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第45話『俺、社長ってバレてないんだけど』
「ほら見て見て潤君! ウチ、テレビ映ったで!」
カエデがスマホを突き出してくる。画面には、昨日放送された情報番組の映像。
「ミリーも映ったーっ! ちゃんと笑顔キマってたよーっ!」
「ユズハの魅力が、また全国に拡散されちゃいましたね~♪」
ヒロイン陣が、それぞれ自分の出番をキャッキャと確認し合っている。
俺も、画面を真剣に凝視する。
よし、きた。ここで俺の登場――
“鬼才現る! 天才社長インタビュー!”
“カリスマ経営者・葉山潤の素顔に迫る!”
……みたいなやつ、流れてくるはず!
番組的に社長は“最後にドン!”ってのが王道だし。うん、わかってるぅ。
ナレーション「というわけで、今週の特集は“地方と都市を繋ぐ革新企業”! 話題の『悪党リクルートエージェント』さんでした~!」
……ん?
終わったよ? 俺……出てこなかったけど?
「えっ……ねぇ、エンリ? これって……次回に続くパターン?」
「いえ。あの局の特集は基本1回完結のはずですけど……」
「……」
……社長カットされてるやんけぇぇぇ!
なんでや! 俺の“名ばかり感”そんな強かった!?
「えれれ~? まさか先輩、テレビに映ってなかった……的な?」
「潤くん元気出して~! ほらうちがぎゅーしたるさかい!」
「ミリーもぎゅーするぅ~っ!」
わぁっとヒロインズが抱きついてくる。いや、心は癒されるけども、これは違う。俺の尊厳の問題なの。
「はいはい、皆さん。仕事に戻ってください」
エンリの一言で、やっと皆が渋々席へと戻っていく。
……いや、なんなんこの家族感。
***
社内は明るい。
そして忙しい。
「農家からの契約、めっちゃ増えてんでー! どないすんねんこれ!」
カエデがスプレッドシートを見ながら嬉しそうに唸ってる。
「警備の方、想像以上に人気で~! 人手足りないです! 先輩、現場入りましょうよ~!」
ユズハが腕を引いてくる。おい、俺をなんだと思ってる。
「ミリーの配信ね、今週もトレンド入りしてたんだよ~♪ もう3日連続~!」
両手をバンザイしてぴょんぴょん跳ねるミリー。元気すぎる。
「資金と財務は安定推移。外部評価も上々です」
「SNS上の印象操作も良好。今のところ目立った炎上もなし」
エンリとノアが静かに、でも確実に社内の土台を支えていた。
……皆、忙しそうで、楽しそうで、やる気に満ちてて。
そして俺も――
部屋の奥、引きこもって動画編集ソフトとにらめっこ中。
音声切って、画面トリミングして、効果音入れて……
「俺、何の会社の社長だったっけ?」
一人呟いたその声は、誰にも届かない。
でも、まぁ……いいか。
誰かが頑張って、誰かが笑ってる。
それが繋がって、この会社が動いてる。
社長が空気でも、裏方でも――
……全て、順調だった。
*****
「あれ……?」
昼過ぎ。
社内チャットに目を通してた俺は、ふと眉をひそめた。
“農業事業部:B農園より契約保留の連絡”
保留?
昨日まで超ノリノリだったじゃん、B農園。
カエデが電話越しに「一緒に全国制覇や!」って叫んでたレベルだぞ?
しかも、続けて別の通知。
“VTuber事業:新人Aの外部コラボ、キャンセル”
……うん?
なんか、さっきまでの「絶好調!」な空気と違うやつ混じってない?
「潤様?」
ノアがそっと声をかけてくる。
「何か気になることでも?」
「いや……なんか、ちょっと“あれっ?”って思う通知が増えてる気がして……」
「たしかに……今朝まで話が進んでいた外部との提携案件、いくつか“検討中”に戻されているようですね」
「これって……偶然ってことでいいんだよな?」
「偶然が連続する場合、それは必然と呼びます」
やめろ、ノア。さらっと名言っぽいこと言うな。
不安が増すだろ。
「……まぁ、大丈夫だよな。たまたまだろ。うん、きっとそう。俺、ポジティブにいこう、ポジティブに」
ってことで、俺はそっと通知を閉じた。
見なかったことにした。
社長ってそういう能力も必要だろ、多分。
――でも、この“違和感”は。
たぶん、この会社で俺だけが最初に気づいた“異変”だった。
後書き
【あとがき小話】
潤『なあ作者、ゴールデンウィークって何すんの?』
作者『へ? 20話あげるけど?』
潤『……えっ?』
作者『あ、いやほら、みんな休みで読む時間あるでしょ? だからその隙に全話ぶち込んでやろうと思って』
潤『そういう意味で“隙”って使う!? 攻めすぎだろ……』
作者『朝起きて書いて、昼書いて、夜も書いて、気づいたら日付変わってるまでがGWの基本構成です』
潤『ブラック企業の働き方だよそれ!?しかも報酬ゼロ!!』
作者『でも……読者が「一気読みできて幸せです!」って言ってくれるの、何よりのご褒美じゃん……?』
潤『感動路線で美談にすんな。やってることは限界スケジュールだからな』
作者『というわけで、皆さん……覚悟、よろしくお願いします。GW、突っ込むよ』
潤『怖いよ!それ戦線突入のセリフだよ!!』
作者:pyoco(GW=ガチでわたし執筆ウィーク)
カエデがスマホを突き出してくる。画面には、昨日放送された情報番組の映像。
「ミリーも映ったーっ! ちゃんと笑顔キマってたよーっ!」
「ユズハの魅力が、また全国に拡散されちゃいましたね~♪」
ヒロイン陣が、それぞれ自分の出番をキャッキャと確認し合っている。
俺も、画面を真剣に凝視する。
よし、きた。ここで俺の登場――
“鬼才現る! 天才社長インタビュー!”
“カリスマ経営者・葉山潤の素顔に迫る!”
……みたいなやつ、流れてくるはず!
番組的に社長は“最後にドン!”ってのが王道だし。うん、わかってるぅ。
ナレーション「というわけで、今週の特集は“地方と都市を繋ぐ革新企業”! 話題の『悪党リクルートエージェント』さんでした~!」
……ん?
終わったよ? 俺……出てこなかったけど?
「えっ……ねぇ、エンリ? これって……次回に続くパターン?」
「いえ。あの局の特集は基本1回完結のはずですけど……」
「……」
……社長カットされてるやんけぇぇぇ!
なんでや! 俺の“名ばかり感”そんな強かった!?
「えれれ~? まさか先輩、テレビに映ってなかった……的な?」
「潤くん元気出して~! ほらうちがぎゅーしたるさかい!」
「ミリーもぎゅーするぅ~っ!」
わぁっとヒロインズが抱きついてくる。いや、心は癒されるけども、これは違う。俺の尊厳の問題なの。
「はいはい、皆さん。仕事に戻ってください」
エンリの一言で、やっと皆が渋々席へと戻っていく。
……いや、なんなんこの家族感。
***
社内は明るい。
そして忙しい。
「農家からの契約、めっちゃ増えてんでー! どないすんねんこれ!」
カエデがスプレッドシートを見ながら嬉しそうに唸ってる。
「警備の方、想像以上に人気で~! 人手足りないです! 先輩、現場入りましょうよ~!」
ユズハが腕を引いてくる。おい、俺をなんだと思ってる。
「ミリーの配信ね、今週もトレンド入りしてたんだよ~♪ もう3日連続~!」
両手をバンザイしてぴょんぴょん跳ねるミリー。元気すぎる。
「資金と財務は安定推移。外部評価も上々です」
「SNS上の印象操作も良好。今のところ目立った炎上もなし」
エンリとノアが静かに、でも確実に社内の土台を支えていた。
……皆、忙しそうで、楽しそうで、やる気に満ちてて。
そして俺も――
部屋の奥、引きこもって動画編集ソフトとにらめっこ中。
音声切って、画面トリミングして、効果音入れて……
「俺、何の会社の社長だったっけ?」
一人呟いたその声は、誰にも届かない。
でも、まぁ……いいか。
誰かが頑張って、誰かが笑ってる。
それが繋がって、この会社が動いてる。
社長が空気でも、裏方でも――
……全て、順調だった。
*****
「あれ……?」
昼過ぎ。
社内チャットに目を通してた俺は、ふと眉をひそめた。
“農業事業部:B農園より契約保留の連絡”
保留?
昨日まで超ノリノリだったじゃん、B農園。
カエデが電話越しに「一緒に全国制覇や!」って叫んでたレベルだぞ?
しかも、続けて別の通知。
“VTuber事業:新人Aの外部コラボ、キャンセル”
……うん?
なんか、さっきまでの「絶好調!」な空気と違うやつ混じってない?
「潤様?」
ノアがそっと声をかけてくる。
「何か気になることでも?」
「いや……なんか、ちょっと“あれっ?”って思う通知が増えてる気がして……」
「たしかに……今朝まで話が進んでいた外部との提携案件、いくつか“検討中”に戻されているようですね」
「これって……偶然ってことでいいんだよな?」
「偶然が連続する場合、それは必然と呼びます」
やめろ、ノア。さらっと名言っぽいこと言うな。
不安が増すだろ。
「……まぁ、大丈夫だよな。たまたまだろ。うん、きっとそう。俺、ポジティブにいこう、ポジティブに」
ってことで、俺はそっと通知を閉じた。
見なかったことにした。
社長ってそういう能力も必要だろ、多分。
――でも、この“違和感”は。
たぶん、この会社で俺だけが最初に気づいた“異変”だった。
後書き
【あとがき小話】
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作者『へ? 20話あげるけど?』
潤『……えっ?』
作者『あ、いやほら、みんな休みで読む時間あるでしょ? だからその隙に全話ぶち込んでやろうと思って』
潤『そういう意味で“隙”って使う!? 攻めすぎだろ……』
作者『朝起きて書いて、昼書いて、夜も書いて、気づいたら日付変わってるまでがGWの基本構成です』
潤『ブラック企業の働き方だよそれ!?しかも報酬ゼロ!!』
作者『でも……読者が「一気読みできて幸せです!」って言ってくれるの、何よりのご褒美じゃん……?』
潤『感動路線で美談にすんな。やってることは限界スケジュールだからな』
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