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第18話 サービス終了後(運営視点)
しおりを挟む「はぁ~、ついに終了しましたね桐山先輩」
「そうだな。20年も続いた作品だと感慨深いな…」
そんな会話をしているのは、ブレイブテイル オンラインを配信していた会社の社員だ。
40代後半の男性が桐山、まだ20代の若い男性が桜井である。
桐山は肩の荷が降りたのと同時に余韻に浸っていた。
が、次の桜井の言葉でそれをぶち壊される。
「て言っても明日からは新しいゲームの配信始まりますけどね」
「バカヤロウ!今くらい忘れさせろ!!」
後輩の言葉に頭を抱える桐山。
明日からまた始まる地獄に現実逃避しているようだ。
「ハハ、すみません」
笑って誤魔化す桜井を桐山が半目で睨む。
歳は離れているが、この二人は仲が良く一緒に作業する事も多かった。
これだけ歳が離れていて先輩呼びしているのも仲の良い証拠である。
「そういえば、先輩はBTO初代から携わってたんでしたっけ?」
「まあな。この20年で一体何徹したか分からん」
「それじゃあ思い入れも深いですよね」
桐山の言葉に笑う桜井。
今後新作ゲームで同じ道を辿る事になるとは露ほども考えていないようだ。
そんな桜井は、ふと思い出したように言った。
「思い入れといえば…桐山先輩、やたらと力入れて作ってたNPCいましたよね?」
「あ?NPC?」
「ほら、村人の1人っすよ。メインキャラでもないのにスッゴイ拘ってたじゃないですか」
「あぁ、あのキャラか」
後輩の言葉で思い出し、桐山は缶コーヒーをカコッと開けて口にしながらニッと笑った。
「実はな…あのキャラ、俺の姪っ子がモデルになってんだ」
「え!?そうなんですか!?」
全く知らなかった事実に驚く桜井。
そのNPCの姿を懸命に思い出す。
「うろ覚えですけど、あのNPCメッチャ可愛くなかったですか?てっきり先輩の趣味かと…」
「俺はロリコンじゃねえわ!姪っ子がマジでめちゃくちゃ可愛いから、ゲームキャラとして登場させたんだよ!」
「はえ~。でもそれって良いんですか?肖像権的に」
「大丈夫だ。本人の許可は取ってあるし、割とノリ気で喜んでたから」
写真見るか?と言いながらスマホを取り出す桐山。
桜井は画面を覗きこんで「うわ本気で可愛い!!」と声を上げた。
「先輩にこんなに可愛い姪がいたなんて!今度紹介してくださいよ!」
「絶っっ対にダメだ。」
「そんな食い気味に断らなくても!」
嘆く後輩を横目に、桐山はコーヒーをクイっと飲んだ。
そして静かに続ける。
「あいつはな…死んだ弟夫婦の忘れ形見なんだ。だから、大事にしてやりてえんだよ」
それを聞き、流石に桜井も大人しくなる。
「そう…なんですね。なんかすみません…」
「いや」
なんとなくシンミリとした空気になってしまう。
そんな空気を壊すように、桐山は缶コーヒーをゴクゴク一気飲みして立ち上がった。
「さあ、休憩終わりだ!明日からの新作の為に追い込みするぞ!!」
「うぇえ!マジっすか!?」
嫌がる桜井をズルズルと引きずっていく。
それは、誰かにとってはほんの些細で…誰かにとっては運命的な一コマであった――。
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