『才能奪って成り上がる!無職の俺がヒロイン達と社会を支配するまで』

pyoco

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第16話『俺、黒川と直接対決することになる』

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「落ち着きましたか?」

公園のベンチで、エンリに慰められていた。

 

……いや、マジで怖すぎだろ、アレ。

思考とか拒絶とか……そんなん無理だわ。

 

エンリは「大丈夫ですよ~♪」と微笑みながら、そっと俺の頭を撫でてくれる。

 

(な、なんか……落ち着く……)

 

それにしても――

 

エンリさんの抱擁力……パネェ。

これは……幼児退行しそう……

 

「潤様? 大丈夫ですか?……エンリさん、私が代わります!」

 

ノアがすっと隣に座り、当然のように撫で始める。

 

「潤くん大丈夫か~? ウチも撫でたるわ! ほれよしよしよし~、どーどー!」

 

(ペットじゃねーから!!)

 

「ちょっ……カエデ! 潤様は私が――!」

 

「別に、潤くんがええならええやろ~?」

 

あっ、頭が……ハゲる未来が見える。

エンリさん何その微笑み!? 見てないで助けてぇ!

 

でも、彼女はただ優しく――にこやかにこちらを眺めていた。

 

(……マジで天使かも)

 

* * *

 

「ウチらも、ただ待ってた訳ちゃうで~?」

 

カエデが、胸を張りながら言った。

 

「いろいろ調べて回ってましたの。黒川ユウト……彼は元々、落語家やYouTuberとして“喋り”で活動していた人物のようです」

 

「でな! ウチら、とっておきの話を持ってきてん♪」

 

(……来たよ。二人の『褒めてください』目線……)

 

……いや、褒めないよ?

大体こういう時に限って、ろくなことにならないって、俺は知ってる。

 

「とっておきのお話とは、なんでしょう?」

 

ちょっ……エンリさん!? 食いつきすぎ!

 

「黒川ユウトの“個人セミナー”の権利、譲ってもらえました♪」

 

「ウチがちょ~っと上目遣いしたら、あっさりやったわ!」

 

「……それなら、直接辞めるよう説得できますね!」

 

い、行きたくねぇぇぇッ!

さっきの洗脳セミナー経験した今なら、断言できる。

あれは無理! 絶対無理!

 

気づいたら知らんオバサンと抱き合ってるとか、笑えないからな!?

 

「潤様!」

「潤くん♪」

「潤さん!」

 

いやだいやだいやだ!

地面に寝転がってバタバタしたい! お菓子売り場の子供のように拒否したい!

 

……しかし、そんな願いが叶うはずもなく。

 

こうして俺は――

黒川ユウトとの直接対決が、確定したのであった。

 
* * *


――そして後日。俺の部屋。

 

狭いワンルームに、エンリさんが加わった結果――

よりいっそう、部屋が手狭に感じる。

 

(天井のシミ……なんか昨日より恨めしそうに見えるんだけど)

 

「……もやしは、やらねぇからな?」

 

俺がそう呟くと、ふとエンリが心配そうにこちらを覗き込んできた。

 

「潤さん……本当に、お一人で大丈夫なんでしょうか?」

「その……昨日の様子、かなり……お辛そうでしたから……」

 

「だいじょばな……」 

 

エンリがピッと背筋を伸ばした直後、

 

「大丈夫です! 潤様に限って、そのようなザコに遅れを取るなど――あり得ません!」

 

ノアがキリッと断言してみせる。

 

「まぁ~潤くんなら、なんやかんやでなんとかするやろ♪」

 

カエデはソファに寝そべったまま、気楽そうに笑ってる。

 

(いや……やめて? その“根拠ゼロの信頼”……)

(俺、ただの無職で、もやし愛してるだけの男なんですけど!?)

 

「さぁ、行きましょう! 決戦の時です!」

 

ノアがきらめく瞳で立ち上がる。

 

カエデも伸びをしながら立ち上がり、

 

エンリも心配そうな瞳を浮かべながら、ゆっくりと立ち上がった。

 

全員、戦場へ向かう戦士の顔をしている。

 

……まぁ、行くのは俺なんだけどね?

ほんとマジで、俺だけが行くんだけどね……?

 

(全力の応援体制ありがとう。できれば一緒に来て?)

 

そう心の中で願いながら、俺は一歩、部屋のドアを開けた。

 

決戦の舞台へ。

“黒川ユウト”との、直接対決が始まる――

後書き




【あとがき小話】

作者『俺も本編に出ようかな……ヒロインに囲まれて、癒されて、甘えられて、えへへ……』

潤『え、こいつついに本編乱入しようとしてんだけど!?』

ノア『……申し訳ありませんが、それは認められません。
潤様の物語に、他の“男”が入り込む余地など、ありませんので。』

カエデ『なぁなぁ作者さん? 冗談でもアカンで? ウチらの中に変なおっさんが入ってきたら、雰囲気台無しやん』

作者『いや、“変なおっさん”って誰だよ!? せめて、イケボの青年とかで登場できない!?』

ノア『たとえどんな姿を取っても、潤様以外は排除します。』

カエデ『ウチらの世界は、潤くんだけで手ぇいっぱいやねん。作者さんは……そっと見守っててな♪』

作者『……わかったよ! あとがきに引きこもるよ! ずっとここにいるよ!』

潤『むしろそこが定位置だよ!!』

 

作者:pyoco(本編には出ません)
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