新卒社畜、SS級ランカー御用達の娼館で肉体労働します。〜毎日俺を買う勇者たちが絶倫すぎる〜

さか様

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今は休憩中、俺の部屋にはいつもの顔ぶれ――ガルドとアルベルトがいる。

休憩明けにどっちが指名するか揉めているが、いつものことなのでスルーしている。

そんな中、俺はふと思い出した。

この世界には写真がない。

……あれ?

「そういえば」

俺は鞄を探る。

「スマホ……あったよな」

鞄の底のほう、出てきた。
見慣れたスマートフォン。

以前は会社からの連絡が異常に多すぎて、肌身離さず持ち歩かざるを得なかった。

「……充電、切れてる。そりゃそうか、」

ここに来てからの日々が濃すぎて、すっかりそれどころではなかった。

コンセントを見回す。
充電器と、モバイルバッテリーはいつも持ち歩いていた。

コンセントに充電器を、挿す。

…おぉ。普通に使える。

「……同じ規格?」

なんと都合のいい。
しばらくして、画面が光った。

りんごのロゴに、ロック解除画面。

「……ついた」

思わず声が出る。

今の今までガルドと張り合っていたアルベルトが、びくっと肩を跳ねさせた。

「な、なんですかそれ!今、光りましたよね?!」

「スマホです。
前の世界の……電話とカメラ…あ、カメラは分かんないですよね、まあま…道具です」

我ながら、なんと説明が雑なんだ。

ガルドが覗き込む。

「…そんな板が電話なのか?」

「はい、」

カメラを起動する。

インカメにしちゃえ。
途端に、三人の顔がに映った。

「……」
「……?」

一拍。

ガルドがゆっくり瞬きをする。

「……なに、俺たちが、写っている……?」

「ふふ、はい」

アルベルト、半歩下がる。

「ひぃっ?!なんですかそれ?!?!
魂、抜かれませんよね?!」

「抜けませんよ」

いい線いってるな。
そういう話もあるけど、内緒にしておこう。

アルベルトはじっと画面を見る。

「この箱、怪しくないですか?
僕の顔、入ってますよ?!?…わぁ、美しいですね、」

最後の何。

「写真って言うんです。
今の状態を、そのまま残せるんですよ」

ガルドは画面をじっと見つめている。

「……動いているが、鏡みたいなものか?」

「いえ、動いてるのは今だけ。残るのは一瞬です。
あ、でもビデオといって、動いてるのも残せます!」

「………ほう」

ガルド、分かってるのか分かってないのか。

「つまり、一瞬を、捕まえる武器か」

…分かってなかったわ。
残念ながら、武器ではない。

アルベルトは完全に警戒態勢。

「あっ!やめてください…それをこちらに急に向けないでください!
…心の準備が……!」

「はいはい」

そう言いながら、無意識でシャッターを切った。

ぱしゃ。

「わぁっ!!」

アルベルトの情けない声に笑いそうになる。
…ごめんて。

「……今、なにか起きたか」

ガルドが言う。

「はい、起きました」

画面を見せる。

俺を挟む両隣の、いつもの整った顔。
…が、妙に間の抜けた顔になっている。

アルベルトは画面を恐る恐る覗いた。

「…え、……これ、魔法ですか?!何魔法です?!」

「文明です」

俺の返しに数秒固まってから、ペタペタと自分の顔に触れている。

「あ……魂、残ってますね、……」

ガルドは、静かに頷いた。

「便利だな、証拠になる」

証拠?何をする気だこの人は。

「じゃあ、記念にもう一枚」

「待て」

シャッターを切ろうとする俺を、ガルドが遮った。

「身なりを整える」

…身なり。
アルベルトもガルドにつられて、慌てて髪を直している。

「ちょ、ちょっと待ってください!
今のは心の準備が……!」

――

数分後。

俺も含めて三人、妙にきちんと並ぶ。

ぱしゃ。

「……」
「……」
「……」

ガルドが、ぽつり。

「……慣れれば、悪くないな」

アルベルトも、慎重に頷く。

「はい!怖いですけど……慣れれば……」

俺は画面を消した。

「じゃあ、今日はここまでにしましょう」

二人とも、なぜか名残惜しそうだった。

――

数日後。

仕事が終わり、寝る前にスマホを何気なく開いた。
あー、これよくやってたな。
寝れなくなるってわかってても、つい見てしまうスマホ。

しかし、一番上に出てきたサムネで、思考が止まった。

「……え?」

……アウト。
完全にアウト。

あの、これ、AVのサムネですか?

自分の顔が、普段じゃありえないくらいとろけている。

指が震えてしまい、誤タップしてしまった。
声も、恥ずかしいくらい、はっきり入っている。

――俺の喘ぎ声、爆音再生。

『あっ、…ん、ふぁっ…やっ、やだぁ…も、やだ、』

「ちょっ、待っ……!」

慌てて音量を下げるも、心臓がめちゃくちゃドキドキしている。

画面の中では、“えっち中の俺”が、ちゃんと、しっかり、残っていた。

揺さぶられながら、小刻みに震え、頬が赤くて、瞳もうるんで…って俺は俺を見て実況しないで。

(いつのまに、こんな…ほとんど目瞑っちゃうから全然気付かなかった…)

極めつけは切り替わった画角。
インカメにして、写り込むガルドの姿。

真剣な顔で、
「ちゃんと入っているな」
とか言っている。

……これは映りの話?それともお尻の話?
(韻を踏んでいる場合ではない。)

「こんな、…あっ、」

指を滑らせ別の動画。俺は何をしているんださっきから…。 

でも見てしまう。罪だな。

えっち中なのに、微笑んでいるアルベルト。
画面の端で、楽しそうに動いているスライム。

……なにこれ。

次。
また次。

「あ、これも……
え、これも……?!」

スクロールが止まらない。

短いの。
長いの。
角度違い。

ちょっと待て、何本撮ってるんだこの人たちは。

世間はこれを、ハメ撮りと呼ぶのでは?

スマホを伏せて深く息を吐く。
まずは深呼吸だ、俺。

「……俺のスマホに、俺のハメ撮りが…」

誰に言うでもなく、呟いた。

このデータ、消すべきなのはわかってるけど。
わかってる、けど。

俺は一旦、考えないことにした。
…とりあえず非表示にしとこ。

あの二人、次あったらアプリ合成の刑だ。

動物の耳生やしたり、めちゃくちゃ目でかくしてやろう。

結構ひどいことされてるけど、こんなことを考えただけで溜飲が下がる俺もなかなかだなと思った。
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