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調理
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西にある港に向かって馬車で移動した俺たちは大体昼すぎくらいに目的地に着いた。太陽が天辺よりやや西に傾いていたので合っていると思う。この世界の時間の見方が一緒なら、だけどな。
「私は野菜を届けた後いつもの宿に宿泊の手続きをしてくるけど、2人はどうする?」
「はい! 集会へ天使様を連れて参加してきますっ」
「あ、いや俺は…っ」
「さあ行きましょう!」
俺の意見はスルーかよ! 強引にユニは俺の腕を引きどこかへと走り出す。無理に逆らうとユニを転ばせてしまうかもしれないしので俺は引かれるまま走ってついていく。まあついでに町の中を案内してもらえばいいかとという思いもあるからな。だけどその前に…
「なあユニ」
「なんでしょう?」
「腹空かないか?」
「…空いていると言えば空いていますが」
「じゃあ集会に参加する前になんか食べようよ」
ピタリと足を止めユニは服の襟元から手を突っ込み何かをまさぐっている。少しすると中から首に下げられた袋を取り出しその中身を確認していた。
「串焼き1本くらいしか買えないので無理ですね」
「ん? もしかして昼って何も食べないのか?」
親が一緒に来ていて子供に食事のためのお金を渡していないって言うのはそう言うことだろうと聞いてみる。そういえば昨日も昼に声はかけてもらえないまま俺も放置されてたな…いや、貰えると思うのがいけないのかもしれないんだけども。
「あー…そうですね裕福な家じゃなければ1日2食だと思いますよ」
「ふむ…よし! ユニ、邪魔にならない広い場所ってないか?」
「港なら結構広いのでそこでいいですか?」
「港か、案内してくれ」
若干ユニは首を傾げていたが再び俺の手を取り歩き出した。
だんだんと港に近づくにつれ潮の香りがしだす。やっぱり海というのはどんな世界でも同じにおいがするんだな~と思った。
「このあたりでどうですか?」
港は船が2艘停泊している。その周りでは人がせわしなく動き回っていることから貨物船か漁船といったところだろうか? それと別に店もいくつか出ているみたいで思ったよりも港は人でにぎわっていた。
「そうだね。こっちの隅の方なら邪魔にならないかも」
賑わっているのは船がある周辺だけなので、広い港は人がいなく開いている場所もある。中々いい選択だと思う。ここに来る途中広場らしき場所も抜けてきたが店と人が多くて俺が目的とする広さが確保できそうにもなかったからな。
俺は早速保管庫からまずはソファーを取り出しユニと座る。ユニはソファーの柔らかさに目をキラキラとさせこれから何が起こるのかと俺に期待のまなざしを送っていた。
「ドンナー」
召喚魔法を使用した俺が取り出したのはこれだ! 俺の手の上に載っているどんぶりにユニの視線が釘付けになる。
「天使様これはなんですか?」
「かつ丼だっ」
「いえ…名前じゃなくてこれをどうするんです?」
ん? 食べ物を出したら食べる以外に何があるというんだ?? あれ…だけど何か違和感が。この丼温かくないぞ!
「さ…サンプルじゃないか!!」
顔を近づけてよく見ると湯気もないどころか匂いもしていないことに気がついた。冷たくて硬い。
「???」
くそう…よくわかっていないユニの視線が痛い。もう一度召喚の時に見えている光景を思い出してみる。厨房、客席、店舗正面、倉庫、休憩室…あ! よく見たら材料や道具は色々あったが完成した料理は出てきていなかったじゃないか。つまり…材料あるんだから自分で作れよということだ。
「あー…今のは無しで」
かつ丼のサンプルを保管庫に放り込み、気を取り直して召喚しなおすことにした。
さて、材料はある。そして今ここで作れるものはなんだ? 道具は出せる。だが調理は全部やらなければならない。となると出汁も取るところからになるわけで…今からそれは無理だろう。ご飯も炊かないとない。簡単に作れて今ある材料で出来るもの…
「これしかないか」
俺は調理をするためにテーブルをだし、コンロを呼び出した。ガスを供給するはずのホースがなぜかないがつまみをひねると問題なく火が付いた。どうなっているのかわからないが難しいことは考えないようにしよう。その上にフライパンをだしさらに油を…げっ 一斗缶の状態で出てきてビビる。ふたを開け必要量をフライパンに出したら邪魔なので保管庫にしまった。そして次に呼び出したのはのはこれだっ
「たまごですか?」
「うん」
どうやら卵は異世界も同じらしい。まああれだ目玉焼きを焼くだけ。卵焼きはぐちゃぐちゃになるような気がするからな! スクランブルだと言い張れば…いややめておこう。卵を4つほど割り入れ蒸すために水を…水? ちょっと待てよ…さっき油でさえ一斗缶で出てきた。水となるとどうなる?
「焦げちゃいますっ 天使様!!」
「あ!」
火を下げフライ返しを取り出し切り分けてからひっくり返すことにした。うんもう初めからこうしていればよかった。水のことは後でちゃんと検証しておこう。いきなりは怖すぎる案件だった。
「私は野菜を届けた後いつもの宿に宿泊の手続きをしてくるけど、2人はどうする?」
「はい! 集会へ天使様を連れて参加してきますっ」
「あ、いや俺は…っ」
「さあ行きましょう!」
俺の意見はスルーかよ! 強引にユニは俺の腕を引きどこかへと走り出す。無理に逆らうとユニを転ばせてしまうかもしれないしので俺は引かれるまま走ってついていく。まあついでに町の中を案内してもらえばいいかとという思いもあるからな。だけどその前に…
「なあユニ」
「なんでしょう?」
「腹空かないか?」
「…空いていると言えば空いていますが」
「じゃあ集会に参加する前になんか食べようよ」
ピタリと足を止めユニは服の襟元から手を突っ込み何かをまさぐっている。少しすると中から首に下げられた袋を取り出しその中身を確認していた。
「串焼き1本くらいしか買えないので無理ですね」
「ん? もしかして昼って何も食べないのか?」
親が一緒に来ていて子供に食事のためのお金を渡していないって言うのはそう言うことだろうと聞いてみる。そういえば昨日も昼に声はかけてもらえないまま俺も放置されてたな…いや、貰えると思うのがいけないのかもしれないんだけども。
「あー…そうですね裕福な家じゃなければ1日2食だと思いますよ」
「ふむ…よし! ユニ、邪魔にならない広い場所ってないか?」
「港なら結構広いのでそこでいいですか?」
「港か、案内してくれ」
若干ユニは首を傾げていたが再び俺の手を取り歩き出した。
だんだんと港に近づくにつれ潮の香りがしだす。やっぱり海というのはどんな世界でも同じにおいがするんだな~と思った。
「このあたりでどうですか?」
港は船が2艘停泊している。その周りでは人がせわしなく動き回っていることから貨物船か漁船といったところだろうか? それと別に店もいくつか出ているみたいで思ったよりも港は人でにぎわっていた。
「そうだね。こっちの隅の方なら邪魔にならないかも」
賑わっているのは船がある周辺だけなので、広い港は人がいなく開いている場所もある。中々いい選択だと思う。ここに来る途中広場らしき場所も抜けてきたが店と人が多くて俺が目的とする広さが確保できそうにもなかったからな。
俺は早速保管庫からまずはソファーを取り出しユニと座る。ユニはソファーの柔らかさに目をキラキラとさせこれから何が起こるのかと俺に期待のまなざしを送っていた。
「ドンナー」
召喚魔法を使用した俺が取り出したのはこれだ! 俺の手の上に載っているどんぶりにユニの視線が釘付けになる。
「天使様これはなんですか?」
「かつ丼だっ」
「いえ…名前じゃなくてこれをどうするんです?」
ん? 食べ物を出したら食べる以外に何があるというんだ?? あれ…だけど何か違和感が。この丼温かくないぞ!
「さ…サンプルじゃないか!!」
顔を近づけてよく見ると湯気もないどころか匂いもしていないことに気がついた。冷たくて硬い。
「???」
くそう…よくわかっていないユニの視線が痛い。もう一度召喚の時に見えている光景を思い出してみる。厨房、客席、店舗正面、倉庫、休憩室…あ! よく見たら材料や道具は色々あったが完成した料理は出てきていなかったじゃないか。つまり…材料あるんだから自分で作れよということだ。
「あー…今のは無しで」
かつ丼のサンプルを保管庫に放り込み、気を取り直して召喚しなおすことにした。
さて、材料はある。そして今ここで作れるものはなんだ? 道具は出せる。だが調理は全部やらなければならない。となると出汁も取るところからになるわけで…今からそれは無理だろう。ご飯も炊かないとない。簡単に作れて今ある材料で出来るもの…
「これしかないか」
俺は調理をするためにテーブルをだし、コンロを呼び出した。ガスを供給するはずのホースがなぜかないがつまみをひねると問題なく火が付いた。どうなっているのかわからないが難しいことは考えないようにしよう。その上にフライパンをだしさらに油を…げっ 一斗缶の状態で出てきてビビる。ふたを開け必要量をフライパンに出したら邪魔なので保管庫にしまった。そして次に呼び出したのはのはこれだっ
「たまごですか?」
「うん」
どうやら卵は異世界も同じらしい。まああれだ目玉焼きを焼くだけ。卵焼きはぐちゃぐちゃになるような気がするからな! スクランブルだと言い張れば…いややめておこう。卵を4つほど割り入れ蒸すために水を…水? ちょっと待てよ…さっき油でさえ一斗缶で出てきた。水となるとどうなる?
「焦げちゃいますっ 天使様!!」
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