第八皇子は人質王子を幸福にしたい

アオウミガメ

文字の大きさ
176 / 209
第弐部-Ⅳ:尼嶺

174.紫鷹 日向に一番の安心を

しおりを挟む
「日向、おいで。そろそろ寝よう、」
「もう、ちょっと、」
「もう三回も聞いたよ。今日はもう寝な、」
「あと、いっかい、」

そんなこと言ってもなあ、いつもの就寝時間はとっくに過ぎた。
日向としては、昼間怖がることが増えて勉強に費やす時間が減った分、元気なうちに取り返したいんだろう。だが、ただでさえ食事量が減っているのに睡眠時間まで削れない。

だけど、俺がいくら声をかけても日向は図鑑を睨みつけたままで、こちらを振り返りもしなかった。
そうなると、多少嫌がられても強硬手段に出るのが俺の役目だ。

「だーめ、お終いな、」
「あ、や、僕の、とらない、で、」
「取らないけど、約束は約束だ。日向はもう寝る時間、図鑑は明日な、」

片手で小さな体を抱き上げ、もう片方の手では図鑑を取り上げる。
日向はじたばたと暴れたが、そもそも力で叶うわけがない。特に最近は体重が落ちたせいで体力がめっきりなくなっているから、長くは暴れられなかった。しばらくすると、うー、と唸り出して俺の肩に頭をぐりぐりと刺すだけになる。

「休むのも大事な仕事だよ。明日は稲苗(さなえ)たちが来るから、忙しいだろ?」

そう言って頭に口づけを落としてやると、すんすんと鼻を鳴らしながらも、観念したように首に縋り付いてくる。
その体を抱き直し、図鑑は益田(ました)に託した。
宇継(うつぎ)が代ろうかと寄って来るが断って、日向を洗面所に連れて行き歯磨きとトイレと水分補給を済ませたら寝室へと攫う。

やはり体は疲れていたんだろう。
寝支度を済ませる間にもどんどん静かになっていて、ベッドに入る頃には瞼が半分閉じていた。

「今日も頑張ったなあ、」
「…もっと、やら、ないと、」
「十分だろ。もう日向が勉強してる内容に俺はついていけないよ。仕事だってそうだ。加護の翻訳を始めたんだろ。そんな大変な仕事までさせるつもりじゃなかったんだよ。申し訳ないって思ってる、」

そのせいで、日向の体力を削ってしまうのもあるから、勉強に費やせる時間が減っているんだけどな。
だからと言って睡眠まで削れば、本当に日向が壊れてしまう。そう思わずにいられないくらい、日向は頑張っていた。

だから、小さな体を腹の上に乗せて、日向が一番好きなやり方で背中を撫でる。
日向は眠気に抗うように身じろぎしたが、全く意味をなさず体はくにゃくにゃと力を失っていった。

「しおう、は、ずるい、」
「うん、分かってる。日向は大好きな俺に甘やかされたら、安心して眠くなっちゃうんだもんな、」
「ぅん、」
「……そんな正直だと、また俺に付け込まれるよ。ただでさえ日向のことになると俺は馬鹿になるのに。歯止めがきかなくなって、ひどいことしたらどうするんだ、」
「しおうは、しない、」

おいおい、そんな簡単に言い切るなよ。
信頼されているのは嬉しいが、つい数週間前に日向を傷つけて、こんなにも弱らせたのはさすがに忘れていない。
その後だって、弱ってる日向を前に愛されているなあとかほざいていた馬鹿は、この俺だ。自分で自分を殴りたい。

いつも抱いてるからな、体がどんどん薄くなっているのを知ってる。
腹の上に抱いた背中は骨が浮き出て、日向の背中越しに俺の腹が掴めるんじゃないかと思うほどだ。
手も足も棒切れみたいになって、頬もこけた。目も窪んでるから、誰が見ても日向の具合が良くないのは一目瞭然だろう。

心だって、そうだ。
一日に何度も恐怖に震えては、現実と記憶の間で怯えている。
過去の記憶が鮮明によみがえるのは、それだけ日向の心が深い傷を負っている証拠だと小栗が話していたよ。
今まで指輪の約束という蓋が、記憶を押さえていたのにな。俺が壊した。


「おぼろは、痛いことした、けど、しおうは、しない、」


意識の半分が眠りの中に陥りかけているせいか、日向の口から従兄弟の名前が零れる。
夢うつつの日向から、こんな風に尼嶺の記憶を聞かされることが増えた。
日向の尼嶺での生活や、生き延びるためにしていた努力、四人の王子以外に出会った人々、食べ物を探し回った蔵の外の風景―――草の報告にも上がらないような些細なことまで、日向の口から聞いた。

「じょぅぎは、ながさを、はかる。たたかない、」
「うん、」
「はさみは、紙をきる、ぼく、じゃなぃ、」
「うん、」
「ぼくは、どこに、行っても、いぃ。くらに、ぃなくて、いい、」
「そうだよ、日向はもう蔵に帰らない、」

日向が暮らしたのは尼嶺の宮殿にある蔵だったが、食べ物を探すために、あちこち歩き回ったんだと日向の話を聞くうちに分かった。

時々、食べ物を与えたり、手当をしたりしてくれた使用人もいたんだよな。だけど、日向が求めるような愛情は得られなかった。大抵は憐れんだ目で遠くから眺めるだけで、助けてはもらえない。手を出せば、宮殿の主たちに叱責されるのを誰もが知っていたから。
蔵には古い家具や、使わなくなった日用品が放り込まれていたらしい。それが日向の寝床や暖をとるための道具にもなったが、王子たちの玩具になることもあった。そのせいか、この数週間は身の回りの何気ないものをきっかけに記憶が蘇って混乱することがしばしばだ。

王子たちが日向にした仕打ちを聞いた時には、もうやめてくれと、泣いて叫びたくなった。
実際、居合わせた侍女たちはこらえきれなかったし、藤夜も後で二人になった時に泣いた。護衛たちですら顔色を失くしていたんだから、無理もないだろう。

知りたくなかった。
でも、日向の全てを知りたい。
知らなければならない、と今は思う。

この混乱のきっかけが俺だから、と言うのもあるが、知るほどに、日向の全てを俺のものにしなければと言う思いが強くなった。

番いの指輪は、その約束を交わした指輪だったんだ、と今なら分かる。
耳を覆ってしまいたくなるほど悲惨な尼嶺の暮らしから、日向を引き離す大事な大事な約束だった。
その約束が日向の中で壊れてしまったなら、もう一度日向が大丈夫だと確信できる現実をつきつける以外に取り戻す手段はない。

「しぉ、は、だいじょぶ、」
「うん、俺は大丈夫だな。」
「とぁも、すみぇこさまも、あじぉも、はぎぁも、みぅちも、あぅまも、そぁも……、」
「うん、みんな日向が大好きだ。大丈夫だよ、」

胸の上に乗った頭が重くなって、日向が眠りに落ちたのが分かった。
俺の心臓の音が安心すると言っていたから、安心できただろうか。できることなら夢一つ見ずに、朝まで穏やかに眠ってほしい。
見るならせめて、蔵ではなく離宮の夢を。

規則正しく揺れる背中を撫でながら、そのことを思った。

日向の中には、尼嶺の記憶だけでなく、離宮の記憶もちゃんとある。
混乱して怯えはするけれど、大丈夫だと分かるものもたくさんあるんだよな。
その大丈夫が、少しずつ降り積もって日向の中を埋めてくれたらいい。


離宮中がそう願っている。
この数週間、皆が全力で日向を愛しているのを、俺は実感したよ。


藤夜は初めから日向には甘かったけどな。
前はもう少し教育や躾にも気を配っていたように見えたのが、今じゃ甘やかすばかりだ。放っておくと、侍従の給金を全部つぎ込んでしまうんじゃないかと思う勢いで、日向に本やらなにやらを持ってくる。
俺に馬鹿だ馬鹿だと言うが、あいつも相当な大馬鹿だ。

その分、萩花(はぎな)が絞めてくれるが、あいつはあいつで過保護だからなあ。
指輪が壊れた原因が尼嶺の魔法でなかったら、俺はあいつに討ち取られているのではないかと本気で思う。日向を気遣ってやれなかったことに俺自身が悔いる以上に、あいつは腹を立てている。

東(あずま)もなあ、日を追うごとに日向に過保護になっていて、少し焦る。あいつ、本気で日向に惚れてないか?
立場をわきまえているから信用しているが、何しろあいつもまだ子どもだ。思春期だ。
日向も他の護衛とは違う懐き方をしているんだよなあ。
一応、日向が目移りすることはないと確信しているが、こんな風に心を壊してしまうような子だ。何があるか分からない。

侍女たちは水蛟(みずち)を筆頭に、日向の親衛隊みたいなものだ。あるいは母かもしれない。
母上も含めて日向には過保護な母が何人もいて、これでもかと言うほど、日向に愛情を注ぎまくっている。

今は亜白(あじろ)も、稲苗(さなえ)たちもいるしな。
亜白はとにかく日向と馬が合う。日向は亜白に追いつきたくて勉強や仕事を頑張りすぎることもあるが、こんな状況になっても完全に心が折れずに頑張れるのは、やっぱり友人と言う存在が大きいのだろう。
虫だの獣だの、俺にはできないやり方で日向を支えてくれるから、いてくれて助かった。

明日は稲苗たちが、離宮に来てくれるそうだよ。
最近の日向の様子を心配して、あいつらなりに色々考えてくれているんだろう。
調理場を貸すと約束したが、何があるんだろうなあ。

どんなに日向が過去に引きずられても、誰一人、日向の手を離そうとはしない。

「みんな、日向が大好きだよ、」

すうすうと穏やかに眠る頭に口づけを落とした。
俺の水色。
皆に愛されて、ただひたすら幸せになってほしい。


「でも、俺が一番なんだよなあ、」


この数週間は、それを実感する数週間でもあった。

どんなに怖がっても、俺が近くにいれば、日向は必ず俺の所へ来る。
隠れ家に籠るでなし。他の誰かに縋るでもなし。いつも俺だ。
混乱している間も、小さな手はいつも俺を捕まえて離さなかった。

尼嶺の記憶に引き戻されそうになっても、日向の帰る場所は、もう俺だ。

そのことが嬉しいと同時に、その愛情に胡坐をかいてはいけないとも強く思った。
日向への愛情は誰にも負けないが、行動と態度は、どうだろう。
俺は日向に守られる一方で、守ってやれなかった。
浮かれて自分中心に日向を愛するのは言語道断だ。


日向の一番は俺がいい。
俺でなければ嫌だ。

なら、俺は日向を一番に守れる存在にならなければならない。

薄くなってしまった背中を撫でて、そのことを真剣に考えた。





しおりを挟む
感想 49

あなたにおすすめの小説

「自由に生きていい」と言われたので冒険者になりましたが、なぜか旦那様が激怒して連れ戻しに来ました。

キノア9g
BL
「君に義務は求めない」=ニート生活推奨!? ポジティブ転生者と、言葉足らずで愛が重い氷の伯爵様の、全力すれ違い新婚ラブコメディ! あらすじ 「君に求める義務はない。屋敷で自由に過ごしていい」 貧乏男爵家の次男・ルシアン(前世は男子高校生)は、政略結婚した若き天才当主・オルドリンからそう告げられた。 冷徹で無表情な旦那様の言葉を、「俺に興味がないんだな! ラッキー、衣食住保証付きのニート生活だ!」とポジティブに解釈したルシアン。 彼はこっそり屋敷を抜け出し、偽名を使って憧れの冒険者ライフを満喫し始める。 「旦那様は俺に無関心」 そう信じて、半年間ものんきに遊び回っていたルシアンだったが、ある日クエスト中に怪我をしてしまう。 バレたら怒られるかな……とビクビクしていた彼の元に現れたのは、顔面蒼白で息を切らした旦那様で――!? 「君が怪我をしたと聞いて、気が狂いそうだった……!」 怒鳴られるかと思いきや、折れるほど強く抱きしめられて困惑。 えっ、放置してたんじゃなかったの? なんでそんなに必死なの? 実は旦那様は冷徹なのではなく、ルシアンが好きすぎて「嫌われないように」と身を引いていただけの、超・奥手な心配性スパダリだった! 「君を守れるなら、森ごと消し飛ばすが?」 「過保護すぎて冒険になりません!!」 Fランク冒険者ののんきな妻(夫)×国宝級魔法使いの激重旦那様。 すれ違っていた二人が、甘々な「週末冒険者夫婦」になるまでの、勘違いと溺愛のハッピーエンドBL。

【完結済】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている

キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。 今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。 魔法と剣が支配するリオセルト大陸。 平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。 過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。 すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。 ――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。 切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。 全8話 お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /c

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください! ユィリと皆の動画つくりました! お話にあわせて、ちょこちょこあがる予定です。 インスタ @yuruyu0 絵もあがります Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!

冤罪で追放された王子は最果ての地で美貌の公爵に愛し尽くされる 凍てついた薔薇は恋に溶かされる

尾高志咲/しさ
BL
旧題:凍てついた薔薇は恋に溶かされる 🌟2025年11月アンダルシュノベルズより刊行🌟 ロサーナ王国の病弱な第二王子アルベルトは、突然、無実の罪状を突きつけられて北の果ての離宮に追放された。王子を裏切ったのは幼い頃から大切に想う宮中伯筆頭ヴァンテル公爵だった。兄の王太子が亡くなり、世継ぎの身となってからは日々努力を重ねてきたのに。信頼していたものを全て失くし向かった先で待っていたのは……。 ――どうしてそんなに優しく名を呼ぶのだろう。 お前に裏切られ廃嫡されて最北の離宮に閉じ込められた。 目に映るものは雪と氷と絶望だけ。もう二度と、誰も信じないと誓ったのに。 ただ一人、お前だけが私の心を凍らせ溶かしていく。 執着攻め×不憫受け 美形公爵×病弱王子 不憫展開からの溺愛ハピエン物語。 ◎書籍掲載は、本編と本編後の四季の番外編:春『春の来訪者』です。 四季の番外編:夏以降及び小話は本サイトでお読みいただけます。 なお、※表示のある回はR18描写を含みます。 🌟第10回BL小説大賞にて奨励賞を頂戴しました。応援ありがとうございました。 🌟本作は旧Twitterの「フォロワーをイメージして同人誌のタイトルつける」タグで貴宮あすかさんがくださったタイトル『凍てついた薔薇は恋に溶かされる』から思いついて書いた物語です。ありがとうございました。

婚約破棄されて追放された僕、実は森羅万象に愛される【寵愛者】でした。冷酷なはずの公爵様から、身も心も蕩けるほど溺愛されています

水凪しおん
BL
貧乏男爵家の三男アレンは、「魔力なし」を理由に婚約者である第二王子から婚約破棄を言い渡され、社交界の笑い者となる。家族からも見放され、全てを失った彼の元に舞い込んだのは、王国最強と謳われる『氷の貴公子』ルシウス公爵からの縁談だった。 「政略結婚」――そう割り切っていたアレンを待っていたのは、噂とはかけ離れたルシウスの異常なまでの甘やかしと、執着に満ちた熱い眼差しだった。 「君は私の至宝だ。誰にも傷つけさせはしない」 戸惑いながらも、その不器用で真っ直ぐな愛情に、アレンの凍てついた心は少しずつ溶かされていく。 そんな中、領地を襲った魔物の大群を前に、アレンは己に秘められた本当の力を解放する。それは、森羅万象の精霊に愛される【全属性の寵愛者】という、規格外のチート能力。 なぜ彼は、自分にこれほど執着するのか? その答えは、二人の魂を繋ぐ、遥か古代からの約束にあった――。 これは、どん底に突き落とされた心優しき少年が、魂の番である最強の騎士に見出され、世界一の愛と最強の力を手に入れる、甘く劇的なシンデレラストーリー。

【完結】婚約者の王子様に愛人がいるらしいが、ペットを探すのに忙しいので放っておいてくれ。

フジミサヤ
BL
「君を愛することはできない」  可愛らしい平民の愛人を膝の上に抱え上げたこの国の第二王子サミュエルに宣言され、王子の婚約者だった公爵令息ノア・オルコットは、傷心のあまり学園を飛び出してしまった……というのが学園の生徒たちの認識である。  だがノアの本当の目的は、行方不明の自分のペット(魔王の側近だったらしい)の捜索だった。通りすがりの魔族に道を尋ねて目的地へ向かう途中、ノアは完璧な変装をしていたにも関わらず、何故かノアを追ってきたらしい王子サミュエルに捕まってしまう。 ◇拙作「僕が勇者に殺された件。」に出てきたノアの話ですが、一応単体でも読めます。 ◇テキトー設定。細かいツッコミはご容赦ください。見切り発車なので不定期更新となります。

(無自覚)妖精に転生した僕は、騎士の溺愛に気づかない。

キノア9g
BL
※主人公が傷つけられるシーンがありますので、苦手な方はご注意ください。 気がつくと、僕は見知らぬ不思議な森にいた。 木や草花どれもやけに大きく見えるし、自分の体も妙に華奢だった。 色々疑問に思いながらも、1人は寂しくて人間に会うために森をさまよい歩く。 ようやく出会えた初めての人間に思わず話しかけたものの、言葉は通じず、なぜか捕らえられてしまい、無残な目に遭うことに。 捨てられ、意識が薄れる中、僕を助けてくれたのは、優しい騎士だった。 彼の献身的な看病に心が癒される僕だけれど、彼がどんな思いで僕を守っているのかは、まだ気づかないまま。 少しずつ深まっていくこの絆が、僕にどんな運命をもたらすのか──? 騎士×妖精

処理中です...