とある令嬢が男装し第二王子がいる全寮制魔法学院へ転入する

春夏秋冬/光逆榮

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第43話 正しい選択と正解の選択

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 私たちはガードルたちを追って洞窟に入ると、以外にもガードルがガイルを捕まえていたので、直ぐに追いつくことが出来た。

「意外と早く追いついたな」
「あれ? 何で、みんなも洞窟に来ているんだ?」

 私たちに気付いたガードルに対して、ベンが自分が提案して、バラバラになるのは良くないからと答えた。
 するとガイルが、結局全員来たなら奥まで探索するんだろと問いかけてくると、マイクがここまで来たら探すかと呟く。
 私も、今更引き返すことは考えていなかったので、いいんじゃないかと答えた。
 そして全員の意見が一致した段階で、ガードルがバックから、周囲を照らせる松明の様な魔道具を2つ取りだした。

 その魔道具は、魔力を流すだけで使う事が出来る物で、1つはガードルが持ち、もう1つはベンに渡した。
 2人が魔力を魔道具に流すと、周囲か少し明るくなったので、足元に気をつけながら洞窟を進んで行った。
 洞窟内は、初めは一本道であり奥に行くほど、道は狭くなっていき、分かれ道が増えて来ていた。

「これは、かなり入り組んでいる洞窟だな」
「なぁ、ガイル。お前はこの洞窟の事は知ってるのか?」

 後ろからのガードルの問いかけにガイルは、あぁと小さく呟く。
 どういう洞窟なんだと、続けて聞くとガイルは歩きながら答えた。

「ここは昔、魔物が住んでいたとされる洞窟らしい。今は、魔物も排除されていて安全らしいが、魔物の巣でもあったから、入り組んでいるらしい」
「魔物の巣だったのか……直接、魔物とは会った事はないから、知識だけだから実感はしないな」

 ガードルの呟きに私も同感であった。
 にしても、本当にガイルはよく知っているな……何でそこまで調べられて、覚えられるのに、それを試験とかに活かさないんだ?
 私がそんな疑問を持っていると、後方のマイクがガイルに、それもナンパの為に覚えたのかと訊ねた。

 ガイルは、そうだよと少し不機嫌に答え、もし魔物の生き残りと遭遇して倒せれば、いい話のネタになるんだよと答えていた。
 その答えを聞いたマイクは、少し引きつった様に、そうなのかと返していた。
 そのまま私たちは、魔力や魔法を使用しながら、奥へ奥へと進んでいくと、その先にろうそくの様な火で照らされている少し開けた空間に辿り着く。

「何だここは?」
「ここだけに火があるのは、不自然だね。誰かいたとか?」
「おい、みんなこっちに来てくれ」

 ベンが何かを見つけ、私たちはベンの近くに行くと、そこには1つの台座の上に地図に書かれている印と同じ宝石の様な石が置かれていた。
 マイクはこれが指定された物なんじゃないかと、声を上げると、ガイルは私の方を見て、ほら洞窟にあったろと言う視線を送って来ていた。
 その視線を受けた私は、視線に気付きながらも絶対に視線を合わせる事なく、無視していた。

「とりあえず、それを持って帰ろうか。それはベンが見つけたし、そのまま持ってくれるかい?」
「あぁ、任せてくれ」

 ベンは、ガードルの問いかけに自信満々に答えると、支給されたバックにしまった。

「それで、これから戻るわけだがどうする? 来た道なんて覚えてないぞ」
「クリスの心配は、当然の事だね。だけど、ここは僕に任せて欲しい。こんな時に役立つ魔道具も持ってきてるから」
「すげぇな、あんた。何でも持ってるじゃん」
「もしかして、カリキュラム内容知ってたんじゃないのか?」
「いやいや、そんな事ないよ、ただ、いつも準備しているだけさ……あった、これだ」

 と、不思議がるベンとマイクにガードルは謙遜するように答えると、バックから魔道具を取り出した時だった。

「ウゥォォォオオオオーーン!!」
「っ!?」

 突然、洞窟内に謎の遠吠えの様な声が響き割った。
 それを聞き、全員が自分たちが歩いて来た方を見つめ、戦闘態勢をとった。

「な、何だ今の声は……」
「何かこの洞窟にいるのか?」

 ガードルと私は、周囲を警戒しながら何も変化していない事を確認すると、ベンとマイクも来た方の道にゆっくりと近付き、魔道具で道を照らしたが周囲には何もいなかった。

「ひとまず、直ぐにこの洞窟から出よう」

 ガードルの意見に、私やベンたちも頷くとガイルは何故か、その場で腕を組み、片手を顎に当てて何かを考えていた。
 私が声を掛けようとすると小さく、もしかしてと呟くと、突然来た道を勢いよく走り出して行った。

「おい、ガイル! どこに行く!」

 私の声に、ガイルは全く聞く耳を持たずに、明りもなく走って行ってしまう。

「な、何してんだよ、あいつは?」
「おいおい、どうするんだよ?」

 ベンとマイクは、焦った表情で私たちを見ると、私はガードルにガイルは私が追うと言うがガードルに止められる。

「ここで、バラバラになる方が危険だ。さっきの謎の声の件もあるし、ここは一旦皆で外に出る方がいい」
「ガイルは放っておいてか?」
「……そうだ。とりあえず外に出たら、信号弾を上げて教員たちに事情を話して、探してもらう方がいい」
「ガードル……」

 ガードルの表情は、奥歯を噛みしめ苦い顔をしていた。
 彼もガイルを追いかけ、引き戻したいのだと思うが、ここはチームでいるので、チームの安全を最優先に判断した結果だと分かった。
 すると、ベンとマイクが、本当にそれでいいのかと問いかけて来た。
 確かにガードルの言った事は正しいと思うが、それが必ずしも正解ではないと口にした。

「俺たちは安全に洞窟から出れて、助かるかもしれない。だが、彼は俺たちのこの判断で、命を落としてしまうかもしれないじゃないか」
「そうと決まったわけじゃないだろ。ガイルも助けるために、ガードルも言ったが、早くこの洞窟から出れば、教員たちによってあいつもすぐ見つかる。ここで、どうするか言い合ってるより、行動すべきなんだ」

 私は、ベンの意見を真っ向から否定すると、ベンも反論して来て収拾がつかなくなり始める。
 するとガードルが間に入り込んで来て、仲裁した。

「2人共! こんな所で、喧嘩してる場合じゃないだろ。ひとまず、今はここから動かないと」

 直後、洞窟内に再び先程の声と爆発音が響き渡った。
 するとベンとマイクが、音がした方に突然走り出してしまい、私たちはそれを追いかけるように同じく走り出した。
 すぐに2人に追いつくと、2人は分かれ道前で立ち尽くしていた。
 そこは、5つに分かれた分かれ道であった。

「おい、急に勝手な行動をするな」
「今の音を聞いたろ、たぶん彼の身に何かあったんだよ。学院は違うが、今俺たちは、チームだろ。仲間の心配をして何が悪いんだ」
「そうだ。彼に何かがあってからじゃ、遅いだろ。俺たちだって、ある程度力を身につけているし、大抵の事は対処できるはずだ。あんたもそう思って、この洞窟に入って来たんじゃないのか?」

 ベンとマイクの意見に、私は反論出来ずに力強く自分の手を握った。
 するとガードルが分かれ道の前に突然立つと、両手を地面につけ、何かを唱えた。
 直後、1つの分かれ道に足跡が浮かび上がった。

「ガイルは、あっちに行ったんだな……僕は、これ以上時間を無駄にはすべきじゃないと思う。だから、ここまで来てしまったら、俺はガイルを追って連れ戻したい。わがままなのは分かってる。クリス、シン、いいか?」
「っう……分かったよ」

 シンは、ガードルの言葉に頷いて答えた。
 そして私たちは、ガイルの後を追った。
 道ながら、ガードルが先程使った魔法を聞くと、それは追跡魔法であると答えてくれた。
 その魔法は、対象者の魔力を元に向かった先を、一定時間見る事ができるものらしく、今じゃそれに代わる魔道具も出ているので、忘れられた魔法と呼ばれているらしい。
 その魔法と別の魔道具を組み合わせて使い、洞窟の外に出る予定だったらしい。

 そして私たちは、ガードルに追跡魔法を使ってもらいながら進むと、洞窟内でも大きく開けた場所に辿り着いた。
 するとそこには、ガイルと巨大な狼の魔物が睨み合っていたのだった。
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