とある令嬢が男装し第二王子がいる全寮制魔法学院へ転入する

春夏秋冬/光逆榮

文字の大きさ
44 / 564

第44話 反射的行動の代償

しおりを挟む
 私たちは、ガイルを見つけたが、ただただ見つめる事しか出来ずにいた。

「あ、あれって、何だ……」
「わ、分からない。ただ、見る限り、とてつもなく良くない状況だと思う」

 ガードルと私が目の前の光景にあっけに取られていると、ガイルが雄たけびを上げ目の前の巨大な狼の魔物を威嚇した。
 巨大な狼の魔物は、全長三メートル程あり青と白色の毛並みをしており、鋭い爪と牙が特徴的であった。
 威嚇された巨大な狼の魔物は、ガイル目掛けて一瞬で距離を縮めて鋭い爪で、切り裂くがガイルは後方に飛び上がった。

 そこから魔法の『バースト』を連発して放つと、着地してから一直線に、巨大な狼の魔物に向かい自身の片手に『ロック』を掛けて殴り掛かる。
 ガイルの岩を纏った拳が、巨大な狼の魔物の頭部に直撃し、数歩後退すると、ガイルは攻撃の手を休める事なく、再び『バースト』を放ちまくった。
 すると自身の足元に『ウィンド』を放ち、巨大な狼の魔物の前へと飛び上がった。
 そして、両手に『ロック』を掛けその重みで落下すると、落下中に両手の岩を荒削りの魔力技量で剣へと削った。

 そのまま落下の勢いのまま、巨大な狼の魔物の脳天に突き刺さと、そのまま巨大な狼の魔物は地面へと倒れた。
 ガイルは、そこから降りると体にその魔物血しぶきを浴びており、制服が少し赤くなっており、顔にかかった血は片手で払った。

「す、凄い……まさか、あんな巨大な生き物を倒すなんて」
「僕は足がすくんで、立っている事しか出来なかったのに。ガイルって奴は、本当に凄いよ」

 私たちがガイルの凄さを実感していると、こちらに気付き何事もなかった様に声を掛けて来た。

「おぉ、今更来たのかお前ら。この魔物は、俺が狩っちまったぞ。ん? その感じだと、俺の勇姿を見てたんだな。どうよ、俺の戦闘センス凄いだろ」

 ガイルはカッコつけながら、物凄く自慢して来ていた。
 私はとりあえず、無事でありいつも通りでもあると分かり、安堵の息をついた。
 ガードルが大きな声で、心配したんだぞと叫び、どう言う状況か聞いた。
 するとガイルは、片手を倒した巨大な狼の魔物に付きながら話しだした。

 洞窟内で遠吠えの様な声を聞き、この声が狼の魔物の遠吠えの声であると分かり、魔物を倒せるチャンスだと思い、野生の勘で辿り着いたらしい。
 そのまま出合う事が出来たが、巨大で一瞬怯んだが、これもナンパの話ネタに使えると燃え上がり、そのまま戦闘になったんだと説明された。

 それを聞いて私は、ナンパの話ネタの為だけにそこまで出来るお前が凄すぎだろ、と少し引いていた。
 ガイルの戦闘センスは、ずば抜けていると期末試験前にトウマからチラッと聞いていたが、実際に見ると想像していた以上の戦闘センスだった。
 今日の1日で、ガイルの印象が色々と変わり、ただ悪目立ちしている奴じゃないという認識に私はなっていた。

「他にも色々と聞きたいことがあるけど、取りあえずこっちに来い」
「あいあい。分かったよ、ガードル」

 ガイルは両手を頭の後ろに回して、口笛を吹きながら余裕の表情でこちらに向かい始めた。
 その直後、ガイルの背後に上空から先程と同じの魔物が2体現れる。
 私とガードルがいち早く気付き、大声でガイルに伝えると、何だと思いながらガイルが振り返ると、1体の巨大な狼の魔物が既に腕を振り抜き始めていた。
 ガイルの視界にもその光景が入り、咄嗟に真横に飛んで回避したが、多少当たってしまい傷を負ってしまう。

「何だよ! まだ、いたのか」
「ガイル! こっちに走ってこい!」

 ガードルの言葉に一瞬ガイルがこちらを見た時だった、一瞬でもう1体の巨大な狼の魔物がガイルに飛び掛かった。
 私はそれを見て、声を掛けるよりも先に体が動き、ガイルに向かって走り出していた。
 ガイルは、飛び掛かって来ている巨大な狼の魔物には、その時点で気付いておらず、私が近付いているのに驚いていた。

 すると飛び掛かった巨大な狼の魔物が、鋭い爪でガイルを引き裂こうとしていたが、私は咄嗟に魔力創造で地面からガイルを守るように壁を創りだした。
 鋭い爪は、創りだした壁に突き刺さると、そこで自分が狙われていたと気付くガイル。
 巨大な狼の魔物の攻撃を防いでいる間に、私はガイルの元に辿り着き、手を差し出し掴み上げた。

「調子に乗ってるからだ! 早くしろ!」
「う、うるさい!」

 ガイルが立ち上がり、ガードルの元へと走り出した時だった。
 創りだした壁が破壊され、そこから巨大な狼の魔物の鋭い爪が迫って来た。
 私は何故か反射的にガイルを突き飛ばした。

「えっ」

 ガイルはその瞬間、見えている光景がスローモーションになって見えていた。
 そしてガイルを狙った鋭い爪が、クリスの腹部に食い込むと、そのまま壁へと吹き飛ばされる。
 クリスは壁に勢いよくぶつかり、ずり落ちると、地面には体からあふれ出た血が流れでていた。
 当のクリスは完全に意識を失っており、負傷した箇所以外に頭部からも血が流れ出ていた。

 それを見ていたガイルは、呆然としていたが、自分に向かってクリスを吹き飛ばした魔物が、鋭い爪を再び振りかざしていると気付き、咄嗟に『バースト』を叫びながら放ちまくった。
 目の前が爆発の煙で覆われると、息を切らしながらざまぁみろ! と叫んでいると、目の前の煙の中からも鋭い爪を振り抜く攻撃をされたガイルは、寸前の所で避けガードルの方へと走った。

 一方ガードルは、ここままじゃだめだ、援護しなければと思っていたが、全く体が動かずにいた。
 ガイルは負傷してまだ魔物に狙われており、クリスは致命傷を負っている。
 もう自分が何かするしかないと頭では分かっていたも、体は震えており何も出来なかった。
 だが、力を振り絞り両手で自分のももを力強く叩き、直ぐに振り返ってシンたちに手伝ってくれと呼びかけるが、何故かそこにはシンもベンもマイクもいなかった。

「なっ、何であいつらがいないんだ……」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。

琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。 ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!! スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。 ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!? 氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。 このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

男女比8対1の異世界に転移しました、防御力はレベル1です

オレンジ方解石
恋愛
 結婚式の最中に、夫に他の女と逃げられた花嫁、水瀬透子。  離婚届けを出す直前に事故で瀕死となった彼女は、異世界の女神から『妾と取り引きするなら、助けてやろう』と持ちかけられる。  異世界の《世界樹》の《種》を宿す《仮枝》となった透子は、女神の世界に連れて行かれ、二年を過ごすこととなった。  そこは男女比が8対1という偏った世界であり、女性が《四気神》と呼ばれる守護者に守られる世界。  女神とはぐれた透子は、そこで美形の青年、紅霞に助けられるが……。 ※追記の追記を少し直しました。

異世界もふもふ死にかけライフ☆異世界転移して毛玉な呪いにかけられたら、凶相騎士団長様に拾われました。

和島逆
恋愛
社会人一年目、休日の山登り中に事故に遭った私は、気づけばひとり見知らぬ森の中にいた。そしてなぜか、姿がもふもふな小動物に変わっていて……? しかも早速モンスターっぽい何かに襲われて死にかけてるし! 危ういところを助けてくれたのは、大剣をたずさえた無愛想な大男。 彼の緋色の瞳は、どうやらこの世界では凶相と言われるらしい。でもでも、地位は高い騎士団長様。 頼む騎士様、どうか私を保護してください! あれ、でもこの人なんか怖くない? 心臓がバクバクして止まらないし、なんなら息も苦しいし……? どうやら私は恐怖耐性のなさすぎる聖獣に変身してしまったらしい。いや恐怖だけで死ぬってどんだけよ! 人間に戻るためには騎士団長の助けを借りるしかない。でも騎士団長の側にいると死にかける! ……うん、詰んだ。 ★「小説家になろう」先行投稿中です★

多分悪役令嬢ですが、うっかりヒーローを餌付けして執着されています

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【美味しそう……? こ、これは誰にもあげませんから!】 23歳、ブラック企業で働いている社畜OLの私。この日も帰宅は深夜過ぎ。泥のように眠りに着き、目覚めれば綺羅びやかな部屋にいた。しかも私は意地悪な貴族令嬢のようで使用人たちはビクビクしている。ひょっとして私って……悪役令嬢? テンプレ通りなら、将来破滅してしまうかも! そこで、細くても長く生きるために、目立たず空気のように生きようと決めた。それなのに、ひょんな出来事からヒーロー? に執着される羽目に……。 お願いですから、私に構わないで下さい! ※ 他サイトでも投稿中

転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎

水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。 もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。 振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!! え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!? でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!? と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう! 前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい! だからこっちに熱い眼差しを送らないで! 答えられないんです! これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。 または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。 小説家になろうでも投稿してます。 こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。

転生令嬢の涙 〜泣き虫な悪役令嬢は強気なヒロインと張り合えないので代わりに王子様が罠を仕掛けます〜

矢口愛留
恋愛
【タイトル変えました】 公爵令嬢エミリア・ブラウンは、突然前世の記憶を思い出す。 この世界は前世で読んだ小説の世界で、泣き虫の日本人だった私はエミリアに転生していたのだ。 小説によるとエミリアは悪役令嬢で、婚約者である王太子ラインハルトをヒロインのプリシラに奪われて嫉妬し、悪行の限りを尽くした挙句に断罪される運命なのである。 だが、記憶が蘇ったことで、エミリアは悪役令嬢らしからぬ泣き虫っぷりを発揮し、周囲を翻弄する。 どうしてもヒロインを排斥できないエミリアに代わって、実はエミリアを溺愛していた王子と、その側近がヒロインに罠を仕掛けていく。 それに気づかず小説通りに王子を籠絡しようとするヒロインと、その涙で全てをかき乱してしまう悪役令嬢と、間に挟まれる王子様の学園生活、その意外な結末とは――? *異世界ものということで、文化や文明度の設定が緩めですがご容赦下さい。 *「小説家になろう」様、「カクヨム」様にも掲載しています。

虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました

たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。

処理中です...