手に入れたいのは君だけだ

こっそり待ち伏せ？

ガゼボで見かけた美少女にもう1度会いたい僕は
中庭にあるガゼボで本を読んでいた。


といっても、美少女が座ってたガゼボとちょうど対角線上にある場所
大きな木があって、なぜかこちらからはそのガゼボが見えるのに
反対側のガゼボからは僕の姿は見えない。

そんな場所。


どうしてそれを知っているのか？

というと…


以前、ここからシーヴェルに覗かれていたから。


この学園に通うのは3年間だけ。
今年2年生になったんだけど、１年のころは僕は1人でよくガゼボで本を読んでいた。
友達がいないわけじゃなかったけど、子爵家の3男だしそこまで社交に力を入れる必要性もないから。

剣術が得意でもないから、騎士団や冒険者になるつもりもなかったし
かといって、学者や商人にも向いてないと思っていたし…
出来れば、文官としてどこかに就職できれば助かるな～。。。

なんて、単純な理由から趣味と実益を兼ねた読書をしていたんだ。


中庭にあるガゼボなんて、人目につくところで？
って思われるかもしれないけど、ここは食堂への近道で使われるくらいで滅多に人に会うことがなかったんだ。

でも…
本当は僕が知らなかっただけだったんだよね(-_-;)

「姫が読書をしているから、中庭のガゼボには昼休みは絶対近寄ってはいけないよ。」

って、シーヴェルが人払いをしていたことを。
そうやって人払いしておいて、自分はこっそり僕の様子を1年間覗いていたらしい。

このことを知るきっかけになったのは、カーネリアンだ。


たまたまシーヴェルに用事があったカーネリアンは
僕の存在に気が付かないで、大きな声でシーヴェルを呼んだんだ。

「シーヴェル!!
いつも昼休みに姿が見えないと思ったら、ここにいたのか。
先生が呼んでるぞ!!
あと、ルッツも知らないか？」

「ルッツなら、あそこにいる。」

目線で示された先に、僕は座っていたらしい。
そのままの勢いでカーネリアンがやってきて

「ルッツ! 先生が呼んでる。
職員棟じゃなくて、指導棟の方。」

と声をかけてきた。
その時初めて、僕は見られていたことを知ったんだ。

カーネリアンの声が大きすぎて、僕のところにもしっかり声が聞こえてきていたから…。