【完結】愛を刻んで

さか様

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番外編

パンツ会議(本編:雲を抜けて)

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夜のオクスフォード。

リアムのペントハウス――蓮と優真の新居は、静けさの中にほんのり甘いワインの香りが残っていた。

窓の外では霧のような街灯がぼんやりと滲んで、ガラス越しに光の粒が泳ぐ。

広すぎるベッドの上では左に蓮、真ん中に優真、右にリアム。
“川の字”で誰も眠る気配がない。

「……ねぇ、寝る前にさ、ひとつだけ聞いていい?」

リアムの声が、唐突に静寂を破った。

「嫌な予感しかしねぇ」

蓮が即答する。

「いや真面目な話だって!」

リアムは毛布を抱えたまま、ベッドの上でくるりと向きを変えた。

「最近、パンツがしっくりこないんだよね。
ツルッとしたボクサーばっか履いてたんだけど、腰のゴムがウザくてさ~」

「……だからどうした」

「だから!パンツって大事じゃん?人生に関わるじゃん?」

「パンツから人生の話に飛躍させんな」

優真が吹き出した。

「……リアムさん、ほんと変わりませんね」

「いい意味で言ってる?」

「まぁ……」

「“まぁ”!? そこは“Yes”でしょ?!」

リアムは不満げに頬を膨らませつつ、すぐに話を切り替える。

「で!レンは?どうせ筋トレで動きやすいように機能性重視のボクサーでしょ?」

「うるせぇよ」

「はい図星~!!」

リアムの目がきらりと輝く。

「じゃあ次、ユーマ!」

「え、おれですか!?」

「もちろん!気になるに決まってるでしょ!
カワイイ清楚な見た目で何履いてるのか!」

優真は目をぱちぱちさせ、頬を染めながら小さく答えた。

「……シームレスのボクサーブリーフ、です」

リアムは満足げに頷いた。

「やっぱり~!カワイイ系の最適解!」

(優真…答えるのかよ、言うなよ…)

素直に答える優真に少し嫉妬心を滲ませた蓮が、枕に頬を預けたまま低くぼそっと呟く。

「……それだけじゃないけどな」
(仕返し、)

「……っ!!?」

優真の肩がびくりと跳ねた。

「れ、蓮さん!?!?」

リアムの動きがピタリと止まる。
その目が、まるで野生動物のように鋭く光った。

「それだけじゃない……?ってことは……
あっ!!!」

両手で顔を覆いながらも、にやりと笑った。

「Tバックだろ!?
あのイタリアのブランドのやつだ!!!」

「なっ……!!?」

優真の顔が一瞬で真っ赤になる。
蓮はニヤリと笑いながら「余計な勘いいな、お前」と呟いた。

「大方、レンが見たくてユーマに買い与えたんでしょ?
ちなみに履いたの?!の?!」

「もー、リアムさん!!!」

まくし立てるリアムに優真の顔は真っ赤なままだった。

「どのみちユーマがTバック履いてるって、ギャップがやばいね!」

リアムのテンションはもう止まらない。
完全に暴走モードだった。

ベッドの上で四つん這いになり、優真の方へじりじりとにじり寄る。

「ねぇユーマ、今日も履いてる?……確認していい?」

「は、はあ!?!?!?ダメですってば!!」

「ちょっとだけ見せてよ!」

優真が慌てて後ずさると、蓮の胸板に背中がぶつかった。
リアムは鼻を鳴らしてぐいぐいと近づき、優真のズボンの端をそっとつまむ。

見えた下着は――

「あっ、今日はシームレスのほうなんだ!残念~!」

「リアムさんっ!!!!!?」

優真の叫びがペントハウスに響いた。
耳まで真っ赤、毛布を抱えてジタバタ。

「おいリアム、そこまでは許可してねぇよ?」

さすがの蓮も優真を抱き寄せて、ズボンを上げ直すと低い声で牽制した。

「ほら、ファクトチェックって大事だから」

「チェックすんな!!」

リアムは笑いながら両手を上げた。

「でもさ~、あの小さいお尻が…Tバックからはみ出てるんだよね!?!?
それもう罪じゃない!?…ジーザス!!!」

「想像すんなよ!」

蓮が叫び、枕を全力でリアムの顔に投げた。

リアムは枕を受け止めながら笑い転げる。

「はははっ!キミたちほんと面白いなぁ、」

優真は完全に布団の中に潜り込み、くぐもった声で呟いた。

「なんなんですかほんと…」

蓮は苦笑しながら、その毛布ごと優真を抱き寄せた。

「悪かった悪かった、な?優真が素直に答えるから…ちょっと言いたくなっちゃった、」

「ほんとに……恥ずかしいんですけど……」

リアムはまだ笑いながら枕に顔を埋めて言った。

「……ユーマ……俺、明日この話を日記に書く……」
「それは書くな!!!!」

最後に蓮とリアムの声が重なり、
ベッドの上は笑いと悲鳴と赤面でぐちゃぐちゃになった。
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