37 / 60
第34話『俺、社長の危機?』
しおりを挟む「聞いてますかー? せんぱーい? おーいおーい♪」
……あーもう、ちょっと黙って。整理させて。
とりあえず今の状況まとめると――
「うちの会社の社員が、女の子に暴力を振るった……と?」
……は?
「そのゴミは、私が処分してきます」
物騒すぎるわノア!!
「ちょっと待て! ノア! 落ち着け! とりあえず深呼吸しよ!? な!?」
俺はノアを必死でなだめつつ、ユズハに確認。
「で? よりによって人前で……ほんとなのか?」
ユズハは頬を指でツンツンしながら――
「それがですね~、多分ほんと~……なのかな?」
「……“かな?”ってなんで疑問系なんだよ!?」
「今までの誹謗中傷って証拠がないから~、パパっと消せたんですけどぉ~」
おい、サラッと怖いこと言わないで?
「今回は、被害者?がいるんですよぉ~」
……ん?
ノアがスッと首を傾げる。
「ユズハさん……被害者が何故疑問系……なのですか?」
……俺もそれ気になる。
被害者いるなら、もうアウト確定だろ?
ユズハが説明しようとした、その時――
ガチャッ!
「潤くーん! 会いたかったでー? ほら、再会のぎゅーや♡」
おっふ……!?
いや違うからな!?
興奮とかしてないからな俺!?
慌ててノアが暴走する前に、俺はカエデをベリッと引き剥がす。
「潤君冷たいなぁ……うち、泣いてしまうで?」
ぐっ……罪悪感攻撃やめろ。
カエデはクスクス笑いながら、真顔に戻る。
「まぁ冗談はさておきや。ユズハ、もうみんなに話したん?」
「カエデさんが~邪魔したんじゃないですかぁ~」
ユズハがぷくーっと頬を膨らませて抗議。
いやいや、あなたもさっき修羅場一歩手前だったからね?
ノアがピシッと空気を締める。
「……で? 話の続きを」
カエデは腕を組んで、真面目モードに。
「その被害者の女性がな~、うちの社員の服着とる人に殴られたって言うてるらしいんよ」
「……マジか……」
「まーな、ほんまにうちの社員か?ってのもあるけど、会社としてはまずは謝罪やろって思て謝りに行ったんやけど――」
「話が全然できへんかったわ」
カエデは苦笑しながら肩をすくめる。
「とりあえずはエンリに任せてきたけどな」
事態は――重い。
うちの会社のウリは『悪党だからこそ守れる』って看板。
でも裏を返せば、その信頼が命。
崩れりゃ、一瞬で瓦解する。
「でもな?」
カエデが不敵に笑った。
「うちもただ旅してたわけちゃうねん。おもろい話、持ってきたで?」
「おもろい話、って?」
俺がそう訊ねると、カエデがニヤッと笑った。
「うちの会社の――新事業や!」
……新事業?
「ウチらの若い連中な? 意外と“働き口と収入さえあれば真面目にやるで”って子、多いんよ」
「で、近くの農家の手伝いさせて、その野菜の売り先までウチらがマネジメントするっていう……まったく新しいビジネスや!」
「今、その協力企業とか出資してくれる人回ってるとこでな~」
ほぉ……意外とちゃんとしてる。
「んでな、ノアが“CMやる”って言うたら、意外と人が集まってきてな! ノア様様やでほんま♪」
……え、ノアCM出るの?
なんか勝手に話が進んでない?
「えっ、ノア。勝手にそんな決めてよかったのか?」
だが、ノアは少し微笑んで、まっすぐ言い切った。
「潤様のために、私の演技が役立つのであれば。そしてそれが多くの人の役に立てるのなら……喜んで」
あーもう。
やっぱこの子、真っ直ぐで綺麗だよな……。
俺なんかのために、そこまでしてくれるとか。
でも――
「その話も、今回の事件を解決しないと進められないんじゃないか?」
カエデが表情を引き締めた。
「それやねん……この問題、ちゃんと解決できへんとウチら終わりや」
「まぁ……誰が仕組んだかはだいたい察しついとるけど、まだ証拠が足りん。決定打にはなれへんのや」
「それに……被害者の女性に会って、話を聞かんと始まらんしな」
だよな……
内部の誰がやったのか、本当に社員だったのか、
今はまだ情報が足りない。
俺は、立ち上がった。
「……よし」
「潤様、どちらへ?」
俺はゆっくり振り返り――
「俺が、探してみせる!」
そう言って、ドアを開けて颯爽と部屋を出た。
……いや、出た“つもり”だった。
後ろから聞こえる、三者三様の声。
「潤様……流石です……!」
「いや、あれたぶんノリで出ていっただけやな……」
「先輩、なんか可愛いですね~♪」
……ええい、うるせぇ!!
今さら戻れねぇんだよ俺は!
こうして、潤は動き出す――
自分の会社と、大切な仲間を守るために!
後書き
【あとがき小話】
作者『(΄◉◞౪◟◉`)』
潤『……は? なにその顔文字』
作者『真面目な顔してみた』
潤『いや、どう見ても不審者じゃねぇか!!なんで真面目アピールにそのチョイス!?』
作者『いやほら、あとがきってさ、ふざけてばっかだと読者に“ちゃんと書いてるのか?”って思われるかなって……』
潤『その考え方は正しい。でも顔が全力で逆方向なんだわ』
作者『これは真剣さの象徴だから。(΄◉◞౪◟◉`)=本気』
潤『新しい顔文字の使い方すんな。
しかも前回のあとがきでアメリカンドッグ論争してただろ』
作者『でも今回はこの顔で締めるから──
(΄◉◞౪◟◉`) < 次回もよろしくお願いします』
潤『やめろ!!閉じ方までふざけんな!!』
作者:pyoco(表情だけは真面目です)
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双
四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。
「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。
教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。
友達もなく、未来への希望もない。
そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。
突如として芽生えた“成長システム”。
努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。
筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。
昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。
「なんであいつが……?」
「昨日まで笑いものだったはずだろ!」
周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。
陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。
だが、これはただのサクセスストーリーではない。
嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。
陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。
「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」
かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。
最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。
物語は、まだ始まったばかりだ。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる