とある令嬢が男装し第二王子がいる全寮制魔法学院へ転入する

春夏秋冬/光逆榮

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第72話 レオンのストレートな言葉

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 夏休み最終日の昼下がり、私は今気まずい状況で冷や汗をかいていた。
 それはレオンとばったり学院内で合ってしまったからだ。
 しかもそれは、偶然会ったというわけではなく、突然声を掛けられ不意に振り向いたら声を掛けて来たのがレオンであったのだ。

 まさかの展開に私は、一瞬動きが止まってしまった。
 というか、今の今までレオンとあった出来事を、夏合宿の事件で忘れかけていたが、久しぶり会った事でフラッシュバックする様に脳裏に蘇った。
 そうだったー! そう言えば私、レオンに男装してる事バレてたんだったー……どうしよう。
 と言うか、何でいきなり声を掛けて来たの? いやいや、十中八九その事なのは分かるけど、もしかしてここで言われるの? さすがにそれはやばいし、また逃げるわけにも……どうすれば。

 私は1人頭の中で、てんやわんやしているとレオンが近付いて来て、小声で少し場所を変えて話せるか聞いて来たので、私は観念して頷きレオンの後を付いて行った。
 付いて行く途中で私は、どう言い逃れしようかとか、逃げるべきなのではとか、色々と整理つかないまま歩いて行くと、レオンが目的の場所に到着し立ち止まった。
 そこは学院校舎裏で、木々も周囲にあり人目に付かない場所であった。

「ここなら、誰もこないはず。いきなり連れ出してごめん。でも、あの日の事を言っておきたくて」

 き、きたー。やっぱりその事だよね……とりえず何か言われる前に言ってしまえ!
 そう決めた私は、先に頭を下げて以前逃げてしまった事を謝った。

「レオン! あの時はいきなり逃げてごめん!」
「クリス、この前はいきなりあんな事を聞いてごめん!」

 直後、暫く沈黙が続いたのち私たちは少し顔を上げると目線があった。
 何故か、レオンも私に対して頭を下げて謝っていたのだった。

「「え?」」

 互いに同じ言葉を口にした後、レオンが先に話し始めた。

「クリスにも色んな事情があって、今の状況なのにそれを僕はあの時、気になるってだけで聞いてしまって、クリスを嫌な気持ちにさせてしまったんだと、後から後悔してたんだ」
「そ、そんな。レオンがそんな事を思う必要はないよ。だって、あの時逃げたのは俺だし……」
「いいや。どんな理由であろうと、クリスを嫌な気持ちにさせた事には違いないんだ。だから、あの時はごめん」

 レオンはもう一度私に頭を下げて謝罪した。
 私は直ぐに頭を上げるように言って、私こそレオンから急に逃げた事や、更には今でさえ何とか逃げようとしていた事を素直に言って謝った。
 だが、アリスと言う名前やどうして男装して学院にいるかなどは話さずに、以前の事だけを口にだし自分が女性だと言う事も言わずにいた。

「クリス。僕はもう君がどうして男装してまで、この学院にいるのかを知ろうとは思わないし、それを誰にも言うつもりもない。僕は今まで通り、1人の友達として接して行きたい。でも、1つだけどうしても確認しておきたいんだ」
「それは……何?」
「クリスは、本当は女の子って事でいいんだよね」

 私はその問いかけに、一瞬どう答えるべきか考えた。
 ここで頷けば、更に私の正体を知る人が増え、秘密が漏れる危険が増えると分かる一方で、レオンにこれ以上嘘がつける状況でもないと言うのも分かっていた。
 でも何故か、ここで違うと言ってもレオンはそれを受け入れてくれ、それ以上追求してくる事はないと感じてしまっていた。

 ならば感じたまま、レオンには嘘をついてこの場をしのげばいいと言う考えが私によぎった。
 だが、それでも私は、これ以上レオンに嘘をつき続けたくないと言う、私の気持ちというか私情の方が勝ってしまいレオンの問いかけにゆっくりと頷いていた。
 レオンは、小さく「そうか」とだけ呟き暫く沈黙が続いたのち、レオンが口を開いた。

「クリス、改めてもう一度言うよ。これからも僕と友達でいてくれるかい? 思ってたより気も合うし、これでお別れってのも少し嫌なんだ。まぁ、クリス次第だけど」
「……レオンはどうして黙っていてくれるの? 疑っている訳じゃない、とは言い切れないけど、友達とか言う前にそれだけは聞いておきたい」
「そんなの決まってるよ。君が困る様な事をしたくないからだよ」
「っ!」

 思っていない返答に私は、少し驚いてしまい言葉が出なかった。
 てっきりタツミ先生の様に、興味が無くなったとか自分にメリットがないとか言うのだと思っていたから余計にだった。

「な、何でそんな風に思っているの? その俺たちって、そんなに仲がいいって訳でもないし……」
「ん~何て言うか、さっきも言ったけど気も合いそうだし、何より気になるんだよね。ついつい一緒に居たくなるっていう感じで、嫌われたくないってのもあるかな」
「えっ……そ、それって、何て言うか、その……」

 レオンの言葉に私は目線を落として俯いた。
 だがレオンは、特に恥ずかしがる様子も何もなく突然私が視線を落とし俯いた事に、首を少し傾げていた。
 すると突然学院のアナウンスで、私の名前が呼ばれた。
 内容は、タツミ先生からの呼び出しで医務室に至急来る様にと言うものだった。
 私はその場からとりあえず立ち去れる用件が出来た為、レオンにはかなりテンパりつつ呼ばれてるからと言って、走って逃げる様に立ち去った。

「あっ、クリス……まだ、友達でいられるかの答えを聞かせてもらってないんだけど。はぁ~少しストレートに言い過ぎたか?」

 そんな事を呟くとレオンは、後方の木々の方に視線を向けた。

「いい加減出てくれば。趣味が覗きなんて最悪だよ」

 するとレオンが視線を向けていた木々の後ろから、ルークが現れた。

「別に覗きたくて覗いていた訳じゃない、たまたま通りかかっただけだ」
「いやいや、こんな所を通りかかるとかあり得ないよ。どうせ、クリスと僕を見かけて付けて来たんだろ」

 レオンの問いかけに、ルークは黙ったままであった。

「まぁ、答えないならいいけど。その感じだと、クリスが女の子である事を以前から知ってるのは君だね」
「何の事だ?」
「別にとぼけなくてもいいよ。さっきのクリスの感じだと、僕より前に誰かに既にバレてる感じだし、もし僕が最初ならもっと動揺するだろ」
「……」
「それより、君はクリスをどう思っているんだ?」

 それを聞いたルークは、小さく「またその質問かよ」と呟き舌打ちをした。
 だが、レオンの問いかけに答える事はなかった。

「だんまりか。僕の思いは聞いていただろ。今僕は、クリスとは友達でいたいとは思ってる。だが、いづれはそれ以上の関係を望むかもしれない」
「(何だよ、その言い方は)」
「クリスが女の子であると分かった以上、僕も男だ。気持ちが高ぶるかもしれないってことさ。今の段階では半々だけど」
「(あんなことまで言っておいて、まだそんな事をいうのかよ、こいつ)」
「ルーク、君が答えなくても、ここに居る時点で何となく君の答えは分かるよ。だから僕は、君に直接伝えた。後から変に言われるのが嫌だからね」
「……別に俺には関係ない」
「そうか」

 そう言ってレオンは、その場から立ち去って行った。
 残ったルークは、片手で近くの木を叩いた。

「後なんか付けて何してんだよ、俺。あいつの兄貴と会ってから頭の中がごちゃごちゃだ。そこに、レオン。何なんだよお前ら……それに兄貴も帰って来てる……くそっ!」

 吐き捨てるように言ってルークは、レオンとは違う方向に歩き、その場を立ち去った。
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