輝かせてネネがこちらを見ている。どうやらついてきたいようだ。じっとこちらから目を離さない。

「あらあら~ネネも連れてってくれるかしら~?」
「いいけど夕方までずっとになるけど大丈夫か?」

 むしろたくさん狩れるのがうれしいのかネネはかなり乗り気だった。

「ただの、狩りにしては、長い。何か、目的、が?」
「あー卵を出しに行くんだ。」
「卵…これ?」

 ネネが手のひらに布にかぶったなにやら尻尾の生えた生き物を差し出してきた。

「それだ!どいつがだしたんだ??」
「地下5階、の、ウミネコが、だした、よ?」
「ウミネコ…」

 その名前に少し不安を感じた。目の前にいる生き物は猫のような尻尾が生えている。が、それが目的なのであきらめるしかない直人だった。
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