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15話 商店登録
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「昨日は酷い目にあった…」
久々のお風呂は気持ちよかったが、あれはないわ……
昨夜のことを思い出すとポチは大きく頭を振った。考えるとその情景を思い出し、他のことが手につかなくなるからだ。
今はそんなことよりこれからのことを考えねばっ
店の準備にあたりソーマさんは予定通り相場確認に回ってもらう。エレノアは俺について修繕費の稼ぎに出てもらい、スフィアは宿の維持と回復に、ルーナは店と家の掃除と維持だ。
ソーマさんとエレノアは宿の修繕が終わるまでポチの店の従業員という扱いで給料をだす。そのお金で宿の修繕にあたってもらう。一応10日に一度給料を出す形にし、少しでも早く宿を直してもらおうと思う。
悔しいことにそれでも『エルフの微笑亭』のほうが先に営業再開できてしまう。こればかりはどうしようもない。少しでも再開が早くできるようにスフィアにも修繕をがんばってもらうしかない。
「そういえばアルタとエルザはこれからどうするの?」
食堂で食事をしながら2人に聞いてみる。今はポチの家にいるが、これから先どこか宿を取るのかどうかである。2人は顔を見合わせ頷くと、アルタが口を開いた。
「ねえポチ。従業員雇う気ない?」
「え…それって2人とも俺の所で働きたいってこと?」
「「そう。」」
「アイテム採取メインの従業員なんてどうかしら。」
願ってもないことだ。しばらくソーマさんは販売担当についてもらうが採取メインはいなかったのでポチが自分で行う予定だったのだ。2人が来てくれるならソーマさんが抜けるまでに販売担当の従業員を増やすだけでよくなる。
「いいの?」
「このまま住み込み希望なんだけどいいかな?」
「もちろん、助かるよ!」
3人は笑顔を交し合う。エルザの笑顔は少しだけ何かたくらんでそうで怖かったが…
「あの…盛り上がってるところ申し訳ないですが…」
「ソーマさん…?」
「店を始めるのであれば、商人ギルドへの登録が必須ですよ。」
「……そういえば前聞いたかも。登録の他にやらなければいけないことがあれば教えてください。」
ソーマさんが言うには登録さえしてあれば店を出すことは可能だそうだ。職業に商人を持たない人が店を出す場合はかなり宣伝とかしないと店を認識してもらえず大変なのだそうが、幸い第2の職業でポチは商人である。店の登録と準備さえ出来ればすぐにでも周知されるとのことだった。もちろんスキルを使えば、だが。
「つまりまずは登録ということだね。」
食事が終わると各自行動へと移ることにする。ポチたち4人はまず商人ギルドへと向かった。
商人ギルドがある場所は南門のほぼ正面だ。ここからもさほど距離はない。中央の広い通りを南へと向かいギルドの前に着いた。建物は冒険者ギルドとは比べ物にならないくらいの大きさがあり3階建てだった。
中に入りまっすぐカウンターへと向かう。
「商人ギルドへようこそ。今日のご用件はなんでしょうか?」
受付にいた女性の頭には獣の耳がついていた。獣人というやつだろうか…尖って大きな耳、たぶん狐だろう。尻尾も大きくてボリュームがあるのが見て取れる。
あまりじろじろと見てしまったので女性に怪訝な顔をされてしまった。
「えーと、店を出したいのでギルド登録にきました。」
やはりここも他と同じらしく目の前に水晶玉を差し出された。これでカードは3枚目。流石にありがたみは薄れ手に入れたカードをぼんやりと眺めるだけだ。
「では次に店の場所にカードを登録しますので、一度カードをお願いします。」
出来上がったばかりのカードを手渡し登録をしてもらう。
「はい、場所の登録完了です。次に名前と開店予定日をお願いします。」
「店の名前…」
はい、考えていませんでしたーー!
困ってみんなの顔をチラリと見る。そういえば聞いてないという顔をしていた。それはそうだろう決めていなかったのだから。
「…スライムに倒された男がいい。」
「…はい?」
「なんでもない…」
エルザはその称号がとてもお気に入りのようだ。微妙に笑いをこらえている。
「わかりやすくポチさんの名前を入れたものでいいんじゃないかな?」
「ポチの薬屋さん、とか?」
「あーなるほど…じゃあそれで。」
「わかりました。『ポチの薬屋さん』で登録します。」
「え、うそ。決定?」
適当にアルタがつけた名前が店の名前となった。すごく申し訳なさそうな顔をしている。
「店を区別したり何の店かわかれば問題ないよ。」
「そういうもの…?」
「そうですね、最悪『あ』とかでもかまいません。」
「それはさすがに…」
後は開店予定日か…建物自体はあるのだから相場と内装と商品。あと販売従業員を1人補充出来ればとりあえず始められるか…
「あの、予定日の前後何日の開店なら問題ないですか?」
「そうですね…前後2日です。」
「では3日後でお願いします。」
「わかりました。…登録完了しました、カードをお返しします。開店予定店舗としてギルドに張り紙をしておきます。予定日の前日までのキャンセルでしたら無料で行います。それ以降は迷惑料が発生します、気をつけてください。他にご用件はありますか?」
「あ、そうだ。この店の販売従業員を1名募集したいです。」
「わかりました、依頼という形で募集をだしておきます。募集条件は?」
募集条件か…これも考えてなかったよ。性別はどっちでも…いや、よくないか。今は女性ばかりだ販売は女性のほうがいいだろう。そのほうが住み込みとかも可能になって募集も早く来てもらえるかもしれない。なしにするのは年齢制限かな。後は…
「えーと、販売従業員1名。年齢制限無し、女性、住み込み可。数字に強いこと。こんなとこかな…」
「はい、ではそのように出しておきます。依頼発注手数料銀貨1枚いただきます。」
ポチ達は商人ギルドの用事を済ますと、今度は冒険者ギルドへ足を運んだ。採取のついでに依頼があれば一緒に受けるつもりだ。
4人は依頼ボードを眺めている。アルタとエルザがDランク、ポチとエレノアはFランクだ。この4人で受けられる依頼を探すのは中々厳しいものだ。パーティになるので上がCまで受けられるが、さすがにそれは厳しいということで、DかEの依頼を眺めている。
「あーーっやっと来てくれた…」
背後から声がした、ギルド職員の女性のようだ。何度かカウンターで顔を合わせたことがある女性だ。名前は知らない。
「えーと…ポチさんとエレノアさんでしたよね。」
「はい、そうですが?」
「?」
「やっと報酬わたせます~…」
ギルド職員は本当に喜んでいるようだ。安堵のため息をもらしている。
「報酬?」
「フォースドベアです。」
「ああ…そんなのあったね。すっかり忘れてたんだけど。」
「とにかく渡しましたからねーっ」
お金の入った袋を渡すとギルド職員は仕事へ戻っていった。
「ポチ…フォースドベアってたしかDランクのパーティでなんとか狩れる熊じゃ…」
「そうらしいね。」
「Fランク2人で倒したの?」
「いえ…ほとんどポチさんが1人でですね。」
「スライムに倒された男が…?」
「私とエルザ2人でも無理なのに…」
そんな話を横で聞きながら袋を開けると金貨20枚と銀貨が6枚入っていた。フォースドベアが金貨20枚で他が銀貨6枚ってことだろう。
「エレノアお金半分貰ってね。」
「え…私ロクに働いてないからそんなもらえない…というかフォースドベア以外の報酬の半分で十分だよ~」
「んーー…わかった。」
ポチはエレノアに金貨1枚と銀貨3枚渡した。
「ねえこれ絶対多いよね??」
「気のせいだよ。もう返却不可ですー!」
少し納得していないエレノアは置いておいて、いい加減依頼書を眺めよう。
「ポチがそれだけ強いならダンジョン先に進めそうだけど…だめだよね~」
「地下1階で素材採取が目的だよ。」
「じゃあ素材で使っちゃうから依頼はないわね~」
アルタは少し残念そうだ。まあ時間があったら先に進めばいいだろう。
◇◇◇ レアス地下1階 ◇◇◇
1階に入るとみんなには普通に狩っていてもらい、ノームにプルポム草の採取に向かって貰う。
「さて…」
ポチは壁にある魔石に触れると2階へと飛んだ。先にここで集めておきたいものがある。
◇◇◇ レアス地下2階 ◇◇◇
地下2階はグールが多い狩場だ。ざっと周りを見ると今のところ狩りをしている人は見当たらない。
「これは好都合。」
一言もらすとポチは火炎瓶を取り出した。これで攻撃対象をこの階層のモンスターに指定する。こうすることでグールを見分けなくてすむはずだ。火炎瓶をグールだと思わしき集団がいる場所へ投げつける。それがグールでなくても問題はない。もし別パーティだったとしてもただ驚くだけである。
投げた火炎瓶が足元に火を広げた。そこにいた人っぽいのはグールだったらしい。さらに火は効果がよかったのかそのままグールを燃やし尽くし、すぐ傍にいたスライムやポイズンスライム、キノコノコに順番に燃え広がりしとめた。アイテムが色々落ちている。
「火炎瓶1個でこれだけの範囲燃やせるのか。お得だね。」
材料が数個分以上確実に落ちるのでこれはかなり効率がいいだろう。ポチは次々と火炎瓶を投げ、アイテムを拾う。一人ついてきてもらえばよかったかなーと思ったがまあ仕方ない。手持ちの火炎瓶を投げ終わり、集めたアイテムで再び火炎瓶を作る。そしたらまた投げ始める。これを繰り返し、火炎瓶を増やしておきたいのだ。
「うおっ…あっつ…くない?」
何度目か投げたとき声をだす人が混ざっていたようだ。いや、声を出す人じゃなく普通に人だったのか…
「あ、驚かせてすみません。」
「いや、いいけど…なんだこれ、熱くないぞ?」
「対象を指定して使う火炎瓶ですよ。なので人には害ありません。」
火炎瓶が危なくないことを説明すると改めて目の前の男を眺めた。髪の毛の色は真っ赤で目も同じ色をしている。風貌はどうみても冒険者な装備をしている。ここにいる時点で一般人ということはないだろう。腰には2本剣を帯刀している。
「ふむ…俺の名はチサトだ。お前は?」
「俺はポチ…よろしく。」
「…犬の名前かよっ」
「え?」
なんかつっこみされたけど…
「いや、そっちもそれ女の名前じゃないのか…?」
「「………」」
チサトと名乗った男が肩を組んで顔を寄せてきた。
「なあお前って…」
そんな2人の間にポイズンスライムが体当たりをしてきた。
「…っと。話は後のがよさそうだな。」
「はい、こちらも仕事中なので。」
「はー仕事なのかっじゃあ後で落ち合うか。どこがいい?」
ポチは自分の家を教えチサトと分かれた。火炎瓶がある程度集まったので1階に戻るのだ。上に戻ると3人が地道に狩りをしていた。
「ポチお帰り!2階に何しにいってたの?」
「これを作りに行ってたのさ。」
作り終えた火炎瓶を取り出し3人に説明をした。3人はなぜこれを作ったのか納得したようだ。2人づつ別れ狩りを再開する。ポチはエレノアと組み、広場で火炎瓶狩りだ。ポイズンスライムも怖くないので余裕である。エレノアはアイテム拾い要員である。アルタとエルザは通路の往復を繰り返してのアイテム集めだ。ドロップするヌイグルミも巾着に変えエレノアに渡す。持てなくなった分を巾着ごとポチにあずけ空の巾着と交換を繰り返し。4人は日が暮れ始める前までその作業を続けた。
▽▽▽▽▽
「さすがに疲れたわね~」
「こんな時間狩るの初めてかも。」
アルタとエルザが口々に今日の感想を述べている。最初の準備なので過剰に用意しておく必要があるので仕方がない。店が開店したら時間を決めてやるつもりだ。みんなからアイテムを回収し、1階にある店の裏手の倉庫にひとまず集めておく。後で全部調合するつもりだ。
全員集合したので食事が始まった、今日もスフィアとルーナが作ってくれた。今日の各自の報告を聞きながら食事をしようとしていると、
「おーーい、ポチやーい。」
と、外から呼ぶ声がした。どうやら今日あったチサトが早速顔を出しに来たようだ。
チサトを中へ招きいれ、食事中だというと「俺も食いたい…」と言うので急遽一緒に食事をすることになり、みんなに紹介することになった。
「…なんだこれ。ハーレムか?」
「ちがうよっ」
チサトは食堂に入った瞬間この言葉を放った。まあたしかに7人中男は2人だけでしたけども、そういった関係ではない。
食事を再開し、仕事の話は後で文章にまとめて各自仕事部屋へ出しておいて貰うことにした。
久々のお風呂は気持ちよかったが、あれはないわ……
昨夜のことを思い出すとポチは大きく頭を振った。考えるとその情景を思い出し、他のことが手につかなくなるからだ。
今はそんなことよりこれからのことを考えねばっ
店の準備にあたりソーマさんは予定通り相場確認に回ってもらう。エレノアは俺について修繕費の稼ぎに出てもらい、スフィアは宿の維持と回復に、ルーナは店と家の掃除と維持だ。
ソーマさんとエレノアは宿の修繕が終わるまでポチの店の従業員という扱いで給料をだす。そのお金で宿の修繕にあたってもらう。一応10日に一度給料を出す形にし、少しでも早く宿を直してもらおうと思う。
悔しいことにそれでも『エルフの微笑亭』のほうが先に営業再開できてしまう。こればかりはどうしようもない。少しでも再開が早くできるようにスフィアにも修繕をがんばってもらうしかない。
「そういえばアルタとエルザはこれからどうするの?」
食堂で食事をしながら2人に聞いてみる。今はポチの家にいるが、これから先どこか宿を取るのかどうかである。2人は顔を見合わせ頷くと、アルタが口を開いた。
「ねえポチ。従業員雇う気ない?」
「え…それって2人とも俺の所で働きたいってこと?」
「「そう。」」
「アイテム採取メインの従業員なんてどうかしら。」
願ってもないことだ。しばらくソーマさんは販売担当についてもらうが採取メインはいなかったのでポチが自分で行う予定だったのだ。2人が来てくれるならソーマさんが抜けるまでに販売担当の従業員を増やすだけでよくなる。
「いいの?」
「このまま住み込み希望なんだけどいいかな?」
「もちろん、助かるよ!」
3人は笑顔を交し合う。エルザの笑顔は少しだけ何かたくらんでそうで怖かったが…
「あの…盛り上がってるところ申し訳ないですが…」
「ソーマさん…?」
「店を始めるのであれば、商人ギルドへの登録が必須ですよ。」
「……そういえば前聞いたかも。登録の他にやらなければいけないことがあれば教えてください。」
ソーマさんが言うには登録さえしてあれば店を出すことは可能だそうだ。職業に商人を持たない人が店を出す場合はかなり宣伝とかしないと店を認識してもらえず大変なのだそうが、幸い第2の職業でポチは商人である。店の登録と準備さえ出来ればすぐにでも周知されるとのことだった。もちろんスキルを使えば、だが。
「つまりまずは登録ということだね。」
食事が終わると各自行動へと移ることにする。ポチたち4人はまず商人ギルドへと向かった。
商人ギルドがある場所は南門のほぼ正面だ。ここからもさほど距離はない。中央の広い通りを南へと向かいギルドの前に着いた。建物は冒険者ギルドとは比べ物にならないくらいの大きさがあり3階建てだった。
中に入りまっすぐカウンターへと向かう。
「商人ギルドへようこそ。今日のご用件はなんでしょうか?」
受付にいた女性の頭には獣の耳がついていた。獣人というやつだろうか…尖って大きな耳、たぶん狐だろう。尻尾も大きくてボリュームがあるのが見て取れる。
あまりじろじろと見てしまったので女性に怪訝な顔をされてしまった。
「えーと、店を出したいのでギルド登録にきました。」
やはりここも他と同じらしく目の前に水晶玉を差し出された。これでカードは3枚目。流石にありがたみは薄れ手に入れたカードをぼんやりと眺めるだけだ。
「では次に店の場所にカードを登録しますので、一度カードをお願いします。」
出来上がったばかりのカードを手渡し登録をしてもらう。
「はい、場所の登録完了です。次に名前と開店予定日をお願いします。」
「店の名前…」
はい、考えていませんでしたーー!
困ってみんなの顔をチラリと見る。そういえば聞いてないという顔をしていた。それはそうだろう決めていなかったのだから。
「…スライムに倒された男がいい。」
「…はい?」
「なんでもない…」
エルザはその称号がとてもお気に入りのようだ。微妙に笑いをこらえている。
「わかりやすくポチさんの名前を入れたものでいいんじゃないかな?」
「ポチの薬屋さん、とか?」
「あーなるほど…じゃあそれで。」
「わかりました。『ポチの薬屋さん』で登録します。」
「え、うそ。決定?」
適当にアルタがつけた名前が店の名前となった。すごく申し訳なさそうな顔をしている。
「店を区別したり何の店かわかれば問題ないよ。」
「そういうもの…?」
「そうですね、最悪『あ』とかでもかまいません。」
「それはさすがに…」
後は開店予定日か…建物自体はあるのだから相場と内装と商品。あと販売従業員を1人補充出来ればとりあえず始められるか…
「あの、予定日の前後何日の開店なら問題ないですか?」
「そうですね…前後2日です。」
「では3日後でお願いします。」
「わかりました。…登録完了しました、カードをお返しします。開店予定店舗としてギルドに張り紙をしておきます。予定日の前日までのキャンセルでしたら無料で行います。それ以降は迷惑料が発生します、気をつけてください。他にご用件はありますか?」
「あ、そうだ。この店の販売従業員を1名募集したいです。」
「わかりました、依頼という形で募集をだしておきます。募集条件は?」
募集条件か…これも考えてなかったよ。性別はどっちでも…いや、よくないか。今は女性ばかりだ販売は女性のほうがいいだろう。そのほうが住み込みとかも可能になって募集も早く来てもらえるかもしれない。なしにするのは年齢制限かな。後は…
「えーと、販売従業員1名。年齢制限無し、女性、住み込み可。数字に強いこと。こんなとこかな…」
「はい、ではそのように出しておきます。依頼発注手数料銀貨1枚いただきます。」
ポチ達は商人ギルドの用事を済ますと、今度は冒険者ギルドへ足を運んだ。採取のついでに依頼があれば一緒に受けるつもりだ。
4人は依頼ボードを眺めている。アルタとエルザがDランク、ポチとエレノアはFランクだ。この4人で受けられる依頼を探すのは中々厳しいものだ。パーティになるので上がCまで受けられるが、さすがにそれは厳しいということで、DかEの依頼を眺めている。
「あーーっやっと来てくれた…」
背後から声がした、ギルド職員の女性のようだ。何度かカウンターで顔を合わせたことがある女性だ。名前は知らない。
「えーと…ポチさんとエレノアさんでしたよね。」
「はい、そうですが?」
「?」
「やっと報酬わたせます~…」
ギルド職員は本当に喜んでいるようだ。安堵のため息をもらしている。
「報酬?」
「フォースドベアです。」
「ああ…そんなのあったね。すっかり忘れてたんだけど。」
「とにかく渡しましたからねーっ」
お金の入った袋を渡すとギルド職員は仕事へ戻っていった。
「ポチ…フォースドベアってたしかDランクのパーティでなんとか狩れる熊じゃ…」
「そうらしいね。」
「Fランク2人で倒したの?」
「いえ…ほとんどポチさんが1人でですね。」
「スライムに倒された男が…?」
「私とエルザ2人でも無理なのに…」
そんな話を横で聞きながら袋を開けると金貨20枚と銀貨が6枚入っていた。フォースドベアが金貨20枚で他が銀貨6枚ってことだろう。
「エレノアお金半分貰ってね。」
「え…私ロクに働いてないからそんなもらえない…というかフォースドベア以外の報酬の半分で十分だよ~」
「んーー…わかった。」
ポチはエレノアに金貨1枚と銀貨3枚渡した。
「ねえこれ絶対多いよね??」
「気のせいだよ。もう返却不可ですー!」
少し納得していないエレノアは置いておいて、いい加減依頼書を眺めよう。
「ポチがそれだけ強いならダンジョン先に進めそうだけど…だめだよね~」
「地下1階で素材採取が目的だよ。」
「じゃあ素材で使っちゃうから依頼はないわね~」
アルタは少し残念そうだ。まあ時間があったら先に進めばいいだろう。
◇◇◇ レアス地下1階 ◇◇◇
1階に入るとみんなには普通に狩っていてもらい、ノームにプルポム草の採取に向かって貰う。
「さて…」
ポチは壁にある魔石に触れると2階へと飛んだ。先にここで集めておきたいものがある。
◇◇◇ レアス地下2階 ◇◇◇
地下2階はグールが多い狩場だ。ざっと周りを見ると今のところ狩りをしている人は見当たらない。
「これは好都合。」
一言もらすとポチは火炎瓶を取り出した。これで攻撃対象をこの階層のモンスターに指定する。こうすることでグールを見分けなくてすむはずだ。火炎瓶をグールだと思わしき集団がいる場所へ投げつける。それがグールでなくても問題はない。もし別パーティだったとしてもただ驚くだけである。
投げた火炎瓶が足元に火を広げた。そこにいた人っぽいのはグールだったらしい。さらに火は効果がよかったのかそのままグールを燃やし尽くし、すぐ傍にいたスライムやポイズンスライム、キノコノコに順番に燃え広がりしとめた。アイテムが色々落ちている。
「火炎瓶1個でこれだけの範囲燃やせるのか。お得だね。」
材料が数個分以上確実に落ちるのでこれはかなり効率がいいだろう。ポチは次々と火炎瓶を投げ、アイテムを拾う。一人ついてきてもらえばよかったかなーと思ったがまあ仕方ない。手持ちの火炎瓶を投げ終わり、集めたアイテムで再び火炎瓶を作る。そしたらまた投げ始める。これを繰り返し、火炎瓶を増やしておきたいのだ。
「うおっ…あっつ…くない?」
何度目か投げたとき声をだす人が混ざっていたようだ。いや、声を出す人じゃなく普通に人だったのか…
「あ、驚かせてすみません。」
「いや、いいけど…なんだこれ、熱くないぞ?」
「対象を指定して使う火炎瓶ですよ。なので人には害ありません。」
火炎瓶が危なくないことを説明すると改めて目の前の男を眺めた。髪の毛の色は真っ赤で目も同じ色をしている。風貌はどうみても冒険者な装備をしている。ここにいる時点で一般人ということはないだろう。腰には2本剣を帯刀している。
「ふむ…俺の名はチサトだ。お前は?」
「俺はポチ…よろしく。」
「…犬の名前かよっ」
「え?」
なんかつっこみされたけど…
「いや、そっちもそれ女の名前じゃないのか…?」
「「………」」
チサトと名乗った男が肩を組んで顔を寄せてきた。
「なあお前って…」
そんな2人の間にポイズンスライムが体当たりをしてきた。
「…っと。話は後のがよさそうだな。」
「はい、こちらも仕事中なので。」
「はー仕事なのかっじゃあ後で落ち合うか。どこがいい?」
ポチは自分の家を教えチサトと分かれた。火炎瓶がある程度集まったので1階に戻るのだ。上に戻ると3人が地道に狩りをしていた。
「ポチお帰り!2階に何しにいってたの?」
「これを作りに行ってたのさ。」
作り終えた火炎瓶を取り出し3人に説明をした。3人はなぜこれを作ったのか納得したようだ。2人づつ別れ狩りを再開する。ポチはエレノアと組み、広場で火炎瓶狩りだ。ポイズンスライムも怖くないので余裕である。エレノアはアイテム拾い要員である。アルタとエルザは通路の往復を繰り返してのアイテム集めだ。ドロップするヌイグルミも巾着に変えエレノアに渡す。持てなくなった分を巾着ごとポチにあずけ空の巾着と交換を繰り返し。4人は日が暮れ始める前までその作業を続けた。
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「さすがに疲れたわね~」
「こんな時間狩るの初めてかも。」
アルタとエルザが口々に今日の感想を述べている。最初の準備なので過剰に用意しておく必要があるので仕方がない。店が開店したら時間を決めてやるつもりだ。みんなからアイテムを回収し、1階にある店の裏手の倉庫にひとまず集めておく。後で全部調合するつもりだ。
全員集合したので食事が始まった、今日もスフィアとルーナが作ってくれた。今日の各自の報告を聞きながら食事をしようとしていると、
「おーーい、ポチやーい。」
と、外から呼ぶ声がした。どうやら今日あったチサトが早速顔を出しに来たようだ。
チサトを中へ招きいれ、食事中だというと「俺も食いたい…」と言うので急遽一緒に食事をすることになり、みんなに紹介することになった。
「…なんだこれ。ハーレムか?」
「ちがうよっ」
チサトは食堂に入った瞬間この言葉を放った。まあたしかに7人中男は2人だけでしたけども、そういった関係ではない。
食事を再開し、仕事の話は後で文章にまとめて各自仕事部屋へ出しておいて貰うことにした。
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