第八皇子は人質王子を幸福にしたい

アオウミガメ

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第弐部-Ⅱ:つながる魔法

122.日向 本当?

しおうの声がする。
ひなた、ってやさしく僕を呼ぶ。

ぎゅってしてほしくて、いっぱいなでてほしくて、本当は隠れ家を出たいのに、僕はできない。

声は出た。
僕がしゃべったら、しおうはうれしくて泣いたね。


でも、何でかな。
しおうは怖くないって分かるのに、何で僕はふるえる。
しおうは僕が大好きって分かるのに、何で僕はできない。




学院でね、いっぱいはじめてを見て、楽しかったよ。
僕は分からないがわかるになるが嬉しくて、しおうと同じが嬉しくて、幸せだった。

でも、知らないがありすぎて、ちょっとパンクした。
熱が出たは、そのせいかもね、って小栗が言った。

学生のうわさはね、おもしろいもあったし、悲しいもあった。
僕としおうが仲良しで良いねってうわさは、僕をふわふわにしたよ。
僕は小さすぎて変だってうわさは、仕方ない。
しおうは聞かせたくなかった、って言ったね。
でも、僕は、僕としおうが仲良しがうれしい人がいるがうれしかったし、僕が変って分かったから良い。

でも、やっぱり悔しいから、いっぱい勉強するよ。
熱が出て、体が動かないになったから、今はお休みするけど、ちゃんと勉強する。
聴講じゃなくて、しおうと一緒に授業ができるくらい、あじろと生態学ができるくらい、ちゃんとやる。


魔法もやる。


僕の魔法、みんなとちがったけど、鍛錬したら、僕も魔法ができるって、なかつのは言ったよ。
才能があるから、大丈夫だって。

僕はね、しおうに、大丈夫って言いたかった。
しおうは、僕が魔法を使うを心配するから。
僕が、魔法で痛くなったり、どこかに行ったりするが、しおうは嫌って、僕は分かるよ。
ごめんね、僕が魔法ができないせい。

だから、魔法がやりたかった。いっぱい鍛錬して、できるよって、しおうを安心にしたかった。


でも、だんだん怖くなった。
僕は、できないかもしれない。
できるになるまで時間がかかるかもしれない。
だって、僕は小さくて、変で、みんなとちがう。魔法も体も全部、みんなとちがう。
みんなはできるって思っても、僕はちがうかもしれない。


僕ができなかったら、しおうは心配するのに。


しおう、僕できるよ。ちゃんとやるよ。
ちゃんとできる。
だから、安心して。泣かないで。怖くない。だいじょぶ。

ちゃんとできる。

僕はできる。




でももし、できなかったら?




できなかったら、しおうはずっと怖いまま?
僕はしおうの安心にならない?
僕は、しおうの不安にしかならない?



僕は、しおうの良いにならない?



お願い、しおう。泣かないで。
僕はできるから、怖くならないで。
僕はできるから、良いって言って。
ちゃんとやるから、いらないって、言わないで。


いらないって、しおうは言わないって、みんな言った。
すみれこさまも、はぎなも、とやも、あずまも、うつぎも、みんな言った。
しおうは手紙で、今の僕でいいって言った。


本当?
できなくても、僕はダメじゃない?


しおうの大好きの気配が、僕は分かるよ。
しおうは、僕がしゃべったらうれしかったも、僕はわかった。
手紙もうんと喜んだも、ちゃんとわかる。

でも本当に、できないでもいらなくならない?





扉の向こうで、しおうが僕を呼ぶ。
本当は、しおうの紫色が見たくて、やさしい顔で笑ってほしくて、いっぱいいっぱい抱きしめて、側にいてほしい。

大好きだよ、ってしおうが言う。
大好きの気配が、僕はわかる。
怖いの気配は減ったね。不安の気配も小さくなった。

しおうは、いらなくならないかもしれない。
でも本当?
僕は学院に行けなくて、勉強も鍛錬も上手にできなくて、ご飯もボロボロこぼす。昨日はスープを全部ひっくり返した。一人で外を歩くもできない。お風呂もできない。言葉も知らない。大きくもならない。
ずっと、ダメなまま。しおうの良いになれないよ。





扉の向こうで、しおうが呼ぶ。ひなた、って。
大好きだよ、って言う。
全部全部大好きだよ、って。

僕も大好きだよ、って言った。
言ったのに、やっぱり体は動かない。

しおうにぎゅってしてほしいんだよ。本当だよ。

ぎゅってして、しおうはいつも僕の怖いを小さくしたね。しおうの大好きが僕を安心にして、ふわふわにして、いっぱい幸せにした。

本当は分かる。
しおうが僕にちゅうってするのは、僕がしおうの大事な人だから。
しおうが僕を番いにしたのは、僕と一緒にいたいから。
しおうが本当は学院に僕が通うは怖いのに、行かせてくれたのは、僕ができるが、しおうもうれしいから。
しおうが僕のできないが怖いのは、一緒にいられなくなるが怖いから。


きっと、しおうは、いらなくならない。
分かるよ。本当は分かる。
ちゃんと分かる。

分かるんだよ、しおう。

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