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★行方
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賢者様とジェルマンを見送った私達は休憩を挟む為、屋敷の中へと戻る。
「アデリーは中庭か?」
戻る途中で寝静まったテオフィルを起こさないように、ティー姉さんが小声で尋ねた。
「メイド長と買い出しに出ているよ。もうすぐ戻るんじゃないかな」
休みなのに、テキパキとお茶の準備をしながら答えるセザール。
それを聞いたティー姉さんは「そうか」と軽く頷く。
「なら、先に休憩するか。お茶を飲んだら私は公務があるから執務室に戻る。カメリアも自由にするといい。アデリーが戻ってきたら、一緒に遊んでやってくれると助かる。お前に随分と懐いているからな」
「分かった。お仕事頑張ってね」
頷きつつ、私は目の前に置かれたお茶菓子を一つ、パクリと頬張る。
お茶が並ぶ頃には、いつもお皿は空だ。
それを見てセザールは魔法だと呟くが、そんな魔法は無い。
それに私は、そんなに魔法は得意じゃない。
賢者様が簡単な魔法をいくつか教えてくれたけど、それでも難しい。
ジェルマンが座標交換魔法を使えないと聞いて少しホッとしたのは内緒だ。
お茶を飲み終えた後、アデリーが戻ってくるまで中庭で一人で過ごしていたけど、日が沈み始めてもアデリーの姿は見えなかった。
「……何?まだ戻らないのか」
今日は仕事が休みだったせいでメイド長の動きに気付くのが遅れたセザールが、青ざめた顔で執務室にいるティー姉さんに報告している。
私もアデリーが中庭にやって来なかった事をティー姉さんに伝えようと執務室に向かっていて、部屋の前でセザールと会ったので一緒に報告を聞く事になった。
「夕飯の食材で足りない物を買いに行ったって聞いていたから、すぐに戻ってくると思っていたんだけど……。僕、今から探してくるよ」
「あ、待ってセザール。それならカメリアが行くよ。カメリア、鼻が良いからスグに見つけられると思うよ」
「でも……」
スグにでも執務室から飛び出して行こうとするセザールを引き留めようとするが、彼は焦った表情で抗議しようとする。
だから私は話す相手をティー姉さんに変えた。
「ティー姉さん、カメリアに行かせて。外はもう暗くなってきてるし、てきとうに探し回ってもしょうがないよ」
ティー姉さんは顎に人差し指を当てて数秒考えた後、こくりと頷いた。
「……分かった。カメリアに任せよう」
「レオちゃん!僕達の子だよ?親が行かなくてどうするのさ」
「親だからこそ、最速で見つけられる策を取るんだろう。セザール、お前は少し落ち着け」
「……」
たぶん、セザールは父親としてだけではなく、執事長として管理が出来ていなかった自分を責めているんだろう。
私はそっとセザールの袖を掴み、安心させるように落ち着いて話す。
「セザール。アデリーはカメリアがスグに見つけてくるから、セザールはアデリーが好きなご飯とか、おやつを用意して待ってて。ね?」
「カメリア……。ごめんね、アデリーとメイド長をよろしくね」
泣きそうな表情をしているセザールは、ぎゅ、と目を閉じて、大きく息を吐き出してから、そう私にお願いをした。
「うん!それじゃ、行ってきます」
私は片手をひらひらとさせてから屋敷を飛び出す。
敵避けと観賞用に作られた迷路の庭を最短で抜け、商店が並ぶ通りへ向かおうとする、が……。
「……ん?」
ぴたり、とその足は止まり、ある方向に興味を持っていかれた。
もう甘い香りはしなくなってしまったアデリーの匂いが、そちらから流れてきている。
「何で……?」
そっちはコルスタン領唯一の出入り口である、大扉がある方向だ。
商店通りからもアデリーとメイド長の匂いはするが、こちらよりも匂いがかなり濃い。
後に通った場所という事だ。
この先にあるのは宿屋や武器、防具などを扱う店が多い。
二人が行くような場所は無いはず……。
不思議に思いながらも、私は匂いが濃く残る方へと向かっていき、最後には思っていた通り、大扉の前へと行き着いてしまった。
日没と共に閉められる大扉はまだ開いてはいるものの、門番達は閉門の準備を始めている。
それなのに、アデリーとメイド長の姿は見えず、匂いは外へと続いている。
「ねえ、アデリーとメイド長がここを通った時、なんか言ってた?」
私は近くの門番にそう質問する。
領内に住む者が外へ出る時、特に門限を超えても戻らない場合は外出内容を門番に伝える決まりがある。
こんな時間になってもメイド長達が戻ってきていないのなら、必ずその理由を伝えているはずだ。
「メイド長?……あ~、確か隣町に届け物があるって言ってたな」
「届け物?どんな?」
「さあ?そこまでは聞いてない」
「いつ戻って来るって?アデリーも一緒にいたよね?」
「ああ、いたな。珍しいとは思ったが……。ここを出ていったのも昼過ぎてたからな。明日には戻るって言ってたぞ……っておい!」
私はだっと門をくぐり、辺りを見渡す。
後ろで門番が「もう閉めるぞ、早く戻れ!」と叫んでいるが、気にせず坂を一気に下り、二人の匂いが残る方へと走る。
隣町に届け物?そんな事、セザールは言っていなかった。買い物に行ったって。メイド長はウソをついて外へ出た。アデリーと一緒に……。
「こっちも、一番近い街の方じゃない」
私は地図を見るのは苦手だけど、コルスタンから一番近い街がどこにあるかは覚えている。
今走っている方とは真逆に近い。
「……あれ?」
ふと、ある事に気付き、走る速度が落ちて、やがて立ち止まる。
「……消えちゃった」
今私が立っている場所を境に、二人の匂いがプッツリと切れてしまっていた。
これじゃあ探せない。
アデリー達を見つけて帰ると約束したけど、これ以上はムリだ。
「賢者様がいたら、スグに見つけられたかな……」
私は、今は近くにいない賢者様を思って悲しい気持ちと悔しい気持ちになる。
「戻らなきゃ……」
急がないと、門が閉まる。
私は来た道を全力で掛け戻り、一人で屋敷へと帰った。
「戻ったか。……二人は、見つからなかったんだな」
メイドに言われて会議室に向かうと、ティー姉さんが怒るでもなくそう迎えてくれた。
「……ごめんなさい。匂いが外に出ていたから行ったんだけど、途中で消えちゃって」
「やはり外に出ているか。十分な成果だ、ありがとう。こっちに来て、詳しい話を聞かせてくれ」
ティー姉さんは二人が外に出ていった事を知っていたようで、私を手招きする。
姉さんが立つ机の前には、この辺りの地図が置かれており、ペンや方位磁針、定規等もある。
「コルスタンを出て、どっちへ向かったか教えてくれ」
「えっと……斜め左。一番近くの街とは反対方向だよ」
「西南か……。国境ともまた違うな」
ティー姉さんは定規を私が言った方向に合わせて置き「匂いはどこで消えたんだ?」と問うが、私は力なく首を横に振る。
「ごめん、姉さん。それじゃあ分からない」
「周りに何か見えなかったか?何でもいい。木でも、石でも」
地図が読めない私に姉さんはそう助言し、私は周りの風景に何があったかを思い出す。
「……川が見えてた、気がする。水の匂いが少しだけしてたよ」
コルスタン領から南に下っていけば、テオドールが亡くなった、例の川がある。
それだけの情報を元にティー姉さんはぶん回しを持ち、クルクルといくつかの円を描いていく。
「ずいぶんと南下したんだな。カメリアは目も鼻も効くから……この辺りか。橋を渡ったとすれば……読めたぞ」
文房具を置いてにやりと笑い、ペンを持った所で、執事服に着替えたセザールがやってきた。
「お嬢様。やはり誰も、メイド長の行き先を聞いていません。ましてアデリーを連れて外出など……」
「落ち着けセザール。彼女の居場所は割れた。間違いなくここだろう」
きゅ、と音を立てて、ティー姉さんはある街を赤い丸で囲んだ。
「アデリーは中庭か?」
戻る途中で寝静まったテオフィルを起こさないように、ティー姉さんが小声で尋ねた。
「メイド長と買い出しに出ているよ。もうすぐ戻るんじゃないかな」
休みなのに、テキパキとお茶の準備をしながら答えるセザール。
それを聞いたティー姉さんは「そうか」と軽く頷く。
「なら、先に休憩するか。お茶を飲んだら私は公務があるから執務室に戻る。カメリアも自由にするといい。アデリーが戻ってきたら、一緒に遊んでやってくれると助かる。お前に随分と懐いているからな」
「分かった。お仕事頑張ってね」
頷きつつ、私は目の前に置かれたお茶菓子を一つ、パクリと頬張る。
お茶が並ぶ頃には、いつもお皿は空だ。
それを見てセザールは魔法だと呟くが、そんな魔法は無い。
それに私は、そんなに魔法は得意じゃない。
賢者様が簡単な魔法をいくつか教えてくれたけど、それでも難しい。
ジェルマンが座標交換魔法を使えないと聞いて少しホッとしたのは内緒だ。
お茶を飲み終えた後、アデリーが戻ってくるまで中庭で一人で過ごしていたけど、日が沈み始めてもアデリーの姿は見えなかった。
「……何?まだ戻らないのか」
今日は仕事が休みだったせいでメイド長の動きに気付くのが遅れたセザールが、青ざめた顔で執務室にいるティー姉さんに報告している。
私もアデリーが中庭にやって来なかった事をティー姉さんに伝えようと執務室に向かっていて、部屋の前でセザールと会ったので一緒に報告を聞く事になった。
「夕飯の食材で足りない物を買いに行ったって聞いていたから、すぐに戻ってくると思っていたんだけど……。僕、今から探してくるよ」
「あ、待ってセザール。それならカメリアが行くよ。カメリア、鼻が良いからスグに見つけられると思うよ」
「でも……」
スグにでも執務室から飛び出して行こうとするセザールを引き留めようとするが、彼は焦った表情で抗議しようとする。
だから私は話す相手をティー姉さんに変えた。
「ティー姉さん、カメリアに行かせて。外はもう暗くなってきてるし、てきとうに探し回ってもしょうがないよ」
ティー姉さんは顎に人差し指を当てて数秒考えた後、こくりと頷いた。
「……分かった。カメリアに任せよう」
「レオちゃん!僕達の子だよ?親が行かなくてどうするのさ」
「親だからこそ、最速で見つけられる策を取るんだろう。セザール、お前は少し落ち着け」
「……」
たぶん、セザールは父親としてだけではなく、執事長として管理が出来ていなかった自分を責めているんだろう。
私はそっとセザールの袖を掴み、安心させるように落ち着いて話す。
「セザール。アデリーはカメリアがスグに見つけてくるから、セザールはアデリーが好きなご飯とか、おやつを用意して待ってて。ね?」
「カメリア……。ごめんね、アデリーとメイド長をよろしくね」
泣きそうな表情をしているセザールは、ぎゅ、と目を閉じて、大きく息を吐き出してから、そう私にお願いをした。
「うん!それじゃ、行ってきます」
私は片手をひらひらとさせてから屋敷を飛び出す。
敵避けと観賞用に作られた迷路の庭を最短で抜け、商店が並ぶ通りへ向かおうとする、が……。
「……ん?」
ぴたり、とその足は止まり、ある方向に興味を持っていかれた。
もう甘い香りはしなくなってしまったアデリーの匂いが、そちらから流れてきている。
「何で……?」
そっちはコルスタン領唯一の出入り口である、大扉がある方向だ。
商店通りからもアデリーとメイド長の匂いはするが、こちらよりも匂いがかなり濃い。
後に通った場所という事だ。
この先にあるのは宿屋や武器、防具などを扱う店が多い。
二人が行くような場所は無いはず……。
不思議に思いながらも、私は匂いが濃く残る方へと向かっていき、最後には思っていた通り、大扉の前へと行き着いてしまった。
日没と共に閉められる大扉はまだ開いてはいるものの、門番達は閉門の準備を始めている。
それなのに、アデリーとメイド長の姿は見えず、匂いは外へと続いている。
「ねえ、アデリーとメイド長がここを通った時、なんか言ってた?」
私は近くの門番にそう質問する。
領内に住む者が外へ出る時、特に門限を超えても戻らない場合は外出内容を門番に伝える決まりがある。
こんな時間になってもメイド長達が戻ってきていないのなら、必ずその理由を伝えているはずだ。
「メイド長?……あ~、確か隣町に届け物があるって言ってたな」
「届け物?どんな?」
「さあ?そこまでは聞いてない」
「いつ戻って来るって?アデリーも一緒にいたよね?」
「ああ、いたな。珍しいとは思ったが……。ここを出ていったのも昼過ぎてたからな。明日には戻るって言ってたぞ……っておい!」
私はだっと門をくぐり、辺りを見渡す。
後ろで門番が「もう閉めるぞ、早く戻れ!」と叫んでいるが、気にせず坂を一気に下り、二人の匂いが残る方へと走る。
隣町に届け物?そんな事、セザールは言っていなかった。買い物に行ったって。メイド長はウソをついて外へ出た。アデリーと一緒に……。
「こっちも、一番近い街の方じゃない」
私は地図を見るのは苦手だけど、コルスタンから一番近い街がどこにあるかは覚えている。
今走っている方とは真逆に近い。
「……あれ?」
ふと、ある事に気付き、走る速度が落ちて、やがて立ち止まる。
「……消えちゃった」
今私が立っている場所を境に、二人の匂いがプッツリと切れてしまっていた。
これじゃあ探せない。
アデリー達を見つけて帰ると約束したけど、これ以上はムリだ。
「賢者様がいたら、スグに見つけられたかな……」
私は、今は近くにいない賢者様を思って悲しい気持ちと悔しい気持ちになる。
「戻らなきゃ……」
急がないと、門が閉まる。
私は来た道を全力で掛け戻り、一人で屋敷へと帰った。
「戻ったか。……二人は、見つからなかったんだな」
メイドに言われて会議室に向かうと、ティー姉さんが怒るでもなくそう迎えてくれた。
「……ごめんなさい。匂いが外に出ていたから行ったんだけど、途中で消えちゃって」
「やはり外に出ているか。十分な成果だ、ありがとう。こっちに来て、詳しい話を聞かせてくれ」
ティー姉さんは二人が外に出ていった事を知っていたようで、私を手招きする。
姉さんが立つ机の前には、この辺りの地図が置かれており、ペンや方位磁針、定規等もある。
「コルスタンを出て、どっちへ向かったか教えてくれ」
「えっと……斜め左。一番近くの街とは反対方向だよ」
「西南か……。国境ともまた違うな」
ティー姉さんは定規を私が言った方向に合わせて置き「匂いはどこで消えたんだ?」と問うが、私は力なく首を横に振る。
「ごめん、姉さん。それじゃあ分からない」
「周りに何か見えなかったか?何でもいい。木でも、石でも」
地図が読めない私に姉さんはそう助言し、私は周りの風景に何があったかを思い出す。
「……川が見えてた、気がする。水の匂いが少しだけしてたよ」
コルスタン領から南に下っていけば、テオドールが亡くなった、例の川がある。
それだけの情報を元にティー姉さんはぶん回しを持ち、クルクルといくつかの円を描いていく。
「ずいぶんと南下したんだな。カメリアは目も鼻も効くから……この辺りか。橋を渡ったとすれば……読めたぞ」
文房具を置いてにやりと笑い、ペンを持った所で、執事服に着替えたセザールがやってきた。
「お嬢様。やはり誰も、メイド長の行き先を聞いていません。ましてアデリーを連れて外出など……」
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