神様はラノベ作家を目指すようです。

智恵 理陀

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第二部

その36.見くびらないで

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 平日となると客はまばらだ、やはり休日ゆっくり選びたいってのが多いからだろうな。

「にしてもお前さ、その金どっから出てきたんだ?」
「秘密」

 いや教えろよ、気になるじゃねぇか。
 パソコン売り場は二階。
 エスカレーターに乗るや蔵曾は体を左右に振っていた。
 はしゃいでる、こいつ……エスカレーターではしゃいでるぞ。
 上り終えると物足りないと言いたげにエスカレーターを見つめていた。
 もう一回降りて上り直したりすんなよ? 同伴してる俺が恥ずかしいから。

「ついでに生活ひちゅぢゅひんを買っておきたい」

 必需品って言えてないんですがそれは。

「たとえば?」
「扇風機」

 それは必要かもな。
 パソコン込みで考えたら十万じゃ物足りなくなってきたぞ。
 でもとりあえずって言ってたから予備の金も持ってるか。

「優先はパソコン」

 兎に角エスカレーターの前にいても始まらない。
 パソコン売り場へと蔵曾を引っ張っていった。
 左右に並ぶ最新のパソコン。
 どれもこれも見るからに高そうの一言。
 この黒光りした四角いライン、デスクトップパソコンは特に値段を見ずとも高いってのが解るね。

「お前はノートとデスクトップ、どっちがいいんだ?」
「のーと? ですくとっぷ?」
「そこからかよ……」
「見くびらないで、少しは知識ある」

 不服そうに言う蔵曾。

「へえ、どんな?」
「用語の知識」
「用語?」
「例えば、ワロス」
「……クソワロタ」
「君も中々知っている」
「少しでもお前に期待した俺が馬鹿だったよ」
「ショボーン」

 知識ってそっち方面の知識じゃないんだよなあ……。

「ノートは薄くてそのメモ帳みたく開くと画面がついてて見れるやつ。デスクトップは箱っぽいのがあって、画面も別々なんだ」
 店員に説明してもらって選ぶのが一番だがこいつの場合、店員の話を理解できずに終わるかも。

 ここは俺が簡単に説明してちゃっちゃと済ませてしまおう。

「パソコンは持ち運びたいか?」
「できるの?」
「ノートパソコンならな」

 メモ帳を引退させて外で使用したいのならノートだよな。

「ん……でも、メモで十分、持ち運びは必要ない」

 ならノートじゃなくてもいいんだな。
 それなら機能を重視してデスクトップでも勧めておくか?
 俺とてパソコンの知識が豊富なわけではないからなんとも言えないが。

「デスクトップはどうだ?」
「かっこいい」

 ペタペタ触って早くもノートパソコンそっちのけのご様子。
 少しはノートパソコンにも興味持ってやれよ。 
 けど……蔵曾にノートパソコン与えたらすぐに壊しそうで怖いな。

「どれにする?」
「高いの」

 そういうタイプか貴様。
 いるよな、どうせ選ぶなら高いやつをっての。
 パソコン初心者なんだから、後から宝の持ち腐れでこれといってフル活用できないってパターンになるぞお前。

「タッチパネル、すごい」
「そこらのは十万余裕で超えるけどな」

 高級のタッチパネル売り場では、お試しで起動されていたパソコンの画面を指で突く蔵曾。

「手ごろなのにしとけ」
「これ、手ごろ」

 お値段十六万円が手ごろだと言い張るのなら俺はお前の金銭感覚を直すべく拳骨してやらなきゃならん。

「こっちで契約もすると値引きしてもらえるんだな」
「では、高いの」
 はいはい解ったよもう。
 悩みに悩んだ結果、十万を超えるものは無しとして手ごろな額のものを選んだ。
 それほど大きくも無く場所を取らずスペックも良し、店員に聞いてみたところ初心者にも使いやすいとの事で勧められた。

「もう少し、高いの」
「別にいいだろ、ほら、さっさと手続き!」

 かれこれ一時間もお前の品定めに付き合ってるんだ、そろそろ腹が減ってきた。
 ……待てよ?

「……手続きつっても、お前大丈夫なのか?」

 近くに店員がいる、俺は耳元で囁いた。

「何が?」
「だってよぉ、身分証明とか色々あるだろ。回線の契約するにしてもそうだ」
「むむっ」

 むむっ、じゃないよ。

「箕狩野蔵曾様でございますか?」

 なんだなんだ?
 店員さん、あんたこいつ知ってんの?

「そうでしたか! 本日既にこちらへ来るとお聞きしておりました、インターネットの契約など手続きから配送までこちら側でやっておきますのでどうぞごゆっくりお選びください」
「えっ? そうなの?」
「はい、蔵曾様の保護者様からお伺いしておりました、すぐにお伺いできず申し訳ございません」

 深々と頭を下げられた。
 蔵曾、お前なんか偉い感じになってるぞ?

「苦しゅうない」
「何が苦しゅうないだ」

 パソコンは選ぶだけで良しとなると気が楽になった。
 これは豊中さんが手を回したのかな?
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