【BL】異世界転移したら猫獣人の国でした〜魔石食べたらチートになりました〜

アベンチュリン

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魔導具②

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 フレデリック宮殿の西に位置する省庁舎(通称キャットタワー)には各省庁と役所が入っている。
 その7、8階に魔石省がある。7階はすべて工場となっており、8階がオフィスになっている。
 8階西の一番奥から省長室、ヒネク博士のオフィス、設計付与課と続いている。
 エレベーターでばったり省長に遭遇できたので、例の創造魔法の魔導具の複製について聞いてみた。
 何故こんなに複製が困難なのかというと、まず創造魔法の術師がこの世界に非常に少ないので試みること自体が少ない、僕も試しに同じ魔導具を作成してみたがまったく同等には出来なかった。賢者様にも相談したが複製には複製スキルが必要で主に魔法術の複製が主流で物の複製は数が多くなるほど難しいと教えてくれた。魔法設計(魔法陣)が出来れば容易に工場生産だって出来るのに……。

「複製ねぇ……そうか!それなら適した人材がいるぞ、連絡取ってあげるから面会に行くと良いよ」と省長が言った。

「宜しくお願いします」と省長室前で見送って、やっと前進するかと安堵した時だった。
 隣の部屋からマグカップを持ったやつれた人が出てきた。

 ヒネク博士だ。博士は僕を見るなり爛々らんらんと眼の色を変え。

「君はルカくんじゃないか!聞いたよ君、魔石食べたんだって?研究させてくれないか?……ふふ、どうやったら魔石が出てくるの?」興奮気味に僕の耳元で話すとマグカップを手にした腕で器用に抱き寄せられ、利き手で僕の制服のボタンを外し始めた、思わず「うゎぁーー!」と叫んでしまった。何事かと省長やら設計付与課の何人か廊下に出てきて博士を取り押さえる。

 省長が「いま大きいプロジェクトで缶詰してて、疲れが溜まるとたまにこうなるんだ気をつけて!……ほら博士!魔導列車の設計まだ途中だろ、お茶は誰かに持って行かせるから」

「そうだった」博士は眼鏡をカチャっと上げて落ち着きを取り戻し部屋に戻っていった。

 びっくりしたー、博士ってこんな人だったんだ。こたつのお礼も言えなかったな。
 しかし魔石のことを何で知ってたんだ?……アドリーヌ先生から聞いたのかな?二人は幼馴染だと聞いたことがある。もー、個人情報漏洩じゃん!

      ☆

 イースタンの復興計画は大きく分けて二つある。

①街の修繕、住民台帳の作成。

②孤児達の衣食住の確保、自立。

 修繕工事は急ピッチで進んでいる。住民台帳を作り始めて分かったのは、身寄りのない老猫も多く、孤児は十歳を満たない齢の人型にもなれる子猫もいた……、そう、普通の孤児だ。台帳を戸籍とも紐付け、国からの補助や医療を受けたり身分証の発行をする。
 
 十三歳以下の孤児の子猫は不足している就学を受けて貰って、十四歳以上は本人の希望で就学か就職かを選んでもらった。殆どの子猫は今の生活を安定させたい、今まで街に迷惑をかけた分、復興を手伝いたいと申し出てくれた。
 正直この若さで働かせるのは胸が痛かったが、それにかえても人手が足りないのだ。街の復興が済んだころ、改めて就学を進めたいと思っている。
 廃ビル等で生活していた子猫達は、国で用意した空き家に移ってもらい、足りない家導具(家電)は魔石省から寄贈して頂いた。
 炊き出しはなるべく食材で納入して、最初はボランティアさんと一緒に調理を教えて貰い、ゆくゆくは子供達だけで支度が出来るように。
 衛生面にも気をつけて猫型を人型で入浴介助して貰った。

 人型の人手がとにかく足りなく、人型を数時間も保てない獣人でも12時間人型を保てるペンダントを僕が創造魔法で作成して子猫達で試し完成できたので複製して早く皆に届けたい。

 孤児グループは『シャウルー』(意味:幸せな猫)と名付けて、猫の紋章を目印としていれたペンダントを着けて働いて貰っている。シャウルーに対して一方的に危害を及ぼす行為等は罰金対象だ。
 住民台帳の作成、街の見回り(グループに入ってない孤児を仲間に誘ったり、窃盗等の犯罪が行なわれていないか、条例で禁止して罰金対象とした子猫を捨てる行為は行われていないか)をして貰った。
 シャウルーの活動で働いている時間は給金を出して、ゆくゆくは子猫達だけで生活ができるようにしていきたい。
 猫型で働ける仕事も順次探していて、そのひとつにねずみ食肉の農園で収穫の手伝いが出来るのではないかと、ある魔導具を持って営業に行こうかと考えている。

 いずれは子猫達が自立出来るようになって親御さんが引き取りに来たり、面会だけでも来てくれるようになって欲しい、子猫達にとって唯一の存在なのだから。役所に子育て相談の窓口も設置した。

 人型になれない障害について多くの民に知って貰って、猫型でも生活しやすい未来にして行きたい。
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