6 / 50
6
しおりを挟む
次にエリアスが目を覚ましたとき、最初に感じたのは、重さだった。
身体の上ではない。
背と腹のあいだ、逃げ場のない位置に確かな圧がある。
「……?」
息を吸うと、すぐ耳元で低い呼吸が重なった。
——近い。
一瞬、何が起きているのか分からず、身体が強張る。
背中に、硬い胸。
腰に、回された腕。
抱きすくめられている。
(……な、に……)
声を出そうとして、喉で止まる。
動こうとして、動けない。
締めつけられているわけではない。
だが、逃がすつもりもない抱き方だ。
「……起きたか」
低い声が、すぐ後ろから落ちた。
「……ガレン……?」
確かめるように呼ぶと、短く返事がある。
「ああ」
それだけ。
腕は、ほどかれない。
記憶が、遅れて追いつく。
水。食事。
触れられたこと。
“寝ろ”と言われたこと。
(……いつから……)
問いかけようとして、やめる。
本来なら、即座に抗議していた。
距離を詰めるな、と。
離せ、と。
——無礼だ。
そう思う理性は、まだ残っている。
だが。
助けられている。
守られている。
この腕がなければ、たぶん今も凍えている。
それに。
嘘をついている。
名も、身分も、すべて隠したまま、
“弱い人間”として、ここにいる。
「……離れ……」
言いかけた声は、情けないほど弱かった。
ガレンは、それを拒絶とも抗議とも取らなかったらしい。
ただ、腕の位置をわずかに調整する。
より安定する位置へ抱き直し、後ろからエリアスの首筋に唇を落とした。
「……弱いエリ」
吐息がかかる、静かな声。
その呼び方に、胸が跳ねる。
「なっ……」
反射的に言い返しかけて、言葉が途切れる。
弱い。
そう判断されている。
——否定できない。
「……本当に、弱い」
続いた声は、呆れではなかった。
庇う前提の、落ち着いた響き。
エリアスの指先が、毛皮をきゅっと掴む。
無礼だ。
分かっている。
それでも、この腕の中から抜け出す理由が見つからない。
ガレンは、しばらくそうしてから、ゆっくりと身体を離した。
完全に距離を取るわけではなく、すぐそばに膝をつく。
「……見回りに行く」
ようやく、そう告げる。
エリアスは、思わず問い返していた。
「……ひとりで……?」
ガレンは、当然だというように頷く。
「あぁ、いつものことだ。すぐ戻る」
立ち上がりかけて、ふと足を止める。
「……動くなよ」
振り返らずに言う。
「一歩も、だ」
選択肢は、与えない。
「ここは俺の巣穴。弱いものは、守るだけだ」
低く、揺るがない声。
「俺が戻るまで、ここにいろ」
言い含めるように言って、今度こそ背を向ける。
エリアスは、返事をするまで一瞬、間があった。
——無礼だ。
——勝手だ。
それでも。
「……わかった……」
声は小さく、震えていた。
ガレンはそれで十分だと判断したらしい。
洞穴の入口で一度だけ振り返る。
「弱いエリ」
柔らかく、呼ぶ。
微笑んでいるように見えたが暗がりでよく見えなかった。
「待ってろよ、」
その背が、闇に溶けていく。
洞穴に残されたエリアスは、しばらく身動きが取れなかった。
抱きすくめられていた感覚が、まだ体に残っている。
無礼だと分かっている。
言うべきだったとも思う。
それなのに。
恩と、後ろめたさと、初めて向けられる庇護が、すべてを包み込む。
「……よわ……」
小さく呟いて、毛皮の中で身を縮める。
囲われている。
完全に。
その事実に、エリアスは静かに、わなわなと震えた。
――
ガレンが見回りに出てから、しばらくが過ぎた。
洞穴は静かで、火は安定している。
その静けさが、かえってエリアスの喉の渇きを際立たせた。
(……少しだけ……)
動くな、と言われた言葉は覚えている。
だが、呼ぶ勇気が出なかった。
毛皮からそっと抜け出し、足音を殺して歩いた——つもりだった。
床に散らばる石は、思ったよりも意地が悪い。
「……っ」
足先が何かに触れ、体勢を崩す。
咄嗟に伸ばした手が、積んであった道具に当たった。
がらり
倒れた拍子に、薪が崩れ、
肘が水袋を弾く。
どん
がしゃん
音が洞穴に反響し、
エリアスは、その場で固まった。
(……やって、しまった……)
言い訳を組み立てる前に、
入口の光が、ゆっくりと遮られた。
空気が、変わる。
低く、重い気配。
次の瞬間、洞穴に満ちる圧。
熊だった。
突進はしないが、歩幅が大きく距離は必然と一気に詰まる。
熊はエリアスの目の前で止まり、低く唸る。
鼻先が動く。
忙しなく、執拗に。
首筋。
肩。
腹。
脚。
順番がある。
それは獲物を見る動きではなかった。
(ならず者の仕業か…?)
熊の思考が、匂いに現れる。
しかし、人間の匂いは一つ。
慌てた匂い。血はどうだ。
それでも、確認は終わらない。
前脚が、ゆっくりと伸びる。
爪は立てない。
重い肉球が、エリアスの肩に触れ、逃げ道を塞ぐ位置に留まる。
エリアスは熊に組み敷かれたまま動けなかった。
次に、胸元。
衣の上から、圧をかけるように確かめる。
近い。息が、かかる。
熊は、舐める。
短く、確かめるように。
首筋。
鎖骨の下。
少し擦り傷があった。
冷えた皮膚に、温かい感触が残る。
「……ぁ、っ」
思わず漏れた声に、
熊の動きが一瞬止まる。
だが、やめない。
もう一度。
今度は、少し長く。
治療の仕草。
同時に、完全な庇護の距離。
やがて、熊の唸りが喉の奥に引っ込み、
圧が引く。
質量が削がれ、
輪郭が、人の形に戻っていく。
ガレンだった。
彼は膝をついたまま、深く息を吐く。
「……おい、ならず者が来たのかと思ったぞ」
低く、独り言のように。
視線は、散らかった洞穴を一巡し、
すぐにエリアスへ戻る。
「……擦りむいてるな?」
問いながら、もう見ている。
首。
腕。
脚。
念入りに。
「……あ、えっと…少し…?」
エリアスがそう答えると、
ガレンはもう一度、長い息を吐いた。
「……ならいい」
それだけ言って、立ち上がる。
片付けを始める手つきは早い。
倒れた薪を起こし、水袋を拾い、元に戻す。
エリアスは、居心地悪そうに視線を逸らし、
ぽつぽつと言い訳を落とす。
「……喉が、渇いて……水がほしくて……でも…足を……引っかけて……」
ガレンは、黙って聞く。
時折、短く息を吐く。
「……動くなと言ったが」
責める声ではないことはわかった。
「……すまない……」
本来なら、王なら、もっと強く言い返せるのかもしれない。
だが、言葉は弱くほどける。
助けられている。
守られている。
そして、何より嘘をついたままだ。
ガレンは片付けを終えると、少し離れた位置に腰を下ろした。
「だから、俺が見る」
宣言のように。
エリアスは、何も言えなかった。
身体が、まだガレンの体温を覚えている。
囲われている。
完全に。
「わかった…」
毛皮の中で、小さく呟く。
火は静かに燃え続け、洞穴は再び整った。
しかしエリアスの心の内だけが、まだ、ざわついたままだった。
身体の上ではない。
背と腹のあいだ、逃げ場のない位置に確かな圧がある。
「……?」
息を吸うと、すぐ耳元で低い呼吸が重なった。
——近い。
一瞬、何が起きているのか分からず、身体が強張る。
背中に、硬い胸。
腰に、回された腕。
抱きすくめられている。
(……な、に……)
声を出そうとして、喉で止まる。
動こうとして、動けない。
締めつけられているわけではない。
だが、逃がすつもりもない抱き方だ。
「……起きたか」
低い声が、すぐ後ろから落ちた。
「……ガレン……?」
確かめるように呼ぶと、短く返事がある。
「ああ」
それだけ。
腕は、ほどかれない。
記憶が、遅れて追いつく。
水。食事。
触れられたこと。
“寝ろ”と言われたこと。
(……いつから……)
問いかけようとして、やめる。
本来なら、即座に抗議していた。
距離を詰めるな、と。
離せ、と。
——無礼だ。
そう思う理性は、まだ残っている。
だが。
助けられている。
守られている。
この腕がなければ、たぶん今も凍えている。
それに。
嘘をついている。
名も、身分も、すべて隠したまま、
“弱い人間”として、ここにいる。
「……離れ……」
言いかけた声は、情けないほど弱かった。
ガレンは、それを拒絶とも抗議とも取らなかったらしい。
ただ、腕の位置をわずかに調整する。
より安定する位置へ抱き直し、後ろからエリアスの首筋に唇を落とした。
「……弱いエリ」
吐息がかかる、静かな声。
その呼び方に、胸が跳ねる。
「なっ……」
反射的に言い返しかけて、言葉が途切れる。
弱い。
そう判断されている。
——否定できない。
「……本当に、弱い」
続いた声は、呆れではなかった。
庇う前提の、落ち着いた響き。
エリアスの指先が、毛皮をきゅっと掴む。
無礼だ。
分かっている。
それでも、この腕の中から抜け出す理由が見つからない。
ガレンは、しばらくそうしてから、ゆっくりと身体を離した。
完全に距離を取るわけではなく、すぐそばに膝をつく。
「……見回りに行く」
ようやく、そう告げる。
エリアスは、思わず問い返していた。
「……ひとりで……?」
ガレンは、当然だというように頷く。
「あぁ、いつものことだ。すぐ戻る」
立ち上がりかけて、ふと足を止める。
「……動くなよ」
振り返らずに言う。
「一歩も、だ」
選択肢は、与えない。
「ここは俺の巣穴。弱いものは、守るだけだ」
低く、揺るがない声。
「俺が戻るまで、ここにいろ」
言い含めるように言って、今度こそ背を向ける。
エリアスは、返事をするまで一瞬、間があった。
——無礼だ。
——勝手だ。
それでも。
「……わかった……」
声は小さく、震えていた。
ガレンはそれで十分だと判断したらしい。
洞穴の入口で一度だけ振り返る。
「弱いエリ」
柔らかく、呼ぶ。
微笑んでいるように見えたが暗がりでよく見えなかった。
「待ってろよ、」
その背が、闇に溶けていく。
洞穴に残されたエリアスは、しばらく身動きが取れなかった。
抱きすくめられていた感覚が、まだ体に残っている。
無礼だと分かっている。
言うべきだったとも思う。
それなのに。
恩と、後ろめたさと、初めて向けられる庇護が、すべてを包み込む。
「……よわ……」
小さく呟いて、毛皮の中で身を縮める。
囲われている。
完全に。
その事実に、エリアスは静かに、わなわなと震えた。
――
ガレンが見回りに出てから、しばらくが過ぎた。
洞穴は静かで、火は安定している。
その静けさが、かえってエリアスの喉の渇きを際立たせた。
(……少しだけ……)
動くな、と言われた言葉は覚えている。
だが、呼ぶ勇気が出なかった。
毛皮からそっと抜け出し、足音を殺して歩いた——つもりだった。
床に散らばる石は、思ったよりも意地が悪い。
「……っ」
足先が何かに触れ、体勢を崩す。
咄嗟に伸ばした手が、積んであった道具に当たった。
がらり
倒れた拍子に、薪が崩れ、
肘が水袋を弾く。
どん
がしゃん
音が洞穴に反響し、
エリアスは、その場で固まった。
(……やって、しまった……)
言い訳を組み立てる前に、
入口の光が、ゆっくりと遮られた。
空気が、変わる。
低く、重い気配。
次の瞬間、洞穴に満ちる圧。
熊だった。
突進はしないが、歩幅が大きく距離は必然と一気に詰まる。
熊はエリアスの目の前で止まり、低く唸る。
鼻先が動く。
忙しなく、執拗に。
首筋。
肩。
腹。
脚。
順番がある。
それは獲物を見る動きではなかった。
(ならず者の仕業か…?)
熊の思考が、匂いに現れる。
しかし、人間の匂いは一つ。
慌てた匂い。血はどうだ。
それでも、確認は終わらない。
前脚が、ゆっくりと伸びる。
爪は立てない。
重い肉球が、エリアスの肩に触れ、逃げ道を塞ぐ位置に留まる。
エリアスは熊に組み敷かれたまま動けなかった。
次に、胸元。
衣の上から、圧をかけるように確かめる。
近い。息が、かかる。
熊は、舐める。
短く、確かめるように。
首筋。
鎖骨の下。
少し擦り傷があった。
冷えた皮膚に、温かい感触が残る。
「……ぁ、っ」
思わず漏れた声に、
熊の動きが一瞬止まる。
だが、やめない。
もう一度。
今度は、少し長く。
治療の仕草。
同時に、完全な庇護の距離。
やがて、熊の唸りが喉の奥に引っ込み、
圧が引く。
質量が削がれ、
輪郭が、人の形に戻っていく。
ガレンだった。
彼は膝をついたまま、深く息を吐く。
「……おい、ならず者が来たのかと思ったぞ」
低く、独り言のように。
視線は、散らかった洞穴を一巡し、
すぐにエリアスへ戻る。
「……擦りむいてるな?」
問いながら、もう見ている。
首。
腕。
脚。
念入りに。
「……あ、えっと…少し…?」
エリアスがそう答えると、
ガレンはもう一度、長い息を吐いた。
「……ならいい」
それだけ言って、立ち上がる。
片付けを始める手つきは早い。
倒れた薪を起こし、水袋を拾い、元に戻す。
エリアスは、居心地悪そうに視線を逸らし、
ぽつぽつと言い訳を落とす。
「……喉が、渇いて……水がほしくて……でも…足を……引っかけて……」
ガレンは、黙って聞く。
時折、短く息を吐く。
「……動くなと言ったが」
責める声ではないことはわかった。
「……すまない……」
本来なら、王なら、もっと強く言い返せるのかもしれない。
だが、言葉は弱くほどける。
助けられている。
守られている。
そして、何より嘘をついたままだ。
ガレンは片付けを終えると、少し離れた位置に腰を下ろした。
「だから、俺が見る」
宣言のように。
エリアスは、何も言えなかった。
身体が、まだガレンの体温を覚えている。
囲われている。
完全に。
「わかった…」
毛皮の中で、小さく呟く。
火は静かに燃え続け、洞穴は再び整った。
しかしエリアスの心の内だけが、まだ、ざわついたままだった。
2
あなたにおすすめの小説
人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました
よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、
前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。
獣人が支配する貴族社会。
魔力こそが価値とされ、
「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、
レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。
そんな彼を拾ったのは、
辺境を治める獣人公爵アルト。
寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。
溺愛され、守られ、育てられる日々。
だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。
学院での出会い。
貴族社会に潜む差別と陰謀。
そして「番」という、深く重い絆。
レオンは学び、考え、
自分にしかできない魔法理論を武器に、
少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。
獣人と人族。
価値観も、立場も、すべてが違う二人が、
それでも選び合い、家族になるまでの物語。
溺愛×成長×異世界BL。
読後に残るのは、
「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。
番に見つからない街で、子供を育てている
はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。
異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。
現世の記憶は失われているが、
この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。
街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、
ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。
だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。
再会は望まない。
今はただ、この子との生活を守りたい。
これは、番から逃げたオメガが、
選び直すまでの物語。
*不定期連載です。
【本編完結】最強魔導騎士は、騎士団長に頭を撫でて欲しい【番外編あり】
ゆらり
BL
帝国の侵略から国境を守る、レゲムアーク皇国第一魔導騎士団の駐屯地に派遣された、新人の魔導騎士ネウクレア。
着任当日に勃発した砲撃防衛戦で、彼は敵の砲撃部隊を単独で壊滅に追いやった。
凄まじい能力を持つ彼を部下として迎え入れた騎士団長セディウスは、研究機関育ちであるネウクレアの独特な言動に戸惑いながらも、全身鎧の下に隠された……どこか歪ではあるが、純粋無垢であどけない姿に触れたことで、彼に対して強い庇護欲を抱いてしまう。
撫でて、抱きしめて、甘やかしたい。
帝国との全面戦争が迫るなか、ネウクレアへの深い想いと、皇国の守護者たる騎士としての責務の間で、セディウスは葛藤する。
独身なのに父性強めな騎士団長×不憫な生い立ちで情緒薄めな甘えたがり魔導騎士+仲が良すぎる副官コンビ。
甘いだけじゃない、骨太文体でお送りする軍記物BL小説です。番外は日常エピソード中心。ややダーク・ファンタジー寄り。
※ぼかしなし、本当の意味で全年齢向け。
★お気に入りやいいね、エールをありがとうございます! お気に召しましたらぜひポチリとお願いします。凄く励みになります!
出戻り勇者の求婚
木原あざみ
BL
「ただいま、師匠。俺と結婚してください」
五年前、見事魔王を打ち倒し、ニホンに戻ったはずの勇者が、なぜか再びエリアスの前に現れた。
こちらの都合で勝手に召喚された、かわいそうな子ども。黒い髪に黒い瞳の伝説の勇者。魔王の討伐が終わったのだから、せめて元の世界で幸せになってほしい。そう願ってニホンに送り返した勇者に求婚目的で出戻られ、「??」となっている受けの話です。
太陽みたいに明るい(けど、ちょっと粘着質な)元勇者×人生休憩中の元エリート魔術師。
なにもかも討伐済みの平和になった世界なので、魔法も剣もほとんど出てきません。ファンタジー世界を舞台にした再生譚のようななにかです。
紳士オークの保護的な溺愛
flour7g
BL
■ 世界と舞台の概要
ここはオークの国「トールキン」。
魔法、冒険者、ギルド、ダンジョン、獣人やドラゴンが存在する、いわゆる“典型的な異世界”だが、この国の特徴はオークが長命で、理知的な文明社会を築いていることにある。
トールキンのオークたちは、
灰色がかった緑や青の肌
鋭く澄んだ眼差し
鍛え上げられた筋骨隆々の体躯
を持ち、外見こそ威圧的だが、礼節と合理性を重んじる国民性をしている。
異世界から来る存在は非常に珍しい。
しかしオークは千年を生きる種族ゆえ、**長い歴史の中で「時折起こる出来事」**として、記録にも記憶にも残されてきた。
⸻
■ ガスパールというオーク
ガスパールは、この国でも名の知れた貴族家系の三男として生まれた。
薄く灰を帯びた緑の肌、
赤い虹彩に金色の瞳孔という、どこか神話的な目。
分厚い肩と胸板、鍛え抜かれた腹筋は鎧に覆われずとも堅牢で、
銀色に輝く胸当てと腰当てには、代々受け継がれてきた宝石が嵌め込まれている。
ざらついた低音の声だが、語調は穏やかで、
貴族らしい品と、年齢を重ねた余裕がにじむ話し方をする。
● 彼の性格
• 極めて面倒見がよく、観察力が高い
• 感情を声高に表に出さないが、内側は情に厚い
• 責任を引き受けることを当然のように思っている
• 自分が誰かに寄りかかることだけは、少し苦手
どこか「自分は脇役でいい」と思っている節があり、それが彼の誠実さと同時に、不器用さでもあった。
⸻
■ 過去と喪失 ――愛したオーク
ガスパールはかつて、平民出身のオーク男性と結ばれていた。
家柄も立場も違う相手だったが、
彼はその伴侶の、
不器用な優しさ
朝食を焦がしてしまうところ
眠る前に必ず手を探してくる癖
を、何よりも大切にしていた。
しかし、その伴侶はすでにこの世を去っている。
現在ガスパールが暮らしているのは、
貴族街から少し離れた、二階建ての小さな屋敷。
華美ではないが、掃除が行き届き、静かな温もりのある家だ。
彼は今も毎日のように墓参りを欠かさない。
それは悲嘆というより、対話に近い行為だった。
⸻
■ 現在の生活
ガスパールは現在、
街の流通を取り仕切る代表的な役職に就いている。
多忙な職務の合間にも、
洗濯、掃除、料理
帳簿の整理
屋敷の修繕
をすべて自分でこなす。
仕事、家事、墓参り。
規則正しく、静かな日々。
――あなたが現れるまでは。
異世界転移した元コンビニ店長は、獣人騎士様に嫁入りする夢は……見ない!
めがねあざらし
BL
過労死→異世界転移→体液ヒーラー⁈
社畜すぎて魂が擦り減っていたコンビニ店長・蓮は、女神の凡ミスで異世界送りに。
もらった能力は“全言語理解”と“回復力”!
……ただし、回復スキルの発動条件は「体液経由」です⁈
キスで癒す? 舐めて治す? そんなの変態じゃん!
出会ったのは、狼耳の超絶無骨な騎士・ロナルドと、豹耳騎士・ルース。
最初は“保護対象”だったのに、気づけば戦場の最前線⁈
攻めも受けも騒がしい異世界で、蓮の安眠と尊厳は守れるのか⁉
--------------------
※現在同時掲載中の「捨てられΩ、癒しの異能で獣人将軍に囲われてます!?」の元ネタです。出しちゃった!
アルファ嫌いのヤンキーオメガ
キザキ ケイ
BL
にわか景気の商店街に建つペットショップで働く達真は、男性オメガだ。
オメガなのに美形でも小柄でもなく、金に染めた髪と尖った態度から不良だと敬遠されることが多い達真の首には、オメガであることを嫌でも知られてしまう白い首輪が嵌っている。
ある日、店にアルファの客がやってきた。
過去のトラウマからアルファが大嫌いな達真はぞんざいな態度で接客するが、そのアルファはあろうことか達真を「きれいだ」と称し、いきなりキスしてきて───!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる