たとえばこんな異世界ライフ

れのひと

文字の大きさ
32 / 60
第4章 異世界を楽しむ

32話 魔法道具店

しおりを挟む
 商人ギルドで依頼を受けた後、目的のお店の前までやってきた。魔法道具店である。中に入ってみるとアクセサリーを中心としたものであふれていた。

「いらっしゃいませっ今日はどんな道具をお探しですか?」

 店の中を眺めているとツインテールが特徴的な女の子が出てきた。身長は直人と同じくらいだ。ちなみに髪の毛の色は青いのでかなり目立つ。

「あ、客じゃないです。依頼を受けてきました。」
「あーそういえばお願い出したっておじいちゃんがいってたわね。」

 女の子はそういうと直人を上から下まで眺めた。

「ふぅ~ん。変わった服装ね…まあ仕事してくれればなんでもいいけど。」

 何でもはっきりとものを言う子らしい逆にすがすがしいくらいだ。「ちょっとまっててね」といい奥に声をかけに戻っていった。その場で待ちながら店内の物色を再開した。見た感じ普通のアクセサリーにしか見えないものが多い。ためしに近くにあったネックレスを鑑定してみると違うことがわかる。『身体強化1』という効果がついているようだ。

「またせてしまったかのう?」

 銀髪をオールバックにまとめた男の人が奥から出てきた。ところどころ白髪が混ざっていることから銀髪が元の髪の色だということがわかる。

「いえ、大丈夫です。商品を眺めさせていただきました。」
「さて、依頼を受けてくださったということだが…魔法道具はどの程度知っているのかね?」
「そうですね…ダンジョンでドロップするのを見ました。あとは知り合いに渡されたものを持っています。」

 男性は直人の説明を静かに聞いていた。

「以上かね?」
「あ、それとまだ試したとこがないのですが多分作れます。」
「…!君は作れるのかねっ」

 作れるということにすごい食いつかれた。

「空間魔法レベルはいくつだ。8か?9か?」
「10ですが…」
「10…!」

 目を見開いて驚いている。その後額に手を当て考え込んでいるようだ。少しの間そのままだったがどうやら考えがまとまったらしい。

「オルガ。オルガ来なさいっ」

 先ほど店に出来てたツインテールの女の子が出てきた。オルガというのがこの子の名前らしい。

「何おじいちゃん。」
「やばい、空間10持ちだ!」
「まじで!」

 2人の目の色が変わり両側から腕を掴まれた。オルガにいたっては腕にしがみつき胸を押し付けくる。

「奥で話の続きをしましょうか?」

 引きずられるように直人は奥に連れて行かれてしまった。もちろんその間も2人は腕を離さなかった。



 奥は工房となっていたようでそこに用意されているソファーに座らせれている。もちろんその隣には腕を離さず胸を押し付けたままのオルガも座って。向かいの椅子にこしかけている男の人が質問を投げかけてきた。

「そういえばまだ名前を聞いてなかったのぅ。」
「直人です。」
「ナオトさん…私のことどうです?」

 ますます胸を押し付けながらオルガは顔を赤らめ聞いてきた。

「え…?」
「私のこと好みじゃないです?」

 そういうと短い短パンから覗く2本の素足を直人の膝の上に乗せてきた。腕には胸の感触が膝には太ももの感触がしている。

「えっと…依頼の話を…」

 ここまで女の人と密着する機会のなかった直人はしどろもどろになりつつも本題に戻ろうと努力する。

「ほれ、オルガもう一押し…」

 ボソリと男の人の声が耳に入った…その声で直人はわれに返った。

「孫に何させてんですかあなたわーーーーっ」
「きゃっ」

 突然立ち上がったことによりオルガから直人は解放された。膝から落ちたオルガはお尻を打ち付けたらしく撫でている。

「もーおじいちゃんっ台無しじゃない~」

 涙目になりながらお尻を撫でているオルガはソファーに座りなおした。

「依頼の話しましょう、ね?」
「「はい…っ」」

 気を取り直し会話を続けた。




「依頼内容の説明を詳しくお願いできますか?」
「ああ、まだ全然はなしてなかったな。」

 額の汗をぬぐいながら男の人は依頼内容を話始めた。簡単にいうと店で接客をすることを頼むつもりで依頼をだしていたらしい。

「だが、空間10というではないか。店番にするにはもったいない…」
「そうなんですか?」
「ああ。ぜひ工房のほうで作成の手伝いをしてもらいたいくらいだ。」
「え、やったこともないのにいいのですか?」
「空間10なら少し教えれば出来るようになるだろう。あとはセンスの問題になってくる。」

 教えてもらえるというなら願ったり叶ったりだ。

「あの、店番しながら少しづつ教わることは出来ますか?」
「もちろんかまわないが…今まで使ってこなかったんだろう?急に必要にでもなったのかね。」
「そうなんです、じつは…」

 異世界召喚にかんしては触れず、そのうち帰るのでそれまでにお世話になった人たちに魔法道具でお礼をしたいと伝えた。それでどんなものがいいのか調べたく祭りで店を出すために商人ギルドのランクを上げる目的で依頼を受けたことも。

 しばらく黙って聞いていた男の人はまた額を抑えていた。どうやらそれがこの人のものを考える姿勢のようだ。少し待つと、ぱんっと膝を叩き顔を上げこちらに向き直った。

「よし、こうしようか。」

 どうやらこの店も祭りで出店するらしく、そのための道具作りのため店番の依頼をだしたようだ。なので出店する店の手伝いをすることを条件に店番と道具作りを半々行い、出店する店の道具も作るように進められた。もちろん材料費を引いた分の売り上げはくれるらしい。つまりは教わりながら一緒に出店準備をしようということだ。

 話しがついてこの後店の商品の配置わけを教わり、明日から本格的に店番と道具作りが始まることが決まり直人は新しいことに胸を躍らせていた。

「このままオルガの婿に来てもよいのだぞ?」
「…お断りします。」
「えー私じゃ魅力が足りないのかしら~」

 そんな声が聞こえたがもちろん無視である。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

World of Fantasia(ワールド・オブ・ファンタジア)

緋色牡丹
ファンタジー
生きる意味を見出せない三十二歳の男・山田緋色。 夏の夜、光の渦に呑まれ、彼が目を覚ましたのは――幻想の森だった。 壊れた愛車、知らない空、そして湖に浮かぶ青髪の少女。 異世界での出会いが、“止まった人生”を再び動かしていく。 異世界叙情ファンタジー、開幕── ※この小説は、小説家になろう、カクヨムにも同時掲載しています。 挿絵はAIイラストを使ったイメージ画像です。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

あっとさん
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

神様、ちょっとチートがすぎませんか?

ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】 未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。 本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!  おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!  僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇  ――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。  しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。  自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。 へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/ --------------- ※カクヨムとなろうにも投稿しています

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

処理中です...