【召喚魔法ドンナー】はゴミ魔法かと思ったが意外と使えるっぽい

れのひと

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職業考察

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 大きな目が瞬きを繰り返しながら俺のことを見つめている。それはきらきらと輝いた期待を込められた視線。

「ユニこの世界の仕事ってどうなっているんだ?」
「そうでした天使様にはそこから伝えないといけないんでした!」

 うん本当都合がいいよね天使様。聞けばユニがなんでも説明してくれる。

「そうですね…大きく分けて私達平民のように野菜や家畜を育てる生産職。もちろん他にも生産職はあります。それとそれらを販売する商人。後はそんな色んな職をまとめる管理職のようなもの…ですかね? ちょっと細かいことは私にはわからなくてすみませんっ」
「ありがとう充分だよ」

 ちょっと悪いことをしてしまったかな。俺だって自分の世界の職種とか聞かれても全部応えられる自信はない。さらに俺より幼いユニが全部を把握するのは無理があるもんな。

 でだ。このユニの説明から俺の出来ることを探していくわけだが、まずは生産職。何かを作る仕事ってことだよな。今俺が使える魔法で出せるものを使えば食べ物なら作れそうだ。そして調味料や材料などを売る商人も可能っと。ユニが言っていたコショウが高いという話。それを考えると販売するのはあまりよくなさそうではある。ただ間に信用のおける人を挟めばある程度危険を避けて売ることが出来そうでもある。そして管理職…事務職みたいなのになるのかな? たとえば各商人の店をまとめるトップみたいな?? あーあれか各店の売り上げを管理する人とかかもしれない。

「あ! 天使様冒険者とかどうですか? 職種にくくらず色んな仕事をする人ですっ」
「冒険者…」

 あーよくあるやつだ。薬草採取とか魔物討伐とか護衛とかするあれ。なるほどな~ 確かにそれなら色々ある中からその都度出来ることを選んでやれるだろう。まあどういった運営をしているか知らないから何とも言えんがありかもしれない。

「いいかもしれない」
「はいっ 折角ですので天使様にはいろんな仕事を体験していただきたかったのです! この世界のこともきっとよく理解できるでしょうからねっ」
「海だよ」
「そうだカイ様。明日父が丁度港町へ出荷に向かうので一緒に行きますか?」

 出荷…そうかユニの家は畑をやっているのか。

「あれ、冒険者になるのと港町への出荷はどうかかわってくるんだ?」
「ふっふっふ。いいところに気がつきましたね天使様。どの職業もですが資格というものが必要なんです。父さんも野菜を店に出荷するための許可をいただいているので仕事としてなりたっているのですよ。そしてそれぞれの資格を手に入れるためにはそれに適したギルドでカードの発行がいります」
「なるほどね。そのギルドが港町にあるってことなのか」
「はい、流石天使様です! 理解が早くて助かります」

 助かっているから文句はないんだけど、ユニって子供のわりに色んな事をよく知っている。こんな小さな村に住んでいるのにな。そんな疑問が浮かんだがユニの次の言葉で打ち消された。

「天使様ならどの資格もより取り見取りですね!」

 …ちょっと待て。冒険者を進めておいてこの言い方。本当の天使様なら当たり前だろうと言わんばかりじゃないか? もしかして俺が本当は天使様じゃないと気がついていて試しているのか?

「どうかされましたか?」
「いや…」
「あっ いけない! 村の案内が終わったら母さんの手伝いをしないといけないんでしたっ 天使様は自由にしててくださいね~」
「あ、おいっ」

 ユニは言いたいことだけ言うと家へと走っていってしまった。自由にっていうがこんなところで放置されても何もすることがないんだが…? 村の中店もないし遊ぶところもない。まああっても金もないんだがね。仕方がないので村の端っこに行って召喚魔法の検証でもするしかないか。

「そうだな~」

 まずはずっと立ったままなのはあれなので座るための椅子でもだそうか。たしか店内に客席があったからそれでいいだろう。

「ドンナー!」

 保管庫から魔法書を取り出してその上に手を添える。そして魔法を使用するための言葉をつぶやくと前回と同じようにいろんな光景が頭の中に浮かんできた。客席部分にある椅子を思い浮かべると手元が光り出しそれは目の前へと現れた。

「おー出てきた」

 呼び出したのは客席にある椅子の一つでソファータイプのもの。これだと座ることもできるし、サイズ的に足ははみ出してしまうが体を横に出来るのがいい。もう布だけの上で寝ないですむ!

「体調も問題ないみたいだな。よっと」

 早速ソファーに座り腰を落ち着ける。それほど弾力があるわけではないがこれから床で寝ないでいいと思うだけでにやけてしまうな。ぱたりとソファーに寝転び空を見上げる。これだけを見ているとここが異世界だなんて忘れてしまいそうなくらい見知った昼間の空だな。

「さて、もう少し試しておこうかな。例えば俺が呼び出せる限界がどこまでか知っておく必要があると思うんだ」

 誰もいないのに一人でしゃべるのはちょっとむなしい気持ちになったが、気を取り直し俺は体を起こして再び召喚魔法を使用した。
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