14 / 21
真白と青色
しおりを挟む
北方の国ラステリアは極寒だった。
移動はなるべく竜姿のニフリートお願いしている。
こんな北端でも瘴気に晒された空は、ぼんやりと白濁として霞み、山々には雪が積もり、木々は霧氷や樹氷に覆われている。
一面が氷で形成された、風光明媚な真っ白な銀世界に感銘を受けた。
黒と白の縞柄のラジャスベアーに目星をつけて、氷床の上空を緑竜が舞うように飛ぶ。
視線を下に向けると、氷河が細かく砕けたり、くっついたりして、地響きがゴゴゴォーと低く唸りをあげている。
氷床のある一角に、蟻のような群衆が見えて、低空飛行で眺めるとラジャスベアーの青と白の縞模様を目視する。
ラジャスベアーは野生の魔獣の類になる。よって上空からの観察のみにとどめた。
白い世界に青の縞模様が美しく映えて、それは景色に擬態するように氷雪と青い海の色で彩られていた。
巨体をしならせて、暫く海中へ潜ったかと思うと、岸へ上り氷床に獲った魚を吐き出し、群れの仲間たちが一斉に喰らい付く。
それを眺めながら、緑竜はキュイキュイと弾むように嘶いた。
マルクは緑竜のそんな姿を愛らしく感じて、頭や首を撫でてやると、さらにキュイ──ッと喜びの鳴声をあげた。
しばし氷の世界を満喫していると、一箇所この空間に不相応な、黒く濁った水溜りのような場所があり、ニフリートが様子を見たいと言うので降り立った。
人型になったニフリートと、遠距離から見やると、背が水色で腹が白毛、眦に桃色のラインが特徴の、リオートペンギンの群れがおり、そのうちの一匹が、瘴気が吹き溜まったであろう水溜りに足を取られて、魔素に侵された足先が壊死しかけていた。
見兼ねたニフリートは、足早にペンギンの元へ行き、マルクと二人でリオートペンギンの身体を水溜りから出してやり、回復魔法を施すと、ペンギンの身体は緑の光に包まれた。
暫く経つと、元気になったペンギンは翻ってスタスタと歩いて行き、その後ろ姿をほっこりと二人で見送る。
問題の瘴気の水溜りに近づくと、尋常ではない闇の魔素が感じられ、それは毒を有するとニフリートが告げる。
【アイスピュリフィケーション】
ニフリートが唱えると、白い空間に風が巻き起こり、浅葱色の髪が靡く。
マルクは、咄嗟にフードを深く被り冷風に耐える。
闇の魔素らしき黒い液体が宙に浮き、ニフリートから発せられた緑色の閃光が液体を覆い分解しているかのように、ブクブクと沸き立ち、やがて蒸発して消え去った。
「どうしてこんな場所に……」
ニフリートが不安気に蹌踉めきながら呟いた。マルクは肩を支えると、ニフリートの聖者のような振舞いに礼賛して、以前していたように抱きしめて、目を細めて柔和に微笑む。
「えらいぞ、ニフ! まるで聖者のようだ」
ニフリートは少し照れたように、はにかんだ。
刹那、反射的に抱きしめていたことに気づいたマルクは戸惑い、すまないと身体を離す。
ニフリートの瞳は仄暗く翳った。
「冷えてきたな、そろそろ街へ帰ろう」
ニフリートを振り返らずに、マルクは告げた。
その夜も、マルクは酒場に繰り出した。
その酒屋は魚料理が豊富で、メルビという白身魚とチェブ蛸のアヒージョが格別に美味かった。
客は漁師や、観測所で働いてるような揃いの防寒服を着た者たち、行商人と御者、冒険者は数少ない。
マルクの酔いが進んで、エールからホットワインに変わった頃、入口付近で騒ぐ連中がいた。
「よう、お嬢ちゃん美人だね。俺らと呑まねぇか?」
数少ない冒険者の中の、屈強な半裸を見せ付けるようにショルダーアーマーを装備し、なから露出狂にも見える男の、軽薄な声が店内に響いた。
マルクはカウンターを見つめていた、その虚ろな視線をそちらに向ける。
そこには浅葱色の長い髪を、俺が贈った赤瑪瑙の髪留めで高く結い上げた美しい彼がいて、軽薄そうな男たちに言い寄られ、ウシャンカ帽を手に白いマントを着たまま困った顔を見せていた。
マルクは一気に酔いが覚めて、眉間に皺を寄せると、持っていたグラスをガンッとカウンターに叩き置き、つかつかと渦中に歩み寄る。
そして軽薄男の腕を掴み、睥睨して低い声で告げる。
「この薄汚い手を離せ! お前が触れていい相手じゃない」
男は一旦怯んでから、マルクを睨め付ける。
「なんだよ、さっきからこの世の終わりのような目つきで飲んでた辛気臭ぇ兄ちゃんじゃねぇか、俺たちはこの綺麗な嬢ちゃんと今から飲むとこなんだよ、邪魔すんじゃねえよ」
男が臭い息を吐きながら、マルクに食ってかかる。
「彼は男だ」
マルクは冷ややかな鋭い眼差しを向け、地を這うような声で言い放つと、男の腕を捻り上げて、二人の手を解きニフリートの手を取る。
「きみはこんな所に来ちゃいけない」
そうニフリートの眸を見据えて告げ、会計を手早く済ませ、店外へ出てドアを閉めると男達の怒号は聞こえなくなった。
しん、と静まりかえった雪灯籠が灯された街路をニフリートの手を掴んだまま、足早に歩くマルク。手を繋いだまま必死に着いていくニフリートの白いマントは揺れる。
今まで見たことのないマルクの怒気を孕んだ表情は少し怖い。けれどニフリートは勇気を出して白い息を弾ませながら声を出す。
「あの……あのね。マルクがお酒飲みすぎちゃうと思って、……迎えに来たんだ」
ニフリートは最近、深酒をするマルクを慮っていた。
マルクは足を止め振り返ると、ニフリートの髪留めに触れて髪を梳き、寒さに朱をさした頬を撫でると愛おしそうに見つめた。
「心配かけてすまなかった。……けれど、ああいう場所に来ては駄目だ、危ない」
マルクは来てるのになぜ僕だけ?と言う疑問を持ちながらもニフリートは首肯すると、マルクはいつもの柔和な微笑みに戻った。
安堵したニフリートも笑みで返した。
マルクはニフリートの手にあったウシャンカ帽を彼の頭に被せて、目を細める。
落ち着いた二人は、凍結した路地を手を繋いで、転ばないようにゆっくりと慎重に歩いて宿に帰る。
外気は寒いけれど、繋いだ二人の掌は暖かかった。
──真っ白な世界に、青く稚い愛が交わることもなく、並行を辿っていく──
移動はなるべく竜姿のニフリートお願いしている。
こんな北端でも瘴気に晒された空は、ぼんやりと白濁として霞み、山々には雪が積もり、木々は霧氷や樹氷に覆われている。
一面が氷で形成された、風光明媚な真っ白な銀世界に感銘を受けた。
黒と白の縞柄のラジャスベアーに目星をつけて、氷床の上空を緑竜が舞うように飛ぶ。
視線を下に向けると、氷河が細かく砕けたり、くっついたりして、地響きがゴゴゴォーと低く唸りをあげている。
氷床のある一角に、蟻のような群衆が見えて、低空飛行で眺めるとラジャスベアーの青と白の縞模様を目視する。
ラジャスベアーは野生の魔獣の類になる。よって上空からの観察のみにとどめた。
白い世界に青の縞模様が美しく映えて、それは景色に擬態するように氷雪と青い海の色で彩られていた。
巨体をしならせて、暫く海中へ潜ったかと思うと、岸へ上り氷床に獲った魚を吐き出し、群れの仲間たちが一斉に喰らい付く。
それを眺めながら、緑竜はキュイキュイと弾むように嘶いた。
マルクは緑竜のそんな姿を愛らしく感じて、頭や首を撫でてやると、さらにキュイ──ッと喜びの鳴声をあげた。
しばし氷の世界を満喫していると、一箇所この空間に不相応な、黒く濁った水溜りのような場所があり、ニフリートが様子を見たいと言うので降り立った。
人型になったニフリートと、遠距離から見やると、背が水色で腹が白毛、眦に桃色のラインが特徴の、リオートペンギンの群れがおり、そのうちの一匹が、瘴気が吹き溜まったであろう水溜りに足を取られて、魔素に侵された足先が壊死しかけていた。
見兼ねたニフリートは、足早にペンギンの元へ行き、マルクと二人でリオートペンギンの身体を水溜りから出してやり、回復魔法を施すと、ペンギンの身体は緑の光に包まれた。
暫く経つと、元気になったペンギンは翻ってスタスタと歩いて行き、その後ろ姿をほっこりと二人で見送る。
問題の瘴気の水溜りに近づくと、尋常ではない闇の魔素が感じられ、それは毒を有するとニフリートが告げる。
【アイスピュリフィケーション】
ニフリートが唱えると、白い空間に風が巻き起こり、浅葱色の髪が靡く。
マルクは、咄嗟にフードを深く被り冷風に耐える。
闇の魔素らしき黒い液体が宙に浮き、ニフリートから発せられた緑色の閃光が液体を覆い分解しているかのように、ブクブクと沸き立ち、やがて蒸発して消え去った。
「どうしてこんな場所に……」
ニフリートが不安気に蹌踉めきながら呟いた。マルクは肩を支えると、ニフリートの聖者のような振舞いに礼賛して、以前していたように抱きしめて、目を細めて柔和に微笑む。
「えらいぞ、ニフ! まるで聖者のようだ」
ニフリートは少し照れたように、はにかんだ。
刹那、反射的に抱きしめていたことに気づいたマルクは戸惑い、すまないと身体を離す。
ニフリートの瞳は仄暗く翳った。
「冷えてきたな、そろそろ街へ帰ろう」
ニフリートを振り返らずに、マルクは告げた。
その夜も、マルクは酒場に繰り出した。
その酒屋は魚料理が豊富で、メルビという白身魚とチェブ蛸のアヒージョが格別に美味かった。
客は漁師や、観測所で働いてるような揃いの防寒服を着た者たち、行商人と御者、冒険者は数少ない。
マルクの酔いが進んで、エールからホットワインに変わった頃、入口付近で騒ぐ連中がいた。
「よう、お嬢ちゃん美人だね。俺らと呑まねぇか?」
数少ない冒険者の中の、屈強な半裸を見せ付けるようにショルダーアーマーを装備し、なから露出狂にも見える男の、軽薄な声が店内に響いた。
マルクはカウンターを見つめていた、その虚ろな視線をそちらに向ける。
そこには浅葱色の長い髪を、俺が贈った赤瑪瑙の髪留めで高く結い上げた美しい彼がいて、軽薄そうな男たちに言い寄られ、ウシャンカ帽を手に白いマントを着たまま困った顔を見せていた。
マルクは一気に酔いが覚めて、眉間に皺を寄せると、持っていたグラスをガンッとカウンターに叩き置き、つかつかと渦中に歩み寄る。
そして軽薄男の腕を掴み、睥睨して低い声で告げる。
「この薄汚い手を離せ! お前が触れていい相手じゃない」
男は一旦怯んでから、マルクを睨め付ける。
「なんだよ、さっきからこの世の終わりのような目つきで飲んでた辛気臭ぇ兄ちゃんじゃねぇか、俺たちはこの綺麗な嬢ちゃんと今から飲むとこなんだよ、邪魔すんじゃねえよ」
男が臭い息を吐きながら、マルクに食ってかかる。
「彼は男だ」
マルクは冷ややかな鋭い眼差しを向け、地を這うような声で言い放つと、男の腕を捻り上げて、二人の手を解きニフリートの手を取る。
「きみはこんな所に来ちゃいけない」
そうニフリートの眸を見据えて告げ、会計を手早く済ませ、店外へ出てドアを閉めると男達の怒号は聞こえなくなった。
しん、と静まりかえった雪灯籠が灯された街路をニフリートの手を掴んだまま、足早に歩くマルク。手を繋いだまま必死に着いていくニフリートの白いマントは揺れる。
今まで見たことのないマルクの怒気を孕んだ表情は少し怖い。けれどニフリートは勇気を出して白い息を弾ませながら声を出す。
「あの……あのね。マルクがお酒飲みすぎちゃうと思って、……迎えに来たんだ」
ニフリートは最近、深酒をするマルクを慮っていた。
マルクは足を止め振り返ると、ニフリートの髪留めに触れて髪を梳き、寒さに朱をさした頬を撫でると愛おしそうに見つめた。
「心配かけてすまなかった。……けれど、ああいう場所に来ては駄目だ、危ない」
マルクは来てるのになぜ僕だけ?と言う疑問を持ちながらもニフリートは首肯すると、マルクはいつもの柔和な微笑みに戻った。
安堵したニフリートも笑みで返した。
マルクはニフリートの手にあったウシャンカ帽を彼の頭に被せて、目を細める。
落ち着いた二人は、凍結した路地を手を繋いで、転ばないようにゆっくりと慎重に歩いて宿に帰る。
外気は寒いけれど、繋いだ二人の掌は暖かかった。
──真っ白な世界に、青く稚い愛が交わることもなく、並行を辿っていく──
0
あなたにおすすめの小説
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
【完結済】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている
キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。
今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。
魔法と剣が支配するリオセルト大陸。
平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。
過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。
すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。
――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。
切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。
全8話
お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /c
執着
紅林
BL
聖緋帝国の華族、瀬川凛は引っ込み思案で特に目立つこともない平凡な伯爵家の三男坊。だが、彼の婚約者は違った。帝室の血を引く高貴な公爵家の生まれであり帝国陸軍の将校として目覚しい活躍をしている男だった。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
「自由に生きていい」と言われたので冒険者になりましたが、なぜか旦那様が激怒して連れ戻しに来ました。
キノア9g
BL
「君に義務は求めない」=ニート生活推奨!? ポジティブ転生者と、言葉足らずで愛が重い氷の伯爵様の、全力すれ違い新婚ラブコメディ!
あらすじ
「君に求める義務はない。屋敷で自由に過ごしていい」
貧乏男爵家の次男・ルシアン(前世は男子高校生)は、政略結婚した若き天才当主・オルドリンからそう告げられた。
冷徹で無表情な旦那様の言葉を、「俺に興味がないんだな! ラッキー、衣食住保証付きのニート生活だ!」とポジティブに解釈したルシアン。
彼はこっそり屋敷を抜け出し、偽名を使って憧れの冒険者ライフを満喫し始める。
「旦那様は俺に無関心」
そう信じて、半年間ものんきに遊び回っていたルシアンだったが、ある日クエスト中に怪我をしてしまう。
バレたら怒られるかな……とビクビクしていた彼の元に現れたのは、顔面蒼白で息を切らした旦那様で――!?
「君が怪我をしたと聞いて、気が狂いそうだった……!」
怒鳴られるかと思いきや、折れるほど強く抱きしめられて困惑。
えっ、放置してたんじゃなかったの? なんでそんなに必死なの?
実は旦那様は冷徹なのではなく、ルシアンが好きすぎて「嫌われないように」と身を引いていただけの、超・奥手な心配性スパダリだった!
「君を守れるなら、森ごと消し飛ばすが?」
「過保護すぎて冒険になりません!!」
Fランク冒険者ののんきな妻(夫)×国宝級魔法使いの激重旦那様。
すれ違っていた二人が、甘々な「週末冒険者夫婦」になるまでの、勘違いと溺愛のハッピーエンドBL。
希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう
水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」
辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。
ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。
「お前のその特異な力を、帝国のために使え」
強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。
しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。
運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。
偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる