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10話

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 日が上り人が活動し始めた頃、1階から子供が走り回る音がしたがエルザの目は開かず軽く寝返りを打つ。階段をゆっくりと登る音がしエルザの意識が浮上した。体を起こし伸びを軽くすると扉が開いた。
 蒼白したベアトリスの顔を見たエルザはおはようと挨拶しつつ寝坊したと言うとベアトリスは安堵した表情をした後、ツンとした態度をしつつ挨拶を返した。

 2人は一階に降りて着替えをし朝食の準備をとった。
 食器を片付けながらエルザはベアトリスに話しかけた。

「今日は仕事がお休みだから、ベアトリスの部屋作ろうか?その後買い物に…」

 そこまで話すとベアトリスは驚いて「私に部屋をくれるの!!?」っと言ってなんとも言えない顔をした。

「えっと、要らない?」

「い、頂けるのなら欲しいです。。。」

 俯きながら服をギュッと握って言うので、エルザは嬉しいのか嫌なのか分からず食器を片すのをやめベアトリスに視線を合わせ手をとった。

「ベアトリス?私は別に怒らないしあなたを嫌ったりしてないから、ね?それから普通に話してくれていいのよ?別に敬語なんていらないわ。驚いた時やワクワクした時みたいに話すように話してくれていいのよ?ベアトリスは私といるの嫌?」

 そう聞くとベアトリスは顔をあげエルザの目を見た。

「嫌じゃ無い!嫌じゃ無いけど……何で、何でこんな私にそこまでしてくれるの?家族じゃ無いじゃん!赤の他人じゃん!!!何で?どうせそのうち嫌になって私を追い出すんでしょ!!?そんなに…そんなに…優しくしないでよ」

 最後は消えるように呟きベアトリスは泣き始めた。エルザはベアトリスを抱きしめた。

「…家族ね…家族じゃなければ誰かに優しくしてはいけないの?それにベアトリスと過ごした時間はまだ短いけど、赤の他人じゃないでしょ?だって一緒に朝食べてお昼食べて夜食べて、昨日1日一緒に過ごしたのですから。ベアトリスと過ごす時間はまだ短いけどでもとても楽しいしベアトリスのことがとても気になるの。ベアトリスが嬉しそうにしてると私も嬉しいの、私と一緒に暮らさない?」

「た、楽しくなくなったら捨てるんでしょ!!?」

「捨てないわ。何故捨てなければならないの?ベアトリスと一緒にいたいわ?ダメかしら?」

 ベアトリスはエルザの腕の中で頭を振る。

「…ありがとう。さ、涙を拭いて?今日はやることがいっぱいよ?」

 エルザは泣き腫らしたベアトリスの顔を覗き込み涙を拭い笑いかけ「ね?」っと言うとベアトリスはもう一度エルザの胸に飛び込みしがみつき頷いた。エルザはそっと抱きしめてベアトリスの頭を撫でた。


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