たとえばこんな異世界ライフ

れのひと

文字の大きさ
56 / 60
第6章 実験

56話 先はながい…かもしれない

しおりを挟む
「さて、いくか…」

テンタチィオネと別れモートの元へと地下都市の町をあるく。多少は時間をつぶせたもののまだ時間ははやく、商店街で開いている店もまだまばらだ。そこを通り抜けしばらく進むと目的地が見えてきた。大きな建物…のその隣の建物、モート達魔王がすんでいる家だ。

「どうやってたずねればいいんだ?」

 家には扉がついてはいるが呼び鈴のようなものはない。とりあえず直人は扉をノックしてみる。少し待ってみるが何も反応はないようだ。以前来たときは3人と一緒だったので気にもしていなかった。

「んーいきなり中入るか。」

 中に入ろうと扉に手をかける。しかし扉は開かない。押しても引いてもびくともしない。

「どうしたものか…」

 扉を見上げ考えていると目の前に扉が迫ってきた。

「ブフッ」

 顔面に扉を打ちつけ数歩下がったところに尻餅をつく。

「…なにかぶつかったか?」

 魔王の1人エールが顔をだした。外の物音を聞きつけてやってきたようだ。

「見覚えのある人間だな…」
「あ、はい。前アストレアのライブに一緒にいったことがあります。」
「ああ、孫の知り合いか。あの子は今日も来てすでにモートとフラカンと練習をしているぞ。」
「え、もうですか…早いですね。」

 どうやらモートは隣の建物にいるようだ。都市の管理に回る時間の都合もあるので早朝と夕方がモートの指導時間のようだ。エールにお礼をいい『ディメンションウォール』からアストレアに連絡を取ると、アストレアと合流した。

「いらっしゃいナオト。今日はどうしたの?私のスキルレベルはまだ上がっていないわよ。」
「あーうん、今日はモートさんに用事があってきたんだ。」
「俺にか?」

 モートの目の前に座り、呼吸を整え確認したかった内容を口にだした。

「ダンジョン『モート』は今どうなっているんですか?」
「……なんか懐かしいこといわれたな。ダンジョンか…」

 モートは少しだけ遠い目をしてどこかを見ている。

「俺の畑は今は機能していないな。」
「機能していない…?」
「ああ、魔王になったときに畑の機能を止めたんだ。今じゃただの通路だな。」

 畑として機能していない…?ということは魔物もいないということだろう。

「じゃあ今は魔物とか何もいないんですか?」
「いないな。次の魔王になったものの子供が入る予定になっている。」

 あれ…ということは向こうの陸地とか魔物で溢れたりはしていないってことじゃ…

「スライムの氾濫ってどうなりました?」
「俺の畑で起こった氾濫のことか…?今まで何度か起きてたから、どの氾濫のことはわからんのだが…すべておさまったはずだぞ。あー…一度氾濫が治まるまで時間がかかったときもあったかもしれんがな。」

 つまり…なんだ。その被害にあった一部の人が避難してきただけで、普通に住んでいそうだな。ということは魔方陣使えばすぐいけるんじゃ。

「ふむ…なあモート他のダンジョンはちゃんと管理されているのか?」
「もちろんだ、たまに氾濫はするがな。」

 まあそれはしかたがない…のか?

「ところでそれがどうかしたのか?」
「ん、ああ。そっちの陸地へ行ってみようかと思ってな。そのための情報収集だよ。」
「そうか、まあ気をつけて行ってくるがいい。」
「ああ、アストレアもがんばってね。応援しかできないけど。」
「わかってるわよっ」

 3人とわかれると直人はマリーナスへと飛んだ。ここの冒険者ギルドの転送陣から今日は先へいくことにする。

「あ、フラカンを完全に無視してたわ…まあいいか。」

 マリーナスの入り口から入り北西、冒険者ギルドまで歩いていく。多少入り組んだ町だが冒険者ギルドに向かうのは一度足を運んだものならかんたんであろう。まずは北の港まで抜けた後左へ進路をかえるだけで目的地に着いた。冒険者ギルドまで一気に飛んできてもよかったのだが、周りの目を気にして一応歩いたのだ。

「ダンジョンに行くにはどうしたらいいんだ?」

 とりあえずカウンターに近寄り少し話を聞いてみることにする。

「こんにちはギルドのお姉さん。」
「はい、今日はどのような用件でしょうか。」

 ギルドカードを取り出し見せる。

「ダンジョンに入りたいんだけどどうすればいいんだ?」
「依頼を受けてもらえればはいれますよ。でも…」

 手元にあるギルドカードを眺め女性は少し困った顔をした。直人のギルドランクはE。全然上げていない状態だ。

「ランクEでは許可できないんです。」
「そうなんですか、初めてくる町なので知らなかったです。」
「あら、そうだったのですね。この町はいかがですか?」
「少し迷いそうですね。あと森からこの町へ馬車がはしってましたけど移動めんどそうだなーと。」
「馬車…ですか?へんですね…馬車は中央の広い通りくらいしか通行できないのに…しかも森からとか。それいつのことですか。」
「たしか2日ほど前ですかね?」

 変だなーとは思ったけどこの町の人でもそう思うんだな。なんなんだろうか?

「少し気にかけてみますね。で、ここのダンジョンに入るにはランクをDに上げてきてください。」

 直人は仕方なくギルドを後にした…
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

World of Fantasia(ワールド・オブ・ファンタジア)

緋色牡丹
ファンタジー
生きる意味を見出せない三十二歳の男・山田緋色。 夏の夜、光の渦に呑まれ、彼が目を覚ましたのは――幻想の森だった。 壊れた愛車、知らない空、そして湖に浮かぶ青髪の少女。 異世界での出会いが、“止まった人生”を再び動かしていく。 異世界叙情ファンタジー、開幕── ※この小説は、小説家になろう、カクヨムにも同時掲載しています。 挿絵はAIイラストを使ったイメージ画像です。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

あっとさん
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

神様、ちょっとチートがすぎませんか?

ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】 未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。 本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!  おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!  僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇  ――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。  しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。  自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。 へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/ --------------- ※カクヨムとなろうにも投稿しています

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

処理中です...