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猫獣人
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僕は魔石省の白の詰襟の制服に身を包み、仕事で魔石の研磨を行っている。最近の悩みの種の賢者様の声が脳内に響いてくる。念話以外でも僕の心の声まで聞こえてしまうから厄介だ。
〈おい、お前!せっかく俺様の魔力を受け継いだのに、そんなチンケな石ばっかり磨いてないでさー、修業に出かけたりしなくていいのかよ〉
〈この魔石を磨くのが僕の仕事なの!もう、危ない所には1人で行かないと、セオと約束したんだ……行かないよ!〉
〈僕、ぼく、ボク……って二十歳にもなって!僕っ子ぶりっこかっ!〉
俺って言ってみたら違和感があったんだから仕方ないじゃん。ぶりっこって……死語だし……。
〈私語?ん、なんだそれ〉
あ、おじいちゃん……。
〈俺はお前のおじいちゃんじゃねぇ!〉
この国のどんな偏屈なおじさんも猫だと思うと、何だかほっこりして憎めなくなるのだが、この意識体の金色の光、即ち賢者様だけはどうしても無理だ。
〈それはそうと、僕はなんで金色の毛並みで尻尾はふさふさになってしまったの?〉
〈それは俺の最強魔力の影響だな!カッケェだろ!〉
金色とか嫌なんですけど……、出来れば保護色が良かった。すぐに魔獣にやられそう……。
〈最強だから安心しろ!嫌なら三毛猫に変化すりゃいいだろ?ピーピーうるせぇな〉
隣のデスクで作業しているサクラさん(黒ブチ猫、ハチワレ)が、表情がくるくる変わり溜め息や怒っている僕の様子を見て、この人大丈夫なのか?と言いたげな目線を送ってくるので、愛想笑いで誤魔化す。
〈賢者の俺様が、お前にこの国の起源について話をしてやろう〉
〈仕事中なので結構です〉
〈大事な話だから、まあ、聞いとけって!石磨きながらでいいからよぉ〉
気乗りしない僕を他所に話し出す。
〈昔、魔女と猫が多く住む小さな国があって、魔女は猫を愛し幸せに暮らしていたんだ。人間が住む隣国は、強力な魔法を恐れて魔女を異端として位置付け、排除することになった。それが、あの魔女狩りだ。
魔女狩りと称し、その国の魔女全員を処刑して、殆どの猫を時計台から投げ殺した〉
〈酷いな…….殆どの猫って……史実では黒猫だけの筈だけど……〉
〈黒猫だけじゃねぇ、化けてるかもしれねぇからって殆どの猫が投げ殺された、
魔力もスキルも国随一と言われていた魔女クレアはその光景を見て、嘆き、死ぬ間際に、こんな悲しいことが二度と起こらないようにと、最後に生き残った番の猫に自分の魔力を注ぎ込んで、この2匹を守人として、次に生まれる子供からは過度の魔力は与えず、その代わりに人としての知恵を与えた。過度な魔力は魔女狩りの標的になると思ったんだ。それが猫獣人の謂れだ。クレアの希望……、言わば呪いだな。
産まれて来た子供が人型になれずに亡くなる子がいるのも呪いの弊害だ。
守人になった番の猫は、どうにかこうにか逃げ延びて、遥か東方の緑が豊かなこの土地に一国を築き上げた。
この国の高い建物の屋上は柵に覆われているだろ!物理的に柵で覆えない時計台や、窓から見える学院の鐘塔も出来る限り高く創り、上に登って足が 含んで立っていられないようになっている。
それはそうと、始祖の番の一人は誰だと思う?〉
え!?誰って僕の知ってる人かなぁ?
〈俺様のこの顔見てもわからないのかよ!〉
いや、意識体だし。表情は見えない……。
〈お前が魔力コントロールがポンコツだからだろっ! 始祖の一人は俺様だよ!〉
えー!またまたぁ、始祖様はそんな話し方はしないってー。
〈お前の基準は、全て話し方なのか? ……まぁいいや、俺ら守人は初めは猫の妖精として実体化して戦っていたんだけど、何百年と経って魔力はあっても自分では上手く使えなくなっていって……誰かに魔力を譲渡しないと使えなくなったんだ。
だからお前はもっと精進して、魔法を覚えなくちゃならないんだ!〉
〈そんなこと言われても……〉
〈この前は、随分お楽しみだったみてえじゃねぇか。また魔力コントロールが上手く行かなくなったら恋人に縋るのかぁ?〉
お楽しみとか言わないでよ、恥ずかしい。
〈そりゃ、困るけど……。 うーん、危ない所には絶対行かないからね!……そうだ!場所は良い所がある、僕に任せて!〉
週末、魔法の練習に行くことになった。
〈おい、お前!せっかく俺様の魔力を受け継いだのに、そんなチンケな石ばっかり磨いてないでさー、修業に出かけたりしなくていいのかよ〉
〈この魔石を磨くのが僕の仕事なの!もう、危ない所には1人で行かないと、セオと約束したんだ……行かないよ!〉
〈僕、ぼく、ボク……って二十歳にもなって!僕っ子ぶりっこかっ!〉
俺って言ってみたら違和感があったんだから仕方ないじゃん。ぶりっこって……死語だし……。
〈私語?ん、なんだそれ〉
あ、おじいちゃん……。
〈俺はお前のおじいちゃんじゃねぇ!〉
この国のどんな偏屈なおじさんも猫だと思うと、何だかほっこりして憎めなくなるのだが、この意識体の金色の光、即ち賢者様だけはどうしても無理だ。
〈それはそうと、僕はなんで金色の毛並みで尻尾はふさふさになってしまったの?〉
〈それは俺の最強魔力の影響だな!カッケェだろ!〉
金色とか嫌なんですけど……、出来れば保護色が良かった。すぐに魔獣にやられそう……。
〈最強だから安心しろ!嫌なら三毛猫に変化すりゃいいだろ?ピーピーうるせぇな〉
隣のデスクで作業しているサクラさん(黒ブチ猫、ハチワレ)が、表情がくるくる変わり溜め息や怒っている僕の様子を見て、この人大丈夫なのか?と言いたげな目線を送ってくるので、愛想笑いで誤魔化す。
〈賢者の俺様が、お前にこの国の起源について話をしてやろう〉
〈仕事中なので結構です〉
〈大事な話だから、まあ、聞いとけって!石磨きながらでいいからよぉ〉
気乗りしない僕を他所に話し出す。
〈昔、魔女と猫が多く住む小さな国があって、魔女は猫を愛し幸せに暮らしていたんだ。人間が住む隣国は、強力な魔法を恐れて魔女を異端として位置付け、排除することになった。それが、あの魔女狩りだ。
魔女狩りと称し、その国の魔女全員を処刑して、殆どの猫を時計台から投げ殺した〉
〈酷いな…….殆どの猫って……史実では黒猫だけの筈だけど……〉
〈黒猫だけじゃねぇ、化けてるかもしれねぇからって殆どの猫が投げ殺された、
魔力もスキルも国随一と言われていた魔女クレアはその光景を見て、嘆き、死ぬ間際に、こんな悲しいことが二度と起こらないようにと、最後に生き残った番の猫に自分の魔力を注ぎ込んで、この2匹を守人として、次に生まれる子供からは過度の魔力は与えず、その代わりに人としての知恵を与えた。過度な魔力は魔女狩りの標的になると思ったんだ。それが猫獣人の謂れだ。クレアの希望……、言わば呪いだな。
産まれて来た子供が人型になれずに亡くなる子がいるのも呪いの弊害だ。
守人になった番の猫は、どうにかこうにか逃げ延びて、遥か東方の緑が豊かなこの土地に一国を築き上げた。
この国の高い建物の屋上は柵に覆われているだろ!物理的に柵で覆えない時計台や、窓から見える学院の鐘塔も出来る限り高く創り、上に登って足が 含んで立っていられないようになっている。
それはそうと、始祖の番の一人は誰だと思う?〉
え!?誰って僕の知ってる人かなぁ?
〈俺様のこの顔見てもわからないのかよ!〉
いや、意識体だし。表情は見えない……。
〈お前が魔力コントロールがポンコツだからだろっ! 始祖の一人は俺様だよ!〉
えー!またまたぁ、始祖様はそんな話し方はしないってー。
〈お前の基準は、全て話し方なのか? ……まぁいいや、俺ら守人は初めは猫の妖精として実体化して戦っていたんだけど、何百年と経って魔力はあっても自分では上手く使えなくなっていって……誰かに魔力を譲渡しないと使えなくなったんだ。
だからお前はもっと精進して、魔法を覚えなくちゃならないんだ!〉
〈そんなこと言われても……〉
〈この前は、随分お楽しみだったみてえじゃねぇか。また魔力コントロールが上手く行かなくなったら恋人に縋るのかぁ?〉
お楽しみとか言わないでよ、恥ずかしい。
〈そりゃ、困るけど……。 うーん、危ない所には絶対行かないからね!……そうだ!場所は良い所がある、僕に任せて!〉
週末、魔法の練習に行くことになった。
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