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橙色 だいだい ☆
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王都サスミルにある国立図書館は、ゴシック様式の建物で、国で最も美しいと誉れ高い。
王国の歴史が描かれた見事な天井画と、壁一面の書架が整然と並ぶミルボワージュ図書室の他に、美術館やホール、研究室等の複合施設となっており、その敷地は広大で、施設の中心には大きな中庭がある。
館内では会話、飲食禁止となっているが、この中庭では許可されている。
書物は館外には貸出できないが、この中庭に持ちだして読むことができる。
そのため中庭は、雨でもない限り、人が絶えることはなかった。
木陰に座って小説を読む人、学生はベンチでノートと書物を広げて勉強していたり、親が子供に絵本を読み聞かせていたりもする。
国民であれば、これらが全て無料でできるというのは、裕福な国だからこそだ。
マルクは幼少期、一冊の絵本しか与えられず、それは人間の少年と竜の話だった。
ニフリートには、親として、たくさんの絵本を読ませたいと思った。
中庭で、マルクが腰をおろして足を投げると、ニフリートが足の間に潜り込んできて、抱き抱えるように絵本を立てて、読み聞かせた。
父と息子が出てくるシーンで、ニフリートは振り返り。
「マルクは僕のお父さんなの?」
翡翠のまんまるの瞳がマルクを見つめて言った。
「父じゃない……」
マルクは低く震える声で告げ、顔を見られないように横へ逸らした。
「俺は罪滅ぼしのためにニフを育てたんだ」
ニフリートは、初めて聞くマルクの声音に、視線を正面に戻して口をつぐむ。
そして、しばらく沈黙が続いた……。
「すまない、本当なんだ。……だから父とは呼ばないでくれ」
マルクは、背中からニフリートを抱きしめて、懇願した。
ニフリートは、震えるマルクを背中で感じながら、翡翠色の瞳を閉じて、コクリと頷いた。
*
ニフリートは、本が好きで図書館によく来ていた。絵本から始まった読書は、やがて学問、魔法学、社会情勢と分野を広げて、最近は竜族について書かれた書物をよく読んでいる。
竜族の成長は早かった、一年で四歳、 歳をとると言う。
現在マルクは十六歳、ニフリートは八歳となった。
本当はニフリートを学校へ通わせたいと思っていた。しかし、マルクの稼ぎでは足りなかった。
聡明なニフリートは、独学で魔法を学ぶ。
マルクは魔獣使いのレベルが上がって、Cランクになった。
クエストも一人で熟せるようになったので、できるだけニフリートには、図書館で学ぶことを優先させる。
二人は別行動が多くなる。
ある日、マルクが森で盗賊に襲撃され、金品を手渡し多少の怪我だけで済んだ事件があった。
ニフリートはそんなマルクを 慮って、自身の緑竜の鱗に守護魔法をかけて、マルクに持たせる。
(一体どちらが子供なのだろうか……)
肌身離さないようにと言われ、マルクはそれをペンダントにして身につけた。
*
マルクは薬草採集のクエストで森に入る。以前ニフリートは、この森に棲む金色に光る樹木の精霊と会話をしていた。
その話を聞いたマルクは、俺の天使は精霊とも通じ合うのか、何とも神々しいと拝みたくなった。
ニフリートと一緒に森に入るときは、その精霊に珍しい薬草の場所を聞けたりするので、とても助かっている。
薬草採集を終えて、一息入れようと見晴らしの良い、小高い丘へやってきた。
市場で買った木の実入りのクリームがたっぷり入ったコッペパンが、マルクのお気に入りで、ニフリートが淹れてくれた温かいお茶と一緒に食す。
丘には、春の暖かい風が草原の緑を、掬い上げるように吹いている。
葉に止まっていた、蝶々や虫達が必死にしがみつく様子を眺めて、穏やかな心地になっていた。
そこへ二頭の竜がこちらに向かって飛んで来た。一頭は青竜、そしてもう一頭は黄竜だった。
竜は草地を鉤爪でつかむと、その大きな躯体をしならせて、停止する。竜達はニフリートよりもひと回り大きく、ごつごつとした鱗は頑丈そうで、鉤爪は鋭くその存在を畏怖させる。
翼を折りたたむと、黄竜がマルクに近づき顔を覗き込み、その鋭い眼差しで射抜かれる。
〈人間よ、私たちは竜族の国から来た。お主は、竜人の子を育てているな〉
マルクの脳内に直接、竜の言葉が人間の言葉に変換されて流れ込んでくる。
不思議な感覚で、マルクは不快感を覚えた。
「はい、緑竜のニフリートを育てています」
黄竜は頭を揺らしながら、時々、唸るように息を吐き出す。
〈あのお方は、竜王のご子息。いずれ我が国ラシュロンの王となる方。殿下に帰国するよう何度も打診をした、……が殿下はお主の元で暮らすことを所望されている〉
マルクは暫く、驚愕に目を見開いていたが、静かに口を開いた。
「俺……いや私は、殿下の母君の命を奪いました、その罪滅ぼしに殿下を今まで育ててまいりました。時がくればお仲間……御国にお返しするつもりでおりました」
マルクは片膝をつき、高貴な竜達に礼をとった。
竜の瞳を、わなわなと揺らしていた青竜が突如飛び出し、その鋭い鉤爪でマルクを仰向けに転がした。
〈貴様、よくも、ルヴィーン様を‼︎〉
やめろ!と黄竜が言ったが、その声は届かなかった。
怒気溢れる表情で、青竜の鋭利な鉤爪は、マルクの心の臓を一気に貫いた。
マルクは 血汐を吐き、背中に血の湖を作りだす。
ニフリートから貰った、竜の鱗ペンダントが淡く発光して、ふわりと浮かんだ。
(ああ、これで俺も終わるのか──)
マルクがぼんやり空を仰ぎ見ると、 浅葱色の翼が、陽射しに透き通り女神の衣のように美しくて、ニフリートが飛んで来たのだとすぐにわかった。
自分の最期をニフリートに看取ってもらえる幸福に、マルクは眦を滲ませた。
ニフリートは、橋の近くに降り立つと惨状に気づき、声をあげた。
「なんで、こんな酷いこと……。僕は竜の国には行かないといってるじゃないか!」
ニフリートは二頭の竜を、覇気を含んだ眼差しで睨みつける。
二頭は身体をビクッとさせて怯んだ。
「僕の大切な人を傷つける人になんてついていかない! どこかへ消えて‼︎」
ニフリートは、手をかざし無詠唱で巨体の二頭を離れた場所に転移させる。
そして、血まみれになったマルクの肩を抱き、顔を寄せ、悲愴にマルクの名を叫ぶ。
(俺はきみに伝えなきゃならないことがあったのに……)
マルクには、もう声を出す気力も残っていなかった。
*
遠くで馬車の蹄の音と、女性の会話、羊皮紙にペンを走らせる音が聞こえる……暖かい……此処はどこだろう。
重い 瞼をゆっくりとあけると、室内の魔導灯の橙色の明かりが眸に差し込んできた。そこは宿屋の部屋だった。
彼は真剣な表情で机に向かって何かを書いている、耳にかけた浅葱色の髪がさらりと落ちてきて、耳にかけ直す。
ふ、と向けた翡翠色の眸がマルクを捉えると、水分を含んだ眼で顔を綻ばせる。
「よかった……」
ニフリートは声にならない声でつげた、そしてマルクに身体を寄せる。
「どうして……俺」
「僕が治癒魔法を施して……。もう三日も眠っていたんだ、……本当に良かった」
ニフリートは、ほっと安堵の胸をおろした。
上半身を起こしたマルクは、真剣な顔つきで告げる。
「ニフリートに、話さなきゃいけないことがある」
ニフリートをまっすぐに見つめて、マルクは静かに、母竜を討伐した経緯を語った。
「……だから、俺は罪滅ぼしのために、ニフの卵を拾って育てた」
マルクは淡々と事実を伝えると、ニフリートは唇を引き結んで聞いていた。
「もし、あのまま青竜に殺されても……、罪を償えるのなら本望だったんだ」
マルクが昏い瞳で告げると、ニフリートはマルクの肩をつかみ自分に向けて、言い募った。
「そんなこと言わないで……、僕が知ってるのはマルクだけ、母竜なんて知らない。一緒に居たいのはマルクだけなんだ、……お願いだから死んでも良いなんて言わないで」
ニフリートは、マルクの胸に顔を埋めて泣きじゃくった。
マルクは「すまなかった」とニフリートの背中を抱き寄せ、優しく撫でた。
……残りの大切な時間を、どうかきみのそばで見守らせてほしい……
──橙色の明かりが、安らぎを与えるように、ぼんやりと二人を照らす──
王国の歴史が描かれた見事な天井画と、壁一面の書架が整然と並ぶミルボワージュ図書室の他に、美術館やホール、研究室等の複合施設となっており、その敷地は広大で、施設の中心には大きな中庭がある。
館内では会話、飲食禁止となっているが、この中庭では許可されている。
書物は館外には貸出できないが、この中庭に持ちだして読むことができる。
そのため中庭は、雨でもない限り、人が絶えることはなかった。
木陰に座って小説を読む人、学生はベンチでノートと書物を広げて勉強していたり、親が子供に絵本を読み聞かせていたりもする。
国民であれば、これらが全て無料でできるというのは、裕福な国だからこそだ。
マルクは幼少期、一冊の絵本しか与えられず、それは人間の少年と竜の話だった。
ニフリートには、親として、たくさんの絵本を読ませたいと思った。
中庭で、マルクが腰をおろして足を投げると、ニフリートが足の間に潜り込んできて、抱き抱えるように絵本を立てて、読み聞かせた。
父と息子が出てくるシーンで、ニフリートは振り返り。
「マルクは僕のお父さんなの?」
翡翠のまんまるの瞳がマルクを見つめて言った。
「父じゃない……」
マルクは低く震える声で告げ、顔を見られないように横へ逸らした。
「俺は罪滅ぼしのためにニフを育てたんだ」
ニフリートは、初めて聞くマルクの声音に、視線を正面に戻して口をつぐむ。
そして、しばらく沈黙が続いた……。
「すまない、本当なんだ。……だから父とは呼ばないでくれ」
マルクは、背中からニフリートを抱きしめて、懇願した。
ニフリートは、震えるマルクを背中で感じながら、翡翠色の瞳を閉じて、コクリと頷いた。
*
ニフリートは、本が好きで図書館によく来ていた。絵本から始まった読書は、やがて学問、魔法学、社会情勢と分野を広げて、最近は竜族について書かれた書物をよく読んでいる。
竜族の成長は早かった、一年で四歳、 歳をとると言う。
現在マルクは十六歳、ニフリートは八歳となった。
本当はニフリートを学校へ通わせたいと思っていた。しかし、マルクの稼ぎでは足りなかった。
聡明なニフリートは、独学で魔法を学ぶ。
マルクは魔獣使いのレベルが上がって、Cランクになった。
クエストも一人で熟せるようになったので、できるだけニフリートには、図書館で学ぶことを優先させる。
二人は別行動が多くなる。
ある日、マルクが森で盗賊に襲撃され、金品を手渡し多少の怪我だけで済んだ事件があった。
ニフリートはそんなマルクを 慮って、自身の緑竜の鱗に守護魔法をかけて、マルクに持たせる。
(一体どちらが子供なのだろうか……)
肌身離さないようにと言われ、マルクはそれをペンダントにして身につけた。
*
マルクは薬草採集のクエストで森に入る。以前ニフリートは、この森に棲む金色に光る樹木の精霊と会話をしていた。
その話を聞いたマルクは、俺の天使は精霊とも通じ合うのか、何とも神々しいと拝みたくなった。
ニフリートと一緒に森に入るときは、その精霊に珍しい薬草の場所を聞けたりするので、とても助かっている。
薬草採集を終えて、一息入れようと見晴らしの良い、小高い丘へやってきた。
市場で買った木の実入りのクリームがたっぷり入ったコッペパンが、マルクのお気に入りで、ニフリートが淹れてくれた温かいお茶と一緒に食す。
丘には、春の暖かい風が草原の緑を、掬い上げるように吹いている。
葉に止まっていた、蝶々や虫達が必死にしがみつく様子を眺めて、穏やかな心地になっていた。
そこへ二頭の竜がこちらに向かって飛んで来た。一頭は青竜、そしてもう一頭は黄竜だった。
竜は草地を鉤爪でつかむと、その大きな躯体をしならせて、停止する。竜達はニフリートよりもひと回り大きく、ごつごつとした鱗は頑丈そうで、鉤爪は鋭くその存在を畏怖させる。
翼を折りたたむと、黄竜がマルクに近づき顔を覗き込み、その鋭い眼差しで射抜かれる。
〈人間よ、私たちは竜族の国から来た。お主は、竜人の子を育てているな〉
マルクの脳内に直接、竜の言葉が人間の言葉に変換されて流れ込んでくる。
不思議な感覚で、マルクは不快感を覚えた。
「はい、緑竜のニフリートを育てています」
黄竜は頭を揺らしながら、時々、唸るように息を吐き出す。
〈あのお方は、竜王のご子息。いずれ我が国ラシュロンの王となる方。殿下に帰国するよう何度も打診をした、……が殿下はお主の元で暮らすことを所望されている〉
マルクは暫く、驚愕に目を見開いていたが、静かに口を開いた。
「俺……いや私は、殿下の母君の命を奪いました、その罪滅ぼしに殿下を今まで育ててまいりました。時がくればお仲間……御国にお返しするつもりでおりました」
マルクは片膝をつき、高貴な竜達に礼をとった。
竜の瞳を、わなわなと揺らしていた青竜が突如飛び出し、その鋭い鉤爪でマルクを仰向けに転がした。
〈貴様、よくも、ルヴィーン様を‼︎〉
やめろ!と黄竜が言ったが、その声は届かなかった。
怒気溢れる表情で、青竜の鋭利な鉤爪は、マルクの心の臓を一気に貫いた。
マルクは 血汐を吐き、背中に血の湖を作りだす。
ニフリートから貰った、竜の鱗ペンダントが淡く発光して、ふわりと浮かんだ。
(ああ、これで俺も終わるのか──)
マルクがぼんやり空を仰ぎ見ると、 浅葱色の翼が、陽射しに透き通り女神の衣のように美しくて、ニフリートが飛んで来たのだとすぐにわかった。
自分の最期をニフリートに看取ってもらえる幸福に、マルクは眦を滲ませた。
ニフリートは、橋の近くに降り立つと惨状に気づき、声をあげた。
「なんで、こんな酷いこと……。僕は竜の国には行かないといってるじゃないか!」
ニフリートは二頭の竜を、覇気を含んだ眼差しで睨みつける。
二頭は身体をビクッとさせて怯んだ。
「僕の大切な人を傷つける人になんてついていかない! どこかへ消えて‼︎」
ニフリートは、手をかざし無詠唱で巨体の二頭を離れた場所に転移させる。
そして、血まみれになったマルクの肩を抱き、顔を寄せ、悲愴にマルクの名を叫ぶ。
(俺はきみに伝えなきゃならないことがあったのに……)
マルクには、もう声を出す気力も残っていなかった。
*
遠くで馬車の蹄の音と、女性の会話、羊皮紙にペンを走らせる音が聞こえる……暖かい……此処はどこだろう。
重い 瞼をゆっくりとあけると、室内の魔導灯の橙色の明かりが眸に差し込んできた。そこは宿屋の部屋だった。
彼は真剣な表情で机に向かって何かを書いている、耳にかけた浅葱色の髪がさらりと落ちてきて、耳にかけ直す。
ふ、と向けた翡翠色の眸がマルクを捉えると、水分を含んだ眼で顔を綻ばせる。
「よかった……」
ニフリートは声にならない声でつげた、そしてマルクに身体を寄せる。
「どうして……俺」
「僕が治癒魔法を施して……。もう三日も眠っていたんだ、……本当に良かった」
ニフリートは、ほっと安堵の胸をおろした。
上半身を起こしたマルクは、真剣な顔つきで告げる。
「ニフリートに、話さなきゃいけないことがある」
ニフリートをまっすぐに見つめて、マルクは静かに、母竜を討伐した経緯を語った。
「……だから、俺は罪滅ぼしのために、ニフの卵を拾って育てた」
マルクは淡々と事実を伝えると、ニフリートは唇を引き結んで聞いていた。
「もし、あのまま青竜に殺されても……、罪を償えるのなら本望だったんだ」
マルクが昏い瞳で告げると、ニフリートはマルクの肩をつかみ自分に向けて、言い募った。
「そんなこと言わないで……、僕が知ってるのはマルクだけ、母竜なんて知らない。一緒に居たいのはマルクだけなんだ、……お願いだから死んでも良いなんて言わないで」
ニフリートは、マルクの胸に顔を埋めて泣きじゃくった。
マルクは「すまなかった」とニフリートの背中を抱き寄せ、優しく撫でた。
……残りの大切な時間を、どうかきみのそばで見守らせてほしい……
──橙色の明かりが、安らぎを与えるように、ぼんやりと二人を照らす──
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