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冥界
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冥界、あの世、黄泉。
生きとし生ける者の終着地点。
始まりを迎える者の出発地点。
人間であろうと魔族であろうと、この世界は平等に生者を招き入れる。
正式な死を迎えていない半端者の私には、居心地が悪い場所だ。
「さっさと終わらせよう。冥界の番人に見つかったら厄介だ」
昼も夜も無く、時間の概念すら無い世界で、私はとある場所を目指す。
黒薔薇の侵食区域。
本当の呼び名は知らない。そもそも呼び名など存在しないのかもしれないが、私はそこをそう呼んでいる。
太陽の光も、月明かりすら存在せず生の存在を感じない世界から切り離されたように、あるいはどこからか侵食してきたかのように現れる森。
その奥に、様々な植物と一際目立つ黒薔薇に囲まれた一件の小屋がある。
良かった。明かりが点いている。
小屋の中から漏れる淡い光を見て、ほっと安堵する。
私はここの家主に会う為に、わざわざ冥界へやってきたのだ。これで留守にされていたらお手上げだった。
「ごめんください。お邪魔しますよ」
コンコン、と扉を軽くノックした後、家主の返事を待つ事無く中へと入る。
探している人物は、扉を開けてすぐの部屋の、最奥の椅子に腰掛けていた。
来訪者の存在に気付いていないかのように、手元の書物に目を落とし続ける女性。
書物を持つ手は陶器のように白く、腰元まで伸びた髪も銀白色と、全体的に色素が薄い。
パタンと後ろ手に私が扉を閉めると、彼女はようやく私に視線を向けてくれた。
「……招かれざる客ね」
「随分なご挨拶ですね。何十年振りに会ったというのに」
「私の意見じゃ無いわ。この世界の意見よ」
静かに本を閉じ立ち上がれば、線の細い身体を包む黒いローブ・デコルテと肘上まであるオペラ・グローブがよく映える。
「貴方は生者であると同時に死者でもある、どちらの世界からも弾かれた存在。違う?大賢者様」
カツカツと足音を立てて近寄り、責めるでも無く憐れむでも無く、ただある真実を紅の瞳が訴えてくる。
「全くもってその通り。でも私の世界を救うにはそうするしかなかった。貴女なら分かるでしょう?黒薔薇の魔女、メーディア。私に力を授けてくれたのは、貴女なのだから」
私が跪いて手を取り口付けすると、メーディアの整った顔が引き攣った。
頬を赤らめるでも無く、血の気が引いて白い肌が青白くなる。
人間嫌い、ひいては男嫌いは相変わらずのようだ。
「……別に私は、やり方を教えただけ。反魂の法を物にし、あらゆる魔法を駆使して不老不死の力を得たのは、紛れもなく貴方の力よ」
メーディアは私から逃げるように背を向け、口付けされた手をさする。
「それでも、死霊術の知識は私より貴女の方が遥かに詳しい。今日はその知識をお借りしたくここまで来たんです」
今の私があるのは、この黒薔薇の魔女メーディアのおかげだ。
死ねば自分の身体が魔王として利用される呪いをかけられ、死を遠ざける為の旅に出た際、私に光を与えてくれた存在。
自らを殺し、自身の肉体に魂を定着させる事で生ける屍となった私は、寿命という概念に囚われなくなった。
残念ながら魔王の魂を浄化する事は出来なかったが、その後はあらゆる知識、あらゆる魔法を習得して肉体の死すらも遠ざけた。
私が死ぬ時が来るとすれば、魔王を内から消し去った時か、私の精神が死んだ時だろう。
「平然と言うけど、簡単に足を踏み入れて良い場所じゃないのよ?ここは」
メーディアは元いた位置に戻り、椅子に腰掛けながらそう窘める。
「分かっています。今も番人に見つからないか冷や冷やしてるんですから」
「……要件は?」
グローブを外しながら尋ねてくる行為に少しだけ傷付きながらも、私はここへ来た本題を口にする。
「生きた知り合いに冥婚を行った者がいるんです。冥婚相手と話し合いをさせたいのですが、相手は想いに縛られていて会話にならない。守護霊としては機能しておらず、いずれは彼女を取り殺してしまうでしょう。本人はおそらく、死んだ事を理解していない。死霊術で降霊させようにも、死を認知していない霊相手では私にはお手上げです」
「その死者と生者の縁は?」
「それなりに深いですね。幼くして亡くなっているので共に過ごした時間は少ないかと思いますが、生前から婚儀の契りを交わしている」
「だったら話は早いわね」
たった一つの質問だけでメーディアは解決策を導き出し、もう一つある部屋へと消える。
すぐに戻ってきた彼女が手にしていたのは、石榴の果実。
「これと、外に咲いている水仙を持って行きなさい。向こうに戻ったら石榴を半分にして一つは水仙と共に供養し、もう一つは冥婚相手が食べなさい。そうすれば、死者が降りてくるわ」
「それだけで良いんですか?」
「話し合いをしたいだけなら、それだけで十分よ。もっともこれは、ここまで来れた貴方だから出来る方法だけど」
それはつまり、冥界の水仙と石榴だからこそ出来る軌跡なのだと、メーディアは言う。
「でもここの物を生者が口にすれば、それなりの業を負う事になるわ」
「……それは?」
レオンティーヌが口にする物だ。内容によってはこの作戦は使えない。
メーディアはその業を淡々と口にする。
「まずはその冥婚相手と、生涯離れる事は出来なくなるでしょうね。守護霊とすれば何の問題も無い話ね。相手を認知出来るかどうかはその人次第だけど。それからしばらくは精神的にも不安定になる。……目を離さない事ね」
具体的な事は口にしていないのに、最後の言葉は忠告というよりも警告に近く感じる。
「分かりました。ありがとう、メーディア。このお礼はいつかまた」
「要らないわ。もうここには来ない方が良い。私がまだいるとも限らないし」
素っ気ない言葉ではあるが、メーディアもまた輪廻を待つ身の上。
かつて己の世界を滅びへと導いたという魂の業がどれほどの物なのか、私には計り知れないが、彼女もいずれは新しい人生を歩む事になる。
「では。……貴女の来世が、幸ある物でありますように」
私はそれだけ言い残して小屋から出た。
メーディアに言われた通り、池の近くに咲く水仙を摘み取る。
さて、これで用は済んだ。急いで帰ろう。
私は手にした石榴と水仙、二つを置き忘れないようしっかりと抱え自分の肉体へ戻るべく、魔力を練り上げた……。
「……動いたぞ!」
深い眠りから目覚める時のように、重たく上がらない瞼と戦っていると、近くから緊張した声が飛んでくる。
その直後、
「……いっ!?」
身を裂かれるような、いや、文字通り身を裂かれる衝撃が走る。
痛み自体は無いが、おかげで微睡んでいた脳は一気に覚醒し、視界が急速に開けた。
私の身体は自身が施した呪縛以外に鎖で簀巻き状態にされており身動きが取れず、そして目の前には剣を構えたレオンティーヌとセザールがいた。
二人とも満身創痍といった感じだが、レオンティーヌの闘士の炎は燃え盛っており気合いを入れて再び剣を振り上げる。
「ちょ、待つんだティーナ!私だ、戻ってきたんだ!」
慌てて抗議するが彼女の剣技は速く、勢いそのままに振り下ろされる。
「っ!」
脳天に走る衝撃に耐えるべく目を閉じるが、一向にそれは訪れず、恐る恐る目を開けると、剣先が目の前で止まっていた。
「……先生、なのか?」
ほんの少しだけ気を緩めるレオンティーヌ。
「ああ、そうだよ。私だよ。この姿を見れば分かるだろう?」
今の私の姿は、魔王のそれから人間に戻っている。
満月の日が開け、彼の時間はとっくに終了している。
「そんな事を言われても、先生の顔をした魔王かもしれないだろ?こっちは事情がよく分かっていないんだ。……だが、確かに先ほどまでの邪悪な気配はしないな」
値踏みをするように唸りつつも納得してくれたようで、目の前の武器を下ろされてほっと胸を撫で下ろす。
痛くは無くても、斬られるのは勘弁願いたい。
「彼かどうかはカメリアが教えてくれていただろう?」
「最初のうちはな。でも今はご覧の通り、眠り姫さ」
彼女が指差す先の寝台の上には、魔力が薄れて元の状態に戻ったカメリアが身体を丸めて眠っている。
ああ、一日以上経って疲れたんだな。仕方ないか。
レオンティーヌとセザールの疲弊ぶりを見れば分かるが、周りも棚に収まっていた本が飛び散っていたり壁に亀裂が走っていたりと、それなりに被害はあったようだ。
やっぱり肉体を離れるのは危険だな……。
「ところで先生。あの世に行って、成果はあったのか?」
レオンティーヌは剣を納め、近くでヘタれているセザールを労いつつ聞いてくる。
「ああ。上手くいけばテオドールと話し合いが出来るよ。ただしこれをやるかどうかはティーナ、君の意見を聞いてからだ」
「ん、そうか。なら、それはまた後で構わないか?今回は流石の私も疲れた」
「もちろんだよ。無茶を言って悪かったね。ありがとう。部屋は私の方で直しておくよ」
そう労いの言葉をかけると、レオンティーヌは一つ大きな欠伸をしながら部屋から出て行った。
そして取り残されたセザールは未だ放心状態で座り込んでいる。
「おーい、大丈夫かい?」
「……ひっ!?」
目が合ったかと思えば小さく悲鳴をあげ、
「ば、化け物!」
と叫んで走り去っていく。
「……傷付くなぁ」
仕方のない反応だと理解しつつもやはりショックだ。
やれやれとため息をつきつつ、私は冥界からの土産があるのを確認し、部屋を元通りの状態に戻してから少しだけ休憩することにした。
生きとし生ける者の終着地点。
始まりを迎える者の出発地点。
人間であろうと魔族であろうと、この世界は平等に生者を招き入れる。
正式な死を迎えていない半端者の私には、居心地が悪い場所だ。
「さっさと終わらせよう。冥界の番人に見つかったら厄介だ」
昼も夜も無く、時間の概念すら無い世界で、私はとある場所を目指す。
黒薔薇の侵食区域。
本当の呼び名は知らない。そもそも呼び名など存在しないのかもしれないが、私はそこをそう呼んでいる。
太陽の光も、月明かりすら存在せず生の存在を感じない世界から切り離されたように、あるいはどこからか侵食してきたかのように現れる森。
その奥に、様々な植物と一際目立つ黒薔薇に囲まれた一件の小屋がある。
良かった。明かりが点いている。
小屋の中から漏れる淡い光を見て、ほっと安堵する。
私はここの家主に会う為に、わざわざ冥界へやってきたのだ。これで留守にされていたらお手上げだった。
「ごめんください。お邪魔しますよ」
コンコン、と扉を軽くノックした後、家主の返事を待つ事無く中へと入る。
探している人物は、扉を開けてすぐの部屋の、最奥の椅子に腰掛けていた。
来訪者の存在に気付いていないかのように、手元の書物に目を落とし続ける女性。
書物を持つ手は陶器のように白く、腰元まで伸びた髪も銀白色と、全体的に色素が薄い。
パタンと後ろ手に私が扉を閉めると、彼女はようやく私に視線を向けてくれた。
「……招かれざる客ね」
「随分なご挨拶ですね。何十年振りに会ったというのに」
「私の意見じゃ無いわ。この世界の意見よ」
静かに本を閉じ立ち上がれば、線の細い身体を包む黒いローブ・デコルテと肘上まであるオペラ・グローブがよく映える。
「貴方は生者であると同時に死者でもある、どちらの世界からも弾かれた存在。違う?大賢者様」
カツカツと足音を立てて近寄り、責めるでも無く憐れむでも無く、ただある真実を紅の瞳が訴えてくる。
「全くもってその通り。でも私の世界を救うにはそうするしかなかった。貴女なら分かるでしょう?黒薔薇の魔女、メーディア。私に力を授けてくれたのは、貴女なのだから」
私が跪いて手を取り口付けすると、メーディアの整った顔が引き攣った。
頬を赤らめるでも無く、血の気が引いて白い肌が青白くなる。
人間嫌い、ひいては男嫌いは相変わらずのようだ。
「……別に私は、やり方を教えただけ。反魂の法を物にし、あらゆる魔法を駆使して不老不死の力を得たのは、紛れもなく貴方の力よ」
メーディアは私から逃げるように背を向け、口付けされた手をさする。
「それでも、死霊術の知識は私より貴女の方が遥かに詳しい。今日はその知識をお借りしたくここまで来たんです」
今の私があるのは、この黒薔薇の魔女メーディアのおかげだ。
死ねば自分の身体が魔王として利用される呪いをかけられ、死を遠ざける為の旅に出た際、私に光を与えてくれた存在。
自らを殺し、自身の肉体に魂を定着させる事で生ける屍となった私は、寿命という概念に囚われなくなった。
残念ながら魔王の魂を浄化する事は出来なかったが、その後はあらゆる知識、あらゆる魔法を習得して肉体の死すらも遠ざけた。
私が死ぬ時が来るとすれば、魔王を内から消し去った時か、私の精神が死んだ時だろう。
「平然と言うけど、簡単に足を踏み入れて良い場所じゃないのよ?ここは」
メーディアは元いた位置に戻り、椅子に腰掛けながらそう窘める。
「分かっています。今も番人に見つからないか冷や冷やしてるんですから」
「……要件は?」
グローブを外しながら尋ねてくる行為に少しだけ傷付きながらも、私はここへ来た本題を口にする。
「生きた知り合いに冥婚を行った者がいるんです。冥婚相手と話し合いをさせたいのですが、相手は想いに縛られていて会話にならない。守護霊としては機能しておらず、いずれは彼女を取り殺してしまうでしょう。本人はおそらく、死んだ事を理解していない。死霊術で降霊させようにも、死を認知していない霊相手では私にはお手上げです」
「その死者と生者の縁は?」
「それなりに深いですね。幼くして亡くなっているので共に過ごした時間は少ないかと思いますが、生前から婚儀の契りを交わしている」
「だったら話は早いわね」
たった一つの質問だけでメーディアは解決策を導き出し、もう一つある部屋へと消える。
すぐに戻ってきた彼女が手にしていたのは、石榴の果実。
「これと、外に咲いている水仙を持って行きなさい。向こうに戻ったら石榴を半分にして一つは水仙と共に供養し、もう一つは冥婚相手が食べなさい。そうすれば、死者が降りてくるわ」
「それだけで良いんですか?」
「話し合いをしたいだけなら、それだけで十分よ。もっともこれは、ここまで来れた貴方だから出来る方法だけど」
それはつまり、冥界の水仙と石榴だからこそ出来る軌跡なのだと、メーディアは言う。
「でもここの物を生者が口にすれば、それなりの業を負う事になるわ」
「……それは?」
レオンティーヌが口にする物だ。内容によってはこの作戦は使えない。
メーディアはその業を淡々と口にする。
「まずはその冥婚相手と、生涯離れる事は出来なくなるでしょうね。守護霊とすれば何の問題も無い話ね。相手を認知出来るかどうかはその人次第だけど。それからしばらくは精神的にも不安定になる。……目を離さない事ね」
具体的な事は口にしていないのに、最後の言葉は忠告というよりも警告に近く感じる。
「分かりました。ありがとう、メーディア。このお礼はいつかまた」
「要らないわ。もうここには来ない方が良い。私がまだいるとも限らないし」
素っ気ない言葉ではあるが、メーディアもまた輪廻を待つ身の上。
かつて己の世界を滅びへと導いたという魂の業がどれほどの物なのか、私には計り知れないが、彼女もいずれは新しい人生を歩む事になる。
「では。……貴女の来世が、幸ある物でありますように」
私はそれだけ言い残して小屋から出た。
メーディアに言われた通り、池の近くに咲く水仙を摘み取る。
さて、これで用は済んだ。急いで帰ろう。
私は手にした石榴と水仙、二つを置き忘れないようしっかりと抱え自分の肉体へ戻るべく、魔力を練り上げた……。
「……動いたぞ!」
深い眠りから目覚める時のように、重たく上がらない瞼と戦っていると、近くから緊張した声が飛んでくる。
その直後、
「……いっ!?」
身を裂かれるような、いや、文字通り身を裂かれる衝撃が走る。
痛み自体は無いが、おかげで微睡んでいた脳は一気に覚醒し、視界が急速に開けた。
私の身体は自身が施した呪縛以外に鎖で簀巻き状態にされており身動きが取れず、そして目の前には剣を構えたレオンティーヌとセザールがいた。
二人とも満身創痍といった感じだが、レオンティーヌの闘士の炎は燃え盛っており気合いを入れて再び剣を振り上げる。
「ちょ、待つんだティーナ!私だ、戻ってきたんだ!」
慌てて抗議するが彼女の剣技は速く、勢いそのままに振り下ろされる。
「っ!」
脳天に走る衝撃に耐えるべく目を閉じるが、一向にそれは訪れず、恐る恐る目を開けると、剣先が目の前で止まっていた。
「……先生、なのか?」
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「ああ、そうだよ。私だよ。この姿を見れば分かるだろう?」
今の私の姿は、魔王のそれから人間に戻っている。
満月の日が開け、彼の時間はとっくに終了している。
「そんな事を言われても、先生の顔をした魔王かもしれないだろ?こっちは事情がよく分かっていないんだ。……だが、確かに先ほどまでの邪悪な気配はしないな」
値踏みをするように唸りつつも納得してくれたようで、目の前の武器を下ろされてほっと胸を撫で下ろす。
痛くは無くても、斬られるのは勘弁願いたい。
「彼かどうかはカメリアが教えてくれていただろう?」
「最初のうちはな。でも今はご覧の通り、眠り姫さ」
彼女が指差す先の寝台の上には、魔力が薄れて元の状態に戻ったカメリアが身体を丸めて眠っている。
ああ、一日以上経って疲れたんだな。仕方ないか。
レオンティーヌとセザールの疲弊ぶりを見れば分かるが、周りも棚に収まっていた本が飛び散っていたり壁に亀裂が走っていたりと、それなりに被害はあったようだ。
やっぱり肉体を離れるのは危険だな……。
「ところで先生。あの世に行って、成果はあったのか?」
レオンティーヌは剣を納め、近くでヘタれているセザールを労いつつ聞いてくる。
「ああ。上手くいけばテオドールと話し合いが出来るよ。ただしこれをやるかどうかはティーナ、君の意見を聞いてからだ」
「ん、そうか。なら、それはまた後で構わないか?今回は流石の私も疲れた」
「もちろんだよ。無茶を言って悪かったね。ありがとう。部屋は私の方で直しておくよ」
そう労いの言葉をかけると、レオンティーヌは一つ大きな欠伸をしながら部屋から出て行った。
そして取り残されたセザールは未だ放心状態で座り込んでいる。
「おーい、大丈夫かい?」
「……ひっ!?」
目が合ったかと思えば小さく悲鳴をあげ、
「ば、化け物!」
と叫んで走り去っていく。
「……傷付くなぁ」
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