4 / 24
第一章
第三話.派生
しおりを挟む
「他に何か気になったこととかはあるか?」
「んー、あー……あっ、あったあった。えっとね、葵とは関係ないんだけど、この前ね、黒い卵を見たの」
「黒い卵?」
「そー、黒い卵。形は鶏卵っぽいんだけど」
「なんか、箱根だかに黒卵ってなかったっけ」
「あるあるー。まさにその黒卵って感じの卵なのよね。休みの日にね、ほら、わたしの家から少し離れてるところにある広場、夢見広場でね、鳥の巣があるなと思って木によじ登ってみたら黒卵でびっくりさー」
休日に一体何をしているんだこいつは。
好奇心旺盛にもほどがある。
「……怪異の卵じゃないだろうな」
「どうなんだろうねえ」
「その黒卵は何か実害をもたらしたりは?」
「そういうのは特にないかなー。うんともすんとも動かない、黒いってだけの卵だったし」
孵化を待つただの卵だろうか。
でも黒いっていうのは、異常だよな、普通じゃないよな、怪異だよな。
とはいってもだ。
「様子見しておくか。何かあったら知らせてくれ」
「かしこまりー」
そうして歩くこと数分、我が学び舎である県立森青学校が見えてきた。
街中に巨大な長方形をどんと置いたかのようななんの面白みも感じられない校舎、これから待っている授業のことを考えるとやや億劫。
また出てきそうなため息を我慢して、校門を過ぎる。
久理子は相も変わらず無垢な笑顔を維持していた、学校も彼女にとっては楽しい場所なのかもしれない。
鼻歌混じりで歩く彼女を見ていると、思わずこちらも気分がノッてくる。億劫さも少し引っ込んでいった。
「あっ、葵だー」
数メートルほど先にて、小鳥遊葵の後姿が確認された。
なんというか、カースト上位というのはオーラが違うね、オーラが。
「俺に気にせずあっちに行っていいぞ」
「えー、そう? でも寂しくならない?」
「ならない」
「それはそれでちょっと思うところがあるよぅ!」
「実は少し寂しいぜ」
「ふふっ、冬弥ったら正直者だねぇ」
つんつんと俺の胸をつついてくる。
俺は彼女の指をぺしっとはたいて、さっさと行けと手でしっしと振る。
「じゃあ行ってくるー」
「おう」
久理子は小鳥遊さんのもとへと駆け寄っていった。
二人は笑顔で挨拶を交わしてた。小鳥遊さんの横顔を確認したが、顔色のほうはやや悪し。大丈夫かよ。
提げられている鞄の中には、脇にぎゅっと挟んで大事そうに抱える鞄の中には、きっと……あの箱が入っているのだろう。
小鳥遊さんの後姿をひっそりと目で追う。
彼女は靴を履き替えて三階に上がると鞄をロッカーへ入れて鍵を掛けていた。
あの箱はいつも身近な場所に置いておかないと気が済まないといったところかな。
さて、どうしたものか。
久理子に頼られたとあっちゃあ頑張りたいところなんだが、今のところは彼女の観察をするくらいしかやることがない。
気づかれないように、じっくり観察するとしよう。
にしてもあの漂う淑やかさ、彼女の整った容姿も相まって見惚れてしまう。クラス内でゲラゲラと大声で笑う女子生徒は是非とも彼女を見習ってほしいものだ。
カースト上位である彼女は、グループ内でも主に彼女を中心に回っているように見られる。
なんというか、いるだけでも良し、周りの連中は話を聞いてもらいたいといった感じだ。
性格は大人しく、口数はそれほど多くはない。聞き上手のようで皆が彼女に語り掛けては心地よさそうに微笑を浮かべていた。
まるで美しい花をみんなで愛でているかのようだ。
それほどに彼女――小鳥遊葵という少女は、魅力的なのだろう。
授業の様子はというと、真面目に受けていて座った姿勢はピンッとしていて実に良し。
先生にあてられた彼女はすらすらと正解を答えていて頭のほうもかなりいい。俺も彼女を見習わなければならないな。
それからいくつかの授業を経て体育の時間。
運動はそれほど、といったところ。
というか、体育の時間は隅のほうで座ってばかりで動きたがらない。激しい運動は辛くて動けない、と言ったほうが正しいかもしれない。
あの箱によって見た目以上に体が衰弱していると考慮すればの話だが、いや――考慮するまでもないだろう。それは、確かなことだ。
休み時間は主に友人らと談笑をしているが、二回に一回は廊下に出て、他のクラスの――まあ、大体は久理子と話をしている。二人の仲は、とてもよさそう。
彼女は久理子に話をしにいくついでに、ロッカーを開けて、例の箱をチェックしていた。
後ろ姿だったのであの箱に何をどうこうしているといったことははっきりとは分からないが、おそらくは鞄を開けて、あの箱を見て、軽く触って、また鞄を閉めている。
その一連の流れにはどのような意味があるのかは分からない、たいした意味なんてないのかもしれないが。
どうであれ、これじゃあ気づかれずに盗んで調べるっていうのは無理そうだ。
昼休みになり、俺は屋上へと足を運んだ。
屋上は本来解放されていないのだが、ドアノブをちょいとうまく捻ると入れるんだなこれが。
この広いスペースを伸び伸びと使えるのはとても気分がいい。
ど真ん中に座って弁当を広げる。すると屋上への扉が開かれた。
「やほぅ」
「おう」
久理子がやってきた、彼女も時々こうして屋上へやってくるのだ。
「お隣いいかな?」
「どうぞどうぞ」
「ではでは、失礼して」
とことこと陽気な足取りで俺の傍へと寄って座り、彼女は弁当を広げた。ミニハンバーグや野菜、魚など栄養バランスのいい美味そうな弁当だ。他人の弁当はどうしてこうも魅力的に見えるのだろう。
そしてそれに加えて、購買のパンも二個出してくる。
「相変わらず食う奴だな~」
「ふふんっ、食欲旺盛なもので」
「食ったもんは一体どこにいってるんだか」
「主に胸かもしれませんなあ」
「なるほどなあ」
なかなかの巨乳さんですもんね。
食ったもんはそこに行くなんて便利な体だこと。
「ではでは、いただきまーす!」
「いただきまーす」
久理子に倣って、食べる前に両手を合わせる。
「いやー冬弥の弁当はいつも美味しそうだね」
「ふふんっ、そうだろう?」
「きみの唐揚げとわたしのミニハンバーグを交換しないかね?」
「いいよ、交換してやろうじゃないの」
「やったぁ!」
トレード成立だ。
ミニハンバーグは冷凍食品のものかな?
冷凍食品、いいよね。
年々冷凍食品はどんどん美味しくなっているしバリエーションも豊富になっている。
レンジでチンか自然解凍でもよしというのもあってお手軽だ、俺も手軽に弁当を作りたいってときは冷凍食品のお世話になっている。
時には力を入れて、時にはほどほどにお手軽に――緩急つけることでモチベーションが保てるのだ。
「相変わらずきみの作る唐揚げは美味しいなー」
「そりゃどうも」
「それで、進展はあった?」
「いんや、なんにも」
「そかー」
今は腹ごしらえを優先といったところ。
空の下で飯を食べるのは気持ちいいね。これだから屋上での昼食はやめられない。
「あの箱に取り憑いているであろう怪異はちっとも姿を現さないしなあ」
「むむー」
「お前はそれらしいものを見てはいないのか?」
「全然ー」
「そうか。小物ならやりやすいんだが……」
「どんな怪異だと思う?」
「んー……願いを叶えるような怪異だろ? となると大物なんじゃないかな。あーやだやだ、関わりたくねー」
「そこをなんとかー」
祭られているやつや呪いをため込んでいるやつっていうのは特に大物――らしい、じいちゃん曰く。
俺はまだそれほどの大物には遭遇したことは、……ん、ああ、一回はあったかな。一回くらい、あった。
ただ、その一回程度で、他は大物とは到底言えないものばかり。
遭遇すること自体稀というのもある、基本的に遭うものであって、中々会えるもんじゃない。良いやつなら大歓迎だけど、悪いやつならノーセンキュー。
この場合、おそらくは後者。
だって、願いを叶えると願った人を蝕むようなことをするんだもの。後者だよ後者、絶対後者。前者だったらすみません。
ともあれ、だ。
「可愛い幼馴染からのお願いじゃあ断れないな」
「やったー!」
しかし現時点で進展ゼロな上に進展がありそうな気配もなし。
進展があるのは弁当の中身くらいだ。ぱくぱく食べて半分ほど胃の中へと進展していきました。美味い美味い。
それはさておき。どうにかして一歩は踏み出したいね。
「ふー、ご馳走様」
「ご馳走様ー」
弁当を食べ終えて、お茶を飲んで一息つく。
いつもならばのんびりと昼寝といくところだが、俺はポケットからスマホを取り出した。
「ちょいとじいちゃんに聞いてみるか」
「よろしくどうぞー」
じいちゃんはもう昼飯を食べ終えたかな?
時刻はお昼の十二時半過ぎ、時間的には丁度いいと思う。
数回のコール音、四回目には電話は繋がった。
『もしもし』
重低音のような、男前を連想させるいい声が鼓膜に伝わる。
声からして、まだまだ元気だなと、思わせられる。
「じいちゃん、俺だけど」
『わしにオレオレ詐欺を仕掛けるなど百年早いわい』
「いや、じいちゃん、スマホだよな? 連絡先である俺の名前がちゃんと画面に表示されてるはずなんだけど」
スマホやらパソコンやらハイテク技術は難なく使いこなしているんだよな。
『うむ。分かっておる』
「分かってるんかい!」
思わず突っ込んでしまった。
じいちゃんは電話越しにくっくっくっくっと渋い笑い方をしていた。それから、すー……ぷはぁ~といった呼吸音――煙草を吸っているようだ。
今は食後の一服中ってとこか。
「今大丈夫? ちょっと聞きたいことがあるんだけど」
『おう、なんだ? 色恋沙汰か?』
「違うよ、怪異関連」
『はー、怪異か。まあいいぞ、聞け聞け』
つまらんなあって顔をしてそう。
ふと隣を見てみると俺が電話中とあってか久理子はそっと弁当を片付けて正座し、じっとして耳を傾けていた。電話中なので私は喋らないぞという意思を感じる。可愛いやつ。
「俺のクラスメイトでさ、ちょっと怪異が絡んでそうな子がいて……」
『女じゃな?』
「女だけどさ」
くっくっくっくっ。
なんだよじいちゃん、その笑いは。
『その子は、箱を持ってたんだ」
『箱?』
「それも、おそらくだけど……その、所持者の願いを叶える――箱。ただし、願いを叶えると、体が蝕まれる」
『形状は?』
「長方形の木箱で、なんていうか、様々な形の模様が入り混じるように彫られてた」
じいちゃんの唸り声が聞こえる。
反応としては、それほど手ごたえはなさそうな。
『箱にまつわる怪異は数えきれんほどあるが――大体が運を操作して願いが叶ったようにみせるものだったり、はたまた周りを不幸にすることで願いが叶ったようにみせかけるものでな、願いを叶えるっちゅーのはあまり聞かんのう』
「そうなんだ?」
『もし本当に願いを叶えるのならば、その怪異は神さんか悪魔さんか仏さんか……まあどうであれ結構な力を持ってるかもしれんな』
「だよね」
『怪異は姿を見せたんか?』
「いや、見せてない」
『ほう。じゃあ願いを叶える力は持っておっても、意外と戦闘やらの力はたいしたことないのかもしれんなあ』
「そうなの?」
『姿を隠すような怪異は大体がそういうもんじゃ。戦ったらやられるようなやつはみな隠れる。なんじゃいお前さん、怪異関連は経験豊富と思ったが』
「まー色々相手はしてきたけど、どいつもこいつも単純なやつばっかだったから……」
『そうかい』
怪異が姿を現したら取っ捕まえて祓って無事解決――そんな単純な話であれば話は早い。
スムーズにいくとは限らないが。
『箱にまつわる怪異といえば、鬼や鳥、魚なんかの怪異もおったかの』
「鬼や鳥に魚……ふぅん」
食える怪異だったらいいな。
『なかには武器として利用された箱がある、とはいえその箱だったら今頃大惨事だろうが。そうではないのだろう?」
「ああ、大惨事ではない」
「なら一先ずは、安心じゃな。それらから派生したものもあるらしいが、もしかしたらその中の一つかもしれんな。その辺は詳しくないから何とも言えんが』
「派生したものねえ……?」
武器――か。
一体どのようなものだったのだろう。大惨事と言うのだからよほど恐ろしいものではなかろうか。
「なんつーか、祓い方とか儀式とか、そういうのって必要?」
『怪異の正体が分からん以上何とも言えん。先ずは怪異の正体を知ることから始めい』
「どうすればいい?」
『それくらいは自分で考えい』
「ちぇっ、分かったよ、ありがとうじいちゃん」
『ほいで冬弥や、光枝や夏美ちゃんは元気にしとるか?』
怪異関連の話はこれにて、といった感じ。
ここからは世間話だ。
「元気だよ、母さんも夏美も特に変わりない」
『そうか。そりゃあよかった。お前は相変わらず料理三昧か?』
「別にそんな料理しては……してたわ、うん、相変わらず」
『ほどほどにな。夏美ちゃんにも料理を教えてやれ』
「あいつがやる気になったらね」
そうしてしばらく世間話をした後に電話を終えた。
休み時間が終わるまで残り十分、そこそこな長電話だった。
隣を見てみると、久理子は足を崩して苦い顔をしていた、どうやら足がしびれたらしい。
つんつんと足の裏をつついてやると久理子はぴぎゃー! っと、情けない悲鳴をあげていた、可愛いやつ。
「ふぅ……はぁ……それで、お話のほうはどうだった?」
足の痺れはようやく解けてきたところで久理子はそう質問をしてくる。
「先ずは怪異の正体を暴かなきゃどうにも始まらんってとこだな」
「そうー……。じゃあ怪異の正体を暴こう!」
「そうだな。次はどうすれば怪異が姿を現すか、だが……」
ふうむと、二人で腕を組んで考える。
「やっぱり葵が何か願ってる時が、怪異が姿を現す時なんじゃないかなー?」
「んー、でもこの前見た時はそれらしいもんは見なかったんだよなあ」
「きっとどこかに隠れてるんだよー」
「どこに隠れているのだろうなあ」
久理子はむむむっと周囲を見渡して怪異を探しているが、そう目の届く範囲にはいないだろう。いたら流石に分かると思うし。
「どうにかしておびき出せればいいんだけど……」
ごろんと仰向けになる。
視界一面が空で満たされ、いつまでもここにいたい気分に陥るも残念ながら昼休みはそろそろ終わりだ。
視界ににゅっと入って顔を覗かせる久理子。
笑顔は見せているもののどこか不安そうだ。
「雲行きは怪しい?」
「そうでもないさ、ただ、作戦を考え中ってだけ」
「なるほどー」
「さて……」
大きなあくびが喉から出てきて大口を開けさせた。
まぶたに圧し掛かるのは食後に訪れる睡魔。空から降り注ぐぽかぽかな陽光がこれまた睡魔を増加させている。まいったな、まいったね。
「寝るか」
「えっ、午後の授業はー?」
「サボっちゃっても平気っしょ」
俺は頭に両手を回して寝る体勢へと移った。
久理子は溜息をついて腕時計を見やる。そろそろ昼休み終了のチャイムが鳴る頃だろう。
「入学してまだ間もないってのにサボるなんてきみはいけない子だなー!」
「定期的にサボらないとやってけないんでね」
「まったくきみって奴は……」
「そう言って、お前もサボりたいんじゃないの?」
「わたしは授業ちゃんと受けるよっ!」
「そうかい、真面目だなー」
「きみが不真面目なだけだよー」
そうこうしているうちにチャイムが鳴ってしまった。
未だに上体を起こさない俺に久理子は飽きれて再びため息をつき、腰を上げた。
「ほら、行くよー!」
俺は軽く見上げる。
「パンツ見えてるぞ」
「びゃっ! 見るんじゃなーい!」
白のパンツを隠して恥じらう久理子。
「んげっ」
顔面を踏んづけられた。
これはこれで、ご褒美といえばご褒美である。
「ほらぁ、行くよー!」
「んぐぐ……」
襟の裏を掴むな引っ張るな。
久理子の熱意にも圧されて俺は渋々上体を起こした。
次は腰を上げるわけだが、未だに倦怠感が腰から下についてまわっている。それでもぐいぐいと引っ張る久理子の、柔らかい感触が頭の後ろに伝わり幸福な気分に浸れつつ、よっこいせと俺はようやく腰を上げた。
「それじゃあ、午後もがんばりましょー!」
「はいはい」
「はいは一回!」
「はーい……」
やれやれやれやれやーれやれだ。
学生らしく午後の授業も頑張るとしましょうか。
小鳥遊さんに絡んでいる怪異は、授業を受けながら考えるとしよう。
「んー、あー……あっ、あったあった。えっとね、葵とは関係ないんだけど、この前ね、黒い卵を見たの」
「黒い卵?」
「そー、黒い卵。形は鶏卵っぽいんだけど」
「なんか、箱根だかに黒卵ってなかったっけ」
「あるあるー。まさにその黒卵って感じの卵なのよね。休みの日にね、ほら、わたしの家から少し離れてるところにある広場、夢見広場でね、鳥の巣があるなと思って木によじ登ってみたら黒卵でびっくりさー」
休日に一体何をしているんだこいつは。
好奇心旺盛にもほどがある。
「……怪異の卵じゃないだろうな」
「どうなんだろうねえ」
「その黒卵は何か実害をもたらしたりは?」
「そういうのは特にないかなー。うんともすんとも動かない、黒いってだけの卵だったし」
孵化を待つただの卵だろうか。
でも黒いっていうのは、異常だよな、普通じゃないよな、怪異だよな。
とはいってもだ。
「様子見しておくか。何かあったら知らせてくれ」
「かしこまりー」
そうして歩くこと数分、我が学び舎である県立森青学校が見えてきた。
街中に巨大な長方形をどんと置いたかのようななんの面白みも感じられない校舎、これから待っている授業のことを考えるとやや億劫。
また出てきそうなため息を我慢して、校門を過ぎる。
久理子は相も変わらず無垢な笑顔を維持していた、学校も彼女にとっては楽しい場所なのかもしれない。
鼻歌混じりで歩く彼女を見ていると、思わずこちらも気分がノッてくる。億劫さも少し引っ込んでいった。
「あっ、葵だー」
数メートルほど先にて、小鳥遊葵の後姿が確認された。
なんというか、カースト上位というのはオーラが違うね、オーラが。
「俺に気にせずあっちに行っていいぞ」
「えー、そう? でも寂しくならない?」
「ならない」
「それはそれでちょっと思うところがあるよぅ!」
「実は少し寂しいぜ」
「ふふっ、冬弥ったら正直者だねぇ」
つんつんと俺の胸をつついてくる。
俺は彼女の指をぺしっとはたいて、さっさと行けと手でしっしと振る。
「じゃあ行ってくるー」
「おう」
久理子は小鳥遊さんのもとへと駆け寄っていった。
二人は笑顔で挨拶を交わしてた。小鳥遊さんの横顔を確認したが、顔色のほうはやや悪し。大丈夫かよ。
提げられている鞄の中には、脇にぎゅっと挟んで大事そうに抱える鞄の中には、きっと……あの箱が入っているのだろう。
小鳥遊さんの後姿をひっそりと目で追う。
彼女は靴を履き替えて三階に上がると鞄をロッカーへ入れて鍵を掛けていた。
あの箱はいつも身近な場所に置いておかないと気が済まないといったところかな。
さて、どうしたものか。
久理子に頼られたとあっちゃあ頑張りたいところなんだが、今のところは彼女の観察をするくらいしかやることがない。
気づかれないように、じっくり観察するとしよう。
にしてもあの漂う淑やかさ、彼女の整った容姿も相まって見惚れてしまう。クラス内でゲラゲラと大声で笑う女子生徒は是非とも彼女を見習ってほしいものだ。
カースト上位である彼女は、グループ内でも主に彼女を中心に回っているように見られる。
なんというか、いるだけでも良し、周りの連中は話を聞いてもらいたいといった感じだ。
性格は大人しく、口数はそれほど多くはない。聞き上手のようで皆が彼女に語り掛けては心地よさそうに微笑を浮かべていた。
まるで美しい花をみんなで愛でているかのようだ。
それほどに彼女――小鳥遊葵という少女は、魅力的なのだろう。
授業の様子はというと、真面目に受けていて座った姿勢はピンッとしていて実に良し。
先生にあてられた彼女はすらすらと正解を答えていて頭のほうもかなりいい。俺も彼女を見習わなければならないな。
それからいくつかの授業を経て体育の時間。
運動はそれほど、といったところ。
というか、体育の時間は隅のほうで座ってばかりで動きたがらない。激しい運動は辛くて動けない、と言ったほうが正しいかもしれない。
あの箱によって見た目以上に体が衰弱していると考慮すればの話だが、いや――考慮するまでもないだろう。それは、確かなことだ。
休み時間は主に友人らと談笑をしているが、二回に一回は廊下に出て、他のクラスの――まあ、大体は久理子と話をしている。二人の仲は、とてもよさそう。
彼女は久理子に話をしにいくついでに、ロッカーを開けて、例の箱をチェックしていた。
後ろ姿だったのであの箱に何をどうこうしているといったことははっきりとは分からないが、おそらくは鞄を開けて、あの箱を見て、軽く触って、また鞄を閉めている。
その一連の流れにはどのような意味があるのかは分からない、たいした意味なんてないのかもしれないが。
どうであれ、これじゃあ気づかれずに盗んで調べるっていうのは無理そうだ。
昼休みになり、俺は屋上へと足を運んだ。
屋上は本来解放されていないのだが、ドアノブをちょいとうまく捻ると入れるんだなこれが。
この広いスペースを伸び伸びと使えるのはとても気分がいい。
ど真ん中に座って弁当を広げる。すると屋上への扉が開かれた。
「やほぅ」
「おう」
久理子がやってきた、彼女も時々こうして屋上へやってくるのだ。
「お隣いいかな?」
「どうぞどうぞ」
「ではでは、失礼して」
とことこと陽気な足取りで俺の傍へと寄って座り、彼女は弁当を広げた。ミニハンバーグや野菜、魚など栄養バランスのいい美味そうな弁当だ。他人の弁当はどうしてこうも魅力的に見えるのだろう。
そしてそれに加えて、購買のパンも二個出してくる。
「相変わらず食う奴だな~」
「ふふんっ、食欲旺盛なもので」
「食ったもんは一体どこにいってるんだか」
「主に胸かもしれませんなあ」
「なるほどなあ」
なかなかの巨乳さんですもんね。
食ったもんはそこに行くなんて便利な体だこと。
「ではでは、いただきまーす!」
「いただきまーす」
久理子に倣って、食べる前に両手を合わせる。
「いやー冬弥の弁当はいつも美味しそうだね」
「ふふんっ、そうだろう?」
「きみの唐揚げとわたしのミニハンバーグを交換しないかね?」
「いいよ、交換してやろうじゃないの」
「やったぁ!」
トレード成立だ。
ミニハンバーグは冷凍食品のものかな?
冷凍食品、いいよね。
年々冷凍食品はどんどん美味しくなっているしバリエーションも豊富になっている。
レンジでチンか自然解凍でもよしというのもあってお手軽だ、俺も手軽に弁当を作りたいってときは冷凍食品のお世話になっている。
時には力を入れて、時にはほどほどにお手軽に――緩急つけることでモチベーションが保てるのだ。
「相変わらずきみの作る唐揚げは美味しいなー」
「そりゃどうも」
「それで、進展はあった?」
「いんや、なんにも」
「そかー」
今は腹ごしらえを優先といったところ。
空の下で飯を食べるのは気持ちいいね。これだから屋上での昼食はやめられない。
「あの箱に取り憑いているであろう怪異はちっとも姿を現さないしなあ」
「むむー」
「お前はそれらしいものを見てはいないのか?」
「全然ー」
「そうか。小物ならやりやすいんだが……」
「どんな怪異だと思う?」
「んー……願いを叶えるような怪異だろ? となると大物なんじゃないかな。あーやだやだ、関わりたくねー」
「そこをなんとかー」
祭られているやつや呪いをため込んでいるやつっていうのは特に大物――らしい、じいちゃん曰く。
俺はまだそれほどの大物には遭遇したことは、……ん、ああ、一回はあったかな。一回くらい、あった。
ただ、その一回程度で、他は大物とは到底言えないものばかり。
遭遇すること自体稀というのもある、基本的に遭うものであって、中々会えるもんじゃない。良いやつなら大歓迎だけど、悪いやつならノーセンキュー。
この場合、おそらくは後者。
だって、願いを叶えると願った人を蝕むようなことをするんだもの。後者だよ後者、絶対後者。前者だったらすみません。
ともあれ、だ。
「可愛い幼馴染からのお願いじゃあ断れないな」
「やったー!」
しかし現時点で進展ゼロな上に進展がありそうな気配もなし。
進展があるのは弁当の中身くらいだ。ぱくぱく食べて半分ほど胃の中へと進展していきました。美味い美味い。
それはさておき。どうにかして一歩は踏み出したいね。
「ふー、ご馳走様」
「ご馳走様ー」
弁当を食べ終えて、お茶を飲んで一息つく。
いつもならばのんびりと昼寝といくところだが、俺はポケットからスマホを取り出した。
「ちょいとじいちゃんに聞いてみるか」
「よろしくどうぞー」
じいちゃんはもう昼飯を食べ終えたかな?
時刻はお昼の十二時半過ぎ、時間的には丁度いいと思う。
数回のコール音、四回目には電話は繋がった。
『もしもし』
重低音のような、男前を連想させるいい声が鼓膜に伝わる。
声からして、まだまだ元気だなと、思わせられる。
「じいちゃん、俺だけど」
『わしにオレオレ詐欺を仕掛けるなど百年早いわい』
「いや、じいちゃん、スマホだよな? 連絡先である俺の名前がちゃんと画面に表示されてるはずなんだけど」
スマホやらパソコンやらハイテク技術は難なく使いこなしているんだよな。
『うむ。分かっておる』
「分かってるんかい!」
思わず突っ込んでしまった。
じいちゃんは電話越しにくっくっくっくっと渋い笑い方をしていた。それから、すー……ぷはぁ~といった呼吸音――煙草を吸っているようだ。
今は食後の一服中ってとこか。
「今大丈夫? ちょっと聞きたいことがあるんだけど」
『おう、なんだ? 色恋沙汰か?』
「違うよ、怪異関連」
『はー、怪異か。まあいいぞ、聞け聞け』
つまらんなあって顔をしてそう。
ふと隣を見てみると俺が電話中とあってか久理子はそっと弁当を片付けて正座し、じっとして耳を傾けていた。電話中なので私は喋らないぞという意思を感じる。可愛いやつ。
「俺のクラスメイトでさ、ちょっと怪異が絡んでそうな子がいて……」
『女じゃな?』
「女だけどさ」
くっくっくっくっ。
なんだよじいちゃん、その笑いは。
『その子は、箱を持ってたんだ」
『箱?』
「それも、おそらくだけど……その、所持者の願いを叶える――箱。ただし、願いを叶えると、体が蝕まれる」
『形状は?』
「長方形の木箱で、なんていうか、様々な形の模様が入り混じるように彫られてた」
じいちゃんの唸り声が聞こえる。
反応としては、それほど手ごたえはなさそうな。
『箱にまつわる怪異は数えきれんほどあるが――大体が運を操作して願いが叶ったようにみせるものだったり、はたまた周りを不幸にすることで願いが叶ったようにみせかけるものでな、願いを叶えるっちゅーのはあまり聞かんのう』
「そうなんだ?」
『もし本当に願いを叶えるのならば、その怪異は神さんか悪魔さんか仏さんか……まあどうであれ結構な力を持ってるかもしれんな』
「だよね」
『怪異は姿を見せたんか?』
「いや、見せてない」
『ほう。じゃあ願いを叶える力は持っておっても、意外と戦闘やらの力はたいしたことないのかもしれんなあ』
「そうなの?」
『姿を隠すような怪異は大体がそういうもんじゃ。戦ったらやられるようなやつはみな隠れる。なんじゃいお前さん、怪異関連は経験豊富と思ったが』
「まー色々相手はしてきたけど、どいつもこいつも単純なやつばっかだったから……」
『そうかい』
怪異が姿を現したら取っ捕まえて祓って無事解決――そんな単純な話であれば話は早い。
スムーズにいくとは限らないが。
『箱にまつわる怪異といえば、鬼や鳥、魚なんかの怪異もおったかの』
「鬼や鳥に魚……ふぅん」
食える怪異だったらいいな。
『なかには武器として利用された箱がある、とはいえその箱だったら今頃大惨事だろうが。そうではないのだろう?」
「ああ、大惨事ではない」
「なら一先ずは、安心じゃな。それらから派生したものもあるらしいが、もしかしたらその中の一つかもしれんな。その辺は詳しくないから何とも言えんが』
「派生したものねえ……?」
武器――か。
一体どのようなものだったのだろう。大惨事と言うのだからよほど恐ろしいものではなかろうか。
「なんつーか、祓い方とか儀式とか、そういうのって必要?」
『怪異の正体が分からん以上何とも言えん。先ずは怪異の正体を知ることから始めい』
「どうすればいい?」
『それくらいは自分で考えい』
「ちぇっ、分かったよ、ありがとうじいちゃん」
『ほいで冬弥や、光枝や夏美ちゃんは元気にしとるか?』
怪異関連の話はこれにて、といった感じ。
ここからは世間話だ。
「元気だよ、母さんも夏美も特に変わりない」
『そうか。そりゃあよかった。お前は相変わらず料理三昧か?』
「別にそんな料理しては……してたわ、うん、相変わらず」
『ほどほどにな。夏美ちゃんにも料理を教えてやれ』
「あいつがやる気になったらね」
そうしてしばらく世間話をした後に電話を終えた。
休み時間が終わるまで残り十分、そこそこな長電話だった。
隣を見てみると、久理子は足を崩して苦い顔をしていた、どうやら足がしびれたらしい。
つんつんと足の裏をつついてやると久理子はぴぎゃー! っと、情けない悲鳴をあげていた、可愛いやつ。
「ふぅ……はぁ……それで、お話のほうはどうだった?」
足の痺れはようやく解けてきたところで久理子はそう質問をしてくる。
「先ずは怪異の正体を暴かなきゃどうにも始まらんってとこだな」
「そうー……。じゃあ怪異の正体を暴こう!」
「そうだな。次はどうすれば怪異が姿を現すか、だが……」
ふうむと、二人で腕を組んで考える。
「やっぱり葵が何か願ってる時が、怪異が姿を現す時なんじゃないかなー?」
「んー、でもこの前見た時はそれらしいもんは見なかったんだよなあ」
「きっとどこかに隠れてるんだよー」
「どこに隠れているのだろうなあ」
久理子はむむむっと周囲を見渡して怪異を探しているが、そう目の届く範囲にはいないだろう。いたら流石に分かると思うし。
「どうにかしておびき出せればいいんだけど……」
ごろんと仰向けになる。
視界一面が空で満たされ、いつまでもここにいたい気分に陥るも残念ながら昼休みはそろそろ終わりだ。
視界ににゅっと入って顔を覗かせる久理子。
笑顔は見せているもののどこか不安そうだ。
「雲行きは怪しい?」
「そうでもないさ、ただ、作戦を考え中ってだけ」
「なるほどー」
「さて……」
大きなあくびが喉から出てきて大口を開けさせた。
まぶたに圧し掛かるのは食後に訪れる睡魔。空から降り注ぐぽかぽかな陽光がこれまた睡魔を増加させている。まいったな、まいったね。
「寝るか」
「えっ、午後の授業はー?」
「サボっちゃっても平気っしょ」
俺は頭に両手を回して寝る体勢へと移った。
久理子は溜息をついて腕時計を見やる。そろそろ昼休み終了のチャイムが鳴る頃だろう。
「入学してまだ間もないってのにサボるなんてきみはいけない子だなー!」
「定期的にサボらないとやってけないんでね」
「まったくきみって奴は……」
「そう言って、お前もサボりたいんじゃないの?」
「わたしは授業ちゃんと受けるよっ!」
「そうかい、真面目だなー」
「きみが不真面目なだけだよー」
そうこうしているうちにチャイムが鳴ってしまった。
未だに上体を起こさない俺に久理子は飽きれて再びため息をつき、腰を上げた。
「ほら、行くよー!」
俺は軽く見上げる。
「パンツ見えてるぞ」
「びゃっ! 見るんじゃなーい!」
白のパンツを隠して恥じらう久理子。
「んげっ」
顔面を踏んづけられた。
これはこれで、ご褒美といえばご褒美である。
「ほらぁ、行くよー!」
「んぐぐ……」
襟の裏を掴むな引っ張るな。
久理子の熱意にも圧されて俺は渋々上体を起こした。
次は腰を上げるわけだが、未だに倦怠感が腰から下についてまわっている。それでもぐいぐいと引っ張る久理子の、柔らかい感触が頭の後ろに伝わり幸福な気分に浸れつつ、よっこいせと俺はようやく腰を上げた。
「それじゃあ、午後もがんばりましょー!」
「はいはい」
「はいは一回!」
「はーい……」
やれやれやれやれやーれやれだ。
学生らしく午後の授業も頑張るとしましょうか。
小鳥遊さんに絡んでいる怪異は、授業を受けながら考えるとしよう。
0
あなたにおすすめの小説
掃除婦に追いやられた私、城のゴミ山から古代兵器を次々と発掘して国中、世界中?がざわつく
タマ マコト
ファンタジー
王立工房の魔導測量師見習いリーナは、誰にも測れない“失われた魔力波長”を感じ取れるせいで奇人扱いされ、派閥争いのスケープゴートにされて掃除婦として城のゴミ置き場に追いやられる。
最底辺の仕事に落ちた彼女は、ゴミ山の中から自分にだけ見える微かな光を見つけ、それを磨き上げた結果、朽ちた金属片が古代兵器アークレールとして完全復活し、世界の均衡を揺るがす存在としての第一歩を踏み出す。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
【完結】うちの孫知りませんか?! 召喚された孫を追いかけ異世界転移。ばぁばとじぃじと探偵さんのスローライフ。
かの
ファンタジー
孫の雷人(14歳)からテレパシーを受け取った光江(ばぁば64歳)。誘拐されたと思っていた雷人は異世界に召喚されていた。康夫(じぃじ66歳)と柏木(探偵534歳)⁈ をお供に従え、異世界へ転移。料理自慢のばぁばのスキルは胃袋を掴む事だけ。そしてじぃじのスキルは有り余る財力だけ。そんなばぁばとじぃじが、異世界で繰り広げるほのぼのスローライフ。
ばぁばとじぃじは無事異世界で孫の雷人に会えるのか⁈
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
異世界召喚されたけどスキルが地味だったので、現代知識とアイテムボックスで絶品料理を作ったら大商会になっちゃいました
黒崎隼人
ファンタジー
手違いで剣も魔法もない異世界に召喚された、しがない日本のサラリーマン、湊カイリ。
彼に与えられたのは、無限に物が入る【アイテムボックス】と、物の名前が分かる【鑑定】という、あまりにも地味な二つのスキルだけだった。
戦闘能力は皆無。途方に暮れるカイリだったが、異世界の食事が絶望的に不味いことを知り、大きなチャンスに気づく。
現代日本の「当たり前」の知識は、この世界ではとんでもない「宝」なのだと!
「醤油?味噌?そんなものがあれば、この世界の食文化はひっくり返るぞ!」
ひょんなことから出会った没落貴族の美少女・リリアナと共に、カイリは現代知識と地味スキルを駆使して屋台から商売をスタート。
絶品料理で人々の胃袋を掴み、さらには便利な生活用品を次々と発明していく。
伝説の神獣の幼体「フェン」やドワーフの鍛冶師など、頼れる仲間たちも加わり、彼らが立ち上げた「サンライズ商会」は瞬く間に大躍進!
迫り来る悪徳商会や腐敗した貴族の妨害も、現代のマーケティング術と知恵で痛快に打ち破る!
これは、平凡なサラリーマンが異世界の常識を覆し、食と生活に革命を起こして一代で大商会を築き上げる、痛快成り上がりファンタジー!
美味しい料理と、もふもふな相棒、そして仲間との絆。
人生、逆転できないことなんて何もない!
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?
シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。
クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。
貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ?
魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。
ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。
私の生活を邪魔をするなら潰すわよ?
1月5日 誤字脱字修正 54話
★━戦闘シーンや猟奇的発言あり
流血シーンあり。
魔法・魔物あり。
ざぁま薄め。
恋愛要素あり。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる