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魔導具
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ルカは模索していた、創造魔法で作った魔道具を正確に複製する術はないものかと…………。
魔石省で年に一度、健康診断がある。その検査の項目に魔力測定があり、膨大な魔力を有する僕は測定結晶を破壊してしまった。その情報が流れたのか人事部に目をつけられ省長から「魔力が有り余ってるなら、設計付与課に転属してみない?」と打診があり、前々から興味があった設計付与課に転属となった。
いざドアの前に立つと緊張してきたので、深呼吸をして落ち着いてからドアを開けると、忙しないというよりかは皆集中して作業をしている情景が視界に飛び込んだ。
「今日から配属になりました、ルカ・マルコヴィックと申します、宜しくお願いします」と挨拶をしてみても誰も振り向いてはくれず、視線の合った人に声をかける作戦に切り替えた。旧姓を名乗り、三毛猫の姿で登省している。
その時、一人と目があって駆け寄ってきた。
「いやぁ、悪いね皆集中してて。初めまして私は課長のベーレンドルフ(バーマン種)です、君がマルコヴィック君かな?机は入り口から三番目の北側になります。始めは隣りのブルーム君と同じ仕事内容なので……」
その机まで二人で行き、課長はブルーム(ベンガル種)の机をトントンと軽く叩いて気付かせる。驚いて付与が駄目にならないよう、この課のマナーなのだろう。
「ブルーム君、こちら新入りのマルコヴィック君。最初の仕事を教えてくれるかな?」
「うぃっす」チャラい返答をする彼はヒョウ柄の毛並みで、今どきの若者らしい言動だ。僕より若そうだった。
「ルカ・マルコヴィックと申します、宜しくお願いします」
「ちぃーす」
言動はチャラいが、仕事には真面目で教え方も上手だった。オフィスの一階下は工場になっていて、最初は大量生産品を魔道機械で作成する、操作盤の魔法設計(魔法陣)に魔力を流すだけの簡単な仕事だ。機械だから失敗は殆どない、これで魔力を流す感覚を掴んでいく。
生産数が予定まで出来たら、次は少量生産品を仕様書通りに付与していく。付与担当はオフィスより工場にいる時間の方が長い。小物の一点もの等は机で付与することもあるようだ。
ふと、工場内を見まわすと、魔石省の詰襟の制服をゴスロリ風にアレンジした服をまとい、厚底ブーツを履いてツインテールに髪を結ったアメリカンショートヘアー種のメスがいた。この世界にゴスロリ?と思われるかもしれないが、彼女は魔石ジャーナルという雑誌にも載るくらい有名な、僕がヒネク博士の次に尊敬するフェリシエンヌ・アルノーだった。
彼女の設計付与した家導具(家電)は、とにかくセンスが良い。家導具のフォルムだったり、魔石の配置だったり彼女のは他のものとは全然違う。
勇気を出して話しかけてみた。まずは床をトントンと足で軽く叩く、手を止め見上げた彼女に。
「転属になりました、新入りのルカ・マルコヴィックです。宜しくお願いします」と挨拶をする。彼女は立ち上がると短身で顔が小さく子供みたいだ、歳はいくつなんだろう……。目を見開いたと思ったら訝しげな目線を送られて、何かに気づいたのか今度はぱちくりさせた。
「アンタが測定結晶を壊したルカ?ちょうど良かった!魔力で加工して欲しいものがあるんだけどお願い出来る?」初対面のはずなのに、歯に衣着せぬ勢いだ。
見せて貰ったのは冷蔵庫で、ドア部分に強化硝子が埋め込まれていた。
「この珍しい虹色に光る魔石結晶の粉をラメみたいにこの硝子に散りばめられない?必要なのは185g 」
勢いで押されたのもあったが、好奇心が勝った。
「やってみます」
硝子を壊さないように、粒子レベルまでイメージをして結晶を中に散りばめた。
「それぞれのラメの角度を変えて違う色に反射するように出来る?」
すごく繊細な作業だったが慎重に時間は少しかかったが無事に完成した。
「わー、可愛い。すごいわね!この加工が出来るのは、この課でアンタくらいよ」といたく喜んで褒めちぎられた。
「アルノーさんの家導具は本当にセンスが良いですね!僕、カントリーシリーズの冷蔵庫持ってます。ログハウスにぴったりで……」
「そう?」と素っ気なく返すが、赤面している。
「個展でも開いて、受注生産すればもっと高価でも売れそうですね……」
「そうね、それももちろん素敵だけど私はセカンドラインを攻めるのは辞めない。平民でも汎用品より少しのお金を出せば買えるくらいが丁度良い!センスの良い家導具が家に一つあるだけで気分がアガルでしょ?そういう気持ちを大事にしたいの。私達は魔石省、アンティーク屋じゃない!民に寄り添って、民の為の家導具を作る場所なのよ」
思わず賛同して頷いた。ああそうか、そういう気持ちがこもっているから、あんな素敵な家導具ができるんだ。虹色の魔石だって個体だったら高価で使えないから、敢えてラメのように使える魔石結晶を使ったんだ。
こんなに話ができるチャンスはそうそうないだろうと、いま模索している魔導具の複製について聞いてみた。この二つの魔導具の複製はイースタンの復興を左右するくらい重要な物なのだ。
「アンタ、創造魔法が使えるなんて凄いじゃない!複製なら省長に相談したら良い人を紹介してくれるかもよ」と教えてくれた。
魔石省で年に一度、健康診断がある。その検査の項目に魔力測定があり、膨大な魔力を有する僕は測定結晶を破壊してしまった。その情報が流れたのか人事部に目をつけられ省長から「魔力が有り余ってるなら、設計付与課に転属してみない?」と打診があり、前々から興味があった設計付与課に転属となった。
いざドアの前に立つと緊張してきたので、深呼吸をして落ち着いてからドアを開けると、忙しないというよりかは皆集中して作業をしている情景が視界に飛び込んだ。
「今日から配属になりました、ルカ・マルコヴィックと申します、宜しくお願いします」と挨拶をしてみても誰も振り向いてはくれず、視線の合った人に声をかける作戦に切り替えた。旧姓を名乗り、三毛猫の姿で登省している。
その時、一人と目があって駆け寄ってきた。
「いやぁ、悪いね皆集中してて。初めまして私は課長のベーレンドルフ(バーマン種)です、君がマルコヴィック君かな?机は入り口から三番目の北側になります。始めは隣りのブルーム君と同じ仕事内容なので……」
その机まで二人で行き、課長はブルーム(ベンガル種)の机をトントンと軽く叩いて気付かせる。驚いて付与が駄目にならないよう、この課のマナーなのだろう。
「ブルーム君、こちら新入りのマルコヴィック君。最初の仕事を教えてくれるかな?」
「うぃっす」チャラい返答をする彼はヒョウ柄の毛並みで、今どきの若者らしい言動だ。僕より若そうだった。
「ルカ・マルコヴィックと申します、宜しくお願いします」
「ちぃーす」
言動はチャラいが、仕事には真面目で教え方も上手だった。オフィスの一階下は工場になっていて、最初は大量生産品を魔道機械で作成する、操作盤の魔法設計(魔法陣)に魔力を流すだけの簡単な仕事だ。機械だから失敗は殆どない、これで魔力を流す感覚を掴んでいく。
生産数が予定まで出来たら、次は少量生産品を仕様書通りに付与していく。付与担当はオフィスより工場にいる時間の方が長い。小物の一点もの等は机で付与することもあるようだ。
ふと、工場内を見まわすと、魔石省の詰襟の制服をゴスロリ風にアレンジした服をまとい、厚底ブーツを履いてツインテールに髪を結ったアメリカンショートヘアー種のメスがいた。この世界にゴスロリ?と思われるかもしれないが、彼女は魔石ジャーナルという雑誌にも載るくらい有名な、僕がヒネク博士の次に尊敬するフェリシエンヌ・アルノーだった。
彼女の設計付与した家導具(家電)は、とにかくセンスが良い。家導具のフォルムだったり、魔石の配置だったり彼女のは他のものとは全然違う。
勇気を出して話しかけてみた。まずは床をトントンと足で軽く叩く、手を止め見上げた彼女に。
「転属になりました、新入りのルカ・マルコヴィックです。宜しくお願いします」と挨拶をする。彼女は立ち上がると短身で顔が小さく子供みたいだ、歳はいくつなんだろう……。目を見開いたと思ったら訝しげな目線を送られて、何かに気づいたのか今度はぱちくりさせた。
「アンタが測定結晶を壊したルカ?ちょうど良かった!魔力で加工して欲しいものがあるんだけどお願い出来る?」初対面のはずなのに、歯に衣着せぬ勢いだ。
見せて貰ったのは冷蔵庫で、ドア部分に強化硝子が埋め込まれていた。
「この珍しい虹色に光る魔石結晶の粉をラメみたいにこの硝子に散りばめられない?必要なのは185g 」
勢いで押されたのもあったが、好奇心が勝った。
「やってみます」
硝子を壊さないように、粒子レベルまでイメージをして結晶を中に散りばめた。
「それぞれのラメの角度を変えて違う色に反射するように出来る?」
すごく繊細な作業だったが慎重に時間は少しかかったが無事に完成した。
「わー、可愛い。すごいわね!この加工が出来るのは、この課でアンタくらいよ」といたく喜んで褒めちぎられた。
「アルノーさんの家導具は本当にセンスが良いですね!僕、カントリーシリーズの冷蔵庫持ってます。ログハウスにぴったりで……」
「そう?」と素っ気なく返すが、赤面している。
「個展でも開いて、受注生産すればもっと高価でも売れそうですね……」
「そうね、それももちろん素敵だけど私はセカンドラインを攻めるのは辞めない。平民でも汎用品より少しのお金を出せば買えるくらいが丁度良い!センスの良い家導具が家に一つあるだけで気分がアガルでしょ?そういう気持ちを大事にしたいの。私達は魔石省、アンティーク屋じゃない!民に寄り添って、民の為の家導具を作る場所なのよ」
思わず賛同して頷いた。ああそうか、そういう気持ちがこもっているから、あんな素敵な家導具ができるんだ。虹色の魔石だって個体だったら高価で使えないから、敢えてラメのように使える魔石結晶を使ったんだ。
こんなに話ができるチャンスはそうそうないだろうと、いま模索している魔導具の複製について聞いてみた。この二つの魔導具の複製はイースタンの復興を左右するくらい重要な物なのだ。
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