208 / 209
第弍部ーⅤ:二人で歩く
205.日向 失敗と罰
「小さいダンゴムシは、こしびろ。大きいダンゴムシは、おか、」
「そうです!見てください、コシビロは目がまん丸で可愛いでしょう。この子はちょっと繊細で環境がいいところにしか生息できないので、離宮で見られるなんて驚きです!」
「まん丸、」
じにが見つけた小さいダンゴムシを見せたら、これはこしびろだんごむしだよ、ってあじろが教えた。
さっきまで怒ってたのに、青紫の目をキラキラさせて「凄い、凄い!」ってはしゃいでる。
やっぱりあじろはキラキラがいいね。
虫を見たら眼鏡の奥で青紫色の目を大きくして、お喋りが止まらなくなる。しおうやとやと話す時は王子の顔をするけど、僕の時は友達の顔。うんと楽しいって顔になって、たくさん教えたがるのが僕は大好き。
「離宮で、オカダンゴムシとコシビロダンゴムシの生態を研究してみるのもいいかもしれませんね!分布を調査したら、環境の違いがわかるかも知れません!」
あじろが頬を赤くして言うから、僕は「いいよ、」って言った。
そしたら、あじろは「じゃあ、休暇明けに麗(うらら)教授に相談してみましょう、」って嬉しそう。
でもちょっとモジモジして、吃りながら、恥ずかしがりもした。
「え、っと…、ほ、本音を言うと、ひ…ひー様も研究をしたら…学院でも一緒にいられる時間が長くなるかな…、ってちょっと欲張りました、」
「よくばり、」
「か、夏季休暇が明けたら、ひー様は学院生で、僕は研究生です。せ、生態学は一緒に受けると約束しましたけど…、他も一緒にやりたいな…って、」
「僕も研究したら、あじろと、学生ができる?」
「う、麗教授なら、ひー様の研究も手伝ってくれるかと…あ、えっと、でも、ひ、ひー様は勉強したいこともたくさんあると思うから、無理にとは言わないんですけど…で、出来たら嬉しくて、その、僕、えっと、」
手のひらでだんごむしを転がしながら、あじろは真っ赤。
いいね。
真っ赤なのに一生懸命なのは、僕があじろの一番だから。
あじろは、僕の一番があじろじゃないと悔しいし、僕がしおうやじにとばかり遊んだら寂しい。一緒に遊んでもあじろを見ないと嫉妬する。
あじろが怒ったはびっくりしたけど、友達はもっと一緒に遊ぶし二人でお出かけもする、って僕は分かった。
僕は、あじろをもっと大事にしないといけない。
だから、もう一回「いいよ、」って言う。
「い、いいんですか、」
「うん、僕もあじろと、研究がやりたい。僕はもっと、あじろと一緒にいる、」
そう言ったら、眼鏡の奥で青紫色の目はうんと細くなって、きらきら光った。綺麗。
泣きそうなのに嬉しそうなのは、泣きたいくらい嬉しいから?
僕があじろを大事にしたら、あじろはこんなに綺麗に笑う。
いいね。すごくいい。
あじろを大事にするは、友達の決まり。
あじろと僕がうんと幸せになる、いい決まり。僕は分かった。
分かったら、僕はうんとうんとふわふわになって、体がぴょんって跳ねた。
「あ、ジニ。どこに行ったかと思ったら、また亜白(あじろ)兄様とひなくんのとこに行ってたのか、」
お出かけはどこに行こうか、って話しながら森を出たら、裏庭の遊具のところにけまるとはりまがいた。
「ジニ、たんごむし、みっけた!」
「わ、見せないでいいよ!ケマル、苦手なんだってば、」
「けまるは、だんごむし、嫌い?」
じにと一緒に籠を見せたら、けまるは「ひゃー、」って悲鳴をあげて滑り台の梯子に逃げた。
じにが追いかけると、今度はブランコに逃げて「うわーー、」って言う。
しおうと同じだね。
しおうも最初は、僕がだんごむしを連れて行ったら「ひー、」って逃げたよ。跳び上がってとやの後ろに隠れたり、あずまに「どうにかしろ、」って泣きそうになって言うのが可愛かった。
でも僕がいっぱい見せたから、慣れたんだって。
今は、僕と一緒なら触れるし、観察もできる。
だから、けまるも慣れたらいいと思う。
僕がお世話したら、けまるもだんごむしが好きになるよ。
お世話はいいって、あじろも言った。
「わ、ひなくん。何で連れてくるの!」
「お兄さんだから、僕が教える。だいじょぶ、だんごむしは怖くない。見て、こしびろは、小さくて、目がまん丸。おかより、もっと可愛い、」
「分かんない、分かんない!何、こし?おか?どっちもいいって!」
僕がこしびろを連れて行ったら、けまるは「ぎゃー!」って跳んだ。しおうにも似てるけど、威嚇するときの猫みたい。不思議。
「だいじょぶ。慣れたら可愛い、」
「ケマル、たんごむし、かわいい、」
「わー!ジニまで真似しないで!やだ、やだ、」
わーわー言いながらけまるが逃げるから、じにと2人で追いかけた。
でも、けまるは足が速くて、僕とじにじゃ追いつかない。
「あじろ、あっち。あっちから、けまる、追いかけて、」
「え?え、あ、ひ、ひー様、稀丸(けまる)が嫌がってますから……、」
いたちを追いかけた時みたいに、あじろが反対から行ったらいいと思う。2人で挟んで両方から飛び込んだらいいよ。いたちは速くて無理だったけど、けまるならきっと捕まえられる。
でも、あじろは首をぶんぶん振った。
何で?
2人でお世話をやったら、あじろも寂しくない。
だから、いい考えだと思ったのに。
「何で、ケマルをいじめるのよ!」
あじろがやらないなら僕が頑張ろう、ってもう一度けまるを追いかけたら、急に大きな声がしてびっくりした。
見たら、はりまが目をつり上げて怒ってる。
「い、いじめ、ない、」
「嘘!ケマルが嫌がってるのに無理矢理追いかけたじゃない!」
「ち、違うもん。僕が、教えたら、けまるも、だんごむし、好きになる、」
「好きじゃないのを押しつけるのは、意地悪なのよ!嫌だって言うことはしちゃいけないんだから!」
「ち、違うもん!」
だって僕は、意地悪は悪いことだってちゃんと分かる。だから、しない。
でも、どうしよう。お腹がそわそわしてきた。
僕は前にもはりまに怒られた。じにのぶらんこの番を取ったのは、意地悪だって。
あの時、僕は順番を守らないが意地悪だって分からなかった。
もしかしたら、また間違ったかもしれない。
「は、ハリマ。ひなくんは、きっと分からなかっただけだから、そんなに怒らないで…、」
逃げたけまるが来て言うから、やっぱり僕が違ったみたい。
そう思ったら、急に汗が出てきて体がブルブル震える。
目が熱くなって涙が出そう。でも僕は泣き虫はいやだ。けまるもはりまも泣いたのを見たことがないのに、お兄さんの僕が泣くのはおかしい。だから、目に力を入れて我慢した。
そしたら、何でかはりまはもっと怒って顔が真っ赤。
「何よ!悪いのはひなくんなのに、何でひなくんが怒るのよ!」
「ち、違うよ、播磨!ひ、ひー様は播磨を睨んだんじゃなくて…、」
あじろが走ってきて僕の手を握る。
それでちょっと安心できて、口が動いた。
「…僕、分からない、かった、」
ごめんね、って言わないといけない。
でもどれだろう。お世話がダメだった?だんごむし?
好きじゃないを押し付けるは意地悪って、はりまは言った。でも、しおうはいいよって言ったよ。だんごむしは苦手だけど、僕が連れてくるのは嬉しいって。だから、いつでも連れておいでって。
「ひ、ひー様、大丈夫ですから!け、稀丸は怒ってませんよ!」
だから、怖がりにならないでいいって、あじろは手をぎゅってする。
本当かな、って見たら、けまるは眉を下げて頷いた。それから、あじろと反対の手を握る。
「あのね、ひなくん。ケマルはダンゴムシが苦手だから、見ると嫌な気分になるんだ。だから、ケマルには連れて来ないでほしい、分かる?」
「…僕、意地悪した?」
「ひなくんが意地悪したいんじゃないの、ケマルは分かるよ。母様がひなくんは分からないだけだって言ってたから、」
にこって笑ったのがしおうに似てて、安心する。
なのに、悲しかった。
「…僕、分からない、くて、間違えた。…ごめんなさい、」
しおうに似てる笑顔で、けまるが「うん、」って言ったら、僕の目はもう我慢できない。
嫌なのに泣き虫になって、あじろもけまるも困らせた。
「…僕、ぉり、ぇまるが、お兄さん、」
けまるは、はりまが生まれたときからずっとお兄さんだから、僕より先輩なんだ、だから仕方ないんだよ、ってけまるは言う。
僕の頭を撫でて「泣かないで、」って言ったのは、とやに似てた。僕が泣いた時、しおうはいっぱいちゅうをして甘やかすけど、とやはこんな風に優しく大丈夫だよって言う。とやもね、弟が生まれた時にお兄さんになったんだって。
でも、僕がけまるのお兄さんをやりたかった。
身長は同じでも僕のが年上だし、けまるより上手に虫取りができる。
だけど、ダメだった。
僕はまた違った。
それが悔しくて、僕はもうわんわん泣いた。
僕が泣いてる間、あじろもけまるもずっと手を握って、大丈夫だよって言う。はりまはまだ怖い顔をしてたけど、じにはトコトコ走ってきて、僕の足にぎゅってした。
僕がお兄さんなのにね。僕はちっともできないで、皆のが上手だった。
「仲直りの印に一緒に滑り台をやろうか、」
僕がたくさん泣いて、もう泣けなくなった頃、けまるは言う。
やっぱりお兄さんの顔。
「…仲直り、」
「うん。ケマルたちは、喧嘩をしたら仲直りの印に一緒に遊ぶ決まりなんだ。僕が嫌だって分かったから、ひなくんはもうしないでしょ?」
「…だんごむしは間違い。もうしない、」
「だから、仲直り。ハリマもいいよね?ひなくん、ちゃんと謝ってくれたよ、」
「………まあ、許してあげてもいいわよ、」
はりまの目はまだ吊り上がってたけど、はりまの方が遊びのお姉さんだから許してあげるんだって。
僕、ちっともお兄さんじゃないね。
それで、また悲しくなったけど、あじろが「行きましょう、」って僕を連れて行ったから、皆と一緒に滑り台をする。
最初はけまると。次にはりま。
じにとは喧嘩しなかったけど、じにもやりたいって言うから、じにとも滑った。
あじろは、「僕はいいです、」って顔が真っ赤。でも僕はあじろを大事にする決まりだから、今度は僕があじろの手を引いて一緒に滑った。
そしたら、僕はやっとふわふわが戻ってきて、「あはっ、」って声が出る。
「ひなくんは、亜白兄様と本当に仲がいいね、」
あじろと滑った後、もう一回けまると滑り台に登ったら、けまるが言った。
うん、だってあじろは、僕の一番の友達。
あじろがいると、僕は安心して、ふわふわがいっぱいになる。
「いいなあ。亜白兄様は帝国に留学に来てるんでしょ。学院にも一緒に通うの羨ましい、」
けまるたちは、こうきゅうで勉強をするから学院には行かないんだって。こうきゅうには、子どもはたくさんいるけど、腹違いの子とは仲良くしない。遊び相手は貴族から選ばれた子どもで、決まった時間にしか来ないんだって。
「あじろと僕は、うらやましい?」
「うん。ケマルは虫は苦手だけど、2人が虫取りしてるのは、楽しそうで羨ましいもん。亜白兄様があんなに笑ってるの初めて見たし、」
「あじろの一番は、僕だから、」
あじろは僕といたら、いっぱい笑うし、いっぱい喋るんだよ。しおうととやとも遊ぶけど、僕と遊ぶ時だけの特別。
そう言ったら、けまるは目をまん丸にして、「へー」とか「いいなあ、」って何回も言った。
けまるが言うたび、僕のお腹にふわふわが増えたよ。
悔しくいのも悲しいのもどっかに行って、僕はもう自慢したくて堪らなくなる。
「あじろは、ね!僕が一番!僕がいないと、寂しくて、嫉妬する!」
「わ、ひ、ひー様、何を言い出すんですか!」
「見て、けまる!あじろ真っ赤!あじろは、僕が大好きだから、恥ずかしい、のに、嬉しい!」
「わーーーーー!ひー様、やめて、やめて!」
「あはっ、」
けまると一緒に滑り台を降りたら、あじろに行って、顔を覗いた。
あじろは「僕のことはいいですから!」って真っ赤な顔を隠そうとしたけど、僕がいたらあじろは嬉しいって、もう知ってるよ。
しおうもね、僕が自慢したら恥ずかしがったけど、嬉しくてにやにやした。あじろもするかな。僕の大好きが伝わって、幸せがいっぱいになって、「きゃー、」って言うかな。
「あじろは、ね!僕に、一番喋る!毎日、雁書も書くから、しろとより、僕が一番!」
「へー、亜白兄様と雁書もやってるんだ、」
「うん!あじろは、離宮で見つけた虫を調べて、毎日教える。怖い夢で、起きたときは、雁書を書いたら、安心する!たまにね、母上に会いたくて、寂しいになったときも…、」
「わーーーーー!ひー様、本当にダメですから!」
あじろの周りをくるくる回りながら言ったら、あじろは「わー、」って言いながら僕を追いかけた。
すぐに捕まって、草の上に二人して転がる。僕はもう面白くて仕方なくて、声を上げて笑った。
そしたら、あじろは真っ赤な顔で「もう!」ってちょっと怒る。でもすぐに眉が下がって、困ったような嬉しいような不思議な顔になったね。
いいね。
あじろを自慢したら、あじろは色んな顔をする。
しおうが「困った日向だ、」って言う時に似てるから、困るけど幸せないい顔。
「もう!ひなくん、今度はハリマと滑る番でしょ!」
草の上でころころ転がりながら、あじろの顔を見て笑ってたら、はりまに捕まって怒られた。
そうだ、まだ仲直りの途中だから、滑り台をするんだった。
思い出したから、はりまに引っ張られて滑り台に行ったんだけど、僕はやっぱり、あじろを自慢したい。
だって、あじろは僕の一番だから。
「僕ね、あじろと水槽をやるよ!」
「知ってるわよ、タコを飼うんでしょ。水槽を注文したんだって、自慢してたじゃない、」
「なまこと、魚も!僕はさけが良かった、けど、さけに水槽は、小さいんだって。だから、きんぎょとめだか!」
「それも聞いたってば!」
梯子を登りながら自慢したら、先に登ったはりまは、滑り台の上でぷんぷん怒る。でも僕があずまにお尻を押してもらいながら登ったら、上から手を伸ばして引っ張ってくれたよ。
はりまはしょっちゅう怒るし、怒ると怖いけど、お姉さんが上手って僕は分かる。
だから、僕はもっと自慢がしたくなった。
「一緒におでかけもするって、約束した、」
「何よ、それ、」
お姉さんの顔で聞くかな、って思ってたから、急にはりまの声が怖くなって、あれ、って思った。
急に目が吊り上がって、どんどんいらいらしてく。何で。
「ぼ、僕が、しおうとでーとが、あじろは、寂しい、って、」
「ハリマとは行かないって、言ったじゃない、」
「で、でーとは、好き同士の決まり、だから…、」
「亜白兄様とは行くんでしょ、」
「あ、あじろは、友達。い、一番の友達、だから、」
「何よ、それ!」
あ、って声がした。
それが僕のか、あじろか、けまるか、じにかは分からない。はりまだったかな。
でも、僕も、あ、って思った。
滑り台の上では騒がない決まり。
危ないから静かに順番に並んで滑るんだよ、ってそらが言ったね。
だけど、僕は自慢がしたくて守らなかった。
だから、罰が当たったかもしれない。
はりまの顔が真っ赤になったと思ったら、僕はいつの間にか空を飛んでた。
でも、僕は鳥じゃない。
空を飛べないし、ブランコみたいに戻っても行かない。
落ちて、地面にぐしゃってなるだけ。
失敗した。
また間違った。
間違ったら、罰がある。
信頼をなくして、誰もいなくなる。
あーあ、っておぼろが笑った。
「そうです!見てください、コシビロは目がまん丸で可愛いでしょう。この子はちょっと繊細で環境がいいところにしか生息できないので、離宮で見られるなんて驚きです!」
「まん丸、」
じにが見つけた小さいダンゴムシを見せたら、これはこしびろだんごむしだよ、ってあじろが教えた。
さっきまで怒ってたのに、青紫の目をキラキラさせて「凄い、凄い!」ってはしゃいでる。
やっぱりあじろはキラキラがいいね。
虫を見たら眼鏡の奥で青紫色の目を大きくして、お喋りが止まらなくなる。しおうやとやと話す時は王子の顔をするけど、僕の時は友達の顔。うんと楽しいって顔になって、たくさん教えたがるのが僕は大好き。
「離宮で、オカダンゴムシとコシビロダンゴムシの生態を研究してみるのもいいかもしれませんね!分布を調査したら、環境の違いがわかるかも知れません!」
あじろが頬を赤くして言うから、僕は「いいよ、」って言った。
そしたら、あじろは「じゃあ、休暇明けに麗(うらら)教授に相談してみましょう、」って嬉しそう。
でもちょっとモジモジして、吃りながら、恥ずかしがりもした。
「え、っと…、ほ、本音を言うと、ひ…ひー様も研究をしたら…学院でも一緒にいられる時間が長くなるかな…、ってちょっと欲張りました、」
「よくばり、」
「か、夏季休暇が明けたら、ひー様は学院生で、僕は研究生です。せ、生態学は一緒に受けると約束しましたけど…、他も一緒にやりたいな…って、」
「僕も研究したら、あじろと、学生ができる?」
「う、麗教授なら、ひー様の研究も手伝ってくれるかと…あ、えっと、でも、ひ、ひー様は勉強したいこともたくさんあると思うから、無理にとは言わないんですけど…で、出来たら嬉しくて、その、僕、えっと、」
手のひらでだんごむしを転がしながら、あじろは真っ赤。
いいね。
真っ赤なのに一生懸命なのは、僕があじろの一番だから。
あじろは、僕の一番があじろじゃないと悔しいし、僕がしおうやじにとばかり遊んだら寂しい。一緒に遊んでもあじろを見ないと嫉妬する。
あじろが怒ったはびっくりしたけど、友達はもっと一緒に遊ぶし二人でお出かけもする、って僕は分かった。
僕は、あじろをもっと大事にしないといけない。
だから、もう一回「いいよ、」って言う。
「い、いいんですか、」
「うん、僕もあじろと、研究がやりたい。僕はもっと、あじろと一緒にいる、」
そう言ったら、眼鏡の奥で青紫色の目はうんと細くなって、きらきら光った。綺麗。
泣きそうなのに嬉しそうなのは、泣きたいくらい嬉しいから?
僕があじろを大事にしたら、あじろはこんなに綺麗に笑う。
いいね。すごくいい。
あじろを大事にするは、友達の決まり。
あじろと僕がうんと幸せになる、いい決まり。僕は分かった。
分かったら、僕はうんとうんとふわふわになって、体がぴょんって跳ねた。
「あ、ジニ。どこに行ったかと思ったら、また亜白(あじろ)兄様とひなくんのとこに行ってたのか、」
お出かけはどこに行こうか、って話しながら森を出たら、裏庭の遊具のところにけまるとはりまがいた。
「ジニ、たんごむし、みっけた!」
「わ、見せないでいいよ!ケマル、苦手なんだってば、」
「けまるは、だんごむし、嫌い?」
じにと一緒に籠を見せたら、けまるは「ひゃー、」って悲鳴をあげて滑り台の梯子に逃げた。
じにが追いかけると、今度はブランコに逃げて「うわーー、」って言う。
しおうと同じだね。
しおうも最初は、僕がだんごむしを連れて行ったら「ひー、」って逃げたよ。跳び上がってとやの後ろに隠れたり、あずまに「どうにかしろ、」って泣きそうになって言うのが可愛かった。
でも僕がいっぱい見せたから、慣れたんだって。
今は、僕と一緒なら触れるし、観察もできる。
だから、けまるも慣れたらいいと思う。
僕がお世話したら、けまるもだんごむしが好きになるよ。
お世話はいいって、あじろも言った。
「わ、ひなくん。何で連れてくるの!」
「お兄さんだから、僕が教える。だいじょぶ、だんごむしは怖くない。見て、こしびろは、小さくて、目がまん丸。おかより、もっと可愛い、」
「分かんない、分かんない!何、こし?おか?どっちもいいって!」
僕がこしびろを連れて行ったら、けまるは「ぎゃー!」って跳んだ。しおうにも似てるけど、威嚇するときの猫みたい。不思議。
「だいじょぶ。慣れたら可愛い、」
「ケマル、たんごむし、かわいい、」
「わー!ジニまで真似しないで!やだ、やだ、」
わーわー言いながらけまるが逃げるから、じにと2人で追いかけた。
でも、けまるは足が速くて、僕とじにじゃ追いつかない。
「あじろ、あっち。あっちから、けまる、追いかけて、」
「え?え、あ、ひ、ひー様、稀丸(けまる)が嫌がってますから……、」
いたちを追いかけた時みたいに、あじろが反対から行ったらいいと思う。2人で挟んで両方から飛び込んだらいいよ。いたちは速くて無理だったけど、けまるならきっと捕まえられる。
でも、あじろは首をぶんぶん振った。
何で?
2人でお世話をやったら、あじろも寂しくない。
だから、いい考えだと思ったのに。
「何で、ケマルをいじめるのよ!」
あじろがやらないなら僕が頑張ろう、ってもう一度けまるを追いかけたら、急に大きな声がしてびっくりした。
見たら、はりまが目をつり上げて怒ってる。
「い、いじめ、ない、」
「嘘!ケマルが嫌がってるのに無理矢理追いかけたじゃない!」
「ち、違うもん。僕が、教えたら、けまるも、だんごむし、好きになる、」
「好きじゃないのを押しつけるのは、意地悪なのよ!嫌だって言うことはしちゃいけないんだから!」
「ち、違うもん!」
だって僕は、意地悪は悪いことだってちゃんと分かる。だから、しない。
でも、どうしよう。お腹がそわそわしてきた。
僕は前にもはりまに怒られた。じにのぶらんこの番を取ったのは、意地悪だって。
あの時、僕は順番を守らないが意地悪だって分からなかった。
もしかしたら、また間違ったかもしれない。
「は、ハリマ。ひなくんは、きっと分からなかっただけだから、そんなに怒らないで…、」
逃げたけまるが来て言うから、やっぱり僕が違ったみたい。
そう思ったら、急に汗が出てきて体がブルブル震える。
目が熱くなって涙が出そう。でも僕は泣き虫はいやだ。けまるもはりまも泣いたのを見たことがないのに、お兄さんの僕が泣くのはおかしい。だから、目に力を入れて我慢した。
そしたら、何でかはりまはもっと怒って顔が真っ赤。
「何よ!悪いのはひなくんなのに、何でひなくんが怒るのよ!」
「ち、違うよ、播磨!ひ、ひー様は播磨を睨んだんじゃなくて…、」
あじろが走ってきて僕の手を握る。
それでちょっと安心できて、口が動いた。
「…僕、分からない、かった、」
ごめんね、って言わないといけない。
でもどれだろう。お世話がダメだった?だんごむし?
好きじゃないを押し付けるは意地悪って、はりまは言った。でも、しおうはいいよって言ったよ。だんごむしは苦手だけど、僕が連れてくるのは嬉しいって。だから、いつでも連れておいでって。
「ひ、ひー様、大丈夫ですから!け、稀丸は怒ってませんよ!」
だから、怖がりにならないでいいって、あじろは手をぎゅってする。
本当かな、って見たら、けまるは眉を下げて頷いた。それから、あじろと反対の手を握る。
「あのね、ひなくん。ケマルはダンゴムシが苦手だから、見ると嫌な気分になるんだ。だから、ケマルには連れて来ないでほしい、分かる?」
「…僕、意地悪した?」
「ひなくんが意地悪したいんじゃないの、ケマルは分かるよ。母様がひなくんは分からないだけだって言ってたから、」
にこって笑ったのがしおうに似てて、安心する。
なのに、悲しかった。
「…僕、分からない、くて、間違えた。…ごめんなさい、」
しおうに似てる笑顔で、けまるが「うん、」って言ったら、僕の目はもう我慢できない。
嫌なのに泣き虫になって、あじろもけまるも困らせた。
「…僕、ぉり、ぇまるが、お兄さん、」
けまるは、はりまが生まれたときからずっとお兄さんだから、僕より先輩なんだ、だから仕方ないんだよ、ってけまるは言う。
僕の頭を撫でて「泣かないで、」って言ったのは、とやに似てた。僕が泣いた時、しおうはいっぱいちゅうをして甘やかすけど、とやはこんな風に優しく大丈夫だよって言う。とやもね、弟が生まれた時にお兄さんになったんだって。
でも、僕がけまるのお兄さんをやりたかった。
身長は同じでも僕のが年上だし、けまるより上手に虫取りができる。
だけど、ダメだった。
僕はまた違った。
それが悔しくて、僕はもうわんわん泣いた。
僕が泣いてる間、あじろもけまるもずっと手を握って、大丈夫だよって言う。はりまはまだ怖い顔をしてたけど、じにはトコトコ走ってきて、僕の足にぎゅってした。
僕がお兄さんなのにね。僕はちっともできないで、皆のが上手だった。
「仲直りの印に一緒に滑り台をやろうか、」
僕がたくさん泣いて、もう泣けなくなった頃、けまるは言う。
やっぱりお兄さんの顔。
「…仲直り、」
「うん。ケマルたちは、喧嘩をしたら仲直りの印に一緒に遊ぶ決まりなんだ。僕が嫌だって分かったから、ひなくんはもうしないでしょ?」
「…だんごむしは間違い。もうしない、」
「だから、仲直り。ハリマもいいよね?ひなくん、ちゃんと謝ってくれたよ、」
「………まあ、許してあげてもいいわよ、」
はりまの目はまだ吊り上がってたけど、はりまの方が遊びのお姉さんだから許してあげるんだって。
僕、ちっともお兄さんじゃないね。
それで、また悲しくなったけど、あじろが「行きましょう、」って僕を連れて行ったから、皆と一緒に滑り台をする。
最初はけまると。次にはりま。
じにとは喧嘩しなかったけど、じにもやりたいって言うから、じにとも滑った。
あじろは、「僕はいいです、」って顔が真っ赤。でも僕はあじろを大事にする決まりだから、今度は僕があじろの手を引いて一緒に滑った。
そしたら、僕はやっとふわふわが戻ってきて、「あはっ、」って声が出る。
「ひなくんは、亜白兄様と本当に仲がいいね、」
あじろと滑った後、もう一回けまると滑り台に登ったら、けまるが言った。
うん、だってあじろは、僕の一番の友達。
あじろがいると、僕は安心して、ふわふわがいっぱいになる。
「いいなあ。亜白兄様は帝国に留学に来てるんでしょ。学院にも一緒に通うの羨ましい、」
けまるたちは、こうきゅうで勉強をするから学院には行かないんだって。こうきゅうには、子どもはたくさんいるけど、腹違いの子とは仲良くしない。遊び相手は貴族から選ばれた子どもで、決まった時間にしか来ないんだって。
「あじろと僕は、うらやましい?」
「うん。ケマルは虫は苦手だけど、2人が虫取りしてるのは、楽しそうで羨ましいもん。亜白兄様があんなに笑ってるの初めて見たし、」
「あじろの一番は、僕だから、」
あじろは僕といたら、いっぱい笑うし、いっぱい喋るんだよ。しおうととやとも遊ぶけど、僕と遊ぶ時だけの特別。
そう言ったら、けまるは目をまん丸にして、「へー」とか「いいなあ、」って何回も言った。
けまるが言うたび、僕のお腹にふわふわが増えたよ。
悔しくいのも悲しいのもどっかに行って、僕はもう自慢したくて堪らなくなる。
「あじろは、ね!僕が一番!僕がいないと、寂しくて、嫉妬する!」
「わ、ひ、ひー様、何を言い出すんですか!」
「見て、けまる!あじろ真っ赤!あじろは、僕が大好きだから、恥ずかしい、のに、嬉しい!」
「わーーーーー!ひー様、やめて、やめて!」
「あはっ、」
けまると一緒に滑り台を降りたら、あじろに行って、顔を覗いた。
あじろは「僕のことはいいですから!」って真っ赤な顔を隠そうとしたけど、僕がいたらあじろは嬉しいって、もう知ってるよ。
しおうもね、僕が自慢したら恥ずかしがったけど、嬉しくてにやにやした。あじろもするかな。僕の大好きが伝わって、幸せがいっぱいになって、「きゃー、」って言うかな。
「あじろは、ね!僕に、一番喋る!毎日、雁書も書くから、しろとより、僕が一番!」
「へー、亜白兄様と雁書もやってるんだ、」
「うん!あじろは、離宮で見つけた虫を調べて、毎日教える。怖い夢で、起きたときは、雁書を書いたら、安心する!たまにね、母上に会いたくて、寂しいになったときも…、」
「わーーーーー!ひー様、本当にダメですから!」
あじろの周りをくるくる回りながら言ったら、あじろは「わー、」って言いながら僕を追いかけた。
すぐに捕まって、草の上に二人して転がる。僕はもう面白くて仕方なくて、声を上げて笑った。
そしたら、あじろは真っ赤な顔で「もう!」ってちょっと怒る。でもすぐに眉が下がって、困ったような嬉しいような不思議な顔になったね。
いいね。
あじろを自慢したら、あじろは色んな顔をする。
しおうが「困った日向だ、」って言う時に似てるから、困るけど幸せないい顔。
「もう!ひなくん、今度はハリマと滑る番でしょ!」
草の上でころころ転がりながら、あじろの顔を見て笑ってたら、はりまに捕まって怒られた。
そうだ、まだ仲直りの途中だから、滑り台をするんだった。
思い出したから、はりまに引っ張られて滑り台に行ったんだけど、僕はやっぱり、あじろを自慢したい。
だって、あじろは僕の一番だから。
「僕ね、あじろと水槽をやるよ!」
「知ってるわよ、タコを飼うんでしょ。水槽を注文したんだって、自慢してたじゃない、」
「なまこと、魚も!僕はさけが良かった、けど、さけに水槽は、小さいんだって。だから、きんぎょとめだか!」
「それも聞いたってば!」
梯子を登りながら自慢したら、先に登ったはりまは、滑り台の上でぷんぷん怒る。でも僕があずまにお尻を押してもらいながら登ったら、上から手を伸ばして引っ張ってくれたよ。
はりまはしょっちゅう怒るし、怒ると怖いけど、お姉さんが上手って僕は分かる。
だから、僕はもっと自慢がしたくなった。
「一緒におでかけもするって、約束した、」
「何よ、それ、」
お姉さんの顔で聞くかな、って思ってたから、急にはりまの声が怖くなって、あれ、って思った。
急に目が吊り上がって、どんどんいらいらしてく。何で。
「ぼ、僕が、しおうとでーとが、あじろは、寂しい、って、」
「ハリマとは行かないって、言ったじゃない、」
「で、でーとは、好き同士の決まり、だから…、」
「亜白兄様とは行くんでしょ、」
「あ、あじろは、友達。い、一番の友達、だから、」
「何よ、それ!」
あ、って声がした。
それが僕のか、あじろか、けまるか、じにかは分からない。はりまだったかな。
でも、僕も、あ、って思った。
滑り台の上では騒がない決まり。
危ないから静かに順番に並んで滑るんだよ、ってそらが言ったね。
だけど、僕は自慢がしたくて守らなかった。
だから、罰が当たったかもしれない。
はりまの顔が真っ赤になったと思ったら、僕はいつの間にか空を飛んでた。
でも、僕は鳥じゃない。
空を飛べないし、ブランコみたいに戻っても行かない。
落ちて、地面にぐしゃってなるだけ。
失敗した。
また間違った。
間違ったら、罰がある。
信頼をなくして、誰もいなくなる。
あーあ、っておぼろが笑った。
あなたにおすすめの小説
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
【完結】国に売られた僕は変態皇帝に育てられ寵妃になった
cyan
BL
陛下が町娘に手を出して生まれたのが僕。後宮で虐げられて生活していた僕は、とうとう他国に売られることになった。
一途なシオンと、皇帝のお話。
※どんどん変態度が増すので苦手な方はお気を付けください。
借金のカタで二十歳上の実業家に嫁いだΩ。鳥かごで一年過ごすだけの契約だったのに、氷の帝王と呼ばれた彼に激しく愛され、唯一無二の番になる
水凪しおん
BL
名家の次男として生まれたΩ(オメガ)の青年、藍沢伊織。彼はある日突然、家の負債の肩代わりとして、二十歳も年上のα(アルファ)である実業家、久遠征四郎の屋敷へと送られる。事実上の政略結婚。しかし伊織を待ち受けていたのは、愛のない契約だった。
「一年間、俺の『鳥』としてこの屋敷で静かに暮らせ。そうすれば君の家族は救おう」
過去に愛する番を亡くし心を凍てつかせた「氷の帝王」こと征四郎。伊織はただ美しい置物として鳥かごの中で生きることを強いられる。しかしその瞳の奥に宿る深い孤独に触れるうち、伊織の心には反発とは違う感情が芽生え始める。
ひたむきな優しさは、氷の心を溶かす陽だまりとなるか。
孤独なαと健気なΩが、偽りの契約から真実の愛を見出すまでの、切なくも美しいシンデレラストーリー。
侯爵令息セドリックの憂鬱な日
めちゅう
BL
第二王子の婚約者候補侯爵令息セドリック・グランツはある日王子の婚約者が決定した事を聞いてしまう。しかし先に王子からお呼びがかかったのはもう一人の候補だった。候補落ちを確信し泣き腫らした次の日は憂鬱な気分で幕を開ける———
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初投稿で拙い文章ですが楽しんでいただけますと幸いです。
異世界転生してひっそり薬草売りをしていたのに、チート能力のせいでみんなから溺愛されてます
ひと息
BL
突然の過労死。そして転生。
休む間もなく働き、あっけなく死んでしまった廉(れん)は、気が付くと神を名乗る男と出会う。
転生するなら?そんなの、のんびりした暮らしに決まってる。
そして転生した先では、廉の思い描いたスローライフが待っていた・・・はずだったのに・・・
知らぬ間にチート能力を授けられ、知らぬ間に噂が広まりみんなから溺愛されてしまって・・・!?
処刑される悪役令息に転生したらなぜか推しの騎士団長がグイグイ近づいてくる
猫に小判
BL
交通事故で死んだはずの会社員・田中悠人は、気がつくとBL小説『恋と陰謀~はじまりは夜に~』の世界に転生していた。
しかも転生先は、原作で処刑される悪役令息エリオット。
当然そんな未来は回避したい。
原作知識を頼りに慎重に立ち回るつもりだったのに、気づけば王宮を揺るがす事件に巻き込まれていき――。
さらに困ったことに、原作で一番の推しだった騎士団長ガイウスがやたらと距離を詰めてきて……?
平穏に生きたい元悪役令息と、過保護な騎士団長がじれじれ距離を縮める話。
ガイウス(騎士団長)×エリオット(元悪役令息)
恋人に好きな人が出来たと思ったら、なにやら雲行きが怪しい。
めっちゃ抹茶
BL
突然だが、容姿も中身も平凡な俺には、超絶イケメンの王子と呼ばれる恋人がいる。付き合い始めてそろそろ一年が経つ。といってもまだキスもそれ以上もした事がない健全なお付き合い。王子は優しいけど意地悪で、いつも俺の心臓を高鳴らせてくる——だけどそれだけだ。この前、喧嘩をした。それきり彼と話していない。付き合っているのか定かじゃない関係。挙句に、今遠目から見つけた王子の側には可憐な女の子。彼女が彼に寄り掛かって二人がキスをしている。
その瞬間、目の前が真っ黒になった。もう無理だ。俺がスイッチが切れたようにその場に立ち尽くした、その時だった。前にいる彼から聞いたこともない怒声が俺の耳に届いたのは。
⚪︎佐藤玲央……微笑みの王子と呼ばれ、常に笑顔を絶やさない。物腰柔らかな姿勢に男女問わずモテる
⚪︎中田真……両親の転勤で引っ越してきた転校生。平凡な容姿で口が悪いがクラスに馴染めず誰とも話さないので王子しか知らないし、これからも多分バレない
※全四話、予約投稿済み。
本編に攻めの名前が出てこないの書き終わってから気が付いた。3/16タイトル少し変更しました。
※後日談を3/25に投稿予定←しました。Rを書くかはまだ悩み中