第八皇子は人質王子を幸福にしたい

アオウミガメ

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第弍部ーⅤ:二人で歩く

188.紫鷹 皇子の仕事

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日向をベッドに寝かしつけて、すぐに帰ると約束した。
少し熱が上がった日向は赤い顔をしていたが、心底嬉しそうに、わかった、と言い、うんと早くね、とおねだりもする。

「行ってらっしゃいの、ちゅうは?」
「するぅ、」
「ん、ちょうだい、」

約束と、俺自身を鼓舞するためにも、特別濃厚な口づけを交わして日向を溶かし、寝室を出た。
俺が扉の向こうに見えなくなるその瞬間まで、潤んだ水色の瞳は俺を見ていたな。
あの瞳を脳裏に刻みつけたお陰で、仕事を頑張れる気がしたよ。

例え、相手が誰であろうと。
俺は俺の役目を果たす。

それで、さっさと帰って、日向とデートの予定を立てるんだ。







神殿に程近い場所に金剛宮の外宮がある。
宮とは言うが、主に政務を司る場所で、外国の要人との接見にも多く用いられた。
その一室で、俺は日向との婚約に向けた協議の席に着く。


「日陽乃帝国・皇子殿下にご挨拶を。尼嶺乃国は第三王子、陽炎(かげろう)と申します、」


水色の髪に、水色の瞳。
窓から差し込む陽光を受けて、溶けそうなほど白く輝くその男が、俺の眼前で叩頭する。

尼嶺の陽炎。
日向の5つ上の従兄弟。
日向を虐げ、「いなくなりたい」とまで言わせた男が、眼の前にいた。

婚約にあたって、国家間の取り決めを検討する日だ。
当初の予定では、萩花(はぎな)を中心とした帝国側と、尼嶺の大使を中心とした尼嶺側が協議の席に付く予定だった。それが突然、外遊中の王子を同席させたいと申し出があり、この有様だ。

外遊とはよく言ったものだな。
学院で尼嶺の魔法に遭遇した後、草に追わせた足取りによれば、この王子は朱華(はねず)陣営の貴族の館へと身を寄せた。尼嶺を出た王子が、他所に立ち寄る気配もなく真っ直ぐに帝国に入り、その館を寝床にしていたことはすでに調査済みだ。

入国に制限のかけられる尼嶺から帝国へ一直線だ。
初めから、目的はこれだろう。

「挨拶はいい。本来、俺が出席する謂れのない会議だ。急な時間を割いている。さっさと始めろ、」

棘を隠しきれはしなかったが、激昂しなかっただけ感謝しろ。
俺でなく―――日向にだ。

俺の腹の奥では、すぐにもお前を粉々に砕いてやろうという衝動が今も渦巻いているよ。
それを留めるのは、肌と胸の内に漂う微風のような心地良さだ。脳裏を、目の前の男とは似ても似つかないほど無垢な水色がトコトコと歩き回り、ブランコを揺らしたり、すべり台を滑ったりして、俺の心を凪いでいく。

日向の加護を、確かに感じた。

おかげで俺は、早く帰って来い、と強請った水色の瞳だけを思って冷静でいられるんだ。
おそらく、俺の隣に座って協議を主導する萩花や、その傍らで俺の代弁を務める藤夜(とうや)もそうだろう。間違いなく腹に一物を抱えているだろうに、淡々と会議を進めていく。

「婚姻の暁には、日向殿下に関する全権は、帝国へ委譲いただく。後見には半色乃宮とこの萩花が立ち、日向殿下の公務及び国政への参与の一切は、この裁量の下決定されることとし、日向殿下が決定に従うことが困難な場合には、紫鷹殿下が一切の任を負うものとする、」

議題は、婚約に伴う日向の処遇と、婚約後の尼嶺における俺の権限についてだ。

先の戦争で敗戦国となった尼嶺の政権は、すでに帝国が握っていると言っても過言ではない。王家の権限は不可侵だが、議会の監督から軍部の再編、予算の編成まで、帝国が関与しないものはなかった。
実質、国家運営を担うのは帝国だ。
王家を支持する旧体制の反発は根強いが、帝国支配の権限が朱華(はねず)から半色乃宮に移り、母上が主導した経済政策が国民を貧困から救済して以来、国民からの支持は厚かった。
帝国の知識や技術を惜しみなく導入し支援したことで、旧時代的だった尼嶺の医療や衛生、教育、商業、農業、交通が進歩を始めたことも大きいだろう。

残るは王権。
独自の神話と信仰によって、人に非ずとされる王家は未だに手つかずだ。
帝国としては、何としても王権への介入の糸口を掴みたい。これには、俺と日向の婚約が絶好の機会なわけだ。

―――と言う建前の下、日向への権限を獲得したいと言うのが本音だが。

王権への関与が嫌なら、日向の処遇について要望を呑め。
今後一切、尼嶺が日向に関与せず、日向の身柄を完全にこちらのものにするための要望。
この婚約に当たって、俺が何よりも欲しいのがそれだった。

同時に、婚約に向けた最後の山場だ。
この協議さえ済めば、婚約の儀の日取りを決めて一直線だ。
婚約の儀さえ執り行えば、婚儀についてもほぼ確約される。

それだと言うのに、この大事な協議の席で、水色の男は要らぬ口を開く。

「日向は息災ですか。帝国へ入ってより雁書の一つもなく、尼嶺では一同案じております。あれは、幼く弱い、」
「王子殿下はつつがなく、」
「こちらへ渡り何度か噂を耳にしたが、病の噂さえある。この数ヶ月は急激に痩せ、金烏乃学院でも危惧されていたと聞きます、」
「帝国の暑さに慣れず体調を崩されたこともございましたが、無事にお過ごしですよ、」

受ける萩花は、穏やかだ。
王子の言葉には朗らかに応じ、いかにも配慮ある姿勢を崩さないが、余計な口は聞かず、すぐさま大使に向き直る。そのまま淡々と協議を進めるのは、流石だなと感嘆した。
日向の後見人は、何より大事なものを違えはしない。

だが、どうもあの王子は頭が足りない。

「日向に会わせてください。でなれば、私はこの婚約に同意しかねる、」

何を今更、と一瞬頭の中が熱くなった。
すぐに俺の水色がばしゃんとプールの水を跳ねさせて冷ましてくれるが。

婚約の許諾については何か月も前に話が済んでいる。
今協議すべきは、婚約に関わる諸々の条件であって、婚約の是非ではない。

淡々と話を進めていた尼嶺の大使も流石に眉を顰め王子を嗜めたが、王子には、それで止まれるほどの賢さはないようだった。

「あれのことは幼少から、私が一番よく知っている。皇子殿下はご存じないかもしれませんが、日向は己の心の内を明かせるようにはできておりません。その上、酷く臆病で繊細です。故に、日向の口から婚約の意思を聞かずして、事を進めるべきではないと私は考えております、」

見た目にはさほど年が変わらないように見えるが、俺や日向より5つも年上だろう。すでに王子として、公務にも立っていると聞いている。
それだと言うのに、これか。
国事よりも私事を優先する。


――そうだ、私事だ。


この婚約に当たって、尼嶺の王族も高官たちも関心を向けたのはただひたすら国事だった。いかに帝国の威を借るか、いかに帝国の支配を排すか、いかにこの婚約で尼嶺に利益をもたらすか、そんな話ばかりで、日向個人への話題は一切ない。
末端の官吏は日向の事情を知らないためか、自国の王子の婚約を喜んでも見せた。だが、その他には、日向個人への関心を見せたのは、この従兄弟一人だったと、聞いている。

日向を帝国へやるな、と言い、婚約に同意できない、と言い、会わせろ、と言った。
口では日向を案じていると言うが、その裏にあるのは、幼い日向を欲の捌け口にした衝動だろう。

この男は、己の欲望のためだけに、ここにいる。

黙れ、と叫んで、その欲望ごと砕いてやりたかった。
だが、今も脳裏で駆けまわる水色が、水鉄砲を撃って、俺の熱を凪いでいく。


知っているか。


この加護は、日向が生まれて初めて「僕の!」と自慢した魔法だ。
15年生きて、一度だって安心できる場所も、愛してくれる人間も得られなかった日向が、ようやく拠り所を得て、自分の居場所だと認めることができた証なんだよ。

お前は知らないだろう。
日向は怖がりで泣き虫だが、一度笑い出したら止まらない笑い上戸だ。
あはっ、と声を上げたと思えば、へんなの、とけらけら笑い出して、周りの人間を笑いの渦に巻き込んでいく。
泣き顔も、怖がりの顔も、寝顔も、真剣な顔も、蕩けた顔も、口いっぱいに食べ物を頬張った顔も全部可愛いが、笑った時の顔はどんな煌玉(こうぎょく)より輝いていて、世界中で一番可愛い。

努力家で、いつも一生懸命だから、いろんなことができるようになったんだよ。
文字も読めるし、数字も数えらえれる。虫も捕まえられるし、野菜を引っこ抜くのだってうまくなった。
夏休みに入っていろんな遊びを覚えたから毎日倒れるまで遊ぶくせに、朝には誰より早く起きて、一人で勉強してるのも俺は知ってる。

お前は、何も知らないだろう。

今、足が痛くて寝ていることも。
お前たちが壊したせいで、歩くのさえ思うようにできない。それをようやく理不尽だと怒れるようになったことも。

何一つ知らないだろう。
―――永遠に知ることなく、日向の前に二度と現れるな。

「日向に合わせてください、私が……、」
「尼嶺の大使に聞く。日向王子の意向については、大使がその権限を持って伝達の任を負ったと聞いているが相違ないか、」
「……ございません、」
「皇子殿下、私はっ、」
「婚約の許諾について、王家並びに議会の承認を得、協議の座にあると認識しているが、これはどうだ、」
「……仰せの通りでございます、」
「では、そちらの王子の言は、俺の覚知すべきところにない。これ以上、会議の進行を妨げるのであれば、大使にも責を問うがいかがする、」

俺の脳裏で、水色がふにゃりと笑ったから、怒りのまま暴走するようなことはしなかった。

俺とて、個人的な感情で日向を望むのは同じだ。それは認める。

だが、俺は帝国の皇子だ。
日陽乃帝国・第八皇子、紫鷹。

だから皇子として、帝国の威信を背負う者のやり方で、日向を奪う。
尼嶺のような小国が、同じ位置に立てると思うな。
王子としての立場も分きまえられない者が俺と言を交えられると思うな。
俺の横には、日向の他にはいらない。

「お、お時間をいただきたく…、」
「5分だ。それ以上は待たん、」
「ぎょ、御意、」

表情は変わらなかったが、汗を流し始めた大使を後目に部屋を出る。
扉が閉まる前に王子は騒々しく何かを喚き立てていたが、約束の5分より早く、使者が会議の再開を告げに来た。
戻った時には王子の姿はなく、大使が頭を垂れて待つのみ。

「日向殿下の全権を、半色乃宮に委譲させていただきたく…、」


うん、早く帰れそうだよ。日向。

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