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ミゴノ助

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幼年期編

創作知識で魔法をはじめよう 後編

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 初めて魔法を使ってから数日、ようやく立ち上がるだけの体力が戻ってきたものの再びベッドの住人となった影響かあれ以来授業は専ら座学になってしまい実技をやらせて貰えていない。倒れた翌日にダメ元で聞いてみたもののメイにハッキリと「ダメです」と言われてしまってその謎の圧に負けそれきりになっている。

(アレ、ホントに怖かったな表情は笑っているのに眼が全然笑っていなかったし)

 という訳で暫くは大人しく勉強しつつ魔力の制御と使う際の調整に重きをおかれる事になったが此れは此れで学生時代に見たアニメのようで楽しんでいる。
 いままで勉強自体は嫌い、とまではいかないが実際に役立つ場面は少なくこうした実戦に即したものは新鮮だった。
 それに実技の授業を行わない代わり新しいことも教わることができた、魔法とならぶ此の世界特有の『スキル』についてだ。
 魔法と違い生まれついての才能に左右されず主に努力と鍛練によって身に付くものだがそれには途方もない修行か体に染み付くほどなく長い時間続けていたことが昇華されスキルへとなるらしい。
 頭の中で『スキルオープン』と唱えることでどんなスキルを取得したのか確認できる。
 そして現在習得できているのは
 ・『無心』
 ・『虚無』
 ・『並列思考』
 ・『疲労軽減』
 ・『土魔法適性』
 の五つだ。
 魔法適性は魔法を使えるならば自動的に体得されるらしいので実質4つ。普通、今の年齢で覚えられるのは多くて一つか2つで大半はスキルを得るところまで行っていない。
 そこを踏まえると前世の経験という積み立てがありスキルの取得数に繋がっていると思えばその点で同年代より抜きん出ている。
 しかし・・・・・・・・・。

(内容がなぁ。なんか素直に喜びにくい)

 ・『無心』雑念を少なくし集中力を高める。
 ・『虚無』感情を殺して無意識下での行動を可能にする。
 ・『並列思考』2つの事を同時に考える、または思考しながら行動ができる。
 ・『疲労軽減』疲れを感じにくくし、肉体及び頭脳を酷使することによる痛みを和らげる。また疲労からの回復速度も向上する。
 どう考えても工場仕事で身に付いたとしか思えない悲しいスキルである。
 長時間集中力を持たせることは不可能に近いため心を殺し、何も考えずに体に染み付かせた行動をひたすらに繰り返すか精神の安定を図るため体を動かしながら脳内で好きな音楽を再生する、もしくは脳内で音楽をかけつつ網膜に映像を透映し擬似的ではあるが記憶にあるアニメを見ながら業務を行っていた経験がこんなところで活きるとは思わなんだ……。



「坊っちゃま如何なさいました?」

「あ、いやなんでもないよ」

 少し考え事をしているとメイの言葉に現実に引き戻される。
 何日も部屋に籠りきりでようやく訪れた実技の授業という名の外出の機会を逃したくないため、大丈夫と目の前に意識を向ける。
 中庭で厳密には外出とは言えないかも知れないが久々の外気に触れ澄んだ空気を胸いっぱいに吸い込めば何重にも何重にもマスクをさせられていた時とは比べ物にならない、生命の充足感とでも言うのかとても満たされていく。

「坊っちゃま、そろそろ始めていただいてもよろしいでしょうか?」
(っといけないな……集中、集中) 

 外の空気に気分よくしていると、またメイが心配そうに見つめてくるので両手で頬をパンパンと叩き気持ちを切り替える。

「あぁ、わかった」

 メイに促され教科書を開き、手頃な石に向かって先ずは準備運動と「礫化」を唱える。
 何度も行ったイメージトレーニングの成果により狙いを誤らず足下の石に命中する。
 軽く爪先で小突くと簡単に崩れ塵となり効果が出ていることを如実に現す。

「お見事です坊ちゃま」

 ちゃんと出来たことに確かな手応えを感じているとメイが拍手しながら誉めてくれた。

「これなら次の段階にいっても大丈夫そうですね」

「本当?」

 食い気味に尋ねるとメイは眼鏡をクイッと持ち上げ光らせると本を開いて説明し始める。

「えぇ、次にお教えするのは基礎となる攻勢魔法、『砂の柱サンドピラー』となります」

 攻勢魔法、所謂の攻撃魔法で教科書に依ると

「私がやって見せるのでみていてください」

『砂礫よ 我が意のもとに集まり敵を貫け砂の柱 』

 メイが詠唱すると地面が迫り上がり5センチほどの太さがある土柱が現出する。
 パシパシと叩いて出来を確認すると此方に向き直り見本とばかりに手で示す。

「コツとしては自分の中の魔力に意識を集中させて一字一句違うことなく唱えることです。稀に無詠唱で魔法を使うものや呪文を変える偏屈な者もおりますが間違いなく唱えることが第一に重要でございます」

 教科書の該当するページを示しながら「さぁ」と促されメイの真似をして呪文を唱える。

『砂礫よ 我が意のもとに集まり敵を貫け砂の柱 』

 呪文と魔力の流れに任せるまま詠唱し終えればメイと同じモノを完成させる

「お見事でございます。」

 その出来映えはメイとしても納得できるレベルだったようでお世辞抜きの称賛がくる。

「そう……かな?……」

「はい、以前はここまで正確に魔力を行使することは出来ませんでした。
 ……正直に申してお話しにならない程で、失礼ながら人が変わったようです」

「ははは、それこそ頭打ったからね。

 実は一つみて欲しいものがあるんだ」

 前世での機械を操作するだけの器用さではなく自分自身の能力《ちから》だけでなし得たことに気を良くし、ぶっつけ本番ではあるが一つ挑戦してみる。

『砂礫よ 我が意のもとに集まり敵を貫け砂の柱 』

 再び詠唱し始めると体の奥底から何とも言えない感覚と共に魔力が生み出され呪文の文言に従い効果を発揮し始める。このまま流れに身を任せれば普通に成功、ここで1つ工夫を凝らしてみることにする。

(できるだけ細かく拡がって働き掛けていくイメージ、昔のゲーム画面のドットように
 染み込ませて先端は……折角だから仕事で使ってた機材みたいな固い研磨剤を塗る感じにしよう)

 そうして明確に完成形を思い描きながら魔法が完成する。

「これは……」

 出来上がった其をみて思わずと言った声があがる。

 お手本で造られたものと大きさは同じぐらいだが先程創ったものと違いより色が濃く、頑丈そうな灰茶色で先端は槍のように鋭く尖っていた。

「どう、かな?」

「坊ちゃま、これはいったい?」

 しばらく言葉を失って呆けていたメイだが正気に戻るとずり落ちた眼鏡をかけ直して砂棒に近より観察しながら尋ねてくる。

「いや、何となくできる気がしてさ」

「そうですか、本当に人が変わられたようでございますね。以前はこのようなアレンジ以前に魔法の発動すら怪しかったのですが、コツを掴まれたようで何よりです」

 アニメや漫画の知識を参考にしたテクニックが上手くいき、しかも誉められるという生まれて始めての経験にかつてないほど気分が良くなってくる。

(散々無駄な事とかオタクとかバカにされてきたけど此処では役に立つな……。俺が今までやってきたことは無駄じゃ無かった)

「しかし坊っちゃま?これは暫く使うのはお控えください」

「…………え?」

 いい気分で感動に打ち震えていると水を掛けるようにピシャリと言い放たれる。

「今はまだ基礎となる技量が未熟に御座いますればこういった応用を先に乱用しては肝心な事が身に付きません。それにまだ初級のものなので慢心は禁物です」

「はーい」

 考えてみれば最初の部分で少しはがり器用にした所で意味はないか。習ったばかりの漢字の書き順を無視して多少速く書いた程度のことで誇っていたら上達もしないのと同じ事に少し反省する。

(でも一つは出来たんだもっと上達して今生こそは楽に生きてやる)

 反省しつつも密かに決意を新たにすると不意に体が震え始める。

「よう、出来損ない!お前も懲りないなぁ、相も変わらず無駄な事ばっかしてよぅ」

「ビー…ト…兄上…?」

 声のした方に振り向くと虐め潰した元のリドルを殺した張本人たるビートが嘲りを張り付けた顔で向かって来ていた。
 無意識に鼓動が乱れ、息が詰まり足元がフラフラし始める。

「坊っちゃま!」

 思わずとメイが支えてくれるがそれでも立っていられず、抱き止められるような形で地べたにへたりこんでしまいその様子にビートが指差しせせら笑う。

「情けねえなぁ。女に抱っこされてよぉ、俺は可愛い義弟の様子を見に来てやっただけだってのに」

「ビート様、リドル坊っちゃまはまだ病み上がりなのです。此の場は御容赦を」

 メイがやんわりと遠ざけようとしてくれるが全く気にせず近付き胸ぐらを掴んでくる。
 辺りに他に人がいないからか記憶よりもあざとくお構い無しの暴力だ。

「か、…はっ…………!」

 過呼吸になりかけている所に追い討ちのように気道を絞められ瞬間的に息が止まり、酸素の遮られた脳が揺れガンガンと痛みを鳴らす。

「どうだぁ、俺が得た聖剣はよぉ!最近やっと顕現出来たんだ、お前にも見せてやりたくてなぁ」

 何処から取り出したのか両刃の片手剣を首に突きつけ軽く当てられるとゆっくりとだが血が流れおち、刃を伝って静かに滴り落ちる。

「…………ぁ…………」

「見事なものだろう、お前のような奴には手に入らない代物さ」

 愉悦に顔を歪めながら汚れを払うように刀身を軽く降って刃に付いた血を落とす。

「俺は家族思いでな、出来損ないのお前でもコイツを飾る彩り程度には役に立つんじゃないかと思ってな」

 こっちの声が出ないのをいいことにやりたい放題のまま

「ビート様、流石にそれは看過できかねます。得た力を試したい気持ちはわかりますがリドル坊っちゃまのこともお考えください…………暴発しても庇えませんよ」

 静かだが確固としたその言葉にこちらを一瞥すると突飛ばしながら手を離す。

「ッチ、わかったよ。仕方ねぇなぁ。ま、精々無駄な努力しとくんだな!」

 舌打ちを一つし不機嫌さを隠さず踵を返し屋敷の方へ歩いていく。
 解放された俺は地面に這いつくばり、血の溢れる首元を押さえぬがら密かに歩き去るビートを睨む。

「坊ちゃま!大丈夫ですか!?」

「おいおい、こんなで気を失うとかやっぱ出来損ないは駄目だなぁ」

 心配するメイと嘲笑うビート対照的の声を耳にしながら気絶した振りをして無防備な背中を晒したビートの足下にこっそりと…………

(礫化!)

 丁度踏み込むタイミングで足元を脆くし、盛大に転けると此方を向く気配を感じ慌てて顔を伏せる。

「どうされましたか?まだなにか御用が?」

 何もない所で突然転倒し、俺が何かしたかと此方を窺うとビートは歯軋りと共に足音が遠ざかっていき、やがて気配がなくなると漸く顔をあげる。

「もう起きても大丈夫ですよ坊っちゃま。それと


 狙いましたね?」

「……夢中でヤっちゃったけど、やっぱり不味かったかな」

 後半囁くように耳元でそっと告げられると仮にも兄にやり返した事が失敗したかと今になって思ってしまい聞き返すがメイの表情は寧ろ晴れやかなものだった。

「いえ、近頃洗礼を受けたせいか以前にも増して増長しておりまして。ハッキリと申してスッと致しました」

「あ、そうなんだ……って痛ッ!!」

 ホッとすると恐怖と緊張で忘れていた傷が痛み始める。
 メイがしょうがないなという風に手際よく手当てしてくれるがそれでもジクジクと疼き続ける首筋の傷はある種の生気を感じさせ、この世界で生きていることを改めて実感する。

(絶っっ対見返してやる!あと今生は楽して生きてやる!!)

 そう内心で近い、決意を新たにするのだった。
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