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ブランシュの幼少期

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私は、10歳くらいまで本当に平民になるつもりだったのです。
冒険に出ることを夢見て、魔法を習ったり、護身術を習ったり…。
乗馬も習いました。

「お父様、私平民になって、冒険に出るのですわ。」
「婚約者など選ばないでくださいましね。平民は貴族と婚姻は結びませんでしょう?」

などなど…

そんな私のことを、生暖かい目で見ながら
お父様は様々な私のやりたいことを叶てくださいました。

しかし…

「ブランシュはどうして、平民になりたいんだ?」

などと聞いてくれることは1度としてありませんでしたけれど。



婚約者が決まりそうだと噂になったころ、1度家出をしたことがあるのです。
本当に平民になるつもりでしたので、このまま婚約者など決まってしまっては困ると考えたのです。
幸い、家から出ることは簡単でした。


私を逃がしてくれたのは、母方の祖父でした。

「将来は冒険者になるのです。だから貴族のままではいられません。」

とずっとぶれずに言い続けたものですから、面白がっていろいろと融通してくださっていたのです。
しかし、10歳の小娘1人生活していくことは、もちろん難しく…
なんとか3か月は逃げたのですが、それ以上は無理でした。

そうして、婚約者が決まってしまったのです。

第3王子ヴァーミリアンの婚約者として、忙しくなってしまった私は以前のように乗馬や武術、魔術を習うことが出来なくなってしまいました。

しかし、今から思い返すも
婚約を解消するのでしたら、最初から婚約者になどしないでほしかったですわ。
全く…

時間がもったいなさ過ぎです。
婚約期間がなければ、もっと早く冒険者として生活できたものを…。

かなり悔しいですわ。
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