上 下
15 / 38

ひたすら草むしり

しおりを挟む
ゴブリン退治の翌日は、弱い魔物の討伐依頼がなかったらしく、街周辺で採れる薬草の採取メインで1日が過ぎていく。

「これで、この周辺の薬草はすべて網羅した。 明日には次の街へ向かうぞ。」

バルトは、採取した薬草をキレイに並べた後、
「すべてを記憶しろ。」
と言ってくる。

採取することと、記憶することで薬草採取のスキルが上がるのですって。
それでも、やっと地面に這いつくばって草をひかなくて良くなった!!と思って私の頬も緩んでしまう。
いくら若いとはいえ、いい加減、1日中草をむしっていては腰に来る。

昨日は午前中だけで4種類、今日は1日かけて11種類の薬草を採取した。


これで、いくらくらいになったのかな?
そのうち、報酬についても聞いてみたい。
まだ、実際に自分で稼いだお金がどのくらいになったのか、バルトは教えてくれなかった。


「明日は何時に出発するの?」

「う~ん…… できれば6時には宿を出たいと思うが。」

「結構早いのね…。」

「それでも、次の街まで馬を飛ばして3日はかかったと思うぞ。」

「また野宿するの?」

「まぁ、そうなるな…。 今度の移動は少し危険が伴うから馬より、馬車にするか?
少し移動にかかる時間は長くなるが、安全に越したことはないかもしれないし…。」

「どんな場所を通るの?」

「端的に言えば、山を越えるから道も狭く、1本道ってところが多くてな。
そんな場所は夜盗とかが出やすくなるんだ。」

「でも…それなら馬車って余計に目立たない?」

「そうなんだが…… 昨日のゴブリン討伐の時も、ありえないレベルのパーティーになってただろ?
今回の移動も、爺さんがなにか手を回してそうなんだよなぁぁ…。」

「あぁぁ、そう……」

私は死んだ魚のような眼を向けて、頷いてしまった。

「君の爺さんは過保護だな。」

バルトのそんなつぶやきに、溜息しか出てこない。

「まぁ、経験積んでもう少しレベルが高くなれば爺さんの見張りなんかも振り切って、自分の力で冒険できるようになるさ。 それまでは、今は見習い期間とでも思って、しっかりレベルとスキルを磨いてくれ。」

まるで私を慰めるように、バルトは大きな手で私の頭をポンポンと撫でた。
なんだか、子ども扱いされているようで腹立たしい。

しかし… 15歳の私は成人も迎えていないし、子供であることは確かであった。
なので、心のなかで悪態をつく。

「くっそ!! 早く1人立ちしてやるんだから!!」と…。
しおりを挟む

処理中です...