【BL】異世界転移したら猫獣人の国でした〜魔石食べたらチートになりました〜

アベンチュリン

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視察②

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 ライナルト様と話し込んでいると、メスの子猫が僕の隣に来て上衣の裾を噛んでひっぱる。

「ん!どうしたの?」優しく問う。

「このスープ、ボスにあげてもいい?」

「もちろんだよ、ボスに挨拶したいから一緒に行ってもいいかな?」

「いいよ」と子猫は歩き出し案内してくれた。

 案内された部屋をノックして入ると、人型用の大きいベッドに猫型が横たわっていた。
 歳は僕とあまり変わらないくらいの青年だった。
 顔色も悪い、眠りながら息も荒く、うなされている。

「ヒール」回復魔法を唱えると、身体の肺とお腹の部分が光った、きっと悪くなっている箇所だと思う。免疫力もだいぶ落ちてきている、あまり猶予がないと感じて、自分の足を治した以来使ったことがなかったが、治癒魔法を唱えた。

「我が神、猫神よ、我が祈りを生命に変え、彼の者にわかち与えたまえ!」

 自然と詠唱が浮かんできた。魔力を精一杯込める。
 暫く経つと、先程光っていた箇所は光らなくなっていた。
 膨大な魔力を持っている僕でも疲弊して、ひととき寝落ちをした。

 浅い眠りから覚めるとセオの上着が肩にかかっていた、様子を見に来て心配して掛けてくれたのだろう。
 ベッドにいた青年は血の気の戻った顔色で、眼を丸くして驚いた表情をしていた。

「す、すみません突然、僕はセオドール王子妃のルカと申します。視察に来て皆んなに炊き出しをして……、あなたがボスですね、体調はどうですか?スープ飲めますか?」

 五月雨式に伝えると、彼は上体を起こして。

「ははっ、いやぁ、すみません。俺はダニエルといいます。回復魔法ですか?だいぶ身体が楽になりましたありがとうございます。スープも貰おうかな」
 
 何だか気さくな人だった。スープの皿を口元に持っていくと猫飲みもできて、具材だけスプーンで介助した。
 子猫達はボスが元気になったと喜んだ。

 今日は調子が良いと少し話をした。協力して暮らしているグループが他にもあることや、ここにいる子でも短い時間なら人型になれる子もいることを教えてもらう。
 あまり長い時間は体に障るからと休んで貰った。

 ダニエルがいたからこそ、ここの子猫達は生きて来れたんだ感謝しかない。
 まあ、盗みや犯罪は許されないけれど……。早く回復して欲しいと願った。



 子猫達が他グループの所へ案内してくれると言ってくれたので、その日のうちに回った。セオ、ライナルト様、護衛の騎士も一緒に来てくれた。子猫が先に事情を話してくれるので拒否されることもなく受け入れて貰えた。
 同様に炊き出しを行なって、不便なことはないか話しを聞く。

 あるグループで、人型どころか話も出来ない子がいるから見て欲しいと嘆願される。

 様子を見に行くと、その子猫はミャーミャーと、ずっと鳴いている。
 猫型は親や恋人に甘える時に鳴くくらいで普段からこんなに鳴く子はあまりいない。

「この子は全然話さないから名前もわからなくて、皆んなでミルクって名づけたの黒のブチが牛みたいで可愛いでしょ?」メスの子猫が教えてくれた。

 もしかしてと思い、試しにテイムできるかやってみる。cat Mの文字が……、やっぱり普通の猫だ!従魔契約しますか?『はい』を選んた。ステータスは……、勿論何もない、が会話と言うスキルがある。試しに発動してみよう。

〈僕はルカ、君は何処から来たの?〉

〈びっくりした!お前、オイラと話せるの?オイラは外国から来たんだ。幌馬車が涼しくて入り込んで寝ていたら、こんな国に来ちまって〉ミャーミャー鳴きながら念話する。

 仲間に気を使ったのか、サイレントニャーになった。

〈この国の耳の生えた人間は全然撫でてくれないし、ここなら仲間がいると思ったけど皆んな人語みたいなのを話すから、全然コミュニケーションが取れないし……、オイラ人間の国に行って飼い猫になりたいんだ〉

 飼い猫……、はっ、とした。この国では猫型の身体を撫でるグルーミングは恋人やパートナーに対する求愛行動なのだ、友人や知り合いに容易にすることは出来ない。再び普通に鳴きながらの念話になる。

〈人間の国の里親を見つけることは出来ると思う。けれど飼い猫になるって事は去勢することになるはずだよ、それでも飼い猫になりたいの?〉

〈人間の手は優しくて暖かくて……撫でられると幸せな気分になるだろ、だから飼い猫になりたいんだ。オイラ生まれてから少しの間、飼い猫だったんだ、家の窓が少し開いてて、好奇心に勝てなくて飛び出したんだ〉

 飛び出したと聞いてクロの記憶がフラッシュバックして思わずミルクを抱き上げた。

〈おい!苦しいよ……、飛び出してからは家がわからなくなって野良猫になっちまったんだ。猫の集会のおばちゃん猫達が言ってた、去勢は飼い猫になる為のルールなんだって、人間はオイラ達が増え過ぎると困るんだろ、去勢だって痛いのは一瞬だけなら、オイラ飼い主と穏やかに暮らせる方が良い〉

 その言葉を聞いたら、自然と大粒の涙が落涙した。

「ありがとう……ありがとう」声に出てしまい、抱きしめる力が強くなる。

〈どうしたんだよ、オイラ泣くような事言ってないぞ〉

 いきなり泣き出す様子を見て、周りはギョとして戸惑う。

「ごめんなさい、この子が良い子過ぎて……。説明すると、ミルクは外国から来た普通の猫です」

「普通の猫?」「これが始祖様?」皆、口々に驚いている。それはそうだ、この国は奴隷制が禁止されているからなのか、猫型と区別のつきにくい普通の猫は輸入禁止なので移民でなければ見たことがない国民が殆どだろう。
 我が国ネルザンドは猫獣人の為の国であって普通の猫は暮らせない国なのだ、何とも世知辛い。

 ライナルト様に国に出入りする人種族の行商人等に里親になって貰える人がいるか聞いてもらい、里親が見つかるまで特例で僕が猫を保護することなった。

 子猫達はミルクとの別れを惜しんだ。「元気でいてね」「幸せに暮らせよ」口々に伝えて頭を撫でた。
 

 



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