とある令嬢が男装し第二王子がいる全寮制魔法学院へ転入する

春夏秋冬/光逆榮

文字の大きさ
16 / 564

第16話 メルトボーイ・クイーンコンテスト前哨戦②

しおりを挟む
 すると突然アルジュが立ち上がった。

「おいシンリ!! 何故、その写真がまだ残ってるんだ! 僕は去年全て焼却処分したはずだぞ!」
「まぁまぁ、資料とか何にしても必要でしょ」
「へぇ~アルジュ、意外と女装似合ってるじゃん」
「あーー! やめろ! やめてくれ! あれは僕の中では、完全に黒歴史なんだよ!」

 アルジュは頭を抱えながら、悶絶していた。
 去年の前哨戦で、運悪くランダムで選ばれてしまい、されるがままにされたら、以外に似合ってしまい審査員の得点も高くなり出場が決まったらしい。
 その時の会場も、意外と盛り上がり女子受けが中々良く、終わってから写真が出回ったらしい。

 アルジュとしては、その時の事が完全に悪夢となっており思い出すだけで、目の前の様な悶絶状態になるとシンリが教えてくれた。
 それと同時に、スネーク寮で見たことない人が、トウマたちと言い合いしていたので聞いた所、彼がスネーク寮の次期寮長候補だと知る。
 名前は、ロムロスと言い、前回の魔力腕試しは欠席していたらしく、雰囲気は落ち着いた感じらしく、何よりも寮の事を考えている人らしい。

「ん、ってことは、あそこで言い合ってるのは次期寮長候補ってことは、トウマもそうなの?」

 ふと次期寮長候補たちの中で、同じように言い合いをしているトウマを見て、シンリに問いかけた。

「雰囲気的だったり、仕切ってたりするからそんな感じはするけど、別に寮長候補でもないよ。てか、うちだけ次期寮長候補はいないんだよ、色々あってさぁ」

 シンリは少しため息交じり答えた。
 それを見て、そうなんだと思いそれ以上詮索するのは野暮だと感じ、問いかけはしなかった。

「なるほど、貴方はそれ以上聞くのをためらっているのですね…そんな魔力が私には見えます」
「っ! ビックリした!」

 突然背後から声を掛けられて私は、少し飛び上がった。
 そこにいたのは、モーガンであった。

「モーガン珍しいね、こんな人が多い時に来るなんて」
「何か面白いものが見れるという、魔力の導きがあったので」

 私を挟んでシンリが会話をしていると、モーガンは右手の人差し指と親指で作った輪っかを右目から外した。
 モーガンは、うちのクラスでも特が付くほどの変わり者だ。
 私も今までに出会った事がない感じの人物だ。

 なんでも他人の魔力を見て占ったり、その人物の事を言い当てたりする占い師的な存在で、魔力占い師と呼ばれている。
 しかも、ほとんど外した事がないと言われている凄腕らしい。
 だが、魔力が見える人など一握りの存在の人しか出来る事ではないので、皆はただ本当に占いや人を見る目が凄すぎる人物だと言っている。
 噂ではモーガンの屋敷という、占いをやってひと儲けしているとか、ないとか言われている。

「対面では初めてですね。初めまして、モーガンと言います。その人の魔力を見たりしています」
「あっ、初めまして。俺はクリス、これからもよろしく」

 私とモーガンは軽くお辞儀をして挨拶し終えると、アルジュが正気を取り戻す。

「あれ? モーガン、珍しいな」
「はい、お久しぶりですねアルジュ。よければ久しぶりに貴方の魔力でも、見てあげましょうか」

 するとモーガンは、右手で先程作っていた輪っかを作ると、右目に当てた。
 そのままアルジュを数秒見ると、口を開いた。

「何やら、薄ピンクの魔力が見えますね。これは、何か最近色恋的な事がありましたか、アルジュ」

 その言葉に、一気に顔が赤くなるアルジュ。
 それを見たシンリが、最近の交流授業で出会った女子のことかと、かまをかけると一気に動揺したので、図星だと分かった。

「はは~ん。意外とアルジュも隅に置けないな~」
「なぁ~、クラスでは真面目ぶってるのに、意外と手は早いんだな」

 私とシンリがニヤニヤしながら、アルジュを責めると咳払いして、自分以外を見ろとモーガンに言って話題を逸らした。
 するとモーガンが、そのまま私の方を向いた。
 私はどんな事を言われるのか少し気になり、黙って見ているとモーガンが口を開いた。

「これは、何と言えばいいんでしょうか。青の中に女性的な色が、隠れてると言えばいいのですかね。何とも見たこともない感じですね」

 ん? 何かこの感じ、少し雲行きが怪しいな。
 気のせいかな? 気のせいだよな。

「そうですね、クリスさんを言葉で表すと、女性が男装している感じですかね」
「っ!?」

 その言葉に、その場にいたクリスとアルジュが耳を疑い、私は血の気が引いた。
 なっ、なっ、何言ってくれてんだモーガン! っと私は、すぐさま口を塞ぎに飛び掛かりたい気持ちを抑えつつ、他の2人の反応を待った。
 すると先に反応したのは、アルジュだった。

「おいおい、モーガン。冗談でもそう言ってやるな…そう言うのは、意外と心に来るもんなんだよ…経験した身としたらな…」
「経験者は、あぁ言ってるが、言われてどうだシンリ。やっぱり、身の毛がよだつのか?」

 続けて、シンリも真に受けていない発言に、私は胸のつかえが下りた。
 すぐに私は、同意する言葉を言ってモーガンの方を見ると、既に右手の輪っかを止めていた。
 そして、直ぐに頭を下げていた。

「すいませんでした。嫌な気持ちにさせたかった訳ではありませんが、そうさせてしまったのは、私の責任です。謝罪致します。」

 私は直ぐに頭を上げるように伝える。
 そして、また勝手に見られて変な噂が立つのは面倒だと思ったので、モーガンに私を見る時や見るように言われた時は、一言欲しいと伝えた。

 モーガンもそれに承諾してくれたので、一安心した。
 まさか、いきなり正体を見破って来るとは思ってもいなかったので、ビックリして何もできずに焦った。
 少し、モーガンには注意をしておこうと、改めて認識を変えた。
 するとトウマの大声が、聞こえて来た。

「あーもう! いつまでも、言い合いばかりじゃ何も決まらん! おい、ランダム選択機器を出せ」

 トウマの声にライラック・リーガ・シンが、大きな円盤を縦て正面を向いた状態の1つの大きな機器を持ってきた。
 するとトウマを含む次期寮長候補生たちが、その円盤に魔力を流すと4つに分割された。
 そして、そこに同じ機器がもう一台持ってこられ、そちらには一本の矢印が付いており、そこに5から30の数字が5置きに既に振られていた。

「よし、それじゃまずは差し出すポイント決めからだ。準備はいいな?」

 トウマ以外の次期寮長候補が頷くと、トウマが機器についたボタンをゆっくり押し込むと、円盤が回り出した。
 それを見つめて、各寮が独特の感じで祈るポーズをしていた。

 私が、アルジュに何をしているか聞くと、地獄イベントを担当する寮へのポイント差出分を決めているのだと言われた。
 コンテスト自体には、もちろん1位には特別ポイントがでるが、地獄イベントでは特にポイントなど出ないので、寮内で出場寮にポイントを出す様になったらしい。
 そして、円盤が矢印に止まった場所は5の数字が書かれた場所であった。
 その結果に、各寮ともまぁまぁな反応をしていた。

 そのままトウマが本命の円盤の前に立ち、震えつつもボタンを押して、運命の円盤が周り始めた。
 再び各寮、独特なポーズで祈るポーズをしているのを横目に、私がアルジュを見ると、声を掛けずとも説明してくれた。
 今回っている円盤では、この前哨戦の登場順を決めてるらしく、ほぼ順番で決まると言われているらしく、4番目を引かない様に祈っているらしい。
 ちなみに、どこに何番目かは分からない様に、各代表者が魔力を通したのと同時に色と番号が振られているのでて、見えなくなっているらしい。
 何故回しているのかと言うと、雰囲気を出すためらしい。

 そして、その円盤が止まり全ての色が消えて、数字が露わになる。
 同時に各寮から歓声と悲鳴の声が響き渡った。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。

琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。 ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!! スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。 ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!? 氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。 このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。

男女比8対1の異世界に転移しました、防御力はレベル1です

オレンジ方解石
恋愛
 結婚式の最中に、夫に他の女と逃げられた花嫁、水瀬透子。  離婚届けを出す直前に事故で瀕死となった彼女は、異世界の女神から『妾と取り引きするなら、助けてやろう』と持ちかけられる。  異世界の《世界樹》の《種》を宿す《仮枝》となった透子は、女神の世界に連れて行かれ、二年を過ごすこととなった。  そこは男女比が8対1という偏った世界であり、女性が《四気神》と呼ばれる守護者に守られる世界。  女神とはぐれた透子は、そこで美形の青年、紅霞に助けられるが……。 ※追記の追記を少し直しました。

枯れ専令嬢、喜び勇んで老紳士に後妻として嫁いだら、待っていたのは二十歳の青年でした。なんでだ~⁉

狭山ひびき
恋愛
ある日、イアナ・アントネッラは父親に言われた。 「来月、フェルナンド・ステファーニ公爵に嫁いでもらう」と。 フェルナンド・ステファーニ公爵は御年六十二歳。息子が一人いるが三十年ほど前に妻を亡くしてからは独り身だ。 対してイアナは二十歳。さすがに年齢が離れすぎているが、父はもっともらしい顔で続けた。 「ジョルジアナが慰謝料を請求された。ステファーニ公爵に嫁げば支度金としてまとまった金が入る。これは当主である私の決定だ」 聞けば、妹のジョルジアナは既婚者と不倫して相手の妻から巨額の慰謝料を請求されたらしい。 「お前のような年頃の娘らしくない人間にはちょうどいい縁談だろう。向こうはどうやらステファーニ公爵の介護要員が欲しいようだからな。お前にはぴったりだ」 そう言って父はステファーニ公爵の肖像画を差し出した。この縁談は公爵自身ではなく息子が持ちかけてきたものらしい。 イオナはその肖像画を見た瞬間、ぴしゃーんと雷に打たれたような衝撃を受けた。 ロマンスグレーの老紳士。なんて素敵なのかしら‼ そう、前世で六十歳まで生きたイオナにとって、若い男は眼中にない。イオナは枯れ専なのだ! イオナは傷つくと思っていた両親たちの思惑とは裏腹に、喜び勇んでステファーニ公爵家に向かった。 しかし……。 「え? ロマンスグレーの紳士はどこ⁉」 そこでイオナを待ち受けていたのは、どこからどう見ても二十歳くらいにしか見えない年若い紳士だったのだ。

異世界もふもふ死にかけライフ☆異世界転移して毛玉な呪いにかけられたら、凶相騎士団長様に拾われました。

和島逆
恋愛
社会人一年目、休日の山登り中に事故に遭った私は、気づけばひとり見知らぬ森の中にいた。そしてなぜか、姿がもふもふな小動物に変わっていて……? しかも早速モンスターっぽい何かに襲われて死にかけてるし! 危ういところを助けてくれたのは、大剣をたずさえた無愛想な大男。 彼の緋色の瞳は、どうやらこの世界では凶相と言われるらしい。でもでも、地位は高い騎士団長様。 頼む騎士様、どうか私を保護してください! あれ、でもこの人なんか怖くない? 心臓がバクバクして止まらないし、なんなら息も苦しいし……? どうやら私は恐怖耐性のなさすぎる聖獣に変身してしまったらしい。いや恐怖だけで死ぬってどんだけよ! 人間に戻るためには騎士団長の助けを借りるしかない。でも騎士団長の側にいると死にかける! ……うん、詰んだ。 ★「小説家になろう」先行投稿中です★

多分悪役令嬢ですが、うっかりヒーローを餌付けして執着されています

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【美味しそう……? こ、これは誰にもあげませんから!】 23歳、ブラック企業で働いている社畜OLの私。この日も帰宅は深夜過ぎ。泥のように眠りに着き、目覚めれば綺羅びやかな部屋にいた。しかも私は意地悪な貴族令嬢のようで使用人たちはビクビクしている。ひょっとして私って……悪役令嬢? テンプレ通りなら、将来破滅してしまうかも! そこで、細くても長く生きるために、目立たず空気のように生きようと決めた。それなのに、ひょんな出来事からヒーロー? に執着される羽目に……。 お願いですから、私に構わないで下さい! ※ 他サイトでも投稿中

転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎

水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。 もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。 振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!! え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!? でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!? と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう! 前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい! だからこっちに熱い眼差しを送らないで! 答えられないんです! これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。 または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。 小説家になろうでも投稿してます。 こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。

虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました

たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。

処理中です...