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第二部
その43.食べるんだ。
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神社敷地内を歩き回ってみるも、鬼全の姿は確認されず、神社の中も無人。
「これ、な、何かな……」
神社の裏には何か埋めたような跡があった。
土が盛り上がっている、その盛り上がり具合から……結構な大きさ。
「……な、なんだろうな」
不気味だ。
青ざめて俺達はそそくさと賽銭箱の前まで戻った。
……何でもないさ、きっと。
なんかこう、神社の神主が何か亡くなった動物でも埋めたのさ。うん、そうだ、そうに違いない。
「……お金」
蔵曾はポケットから小さな小銭入れを取り出していた。
ああ、賽銭箱に入れるって?
「……折角だしな」
十円くらい投げておこう。
心の中に腰を下ろし始めた恐怖を払拭すべく、お参りを兼ねて。
「わ、私もっ」
三人で十円玉を出して、賽銭箱に投げ入れた。
来訪者は少ないようだ。
賽銭箱に入った小銭の音から、明らかに中には小銭が全然入っていない乾いた音が聞こえた。
「鬼全が見つかりますように」
今のところ、俺の願いはこれだ。
「いいラノベが書けますように」
お前も少しは鬼全が見つかるよう祈れよ、それに神様が神様にお願いするな。お前も神様なんだから自分で叶えられるんじゃないのか?
「えっと、二人の願いが、叶いますようにっ」
ノア、お前は本当に良い奴だよ。
十円玉……。
さっきの小銭で少しだけ、こんな方法はどうだろうってのを思いついた。
馬鹿らしい方法だ。
口に出すのも気が引ける。
俺は財布からもう一枚、十円玉を取り出してそれを握り締めた。
ここにいても駄目だな。
「街に戻るか……」
さっきのタクシー留まらせればよかったな。
それでも数分後にはタクシーが通りかかったので助かった。
ここらは住宅と田んぼがちらほらと目立つくらいの地帯だが運が良かった。
これも俺の立ち位置によって引き起こされたものなのかな。
こういう場所でもタクシーが通る世界観、みたいな。
ありえなくもない、かも。
「つ、次はどう、する?」
「……まだ決めてはいない」
俺は握っていた十円玉を開いて、視線をそこへ落とした。
「狐狗狸ってのは、こっくりさんでいいんだよな?」
「う、うんっ」
まだあの狐の仮面がこっくりさんとまでは確定していない。
そこが問題だ。
「蔵曾、メモ帳と書くもの持ってるだろ」
「ある」
「貸してくれ」
何をするかは、察しの良い二人はすぐに理解したようで、
「な、なるほど」
何も書いていないが、ノアはそう言う。
「しかし、まだ奴がそうだとは」
「ものはためし、だけどやっぱりこのサイズだときついな」
手に収まる程度のサイズじゃなく、A4サイズくらいが欲しい。
「一枚、取って」
「ん? おう」
そうだ、こいつ何気にすごい事できたんだったな。
蔵曾は運転手に見られないよう死角で紙を両手に挟むと、紙がかすかに青白くなって大きくなった。
「はい」
「こういう時はお前ってすげえなと関心するよ」
「いつも感心して」
「無理」
「酷い」
お前最近醜態しか晒してないからいつも関心しろと言われてもそれは無理な話だ。
「どう書くんだっけ」
「と、鳥居を真ん中から上あたりに書いて、その左右に“はい”と“いいえ”、あ行からわ行までのひらがな全部を書くのっ」
指でどこらへんに書くかも説明してくれるとはね。
どうしてこうも物知りなんだよ、関心しちまうぜまったく。
「出来た」
「あとはどっかテーブルのある場所でやりたいな」
「モック」
お前、腹が減っただけだろ。
つーかお前の力でテーブル作れよ。
モックでこっくりさんの呼び出しに成功してしまったら大パニックになるのでは?
その結果、蔵曾は一人でモックに行き、わき道でもしゃもしゃと只管口を動かしていた。
しかもどっから持ってきたのか木箱に腰を下ろしている、丁度いい、それを使おう。
「よしっ、どけ」
「待って」
「待てるか!」
その膨らんだ紙袋は少なくとも五、六個のポーククリスプが入ってるのは間違いない。
俺は蔵曾を強引に木箱からどけて紙を置いた。
十円玉は鳥居の絵の中心に置いてノアを見た。
ノアは小さく頷く、これでいいんだな。
あとはやるのみ、だ。
「私の力、含ませる」
「お前の……?」
「本格的な、本物の、降霊術にする」
それは頼もしいがしかし……
「別な奴がきたらどうしよう……」
「私が帰らせる、心配ない」
心配だ。
モックを食べながらの時点で。
「じゃあ……やるぞ?」
「う、うんっ……」
「りょうふぁい」
蔵曾、食べながら喋るな。
緊張してきた。
少しだけ怖くもある。
街中のわき道なので道路を走る車両や路地を歩く人々達の生み出す音が無ければもっと恐怖を抱いていたかも。
誰にも見つからないようにと影のほうでやってはいるが、街灯の光が灯り始めたおかげで暗すぎるほどではないのも助かるね。
「こっくりさんこっくりさん……」
三人とも十円玉に人差し指を乗せた。
蔵曾は未だに片手にポーククリスプ持って口を動かしていて、ものすごく腹立つ。
「どうぞおいでください。もしおいでになられましたら「はい」へお進みください」
すると。
すると、だ。
「お、おおっ?」
「う、動いたっ」
「すふぉい」
だから食べながら喋るな。
俺は力を何も入れていない、それでも十円玉はするりと「はい」の方向へゆっくりと動いていった。
ちゃんと、降霊術が出来ている。
蔵曾の力によるものが大きいであろうが。
あと少しで「はい」へと完全に十円玉が乗っかる。
その時、近くの街灯の光が消えた。
「来る」
蔵曾がそう、呟く。
何が?
というのも、こっくりさんの他ならない。
影――影だ。
地面をスーッと音も立てずにそれは真っ直ぐ向かってきた。
影は木箱へと侵食し、側面から狐の仮面が浮き上がった。
「来た……」
「き、来た……」
「うん」
蔵曾だけ反応が薄い。
十円玉を離しそうになったがなんとか持ちこたえた。
ホラーは苦手ではないもののこいつは本物のこっくりさん、怖くないと言ったら流石に嘘になる。
仮面は徐々に動いて、紙の上まで上がってきていた。
逆さまになった仮面、ゆっくりと方向転換して正面を向き――気のせいか、仮面と目が合った――気がした。
仮面の動きが止まる。
「さっきの奴と、同じ。間違いない」
「つまり、こいつが鬼全を連れ去った張本人、か」
「あっ」
ノアが声を出した。
何だ? とノアの視線を辿ると狐の仮面は木箱から少しずつ離れていっていた。
「逃げてる」
「追いかけるか!」
「必要ない」
蔵曾は動こうとしなかった。
「儀式を続ける、狐狗狸は降霊術に付き合うしかない。この木箱は儀式道具と化している、離れられない」
「なら安心だ、質問しようぜ」
仮面が嫌そうに左右に揺れた。
面白いなこれ。
「こっくりさんこっくりさん、鬼全の居場所はどこですか?」
抵抗できないのか、仮面は十円玉に引っ付いて文字の上を辿った。
「お、お、ど、お、り?」
大通り?
「こ、う、さ、て、ん?」
交差点?
「ふ、あ、み、れ、す?」
ふあみれす?
「ふあみれす?」
「……ファミレス?」
ああ、それだなっ。
「……大通りの交差点にあるファミレス、あったか?」
「えっと、ち、近くに何件か、あるかも?」
「こっくりさんこっくりさん、店名を教えてください」
こっくりさんって便利ね。
「ば、あ、ぐ、ぼ、お、い?」
「バ、バーグボーイ、ハンバーグ中心のファミレス、ぜ、全国チェーンっで、ペペロンチーノとバーグボーイディッシュが人気っ」
最後の情報は別にいらなかったが物知りノアさん流石っす!
「こっくりさんこっくりさん、ポーククリスプ食べますか?」
蔵曾が新たな質問をし始めた。
その質問はいるのか?
「は、い」
食べるんだ。
「一個あげるから受け取って」
すると、仮面が影を引きずって浮き上がった。
影が形を成すと子供のような体格、狐狗狸って意外と子供体形?
それに狐の耳みたいなのもあるし、あれか、ケモ耳キャラか! それはいいぞ!
上半身だけ色がついた。
髪は茶髪、ケモ耳も可愛らしくぴくんと動いている。
服は巫女服? ちょっと、違うな。
それに似たものだ。
手を伸ばすと蔵曾は紙袋を差し出し、恐る恐る狐狗狸は一個取り出して何度も頭を下げた。
「こんな事してる場合じゃないんだがな」
「しかし私は、このポーククリスプの美味しさを知ってもらいたい」
そうかい。
狐狗狸は仮面を少しだけずらしてポーククリスプを食べはじめた。
後姿故に表情をうかがえないのが残念。
いやいやそれより、だ。
「こっくりさん、こっくりさん、どうぞおもどりください」
これにてこっくりさんはお仕舞いにして鬼全のいるファミレスに向かおう。
こうなったらどちらが早く追いつくか競争と行こうや。
狐狗狸は慌ててポーククリスプを食べるも俺達は既に走り出していた。
わき道を出る前に、
「どっちだ!」
ノアにすかさず問う。
「右っ! そ、それから真っ直ぐ行くっ!」
「了解!」
「うぷっ……は、走れない……」
置いていくからな。
一人でポーククリスプを頬張ってた奴が悪い。
俺も小腹がすいてたのによ、狐狗狸に渡さず俺に渡していれば「しょうがねえなあ、背負ってやるよ」って言ってたかもな。
「ま、待って」
「じゃあの」
「酷い」
最後にそんな弱々しい声が届いたものの俺とノアは走る。
大通りに出たが、如何せんファミレスなんか行かないためにまたクエスチョンマークが浮かび上がる。
「右、直線して次の交差点にて左側にっ!」
今日はいつもよりノアが頼もしく見えるな。
ノアの指示に従って進んでいくと左手にファミレス――店の名前はバーグボーイ。
「ここか!」
「う、うん!」
早速入店だっ。
店に入り、店員のマニュアル接客を無視して俺達は鬼全を探した。
蔵曾も遅れてやってきて、腹部を押さえてつらそうにしていたがお前はいいとしてだ。
店の奥、窓側にて鬼全は……いた。
美味そうにハンバーグを頬張りながら。
「おい鬼全!」
鬼全は俺を見て、フォークに刺したハンバーグの欠片を見せ付けて――
「ぱねぇ!」
「うるせぇ!」
互いに声を大きく、店内に響かせた。
鬼全の席に座るとする。
なんでこいつはここで優雅にハンバーグを頬張ってられてる?
狐狗狸はこいつの角目的で拉致したんだろ?
だったら縛るか、角を出させてのこぎりで切るなりしようとするはずだ。それも人目の少ないところでな。
それなのにファミレスにいるってのもおかしい。
何から何までおかしすぎる。
「……大丈夫なのかよ」
「何が?」
「さっき拉致られたじゃん!」
あー……とアホ面浮かべる鬼全。
必死になった俺が馬鹿みたいだ。
重なった皿の枚数からして、長らくここに居たのが解る。
俺達が必死に探していた間、こいつはここで飯を食っていたのだ。
俺の怒りはまさにそこから刺激されている、今にも爆発しそうだ。
そんでもって、こうなった原因である狐狗狸には見た瞬間に頭にチョップでも食らわてしまうかも。
「それなぁ、別に騒ぐ事でも無かったぜぇ」
「……というと」
「あいつよ、どうしても金が必要でじっくりこうして交渉したかったらしいんだよ」
……接待でもされてたのかおい。
「狐狗狸の金で接待してもらってるぜぇ、とりあえずお前はお米食べろ!」
「なんでだよ!」
中々に狐狗狸の目的がはっきりと現れない。
金が必要? それは解る。
だが何故鬼全を接待する?
もしかして狐狗狸って、悪い奴じゃないのか?
「事情聞いててなあ、それから世間話やらで花を咲かせて飯食ってたら途中で消えちまった」
「俺達が呼んだからだな」
「じ、事情というのは……?」
一度人質に取られたからか、ノアは少々怯えながらの質問。
「なんかよ、住んでた神社を管理していた奴が死んだらしいぜぇ。そいつは身内もいないらしくてな、墓も建てられてないから、自分が代わりに墓を建てたいんだとよ」
「墓を?」
「墓を。金を集めたんだがどうしてもあと少し足りなくてあたしを頼ったわけだ。怪異繋がりで」
人には頼れないもんな、あの外見からして。
「それと神社の管理にも金が掛かるんだって」
なんか重い話になったな……。
「その話を聞いて、狐狗狸のなけなしの金で接待してもらっている事に申し訳なさを感じてる!」
「……お前はどう答えたんだ?」
「あたし? あたしは角の一部あげる代わりに神力を注いだ酒を貰うって事で交渉成立したぜ? いい酒持ってるんだよあいつぁ~」
なんか本とか読んでるとよく鬼は酒が好きって解るシーンが見られたけどそれは本当のようだ。
テーブルの下に置いてあったのであろう、一升瓶をいくつか取り出してきた。
「神社が復興したら酒蔵で美味い酒も作れるっつうから投資するぜぇ!」
「……よかったな」
「あ、安心……」
ノア、お前はよく人質に取られたのにこいつらの交渉が成立して安心していられるな。
「お? 来たかな?」
鬼全は窓を見ると、そこにはこっくりさんをやっていた時と同じ影が窓を侵食していた。
それは俺の隣へと移り、影の中心に狐の仮面が浮かび上がった。
「おおっ!?」
思わず、体がのけぞった。
影は盛り上がり、人の形へと成したのは、驚かざるを得ないぜ。
形が完全に成すや、俺達に向けて長椅子に両手をついて深々と頭を下げる狐狗狸。
折角のケモ耳もシュンと垂れ下がってなんかこちらとしては残念。
もっとピンッと立ってるのがいいよ。好きだよケモ耳。
狐狗狸は懐からホワイトボードとペンを取り出して何やら書き書きし始めた。
どうしてホワイトボードを持っているのか、それはまあ今は考えないとする。
『これには事情が』
との一文。
その事情とやら、鬼全とのやり取りであろう。
「鬼全から事情は聞いた。それよりあんたは鬼全をどうこうしようとは思ってないんだな?」
『わたしの力は弱い故、影を使った瞬間移動と儀式での情報探索能力以外、ほとんど何もできません』
書くのに時間が掛かるな。
無理して漢字使わなくてもいいぞ。
『以前から鬼様に接触する機会を伺っており、今日皆が鬼様へ接触してきた故、つい、我先にと』
続けてそう書いた。
角目的で鬼全に近づいたと勘違いしたのかな。
気になったのはこいつの力は弱いらしいが、立ち位置の影響もあるのかな――とか思ったり。
この騒動の根本的な理由に俺が関わっているかもしれないが、口は閉ざしておくかな……。
豊中さんに知られたら怖いし。
「安心したよ、凶悪な野郎じゃなくてさ」
『悪いこっくりさんのおかげで、評判悪いです』
こっくりさんは一人じゃないらしい。
どうであれ、徒労に終わったと知るや俺とノアは互いに顔を見合わせてため息をついて、空腹に負けてハンバーグを注文するとした。
鬼全も食事中で襲おうという雰囲気すらないしな。
『お金が無い故』
「いやいや、別にいいよ、自分で払う。鬼全もそうするさ。なあ?」
「ん? ああ、いいよ」
『しかし接待故』
「気にすんなって。墓、ちゃんと建てられるといいな」
蔵曾はメモを只管に取っていた、インスピレーションが刺激されたかな?
「が、頑張って、くださいっ」
ノアは手を差し出して狐狗狸と握手。
感動したのか、目には涙を浮かべていた。
これにて一件落着だ。
大変な事件かと思ったが、予想以上に――それどころか事件でもなかったが、蔵曾にはいい刺激になったのだから良し、だ。
夕食を頂きながら狐狗狸の話を聞くと、どうやら俺達が足を運んだ神社が狐狗狸の言う神社らしい。
箒で落ち葉の掃除は狐狗狸がやっていたとか。
その後、豊中さんの調べによれば、神主と狐狗狸は長く付き合いがあり、お互い家族のような関係にまで深い絆が出来ていたらしい。
しかし神主は数日前に神社の裏にて心臓発作によって病死、どうしていいか解らず、人間に見つかったら誤解されるかもと思い埋めるしかなかったという。
人間は墓を建てる――この人の墓を建ててやりたい、狐狗狸はその想いでいっぱいであり、今回の行動に至ったと。
豊中さん達によって神主はちゃんと火葬の手続きが行われ、形だけでもと葬式が行われ、それから鬼全は狐狗狸に足りない分の金額を渡して立派な墓が建てられたそうな。
蔵曾を通してそこらの話は一通り聞いた。
鬼全曰く、足りない分どころか全額だしてやってもよかった、人間の墓は安くて立派なものが手に入る、とか。
あいつはどんだけ金持ちなんだ……?
つーか墓は蔵曾が作ってやればよかったんじゃ?
あいつなら何でも作れるだろうに。
とか、あとから思ったり。
「あれからいっぱい考えたがなあ、お前の立ち位置、やっぱり頂くとするぜぇ!」
数日が過ぎた。
何かと朝の登校は、誰かに絡まれる日が多くなり、俺のため息もそれに比例していった。
「学校、行きたいんだけど」
「あたしを倒してからにしなぁ!」
朝から住宅街にギターの音色が響いた。
近所迷惑も甚だしい。
「分かった、お前を倒してからにする! 行くぞ!」
「あっ、ちょっと、ギター置か――」
ギターを弾いている奴が悪い。
俺は鬼全の頭にチョップをお見舞いし、地面へ沈めた。
「はい、おしまい! じゃあね!」
「うぐ……ま、待て……」
本当に弱いな君は。
今までよく凶悪な怪異に襲われなかったものだ。
この街では天使に守られてるっつうから大丈夫そうだがね。
「あんまり無茶すんなよ、角持ってかれたら大変だからな」
「うるせぇー!」
鬼全に手を振ってお別れ。
そうそう。
狐狗狸のいる神社だが、新しい神主が着いたとか。
神力もあるようで、狐狗狸が見えているので互いに協力し合って神社復興は順調らしく、しばらくして美人の神主がいると街ではちょっとした噂になってると聞いた。
あっという間に神社は昔の賑わいのある神社に戻りそうだ。
今思うと……神社に足を運んだ時、俺が昔の神社を望んだから……だったりする?
どうであれ、いつかまたあの神社にノアと一緒に行きたいものだ。
「これ、な、何かな……」
神社の裏には何か埋めたような跡があった。
土が盛り上がっている、その盛り上がり具合から……結構な大きさ。
「……な、なんだろうな」
不気味だ。
青ざめて俺達はそそくさと賽銭箱の前まで戻った。
……何でもないさ、きっと。
なんかこう、神社の神主が何か亡くなった動物でも埋めたのさ。うん、そうだ、そうに違いない。
「……お金」
蔵曾はポケットから小さな小銭入れを取り出していた。
ああ、賽銭箱に入れるって?
「……折角だしな」
十円くらい投げておこう。
心の中に腰を下ろし始めた恐怖を払拭すべく、お参りを兼ねて。
「わ、私もっ」
三人で十円玉を出して、賽銭箱に投げ入れた。
来訪者は少ないようだ。
賽銭箱に入った小銭の音から、明らかに中には小銭が全然入っていない乾いた音が聞こえた。
「鬼全が見つかりますように」
今のところ、俺の願いはこれだ。
「いいラノベが書けますように」
お前も少しは鬼全が見つかるよう祈れよ、それに神様が神様にお願いするな。お前も神様なんだから自分で叶えられるんじゃないのか?
「えっと、二人の願いが、叶いますようにっ」
ノア、お前は本当に良い奴だよ。
十円玉……。
さっきの小銭で少しだけ、こんな方法はどうだろうってのを思いついた。
馬鹿らしい方法だ。
口に出すのも気が引ける。
俺は財布からもう一枚、十円玉を取り出してそれを握り締めた。
ここにいても駄目だな。
「街に戻るか……」
さっきのタクシー留まらせればよかったな。
それでも数分後にはタクシーが通りかかったので助かった。
ここらは住宅と田んぼがちらほらと目立つくらいの地帯だが運が良かった。
これも俺の立ち位置によって引き起こされたものなのかな。
こういう場所でもタクシーが通る世界観、みたいな。
ありえなくもない、かも。
「つ、次はどう、する?」
「……まだ決めてはいない」
俺は握っていた十円玉を開いて、視線をそこへ落とした。
「狐狗狸ってのは、こっくりさんでいいんだよな?」
「う、うんっ」
まだあの狐の仮面がこっくりさんとまでは確定していない。
そこが問題だ。
「蔵曾、メモ帳と書くもの持ってるだろ」
「ある」
「貸してくれ」
何をするかは、察しの良い二人はすぐに理解したようで、
「な、なるほど」
何も書いていないが、ノアはそう言う。
「しかし、まだ奴がそうだとは」
「ものはためし、だけどやっぱりこのサイズだときついな」
手に収まる程度のサイズじゃなく、A4サイズくらいが欲しい。
「一枚、取って」
「ん? おう」
そうだ、こいつ何気にすごい事できたんだったな。
蔵曾は運転手に見られないよう死角で紙を両手に挟むと、紙がかすかに青白くなって大きくなった。
「はい」
「こういう時はお前ってすげえなと関心するよ」
「いつも感心して」
「無理」
「酷い」
お前最近醜態しか晒してないからいつも関心しろと言われてもそれは無理な話だ。
「どう書くんだっけ」
「と、鳥居を真ん中から上あたりに書いて、その左右に“はい”と“いいえ”、あ行からわ行までのひらがな全部を書くのっ」
指でどこらへんに書くかも説明してくれるとはね。
どうしてこうも物知りなんだよ、関心しちまうぜまったく。
「出来た」
「あとはどっかテーブルのある場所でやりたいな」
「モック」
お前、腹が減っただけだろ。
つーかお前の力でテーブル作れよ。
モックでこっくりさんの呼び出しに成功してしまったら大パニックになるのでは?
その結果、蔵曾は一人でモックに行き、わき道でもしゃもしゃと只管口を動かしていた。
しかもどっから持ってきたのか木箱に腰を下ろしている、丁度いい、それを使おう。
「よしっ、どけ」
「待って」
「待てるか!」
その膨らんだ紙袋は少なくとも五、六個のポーククリスプが入ってるのは間違いない。
俺は蔵曾を強引に木箱からどけて紙を置いた。
十円玉は鳥居の絵の中心に置いてノアを見た。
ノアは小さく頷く、これでいいんだな。
あとはやるのみ、だ。
「私の力、含ませる」
「お前の……?」
「本格的な、本物の、降霊術にする」
それは頼もしいがしかし……
「別な奴がきたらどうしよう……」
「私が帰らせる、心配ない」
心配だ。
モックを食べながらの時点で。
「じゃあ……やるぞ?」
「う、うんっ……」
「りょうふぁい」
蔵曾、食べながら喋るな。
緊張してきた。
少しだけ怖くもある。
街中のわき道なので道路を走る車両や路地を歩く人々達の生み出す音が無ければもっと恐怖を抱いていたかも。
誰にも見つからないようにと影のほうでやってはいるが、街灯の光が灯り始めたおかげで暗すぎるほどではないのも助かるね。
「こっくりさんこっくりさん……」
三人とも十円玉に人差し指を乗せた。
蔵曾は未だに片手にポーククリスプ持って口を動かしていて、ものすごく腹立つ。
「どうぞおいでください。もしおいでになられましたら「はい」へお進みください」
すると。
すると、だ。
「お、おおっ?」
「う、動いたっ」
「すふぉい」
だから食べながら喋るな。
俺は力を何も入れていない、それでも十円玉はするりと「はい」の方向へゆっくりと動いていった。
ちゃんと、降霊術が出来ている。
蔵曾の力によるものが大きいであろうが。
あと少しで「はい」へと完全に十円玉が乗っかる。
その時、近くの街灯の光が消えた。
「来る」
蔵曾がそう、呟く。
何が?
というのも、こっくりさんの他ならない。
影――影だ。
地面をスーッと音も立てずにそれは真っ直ぐ向かってきた。
影は木箱へと侵食し、側面から狐の仮面が浮き上がった。
「来た……」
「き、来た……」
「うん」
蔵曾だけ反応が薄い。
十円玉を離しそうになったがなんとか持ちこたえた。
ホラーは苦手ではないもののこいつは本物のこっくりさん、怖くないと言ったら流石に嘘になる。
仮面は徐々に動いて、紙の上まで上がってきていた。
逆さまになった仮面、ゆっくりと方向転換して正面を向き――気のせいか、仮面と目が合った――気がした。
仮面の動きが止まる。
「さっきの奴と、同じ。間違いない」
「つまり、こいつが鬼全を連れ去った張本人、か」
「あっ」
ノアが声を出した。
何だ? とノアの視線を辿ると狐の仮面は木箱から少しずつ離れていっていた。
「逃げてる」
「追いかけるか!」
「必要ない」
蔵曾は動こうとしなかった。
「儀式を続ける、狐狗狸は降霊術に付き合うしかない。この木箱は儀式道具と化している、離れられない」
「なら安心だ、質問しようぜ」
仮面が嫌そうに左右に揺れた。
面白いなこれ。
「こっくりさんこっくりさん、鬼全の居場所はどこですか?」
抵抗できないのか、仮面は十円玉に引っ付いて文字の上を辿った。
「お、お、ど、お、り?」
大通り?
「こ、う、さ、て、ん?」
交差点?
「ふ、あ、み、れ、す?」
ふあみれす?
「ふあみれす?」
「……ファミレス?」
ああ、それだなっ。
「……大通りの交差点にあるファミレス、あったか?」
「えっと、ち、近くに何件か、あるかも?」
「こっくりさんこっくりさん、店名を教えてください」
こっくりさんって便利ね。
「ば、あ、ぐ、ぼ、お、い?」
「バ、バーグボーイ、ハンバーグ中心のファミレス、ぜ、全国チェーンっで、ペペロンチーノとバーグボーイディッシュが人気っ」
最後の情報は別にいらなかったが物知りノアさん流石っす!
「こっくりさんこっくりさん、ポーククリスプ食べますか?」
蔵曾が新たな質問をし始めた。
その質問はいるのか?
「は、い」
食べるんだ。
「一個あげるから受け取って」
すると、仮面が影を引きずって浮き上がった。
影が形を成すと子供のような体格、狐狗狸って意外と子供体形?
それに狐の耳みたいなのもあるし、あれか、ケモ耳キャラか! それはいいぞ!
上半身だけ色がついた。
髪は茶髪、ケモ耳も可愛らしくぴくんと動いている。
服は巫女服? ちょっと、違うな。
それに似たものだ。
手を伸ばすと蔵曾は紙袋を差し出し、恐る恐る狐狗狸は一個取り出して何度も頭を下げた。
「こんな事してる場合じゃないんだがな」
「しかし私は、このポーククリスプの美味しさを知ってもらいたい」
そうかい。
狐狗狸は仮面を少しだけずらしてポーククリスプを食べはじめた。
後姿故に表情をうかがえないのが残念。
いやいやそれより、だ。
「こっくりさん、こっくりさん、どうぞおもどりください」
これにてこっくりさんはお仕舞いにして鬼全のいるファミレスに向かおう。
こうなったらどちらが早く追いつくか競争と行こうや。
狐狗狸は慌ててポーククリスプを食べるも俺達は既に走り出していた。
わき道を出る前に、
「どっちだ!」
ノアにすかさず問う。
「右っ! そ、それから真っ直ぐ行くっ!」
「了解!」
「うぷっ……は、走れない……」
置いていくからな。
一人でポーククリスプを頬張ってた奴が悪い。
俺も小腹がすいてたのによ、狐狗狸に渡さず俺に渡していれば「しょうがねえなあ、背負ってやるよ」って言ってたかもな。
「ま、待って」
「じゃあの」
「酷い」
最後にそんな弱々しい声が届いたものの俺とノアは走る。
大通りに出たが、如何せんファミレスなんか行かないためにまたクエスチョンマークが浮かび上がる。
「右、直線して次の交差点にて左側にっ!」
今日はいつもよりノアが頼もしく見えるな。
ノアの指示に従って進んでいくと左手にファミレス――店の名前はバーグボーイ。
「ここか!」
「う、うん!」
早速入店だっ。
店に入り、店員のマニュアル接客を無視して俺達は鬼全を探した。
蔵曾も遅れてやってきて、腹部を押さえてつらそうにしていたがお前はいいとしてだ。
店の奥、窓側にて鬼全は……いた。
美味そうにハンバーグを頬張りながら。
「おい鬼全!」
鬼全は俺を見て、フォークに刺したハンバーグの欠片を見せ付けて――
「ぱねぇ!」
「うるせぇ!」
互いに声を大きく、店内に響かせた。
鬼全の席に座るとする。
なんでこいつはここで優雅にハンバーグを頬張ってられてる?
狐狗狸はこいつの角目的で拉致したんだろ?
だったら縛るか、角を出させてのこぎりで切るなりしようとするはずだ。それも人目の少ないところでな。
それなのにファミレスにいるってのもおかしい。
何から何までおかしすぎる。
「……大丈夫なのかよ」
「何が?」
「さっき拉致られたじゃん!」
あー……とアホ面浮かべる鬼全。
必死になった俺が馬鹿みたいだ。
重なった皿の枚数からして、長らくここに居たのが解る。
俺達が必死に探していた間、こいつはここで飯を食っていたのだ。
俺の怒りはまさにそこから刺激されている、今にも爆発しそうだ。
そんでもって、こうなった原因である狐狗狸には見た瞬間に頭にチョップでも食らわてしまうかも。
「それなぁ、別に騒ぐ事でも無かったぜぇ」
「……というと」
「あいつよ、どうしても金が必要でじっくりこうして交渉したかったらしいんだよ」
……接待でもされてたのかおい。
「狐狗狸の金で接待してもらってるぜぇ、とりあえずお前はお米食べろ!」
「なんでだよ!」
中々に狐狗狸の目的がはっきりと現れない。
金が必要? それは解る。
だが何故鬼全を接待する?
もしかして狐狗狸って、悪い奴じゃないのか?
「事情聞いててなあ、それから世間話やらで花を咲かせて飯食ってたら途中で消えちまった」
「俺達が呼んだからだな」
「じ、事情というのは……?」
一度人質に取られたからか、ノアは少々怯えながらの質問。
「なんかよ、住んでた神社を管理していた奴が死んだらしいぜぇ。そいつは身内もいないらしくてな、墓も建てられてないから、自分が代わりに墓を建てたいんだとよ」
「墓を?」
「墓を。金を集めたんだがどうしてもあと少し足りなくてあたしを頼ったわけだ。怪異繋がりで」
人には頼れないもんな、あの外見からして。
「それと神社の管理にも金が掛かるんだって」
なんか重い話になったな……。
「その話を聞いて、狐狗狸のなけなしの金で接待してもらっている事に申し訳なさを感じてる!」
「……お前はどう答えたんだ?」
「あたし? あたしは角の一部あげる代わりに神力を注いだ酒を貰うって事で交渉成立したぜ? いい酒持ってるんだよあいつぁ~」
なんか本とか読んでるとよく鬼は酒が好きって解るシーンが見られたけどそれは本当のようだ。
テーブルの下に置いてあったのであろう、一升瓶をいくつか取り出してきた。
「神社が復興したら酒蔵で美味い酒も作れるっつうから投資するぜぇ!」
「……よかったな」
「あ、安心……」
ノア、お前はよく人質に取られたのにこいつらの交渉が成立して安心していられるな。
「お? 来たかな?」
鬼全は窓を見ると、そこにはこっくりさんをやっていた時と同じ影が窓を侵食していた。
それは俺の隣へと移り、影の中心に狐の仮面が浮かび上がった。
「おおっ!?」
思わず、体がのけぞった。
影は盛り上がり、人の形へと成したのは、驚かざるを得ないぜ。
形が完全に成すや、俺達に向けて長椅子に両手をついて深々と頭を下げる狐狗狸。
折角のケモ耳もシュンと垂れ下がってなんかこちらとしては残念。
もっとピンッと立ってるのがいいよ。好きだよケモ耳。
狐狗狸は懐からホワイトボードとペンを取り出して何やら書き書きし始めた。
どうしてホワイトボードを持っているのか、それはまあ今は考えないとする。
『これには事情が』
との一文。
その事情とやら、鬼全とのやり取りであろう。
「鬼全から事情は聞いた。それよりあんたは鬼全をどうこうしようとは思ってないんだな?」
『わたしの力は弱い故、影を使った瞬間移動と儀式での情報探索能力以外、ほとんど何もできません』
書くのに時間が掛かるな。
無理して漢字使わなくてもいいぞ。
『以前から鬼様に接触する機会を伺っており、今日皆が鬼様へ接触してきた故、つい、我先にと』
続けてそう書いた。
角目的で鬼全に近づいたと勘違いしたのかな。
気になったのはこいつの力は弱いらしいが、立ち位置の影響もあるのかな――とか思ったり。
この騒動の根本的な理由に俺が関わっているかもしれないが、口は閉ざしておくかな……。
豊中さんに知られたら怖いし。
「安心したよ、凶悪な野郎じゃなくてさ」
『悪いこっくりさんのおかげで、評判悪いです』
こっくりさんは一人じゃないらしい。
どうであれ、徒労に終わったと知るや俺とノアは互いに顔を見合わせてため息をついて、空腹に負けてハンバーグを注文するとした。
鬼全も食事中で襲おうという雰囲気すらないしな。
『お金が無い故』
「いやいや、別にいいよ、自分で払う。鬼全もそうするさ。なあ?」
「ん? ああ、いいよ」
『しかし接待故』
「気にすんなって。墓、ちゃんと建てられるといいな」
蔵曾はメモを只管に取っていた、インスピレーションが刺激されたかな?
「が、頑張って、くださいっ」
ノアは手を差し出して狐狗狸と握手。
感動したのか、目には涙を浮かべていた。
これにて一件落着だ。
大変な事件かと思ったが、予想以上に――それどころか事件でもなかったが、蔵曾にはいい刺激になったのだから良し、だ。
夕食を頂きながら狐狗狸の話を聞くと、どうやら俺達が足を運んだ神社が狐狗狸の言う神社らしい。
箒で落ち葉の掃除は狐狗狸がやっていたとか。
その後、豊中さんの調べによれば、神主と狐狗狸は長く付き合いがあり、お互い家族のような関係にまで深い絆が出来ていたらしい。
しかし神主は数日前に神社の裏にて心臓発作によって病死、どうしていいか解らず、人間に見つかったら誤解されるかもと思い埋めるしかなかったという。
人間は墓を建てる――この人の墓を建ててやりたい、狐狗狸はその想いでいっぱいであり、今回の行動に至ったと。
豊中さん達によって神主はちゃんと火葬の手続きが行われ、形だけでもと葬式が行われ、それから鬼全は狐狗狸に足りない分の金額を渡して立派な墓が建てられたそうな。
蔵曾を通してそこらの話は一通り聞いた。
鬼全曰く、足りない分どころか全額だしてやってもよかった、人間の墓は安くて立派なものが手に入る、とか。
あいつはどんだけ金持ちなんだ……?
つーか墓は蔵曾が作ってやればよかったんじゃ?
あいつなら何でも作れるだろうに。
とか、あとから思ったり。
「あれからいっぱい考えたがなあ、お前の立ち位置、やっぱり頂くとするぜぇ!」
数日が過ぎた。
何かと朝の登校は、誰かに絡まれる日が多くなり、俺のため息もそれに比例していった。
「学校、行きたいんだけど」
「あたしを倒してからにしなぁ!」
朝から住宅街にギターの音色が響いた。
近所迷惑も甚だしい。
「分かった、お前を倒してからにする! 行くぞ!」
「あっ、ちょっと、ギター置か――」
ギターを弾いている奴が悪い。
俺は鬼全の頭にチョップをお見舞いし、地面へ沈めた。
「はい、おしまい! じゃあね!」
「うぐ……ま、待て……」
本当に弱いな君は。
今までよく凶悪な怪異に襲われなかったものだ。
この街では天使に守られてるっつうから大丈夫そうだがね。
「あんまり無茶すんなよ、角持ってかれたら大変だからな」
「うるせぇー!」
鬼全に手を振ってお別れ。
そうそう。
狐狗狸のいる神社だが、新しい神主が着いたとか。
神力もあるようで、狐狗狸が見えているので互いに協力し合って神社復興は順調らしく、しばらくして美人の神主がいると街ではちょっとした噂になってると聞いた。
あっという間に神社は昔の賑わいのある神社に戻りそうだ。
今思うと……神社に足を運んだ時、俺が昔の神社を望んだから……だったりする?
どうであれ、いつかまたあの神社にノアと一緒に行きたいものだ。
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