113 / 564
第112話 指輪のネックレス
しおりを挟む
「何言ってるんですか、エリス先輩……」
するとエリスは、私の耳元から離れる。
「どうして男装しているかとかは、一旦置いといて1つだけ聞きたいんだけど」
「あのエリス先輩、俺の話聞いてました? 男装ってどう言う事ですか?」
「やけにそこにこだわるね? 確かに上手く男子を演じているし、ボロをださなければバレないね。でも、君が少し感情的になった時やちょっとした歩き方から、対応の所を見て私は君が女の子だと分かったよ」
「っ……」
その言葉と、でたらめを言っている訳ではないと言う眼差しで私はこの人に、男装を完全に見破られていると実感した。
嘘でしょ……何で分かったの? そんなに分かる様なもの? でもそれより今は、どうやって黙っていてもらうかだ。
「この事を黙っていて欲しいなら、さっきの私の質問に答えて欲しんだけど」
「……」
「どうする、クリス? 断るなら、この場で大声でバラす。でも、答えてくれるなら黙ってるよ」
何なのよ、この人は……一気に私の弱みを握ったと思ったら、次は脅し? 何が目的なの……
仮に答えたとしても、バラされないと言う保証はない。
でも、この雰囲気からして私が質問に答えなければ本当にバラすだろう。
「さぁ? どっち、クリス?」
「……っ、分かりました」
私はエリスに迫られた2択以外に解決方法が思い付かず、下唇を少し噛みながらエリスの問いかけに答える事を選んだ。
「決断出来る事は良い事よ。それじゃ聞くけど、君が男装してこの学院に転入した理由は、ルークに近付く為? それとも、オービンに近付く為?」
その問いかけに私はどう言う意図があるのか、読み取れなかった。
ひとまずここは、嘘はつかずに聞かれた事だけ答える様にするか。
私は「ルークに近付く為」とだけ答えると、エリスは続けて問いかけて来た。
「それはどうして?」
1つじゃないのかよ……はぁ~、ここで黙るとさっきの繰り返しになるよね。
どうするべき? 素直に答えるか、答えないべきか……いや、待てよ。
そもそも、私が来た理由は今じゃなくなっているわけだし、仮に話しても問題ないのでは? いやでも、何でエリス先輩はそんな事を聞くんだ? そこが分からない事には、簡単に言う訳にはいかない。
「それは黙るのか?」
「……エリス先輩がどうしてそれを知りたいか教えてくれたら、言いますよ」
「そうか」
すると急にエリスは、私に背を向けると大きく息を吸い出した。
その行動で私は、この人が今から何をしようとしているのかを察して、後ろから飛びつく様に口を抑えに行った。
「クリス・フォークロスは、だんっんんん!?」
そこまで言いかけた所で、私の手がエリス先輩に覆いかぶさったことで最悪の事態は防げた。
こ、この人はー! 今大声で私の秘密を叫ぼうとしたよ! あり得ないでしょ! 何してくれてんだよー!
突然の事に周囲の人が私たちの方に視線を向けて来て、注目されおりまだ完全に危機は去っていなかった。
するとエリスが小声で私に問いかけて来た。
「で、話す気はあるかな?」
「うぅっ……分かりましたよ。話しますから、この状況をどうにかしてくだいよ」
「よし」
そう言うとエリスは、周囲の人たちに適当な理由を言って軽く頭を下げる事で、事態を収拾させた。
まさか発声練習を突然したくなったとか言う、とてつもない理由であの状況をなかった事にするなんて、物凄いメンタルの持ち主だ。
私はエリスの行動に少し関心してしまっていた。
「それで、聞かせてもらえるのよね?」
「……ルークに近付いたのは、鼻を折る為ですよ」
「ん?」
「だから、エリス先輩は知らないかもしれないですけど、王の子として意識が低くて、ただ鼻だけが伸びているあいつの伸びた鼻を折りに来たんですよ」
エリスは私の言葉を聞くと、一瞬ポカンとした表情をしていたが、直ぐに「ぷっ」と笑う声が漏れる。
そして直後、お腹を抱えながら口元を手で隠しつつ笑い出した。
さっきまでの少しピリついた雰囲気が一気に消え去り、私は本当にエリスが何がしたいのか分からなくなり、首を傾げた。
「ご、ごめん。まさか、そんな理由だとは思ってなくて、ぷっはははは。聞くだけで面白いわね、それ」
「あの、エリス先輩。いい加減、何が目的か話してくださいよ。これじゃ、俺だけ秘密をバラしただけじゃないですか」
エリスは暫く笑った後、何とか息を整えて私の方を向いた。
「目的ね~……う~ん、言えるのは身辺調査ってことくらいかな。これ以上は言えないな。ごめんね」
「身辺調査? どうして俺の?」
「それは答えられない」
それから私はしつこく、別の方向からなど訊ねても笑顔で「それは答えられない」とだけ言われ続けた。
私はこの人は絶対に何があっても、答えないつもりだと分かり、これ以上聞きだすことを諦めた。
「はぁ~……もう、何なんだよ今日は。色々あり過ぎで、おかしくなりそうだ……」
「ん~? もしかして、ルークから告白とかされた?」
「な、なな何をいっでるうぅえんで?!?」
エリスは完全に呂律が回らない私を見て、笑うと小声で「図星か」とだけ答えると肩を軽く叩いて来た。
「大丈夫。私口は堅いから」
私はその時点で完全に意気消沈状態で、俯いているとそれを見ていたエリスがポケットから何かを出して、私に差し出して来る。
「……ん? 指輪のネックレス?」
「これは、互いの秘密を絶対に言わないと言う魔道具よ」
エリスは私に「手を出して」と言って来たので、手を出すとそこに持っていた指輪のネックレスを置いた。
「これが魔道具?」
するとエリスは、首元から同じ物をぶら下げていたのか取りだして見せて来た。
「これはね、昔の先輩が独自開発した物でこの2つしかないの。使用用途は、互いの秘密を必ず守ると言うものよ」
「秘密を守る」
エリスの説明を聞くと、この2つの指輪のネックレスを合わせ、誓いの言葉を言った後に互いに守る秘密を口にするらしい。
その秘密が互いに平等の物と認められたら契約が成立し、その秘密を言おうとしても発する事も出来ず、脅されても魔法などを使われても、絶対に話す事はない様になるらしい。
私はそんな魔道具の存在もしらないし、何よりこんなものを開発した何て言うのが、胡散臭くて疑いの目でそれを見つめていた。
「その目は信じてないな。なら、実際にやって体験したら嫌でも分かるよ」
するとエリスは強引に自分の指輪のネックレスを、私が渡された指輪のネックレスに合わせる。
直後、合わさった指輪のネックレスを中心に私たちを囲う様な円形の薄いシールドが展開される。
「っ!?」
「大丈夫。これは魔道具が発動した合図で、周囲の人には見えないし、私たちの声も聞こえてない」
そう言うとエリスは突然大声を出す。
私はいきなり大声を出したので驚いたが、周囲の人たちはそんな声が聞こえていないのか、全く反応していなかった。
「ね? それじゃ、早速始めようか」
「ちょ、ちょっと待って下さい。そんな急に進められても……」
どんどんとエリスのペースで話が進んで行くのに、私は付いて行けずに一旦整理する時間を欲しいと言うが、エリスは私にそんな時間をくれなかった。
「クリスは私に秘密をバラされてもいいの?」
「いや、良くないですけど」
「なら、私の言った事を繰り返して言う。いいね?」
「……っ、わ、分かりました」
ダメだ、話を聞いてくれないし、逆に脅されるなんて……意外とエリス先輩って強引な人なの?
その後エリスの言った事を繰り返し言うと、指輪自体が青く光りだす。
「後は、守る秘密を言うだけよ。私はもちろん、さっき聞いたクリスの秘密を全て守る事を誓うわ。それにルークの事もね。じゃ次は、クリスの番ね」
「いや俺の番と言われても、エリス先輩の秘密なんて知らないんですけど……」
「そうだったね。それじゃ……」
と少し考えた後に、エリス自身が自分の秘密を普通に話し始めた。
私はその内容に驚いてしまう。
「あれ、まだ秘密が平等じゃないか。なら」
と呟いた後、更なる秘密を私明かして来て、私は愕然としてしまう。
すると指輪が青から赤い光に変わり、周囲に展開していたシールドも消えた。
「これでおしまい。じゃ早速、体験と行こうか。クリス、さっき私が教えた秘密を言おうとしてみて」
エリスは首元から取りだした指輪のネックレスをしまいながら、私にそう言って来た。
私は言われるがまま、先程の教えてもらったエリスの秘密を口に出そうとしたが、途中で口が止まる。
意識では声を出して言おうとしているのに、口から声が出ないような感覚になっており、どうあがいてもその秘密を話す事が出来なかった。
ならばと思い、地面に文字として書こうとしても、直前に書こうと文字が書けないような感覚で、ただ手が震えているだけの状態になった。
「う、嘘……本当に、言えないし書けもしないなんて。あり得るのか、こんな事が」
「分かってもらったようだね。私もさっきの秘密を言おうとしたり、書こうとしても同じ状態になるよ。これで、君の秘密は守られたわけだ、めでたしめだたし」
私がエリスの言っていた事が本当であると、驚いているとエリスは笑顔で私に語り掛けて来ていた。
「あっ、この指輪のネックレスの事は秘密だよ。一応肌身離さず持っておいて」
「貴方は本当に」
と言いかけた所で、私の口元にエリスは封をする様に人差し指を当てて来た。
「女性はミステリアスの方が、魅力的だからよ」
そう言ってエリスは私の元から離れて行った。
その後私は、その場で暫く今日の出来事を色々と整理する為、近くの椅子に座り込んで景色を眺めた。
そしてあっという間に日も陰り始めた時に、トウマが私に声を掛けて来て「そろそろ帰るぞ」と言ってくれた。
そこに、ルークやジュリル・ウィル・マートルの姿はなかった。
トウマに聞くと、ルークは先に帰ったらしくジュリルたちも他に行く所があると言って、別れたらしい。
私はトウマ・モラン・シルマ・ミュルテの4人と学院へと戻った。
その頃、エリスはと言うと噴水前で誰かを待っていた。
「エリス」
「はぁ~やっと来た。遅刻なんですけど、ミカ」
そこへやって来たのは、私服姿のミカロスであった。
「悪い。少し明日の事で長引いてな。それで、頼んでいた件はどうだった?」
「私のケアより、そっちですか……言われた通り、終わってますよ~」
エリスは少し拗ねた感じでミカロスに答えと、そこでミカロスも気付く。
「悪かった、エリス。その話は後にして、行くか」
「……それより言う事があるんじゃないの」
勝手に歩き出すミカロスの後ろ姿を見て、エリスは小さくぼやくが、諦めてミカロスの後を追って脇腹をつついた。
「な、何するんだよ、エリス」
「このヘタレ眼鏡が」
「おい、どう言う意味だそれは」
「うっさい。いつまでも言わないからだよ。それで、オービンにはいつ言うのよ」
「いや今はその時期じゃ」
「はい、またそれ~ずっとそれだからヘタレ眼鏡なの」
2人はそんな会話をしながら、夕暮れの街へと消えて行った。
するとエリスは、私の耳元から離れる。
「どうして男装しているかとかは、一旦置いといて1つだけ聞きたいんだけど」
「あのエリス先輩、俺の話聞いてました? 男装ってどう言う事ですか?」
「やけにそこにこだわるね? 確かに上手く男子を演じているし、ボロをださなければバレないね。でも、君が少し感情的になった時やちょっとした歩き方から、対応の所を見て私は君が女の子だと分かったよ」
「っ……」
その言葉と、でたらめを言っている訳ではないと言う眼差しで私はこの人に、男装を完全に見破られていると実感した。
嘘でしょ……何で分かったの? そんなに分かる様なもの? でもそれより今は、どうやって黙っていてもらうかだ。
「この事を黙っていて欲しいなら、さっきの私の質問に答えて欲しんだけど」
「……」
「どうする、クリス? 断るなら、この場で大声でバラす。でも、答えてくれるなら黙ってるよ」
何なのよ、この人は……一気に私の弱みを握ったと思ったら、次は脅し? 何が目的なの……
仮に答えたとしても、バラされないと言う保証はない。
でも、この雰囲気からして私が質問に答えなければ本当にバラすだろう。
「さぁ? どっち、クリス?」
「……っ、分かりました」
私はエリスに迫られた2択以外に解決方法が思い付かず、下唇を少し噛みながらエリスの問いかけに答える事を選んだ。
「決断出来る事は良い事よ。それじゃ聞くけど、君が男装してこの学院に転入した理由は、ルークに近付く為? それとも、オービンに近付く為?」
その問いかけに私はどう言う意図があるのか、読み取れなかった。
ひとまずここは、嘘はつかずに聞かれた事だけ答える様にするか。
私は「ルークに近付く為」とだけ答えると、エリスは続けて問いかけて来た。
「それはどうして?」
1つじゃないのかよ……はぁ~、ここで黙るとさっきの繰り返しになるよね。
どうするべき? 素直に答えるか、答えないべきか……いや、待てよ。
そもそも、私が来た理由は今じゃなくなっているわけだし、仮に話しても問題ないのでは? いやでも、何でエリス先輩はそんな事を聞くんだ? そこが分からない事には、簡単に言う訳にはいかない。
「それは黙るのか?」
「……エリス先輩がどうしてそれを知りたいか教えてくれたら、言いますよ」
「そうか」
すると急にエリスは、私に背を向けると大きく息を吸い出した。
その行動で私は、この人が今から何をしようとしているのかを察して、後ろから飛びつく様に口を抑えに行った。
「クリス・フォークロスは、だんっんんん!?」
そこまで言いかけた所で、私の手がエリス先輩に覆いかぶさったことで最悪の事態は防げた。
こ、この人はー! 今大声で私の秘密を叫ぼうとしたよ! あり得ないでしょ! 何してくれてんだよー!
突然の事に周囲の人が私たちの方に視線を向けて来て、注目されおりまだ完全に危機は去っていなかった。
するとエリスが小声で私に問いかけて来た。
「で、話す気はあるかな?」
「うぅっ……分かりましたよ。話しますから、この状況をどうにかしてくだいよ」
「よし」
そう言うとエリスは、周囲の人たちに適当な理由を言って軽く頭を下げる事で、事態を収拾させた。
まさか発声練習を突然したくなったとか言う、とてつもない理由であの状況をなかった事にするなんて、物凄いメンタルの持ち主だ。
私はエリスの行動に少し関心してしまっていた。
「それで、聞かせてもらえるのよね?」
「……ルークに近付いたのは、鼻を折る為ですよ」
「ん?」
「だから、エリス先輩は知らないかもしれないですけど、王の子として意識が低くて、ただ鼻だけが伸びているあいつの伸びた鼻を折りに来たんですよ」
エリスは私の言葉を聞くと、一瞬ポカンとした表情をしていたが、直ぐに「ぷっ」と笑う声が漏れる。
そして直後、お腹を抱えながら口元を手で隠しつつ笑い出した。
さっきまでの少しピリついた雰囲気が一気に消え去り、私は本当にエリスが何がしたいのか分からなくなり、首を傾げた。
「ご、ごめん。まさか、そんな理由だとは思ってなくて、ぷっはははは。聞くだけで面白いわね、それ」
「あの、エリス先輩。いい加減、何が目的か話してくださいよ。これじゃ、俺だけ秘密をバラしただけじゃないですか」
エリスは暫く笑った後、何とか息を整えて私の方を向いた。
「目的ね~……う~ん、言えるのは身辺調査ってことくらいかな。これ以上は言えないな。ごめんね」
「身辺調査? どうして俺の?」
「それは答えられない」
それから私はしつこく、別の方向からなど訊ねても笑顔で「それは答えられない」とだけ言われ続けた。
私はこの人は絶対に何があっても、答えないつもりだと分かり、これ以上聞きだすことを諦めた。
「はぁ~……もう、何なんだよ今日は。色々あり過ぎで、おかしくなりそうだ……」
「ん~? もしかして、ルークから告白とかされた?」
「な、なな何をいっでるうぅえんで?!?」
エリスは完全に呂律が回らない私を見て、笑うと小声で「図星か」とだけ答えると肩を軽く叩いて来た。
「大丈夫。私口は堅いから」
私はその時点で完全に意気消沈状態で、俯いているとそれを見ていたエリスがポケットから何かを出して、私に差し出して来る。
「……ん? 指輪のネックレス?」
「これは、互いの秘密を絶対に言わないと言う魔道具よ」
エリスは私に「手を出して」と言って来たので、手を出すとそこに持っていた指輪のネックレスを置いた。
「これが魔道具?」
するとエリスは、首元から同じ物をぶら下げていたのか取りだして見せて来た。
「これはね、昔の先輩が独自開発した物でこの2つしかないの。使用用途は、互いの秘密を必ず守ると言うものよ」
「秘密を守る」
エリスの説明を聞くと、この2つの指輪のネックレスを合わせ、誓いの言葉を言った後に互いに守る秘密を口にするらしい。
その秘密が互いに平等の物と認められたら契約が成立し、その秘密を言おうとしても発する事も出来ず、脅されても魔法などを使われても、絶対に話す事はない様になるらしい。
私はそんな魔道具の存在もしらないし、何よりこんなものを開発した何て言うのが、胡散臭くて疑いの目でそれを見つめていた。
「その目は信じてないな。なら、実際にやって体験したら嫌でも分かるよ」
するとエリスは強引に自分の指輪のネックレスを、私が渡された指輪のネックレスに合わせる。
直後、合わさった指輪のネックレスを中心に私たちを囲う様な円形の薄いシールドが展開される。
「っ!?」
「大丈夫。これは魔道具が発動した合図で、周囲の人には見えないし、私たちの声も聞こえてない」
そう言うとエリスは突然大声を出す。
私はいきなり大声を出したので驚いたが、周囲の人たちはそんな声が聞こえていないのか、全く反応していなかった。
「ね? それじゃ、早速始めようか」
「ちょ、ちょっと待って下さい。そんな急に進められても……」
どんどんとエリスのペースで話が進んで行くのに、私は付いて行けずに一旦整理する時間を欲しいと言うが、エリスは私にそんな時間をくれなかった。
「クリスは私に秘密をバラされてもいいの?」
「いや、良くないですけど」
「なら、私の言った事を繰り返して言う。いいね?」
「……っ、わ、分かりました」
ダメだ、話を聞いてくれないし、逆に脅されるなんて……意外とエリス先輩って強引な人なの?
その後エリスの言った事を繰り返し言うと、指輪自体が青く光りだす。
「後は、守る秘密を言うだけよ。私はもちろん、さっき聞いたクリスの秘密を全て守る事を誓うわ。それにルークの事もね。じゃ次は、クリスの番ね」
「いや俺の番と言われても、エリス先輩の秘密なんて知らないんですけど……」
「そうだったね。それじゃ……」
と少し考えた後に、エリス自身が自分の秘密を普通に話し始めた。
私はその内容に驚いてしまう。
「あれ、まだ秘密が平等じゃないか。なら」
と呟いた後、更なる秘密を私明かして来て、私は愕然としてしまう。
すると指輪が青から赤い光に変わり、周囲に展開していたシールドも消えた。
「これでおしまい。じゃ早速、体験と行こうか。クリス、さっき私が教えた秘密を言おうとしてみて」
エリスは首元から取りだした指輪のネックレスをしまいながら、私にそう言って来た。
私は言われるがまま、先程の教えてもらったエリスの秘密を口に出そうとしたが、途中で口が止まる。
意識では声を出して言おうとしているのに、口から声が出ないような感覚になっており、どうあがいてもその秘密を話す事が出来なかった。
ならばと思い、地面に文字として書こうとしても、直前に書こうと文字が書けないような感覚で、ただ手が震えているだけの状態になった。
「う、嘘……本当に、言えないし書けもしないなんて。あり得るのか、こんな事が」
「分かってもらったようだね。私もさっきの秘密を言おうとしたり、書こうとしても同じ状態になるよ。これで、君の秘密は守られたわけだ、めでたしめだたし」
私がエリスの言っていた事が本当であると、驚いているとエリスは笑顔で私に語り掛けて来ていた。
「あっ、この指輪のネックレスの事は秘密だよ。一応肌身離さず持っておいて」
「貴方は本当に」
と言いかけた所で、私の口元にエリスは封をする様に人差し指を当てて来た。
「女性はミステリアスの方が、魅力的だからよ」
そう言ってエリスは私の元から離れて行った。
その後私は、その場で暫く今日の出来事を色々と整理する為、近くの椅子に座り込んで景色を眺めた。
そしてあっという間に日も陰り始めた時に、トウマが私に声を掛けて来て「そろそろ帰るぞ」と言ってくれた。
そこに、ルークやジュリル・ウィル・マートルの姿はなかった。
トウマに聞くと、ルークは先に帰ったらしくジュリルたちも他に行く所があると言って、別れたらしい。
私はトウマ・モラン・シルマ・ミュルテの4人と学院へと戻った。
その頃、エリスはと言うと噴水前で誰かを待っていた。
「エリス」
「はぁ~やっと来た。遅刻なんですけど、ミカ」
そこへやって来たのは、私服姿のミカロスであった。
「悪い。少し明日の事で長引いてな。それで、頼んでいた件はどうだった?」
「私のケアより、そっちですか……言われた通り、終わってますよ~」
エリスは少し拗ねた感じでミカロスに答えと、そこでミカロスも気付く。
「悪かった、エリス。その話は後にして、行くか」
「……それより言う事があるんじゃないの」
勝手に歩き出すミカロスの後ろ姿を見て、エリスは小さくぼやくが、諦めてミカロスの後を追って脇腹をつついた。
「な、何するんだよ、エリス」
「このヘタレ眼鏡が」
「おい、どう言う意味だそれは」
「うっさい。いつまでも言わないからだよ。それで、オービンにはいつ言うのよ」
「いや今はその時期じゃ」
「はい、またそれ~ずっとそれだからヘタレ眼鏡なの」
2人はそんな会話をしながら、夕暮れの街へと消えて行った。
0
あなたにおすすめの小説
転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。
琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。
ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!!
スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。
ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!?
氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。
このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。
男女比8対1の異世界に転移しました、防御力はレベル1です
オレンジ方解石
恋愛
結婚式の最中に、夫に他の女と逃げられた花嫁、水瀬透子。
離婚届けを出す直前に事故で瀕死となった彼女は、異世界の女神から『妾と取り引きするなら、助けてやろう』と持ちかけられる。
異世界の《世界樹》の《種》を宿す《仮枝》となった透子は、女神の世界に連れて行かれ、二年を過ごすこととなった。
そこは男女比が8対1という偏った世界であり、女性が《四気神》と呼ばれる守護者に守られる世界。
女神とはぐれた透子は、そこで美形の青年、紅霞に助けられるが……。
※追記の追記を少し直しました。
枯れ専令嬢、喜び勇んで老紳士に後妻として嫁いだら、待っていたのは二十歳の青年でした。なんでだ~⁉
狭山ひびき
恋愛
ある日、イアナ・アントネッラは父親に言われた。
「来月、フェルナンド・ステファーニ公爵に嫁いでもらう」と。
フェルナンド・ステファーニ公爵は御年六十二歳。息子が一人いるが三十年ほど前に妻を亡くしてからは独り身だ。
対してイアナは二十歳。さすがに年齢が離れすぎているが、父はもっともらしい顔で続けた。
「ジョルジアナが慰謝料を請求された。ステファーニ公爵に嫁げば支度金としてまとまった金が入る。これは当主である私の決定だ」
聞けば、妹のジョルジアナは既婚者と不倫して相手の妻から巨額の慰謝料を請求されたらしい。
「お前のような年頃の娘らしくない人間にはちょうどいい縁談だろう。向こうはどうやらステファーニ公爵の介護要員が欲しいようだからな。お前にはぴったりだ」
そう言って父はステファーニ公爵の肖像画を差し出した。この縁談は公爵自身ではなく息子が持ちかけてきたものらしい。
イオナはその肖像画を見た瞬間、ぴしゃーんと雷に打たれたような衝撃を受けた。
ロマンスグレーの老紳士。なんて素敵なのかしら‼
そう、前世で六十歳まで生きたイオナにとって、若い男は眼中にない。イオナは枯れ専なのだ!
イオナは傷つくと思っていた両親たちの思惑とは裏腹に、喜び勇んでステファーニ公爵家に向かった。
しかし……。
「え? ロマンスグレーの紳士はどこ⁉」
そこでイオナを待ち受けていたのは、どこからどう見ても二十歳くらいにしか見えない年若い紳士だったのだ。
異世界もふもふ死にかけライフ☆異世界転移して毛玉な呪いにかけられたら、凶相騎士団長様に拾われました。
和島逆
恋愛
社会人一年目、休日の山登り中に事故に遭った私は、気づけばひとり見知らぬ森の中にいた。そしてなぜか、姿がもふもふな小動物に変わっていて……?
しかも早速モンスターっぽい何かに襲われて死にかけてるし!
危ういところを助けてくれたのは、大剣をたずさえた無愛想な大男。
彼の緋色の瞳は、どうやらこの世界では凶相と言われるらしい。でもでも、地位は高い騎士団長様。
頼む騎士様、どうか私を保護してください!
あれ、でもこの人なんか怖くない?
心臓がバクバクして止まらないし、なんなら息も苦しいし……?
どうやら私は恐怖耐性のなさすぎる聖獣に変身してしまったらしい。いや恐怖だけで死ぬってどんだけよ!
人間に戻るためには騎士団長の助けを借りるしかない。でも騎士団長の側にいると死にかける!
……うん、詰んだ。
★「小説家になろう」先行投稿中です★
多分悪役令嬢ですが、うっかりヒーローを餌付けして執着されています
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【美味しそう……? こ、これは誰にもあげませんから!】
23歳、ブラック企業で働いている社畜OLの私。この日も帰宅は深夜過ぎ。泥のように眠りに着き、目覚めれば綺羅びやかな部屋にいた。しかも私は意地悪な貴族令嬢のようで使用人たちはビクビクしている。ひょっとして私って……悪役令嬢? テンプレ通りなら、将来破滅してしまうかも!
そこで、細くても長く生きるために、目立たず空気のように生きようと決めた。それなのに、ひょんな出来事からヒーロー? に執着される羽目に……。
お願いですから、私に構わないで下さい!
※ 他サイトでも投稿中
【本編完結】王子の寝た子を起こしたら、夢見る少女では居られなくなりました!
こさか りね
恋愛
私、フェアリエル・クリーヴランドは、ひょんな事から前世を思い出した。
そして、気付いたのだ。婚約者が私の事を良く思っていないという事に・・・。
婚約者の態度は前世を思い出した私には、とても耐え難いものだった。
・・・だったら、婚約解消すれば良くない?
それに、前世の私の夢は『のんびりと田舎暮らしがしたい!』と常々思っていたのだ。
結婚しないで済むのなら、それに越したことはない。
「ウィルフォード様、覚悟する事ね!婚約やめます。って言わせてみせるわ!!」
これは、婚約解消をする為に奮闘する少女と、本当は好きなのに、好きと気付いていない王子との攻防戦だ。
そして、覚醒した王子によって、嫌でも成長しなくてはいけなくなるヒロインのコメディ要素強めな恋愛サクセスストーリーが始まる。
※序盤は恋愛要素が少なめです。王子が覚醒してからになりますので、気長にお読みいただければ嬉しいです。
※本編完結しました。
※後日談を更新中です。
9回巻き戻った公爵令嬢ですが、10回目の人生はどうやらご褒美モードのようです
志野田みかん
恋愛
アリーシア・グランツ公爵令嬢は、異世界から落ちてきた聖女ミアに婚約者を奪われ、断罪されて処刑された。殺されるたびに人生が巻き戻り、そのたびに王太子マクシミリアンはミアに心奪われ、アリーシアは処刑、処刑、処刑!
10回目の人生にして、ようやく貧乏男爵令嬢アリーに生まれ変わった。
もう王太子や聖女には関わらない!と心に決めたのに、病弱な弟のために王宮の侍女として働くことに。するとなぜか、王太子マクシミリアンは聖女ミアには目もくれず、男爵令嬢アリーを溺愛し始めて……。
(頭を空っぽにして笑えることを目指したコメディです。2020年に執筆した作品です。本作を読みたいというお声があったため再掲します)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる