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王国奪還作戦

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 城の後ろから山を上がり木々に隠れつつは百人の先発隊は進行した。
 
 レイはウィークを警戒しつつも周囲を確認し、暗闇の中的確な指示を出し先導していく。その姿をみてウィークが言った。

「ここまで統率が取れているのになぜあそこまでやられた」
「貴様がいたからだろう」
「城内に侵入した時にはすでに周辺の兵士の数は少なかった。あれなら俺でなくとも誰かが侵入していてだろう」
「強化兵士の猛攻に対し前線押し上げようとした結果城が手薄になっていた。ミーア様をもっと早く逃がし、私たち三騎士が戻っていれば貴様を止めることも可能だった」

 スバラシアは攻めることはなく防衛するのみだった。今回の王国奪還作戦はほとんどの兵士にとって初めての攻め。小国の援軍などに行ったことのある一部の者たちを除けば普段の戦いとまったく違うプレッシャーに動揺してもおかしくはない。だが、兵士たちはレイのことを信じ恐れのない進行をつづけた。

「貴様こそなぜ一人であんなに早い段階で女王を狙った」
「戦いは早期に終わるべきだ。不必要な犠牲はいらない」
「……あまり認めたくはないが、ミーア様が言っていた貴様が悪い奴じゃないというのが少しわかった気がする」
「悪い奴さ。もう、数えきれないほど人を殺した。後には戻れない」
「殺したという実感を噛みしめているということは貴様がまだ人間でい続けられている理由だ。殺戮を楽しんでいるのなら、例え強力な仲間になるとしても貴様を穿つ」
「正しい判断だ。……そうか、正しかったのか」

 ゆっくりだが確実に進行し、城の後ろが見えてきたころ兵士が巡回する姿が見えた。

「あの立ち振る舞いは素人だな。ほかの者は周囲を確認しつつ上がってこい。私があいつを仕留める」
「俺がやる。痕跡も消せるからな」
「静かにやれるのか」
「一国を落とすために必要なスキルは全部もっている。それに、漆黒の槍ならこの距離で十分だ」

 そういうとウィークは槍を片手に持ち振りかぶって投げた。槍はぶれずに進み、巡回する兵士を貫くと完全に消滅させそのままウィークの手元へと戻ってくる。

「宿主へ戻る槍か。そういう魔法があると聞いたことはある」
「魔法? そんなんじゃない。こいつは一番命を食べさせてくれる都合の言い使い手の元へ戻ってくるだけだ。黄金の槍も同様に認めた人間に戻る性質がある。逆に所有者を槍にひきつけることもできる」
「想像を超える武器だな」
「何もかもが理解しがたい武器さ」

 レイが想像していた通り後ろ側の警備はかなり手薄だった。攻めるにしてはあまりにも複雑で双方から相手のことがわかりにくいため攻められることはないと判断したからだろう。
 ウォースラーの情報ではここ二週間でようやく物資を運んだり兵士を配置に付けたりとしばらく手付かずだった。それは強化兵士による異常な攻撃により手をつけるにしても城以外はかなり荒れていたからためである。
 城の後方を把握するほど時間を使っていないことがこれだけスムーズに進行できた理由だった。

 城の内部へと進入し兵糧庫へと向かう隊、武器庫へと向かう隊、殲滅隊で分かれ行動を開始した。この時にすでに先発隊の一人が後発組と合流しており、警備が手薄であることを伝えた。後発組は本来の予定よりも素早く進行することにした。
 
 兵糧庫と武器庫の制圧は問題なく終わる。もちろん戦闘は発生したが場内を熟知している兵士はどこが一番見えづらく攻められると辛いかを理解していたため、複数の兵士を静かに倒し息の根を止める。
 部屋の内部でバリケートを作る人間を残し、ほかの兵士は殲滅隊のほうへとむかった。その時、激しい戦闘音が発生する。

「これだけの音、ほかの兵士に気づかれるぞ!」
「報告にいく兵士を抑えましょう。戦いにおいてはレイさんとウィークの二人に任せても問題ないはずです」

 兵士たちはそれぞれ動きを決め本格的に戦闘が起きるのを阻止することにした。しかし、この行動はうまくいかず、照明弾が放たれ警告を伝える鐘が王国に鳴り響いた。
 一方でウィークはすでに城下町へと続く山道を馬で駆けていた。城内で戦闘がはじまりすぐに馬を奪いこの行動に出たのは、下から上がってくる兵士を倒すためであり、最悪の事態を回避するため。レイは城内の制圧を行うため動けず、単独で多くの兵士を相手できるのはウィークのみだった。

「ほほう、傭兵が来ていたとはな」

 現れたのはジャクボウの特殊作戦騎士の一人アルバラ。二刀流の剣技は単騎で複数の兵士を圧倒できるほど変則的で読みづらい。細身の体に細身の剣。異常なまでに色白な肌を真っ赤に染めて戻る姿から血に飢えた殺戮者の異名がつくほど。
 後ろには二十人の兵士を従え、城からもウィークを追いかけてきた兵士が三十人やってきていた。

「強化兵士でもないやつらは数の足しにもならないぞ」
「そうか。お前がいた時は強化兵士は城で魔法を施していたな。だが、こっちはさらに強化兵士の研究を進めたんだよ」
「魔法使いでもないお前が強化兵士を作れるはずがないだろ」
「魔法は借り物でいいのさ。特殊作戦騎士には周りの兵士を強化するためにこれを使用する許可を得ている」

 そういうとアルバラはグローブを取り手の甲を見せる。そこには強化兵士へと変える際に使われる魔法陣が刻まれてあった。

「踊り狂え!」

 兵士たちの足元に魔法陣が展開すると、体はどんよりとした禍々しい紫色の魔力が包み込み、目の光彩が失われ息を荒くし皮膚は赤みを帯び武器を構えた。一斉にウィークを襲う。その動きは兵士として完璧なまでに統率が取れており、槍の攻撃範囲を熟知したうえで自らは攻撃を当て反撃は別の者が防ぎ撤退しつつまた別の者が攻撃にあたる。無尽蔵とも言えるスタミナから繰り出される攻撃にさすがのウィークも防戦一方だった。

「漆黒の槍と言っても使うのは人間だ。そいつの思考と物理的な動きの限界は確実にある。ならば簡単だ。反撃できない速さで、迷いのない攻撃を与え続ければいい。いずれスタミナが切れほころびが生まれた瞬間、たった一撃で終わらせる。残酷だよなぁ~」

 三か月前に崩壊し支配された王国がなぜつい最近まで手付かずだったのか。それは、強化兵士を素早く量産する魔法実験の影響だった。

「兵士に鍛錬を積ませるより手っ取り早い。死んでも動き続ける兵士なんて魅力敵だろ」
「……そのために何人を犠牲にした」
「さぁな。でも、俺らは損してない。だって、実験体は全員この国の人間だからな」

 ウィークがかねてより疑問に思っていたことがあった。それは捕えた人間の数が解放の時にあまりにも少なかったことだ。捉えられたほとんどは強化兵士の実験に使われて命を落としていた。

「そうか……。だったら責任取らなくちゃな!!」

 漆黒の槍に禍々しいオーラを纏わせると動きが洗練され、次々と兵士たちを消滅させていく。一切の慈悲はない。確実に心臓を狙った攻撃は魔法の影響下にある兵士たちに感じることのない恐怖を植え付ける。

「ほう。まだ体力は有り余ってるか」
「漆黒の槍は覚悟を求めている。殺しの覚悟を。今は身をゆだねよう。俺を食らいつくせるのならやってみろ!」
「何わけわからないことを。お前はここで死ぬんだッ!!」

 城へと兵士が押し寄せる中、ウィークは立ち向かった。

 

 城内でも戦いが繰り広げられていた。双子の特殊作戦騎士のブロードとラカン相手にレイは苦戦を強いられる。双子の動きは言葉を交わさずに完璧な連携見せた。俊敏な動きを得意とする。

「玉座の前で散るなんて儚く美しい最期じゃないか」
「そうだよね。僕もそんな最後を迎えたいな」
「ならその望み叶えてやる!!」

 槍を強く握り仕掛けるがブロードに攻撃を受け止められラカンが背後に回る。この形になってしまうと手も足も出ない。全ての動きを把握されどちらに攻撃するかさえも読まれる。
 二人はレイを殺さないように痛めつけ地に這いつくばる姿を楽しんでいた。必死に立ち上がるレイだったが、動きを読まれては戦いようがなく、疲弊した体の重みがのしかかる。

「そろそろやっちゃおう」
「そうだね、やっちゃおうか」

 前後から同時にレイへと襲い掛かった。槍を上へ向け飛ぶ。だが、ラカンがそれを読み落としに来た。

「もらったよ!」
「これは逃走ではない! 策だ!」

 加速し天井を貫き外へ出た。二人も跳躍し外へ出た瞬間、レイは一気に攻撃を畳みかける。ラカンの肩をかすめブロードを背骨を石突で強打。ひるんでいる隙にさらに追撃。痛みに耐えつつラカンが襲い掛かるが、ギリギリで攻撃を交わし腹部を貫き、そのままブロードへと投げつけた。

「な、なぜ急に動きが変わった……」
「私が変わったんじゃない。貴様らが変わったんだ。私はさっきまで暗闇にいたから目が慣れるのが早かった。だが、お前らはずっと明かりの下で動いていた。いきなり暗闇になればどれだけ連携が上手かろうとほころびが生まれる。単純なことだ」

 レイはブロードの腹部を貫き苦しむ姿を見つめた。冷酷な瞳は未来を見ている。この殺しが王国のためだと思うことで、この行動の意義を強めた。

「お、お前らは王を殺せない……。ウィークでさえ失敗したんだ。王は……何度だってよみがえる……」
「どういうこと」
「へへ……自分で確かめろ……」

 ブロードは意味深な言葉を告げ息絶えた。
 
「ウィークが失敗した。いったい何のことだ」

 王国奪還作戦はウィークが山道で防衛したことでスバラシア兵士は一人の死者も出さず達成された。後発組と待機していた兵士が武器庫で装備を手に入れると一気に兵士たちを倒していき、先発組が主要な場所の通路を塞ぐなどしたおかげ城は難なく制圧。町のほうではマグナが戦っており、結果的に山道で戦うウィークと挟み撃ちをしていた形で戦力を一気に削ぐことに成功した。
 ミーアは兵士たちの手当てをしたのちウィークの下へと向かうと、そこには死体の山に立って雲に隠れた月を眺める姿があった。援護に来た兵士たちは各々付近で休んでいる。

「みんなご苦労様。ケガはない?」
「えぇ、我々は大丈夫です。しかし、ウィークの様子が少しおかしいんです」
「……そうみたいね。みんなは城に戻ってて」

 ミーアは周りにある死体を踏まないようにウィークへと近づいた。

「ねぇ、どうして死体を残してるの? あなたなら完全に消滅できるはずなのに」
「槍に俺が殺しをしてるとこを見せるためだ」
「なぜそんなことを」
「血に飢えている。頭に直接語り掛けてくるんだ。血を見せろと。このままじゃ俺がこいつに乗っ取られてしまう。だから、必要以上に殺した」

 山道の途中には逃げようとした兵士がうつぶせで何人も倒れている。ウィークがアルバラを殺したのを見て恐れおののき逃亡を図ろうとしたのだ。だが、慈悲はない。投げれば確実に敵へ当たる槍は見事に体に風穴を開けていた。
 
「この人たちをどうするの」
「燃やそう。こいつが見ている内に」

 ウィークはミーアと目を合わせず空を見ながら言った。

「……わかった。火を用意させるわ。あなたはまだそこに?」
「あぁ、もう少しだけ」
「そう。あまり無理しないで。城にあなたの部屋も用意するから、いつでも戻ってきて」

 城へと戻ろうとしたミーアは心配でウィークのほうを振り返ると、死体の山の上で泣き崩れる姿が見えた。声を押し殺しているが肩が震え涙が頬を伝い、雲の切れ間から現れた月が照らしていた。
 誰よりも優しい性格だった少年が殺戮に身をゆだねなければいけないほど追い詰められ、今もなお殺戮の渦中にいることを強いられていた。もし、自分がその立場だったら。そう思うとミーアの中に恐怖が沸いてくる。穢れてしまった姿を両親には見せられない。例え死後の世界があったとしても、もう二度と会える気がしない。
 
「この戦いを早く終わらせる。そして、あなたにも新しい人生を送らせてあげるから」

 
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