とある令嬢が男装し第二王子がいる全寮制魔法学院へ転入する

春夏秋冬/光逆榮

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第87話 大運動会⑦~『代表戦』第1戦目~

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 大運動会最終競技『代表戦』前に、中央競技スペースの整備を拡張が行われた。
 私は、その後直ぐに『代表戦』が始まるのかと思っていたが違うらしく、先に中央競技スペースに現れたのは6名の女子生徒だった。
 その内3人は見たことがある人物であった。

 先頭にジュリルがおり、その後ろ2人は以前第一期期末試験中に大図書館で、ジュリル紹介してもらった親友のウィルとマートルであった。
 その相手側をよく見ると、1人だけ見覚えがある人がいた。
 その人物は、第3学年が帰って来た時にミカロスと話をしていた女子生徒であった。
 確か、名前はエリスって言ったけ? てっことは、あっちの3人が第3学年で、ジュリルたちは第2学年で何が始まるんだ?

 全く何が始まるのか分からずにいると、そこにトウマが帰って来て教えてくれた。
 女性生徒側は、男子の様に大運動会はないらしく、基本的には見ているだけだが毎年大運動会のプログラムに、女子生徒側の『代表戦』を行う様にしているらしい。
 ちなみに出場するのは、その学年でトップ3に入る実力者だけらしく、この競技も盛り上がるものらしい。
 つまり私が出場する『代表戦』前に、女子の『代表戦』をするのだと理解した。
 競技結果は、どの対戦も白熱したが全て第3学年の勝利となった。
 その中でも特に凄かったのが、ジュリルと対戦したエリスであった。

 以前ガードルから、エリスについては聞いていたが二代目月の魔女でもあるジュリルを負かす力を持っている事に驚いていた。
 その事をトウマたちに聞くと、エリスも第2学年の時に才能を認められ、二代目月の魔女として言われるも、「そんな言われるような存在ではないと」自分から断ったらしい。
 だが、その才能は更に成長し今では女子生徒内で敵う者はいないと言われており、その姿から勝手に女帝と呼ばれていると教えられた。
 ちなみに、エリス自身の言動や性格はきつく厳しいものでない為、女帝と聞いてイメージする人物とは全くの真逆なんだと、ダンデが付け加える様に話してくれた。
 そして女子の『代表戦』も終わり、遂に大運動会最終競技出場選手に集合場所への移動合図の声が掛かる。
 私は少し緊張しつつも、ダンデたちの後ろを付いて行くと、私の後ろに遅れてルークも出て来た。
 久し振りに見たルークの顔は、険しく話しかけづらい雰囲気であった。

「遂に来たな、『代表戦』! 相手が誰なのか早く知りたいぜ!」
「ダンデ、相手が誰でも不満は言うなよ。こればかりは運だからな」
「分かってるよ、ロムロス。でも、できれば副寮長以外が良いんだよな~」
「初戦で副寮長は出してこないと思うわ。私の直感だけども」
「ルーク、お前の順番は最終戦だ。お前が一度も顔を出さないから、こっちで勝手に決めたからな。文句はなしだぞ」

 ロムロスは少し怒った口調でルークに言うが、ルークは冷たく「文句はない」とだけ返した。

「そう言えば、『代表戦』って勝った方にポイントが入るのか?」
「いや、それは違うぞクリス。『代表戦』は先に3勝した方の勝ちだ。もし3勝しなくても、最終的に勝利数が多い方の勝ちだ」
「つまり、それぞれが一対一で先輩たちに勝てばいいってことよ!」
「簡単に言うな、ダンデは……」

 私はダンデの言葉に気圧されていると、ロムロスが「やって来た事を全力を出せば、先輩にも勝てる」と前向きな言葉を言ってくれた。
 そんなロムロスを見て、私は特訓の時からいつものロムロスより気合が入ってるなと思っていた。
 いつもなら、別に他の人なんて~とか、自分の寮だけ良ければ~的な、あまり他人に興味が無い様な感じだったけど、先輩たちを見返そうと考え方が少し変わっていたのかと、改めて勝手に思っていた。
 すると、競技場内にアナウンスが流れ始めた。

『それではこれより、大運動会最終競技『代表戦』を開始いたします。これより、第2学年と第3学年が1名ずつ競技スペースに上がり、実力勝負を行います。勝敗決着は、相手を戦闘不能にするか場外へ出すかのみです。全部で5戦ある中で、先に3勝した方の勝利となります。では、これより第1戦目を選手を表示致します』

 そうアナウンスが言い終わると、競技場の空中に第1戦目出場選手の名前が表示された。


 大運動会第10競技『代表戦』
  第1戦目  第2学年 ダンデ VS 第3学年 ダイモン


 その直後、競技場内が大きな歓声が響き渡った。
 歓声が鳴りやまない中、中央の競技スペースへダンデが登って行くと、反対側からダイモンも登って来ていた。

「いきなり同僚同士の対決か」
「そんな心配する必要ないぞ、クリス。あいつにとっては一番燃える相手だからな」
「確かに、ダンデは一番ダイモン寮長と本気で戦いたいって言ってたしね」
「……」

 私たちは、それぞれに思った事を口にだして中央の競技スペースへと視線を向けた。

「いや、まさか貴方と出来るとは、正に幸運だ俺! ダイモン寮長! 全力で行かせてもらいます!」
「おうおう、ダンデ。いい気合の入れようだが、俺様にはまだ届かないとハッキリ分かれせてやるから、覚悟しろ!」

 両者が戦闘態勢をとった後、第1戦目開始の合図が鳴り響くと、同時に2人が相手へと突っ込み右拳で殴り掛かった。
 突き出した両者の右拳は、骨と骨がぶつかる音を出して付き合わさる形となった。
 が、徐々にダンデの右拳がダイモンに押され始める。

「ぐうぅぅっ!」
「更に鍛えたようだが、それだけじゃ俺様には勝てないぞ!」

 ダイモンが右拳を勢いよく振り抜こうと力を入れると、ダンデは一気に押されれるが途中でダイモンの勢いを押し返し始めた。

「うぉぉおおお! 俺は負けない!」
「あはははは! そうか、お前も魔力分類の応用を身に付けたか! だが、拳に乗せてる魔力質量が少ねぇ! 乗せるならこれぐらいだ!」

 そう言うとダイモンの右拳が一気に重く、強い威力となりダンデの右拳が再び押され、最終的には耐える事が出来なくなり腕を振り抜かれて後方へと押しやられる。
 ダンデの右手は、ダイモンの拳を受けた事で痺れてしまい力が入らなくなっていた。

「(くっそ! なんて威力なんだ。前に一度組み手した時は別次元の威力じゃねかよ……)」
「ダンデ、勝負に息つく暇はないぞ!」
「っ!?」

 その言葉にダンデが視線を上げると、ダイモンが『六武衝』の姿勢で距離を詰めて来て、一瞬で懐に入り込まれてしまう。

「『六武衝・五衝』」

 ダイモンがそう呟くと、ダンデの額目掛け右手の手根位置でで一撃を与え、ダンデがその反動でのけ反った所で、腹部に左拳の一撃を与えた。

「ぐうふっ……」

 そして、再び前に突き出て来た顔の顎目掛け、右手の手根位置でダンデを宙へと上げる一撃をくらわす。
 ダンデが飛ばされたと同時に、ダイモンもダンデの背後へと飛び上がり地面へと蹴り飛ばす一撃を振り抜くと、ダンデは地面へと一気に吹っ飛んで行く。
 一度地面へと叩きつけられるが、反動で少しだけ宙に浮くとその背後にダイモンが移動しており、ダンデの背後目掛けて最後の一撃である正拳付きを振り抜いた。

「っ! 手応えが違うと思ったら、水の盾とはな。魔法の強さや威力にだけこだわっていたお前が、こんなものを使うとはな」
「はぁ……はぁ……俺だって、成長するんすよ、ダイモン寮長」

 するとダイモンは、一旦ダンデとの距離を取るために下がると、ダンデはその場で両手を膝の上に付きダイモンから視線をそらさずに、息を整えていた。

「(あっぶねー、途中から背中に水の盾を展開させてたお陰で助かった。にしても、『六武衝』の三衝以上のものを初めて受けたが、あれはやばすぎる。スバンの特訓に付き合って少しだけ身に付けた、魔力分類の応用がなければ完全にノックアウトだった……)」

 ダンデはその場で大きく息を吸って、吐いてを繰り返し完全に息を整え直すが、先程受けた攻撃のダメージが残っており体中が所々痛いが、そんな事は気合でなんとかなると自分に言い聞かせた。

「よっしゃ! これから反撃……えっ」

 意気込んだ直後、ダンデは視線の先に居るダイモンが異様なまでの魔力を全身に纏っているのが分かり、肌がビリビリとし無意識に手が震え始める。
 その時、ダンデはダイモンが自分が思っていたよりもはるかに上回る力を身に付けているのだと実感した。

「これは、学院対抗戦まで使う気はなかったが、お前には格の違いを身をもって体験させてやる!」

 ダンデはダイモンに気おされてしまい、全く動けずにただ見ているだけしか出来ずにいた。
 するとダイモンが、小さく何かを呟く。

「金輪奈落(こんりんならく)」

 直後、ダイモンが全身に纏っていた魔力が一瞬で消えてしまうのを感じ、ダンデはダイモンから一切魔力の反応を感じ取れず、自分の目を疑った。
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