たとえばこんな異世界ライフ

れのひと

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第6章 実験

55話 世界地図

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 店の女性にお礼をいい絵本を返すと直人とネネは建物の外へ出た。

「地図、なかった?」
「あーうん。地図はなかったね。」

 絵本の話はある程度は本当だったんだろう。店の店員の態度がそういっていた。横から絵本を覗き込んでいたネネはあまり興味がなさそうだった。

「ネネは絵本の話は知ってたの?」
「ん。知ってる。みんな、教わる。」

 ふむ…でもあの話からすると逃げてきたのは一部の人だよな…どう考えても他の陸地の人が全部こっちの陸地にこれるような広さがここにはない。と言うことは…

「地図は手に入らなくても別の陸地へいくぞっ」
「そう…戻ったら、教えて。」

 少しだけ残念そうな顔をしたネネは『ディメンションウォール』を開くと帰って行った。どうやら直人がダンジョンに行きそうもないのであきらめて帰ったらしい。
 
 ネネと分かれた後、通りがかった人に道をたずねると冒険者ギルドの場所とダンジョンの場所を教えてもらえた。この町のギルドはすべてダンジョンの前に集まっていた。町の北西、冒険者ギルドの中。そこに転送用の魔方陣が設置されておりダンジョンの入り口へと繋がってるらしい。

 冒険者ギルドは外から見てもはっきりとわかるくらい大きな建物だった。中に入ると多くの人で賑わっている。直人は真っ直ぐカウンターに向かいギルドの人に話を聞くことにした。

「すみません、地図ってここで手に入れられますか?」
「どういった地図でしょうか?」
「出来るだけ広い範囲で陸地が書かれたもの…かな?」
「ああ、世界地図ということですね…しばらく地図の更新がされていないので、多少地形が正しくないものならありますよ。」
「しばらくってどのくらいですか?」
「千年くらい…だと思われます。」

 ……それだけたてば地形も変わってるだろうな。

 まあないよりはましなのでその地図を買うことにした。そのついでにここにあるダンジョンのこともたずねると、転送用の魔方陣は2つあるとのことだった。

「2つ…ですか?」
「そうですがなにか?」
「もう少し詳しく教えてください。」

 ギルド職員の説明によると、1つはすぐ北の海中にあるダンジョンに直接飛べる魔法陣で、昔は陸地だったらしいが今ではその魔方陣からしかいけなくなってしまったらしい。
 もう1つは今日見せてもらった絵本の場所になっているダンジョンに飛べるものらしい。ただこちらはほぼ誰も立ち入ることがないそうだ。たまにギルド職員が様子を見にいくらしいが、怖くてそこから外へ出た人は誰もいないと聞いた。ちなみに転送先は昔そのダンジョンを利用していた人が地下3階に個人的に設置したものだったらしい。この陸地にきてから再びその階層から入れるようにだけしたそうだ。

 …これってつまり海を越えていかなくても別の陸地へいけるってことだよな?

「ちなみにダンジョンの名前は?」
「ヴァスタとモートですね。」



 地図を手に入れ確認することを終えると直人はルージェ王都の宿へ戻ってきた。本来の目的は魔法具の転移移動の中距離がどこまでなのかということの確認である。その結果中距離はこの陸地の中ならどこでも届くことがわかった。
 地図を開き確認する。この世界の陸地は今いる陸地が中心にあり、その外側にぐるっと海。さらにその外側にまたぐるっと陸地がドーナツの形のようになっていた。なんといっても地図が古いので、もしかするとところどころ繋がっていないことも考えられる。そして町の名前などが書かれているが、なにせ情報が古いので今もそのままの名前なのかもわからない上に、ダンジョンの位置は表示されていない。マリーナスの魔法陣から飛んで出た先がどこなのかがわからないのだ。

「モートか…」

 今日聞いたダンジョンの名前を思い出す。やはり一度話を聞きに地下都市へ一度いく必要がありそうだ。ついでにアストレアの様子も見てこよう。
 明日の予定を決めると直人はベッドで眠ることにした…

 はい、朝です。気になって早く確認したかったからと早く着すぎました。

「ねみゅい…」

 半ば強引に元母親であるサラキアのもとへきている。サラキアは早くから起こされ眠そうに目をこすっていた。

「直人いくらなんでも早すぎだろう。サラはまだ子供の体だぞ?」
「いや、父さんがこんな時間にいるほうが驚きなんだが…ちゃんと家に帰れよ。」
「問題ない。」

 いや、あるだろう…確か父さんもかなり子供な年齢だったはず。忘れたけど。

「まあいいや。ちょっとこっちの人に用事があってきただけだから。」

 じゃあ、とそこから外へ出て行こうとしたらテンタチィオネに止められた。朝早すぎで相手に迷惑だろうとのことだ。地下都市も地上と生活時間は同じ感じだったようだ。仕方ないのでここで少し時間をつぶすことにした。もちろん雑談くらいしかすることがなく、テンタチィオネにサラキアがどれだけかわいいかとか聞かされ続けてうんざりした。
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