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第150話 命の魔力
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「終わったか……」
ルークは終了の合図を聞き、小さく息をついた。
そのままちらっとレオンの方を見ると、レオンも終了の合図を聞きその場で動かずに立ち尽くしていた。
「(あいつもさすがに動きを止めたか……ふ~俺もあぁ言ったが、かなり魔力を使い過ぎてたからあれ以上戦うのはきつかったんだよな)」
ルークもレオンの放った魔法を打ち破り一撃で決める為にと、魔力を凝縮させた魔法を放ったのでかなり体力を消耗していたのだった。
だが、それをルークは表には出さずにいたのだった。
「(俺が弱っているなんて分かったら、あいつは無理にでも攻めて来ただろうな。にしても、レオンは誰と俺を勘違いしてるんだ?)」
激しい試合の終了に観客たちは大きな歓声を上げ、両者に拍手など励ましの声を掛けていた。
そして会場のアナウンスに従いルークは裏へと下がろうと背を向けた時だった。
「逃げるのか、ルーク・クリバンス!」
「?」
まさかのレオンからの呼びかけに、ルークは足を止め振り返る。
「このまま僕の両親を殺したあの日の事を、うやむやにして逃げるのか!」
「何度も言ったかが、俺にそんな記憶はない! お前は俺と誰かを間違えているんだよ!」
「違う! 間違いなはずない! あの時、お前は名前を呼ばれていたじゃないか!」
「だから、俺は知らないと言ってるだろうが! お前が勘違いしてるんじゃないのか?」
「嘘を付くなー!」
「っ」
レオンは鬼気迫る様な表情で、ルークに向かって叫ぶと観客たちも何事かとざわつきだす。
「レオン、お前の過去はよく知らないが、両親が誰かに殺されたのはよく分かった。だが、俺の話も聞け! お前のだけの先入観だけで、俺を犯人にするな!」
「それじゃお前以外に誰がいると言うんだ! 僕はただ、あの日の真実が知りたいだけだ! ……だから……だから、嘘を付かずにあの日の事を教えてくれるだけでいいんだ……」
レオンの必死な訴えを聞き、ルークはゆっくりと息を吸った後口を開いた。
「……レオン、俺は嘘もついていないし、何も隠していない。信じてくれ」
真っすぐにレオンを見つめたままルークが答えると、レオンは黙ったまま俯いた。
そしてレオンが顔を上げた。
「そこまでして、隠したい事なのか……ルーク!」
直後、レオンの全身から赤い魔力が全身から溢れ出す。
「っ! あれは、赤い魔力。レオン! お前、今何をしているのか分かっているのか!」
「どうして、そこまでして隠そうとする! どうして、嘘を付く! どうして、己が犯した罪を認めないんだ!」
レオンがそう叫ぶと更に全身から溢れ出ていた赤い魔力が、勢いよく全身から溢れ出る。
「(ダメだ、完全に聞こえてない……あの赤い魔力は自らの命を魔力に変えている証)」
魔力に色などなく、一般的には透明と表される事しかない。
だが、例外として魔力に色が付くことがあるのだ。
それが自らの命を魔力に変換した時である。
しかし、命を魔力に変換する事などやろうとしても出来る事ではなく、今までにそれが確認された事例もほんの一握りであり、全て状況が異なり何が条件で発現したのかは今でも判明していないのである。
だだ2つだけ分かっている事があり、1つは普通の魔力を使う攻撃よりも強大な威力を持った攻撃になる事と、2つ目は赤い魔力を使い切るとその対象者は命を落とすという事である。
「ルーーークーーッ!」
レオンはそう叫ぶと力強く地面を蹴り、ルークとの距離を一瞬で詰めて来た。
ルークは咄嗟に回避行動をとるも、レオンの速さに反応が遅れ完全に回避するのは不可能だと察する。
「(速いっ……)」
そしてレオンは右拳を勢いよくルークの顔面目掛けて突きだした時、その拳がルークに届く寸前で止まる。
「っ!?」
ルークもレオンも何が起きたのか理解出来ずにいたが、レオンの突き出した手首から後方に鎖が伸びており、その先にはジュリルがその鎖を握って引っ張っていた。
「ジュリル!」
「ルーク様、今のうちに」
ルークはジュリルの言葉に頷き、後方へと距離をとるとジュリルは左手をレオンへと向け何かを呟くと、レオンの左手首から鎖が出現しジュリルの左手へと伸びて行く。
「レオン、貴方何をしているか分かっているの? 少し冷静になりなさい!」
「ジュリル様……」
レオンはそう呟くと、一瞬我に返った様な表情をするも目を瞑りジュリルから視線を逸らし、ルークの方を向いた。
「すいません、ジュリル様。もう僕は、ルークに対する怒りが抑えられないのです……」
「レオン!」
再びジュリルがレオンを呼ぶも、レオンは顔を向ける事はなかった。
そしてレオンは拘束されいていた両手首を、力づくで前へと引き下げ破ろうとし出す。
ジュリルは引っ張られつつもその場で耐え続けていたが、レオンの赤い魔力のせいか両手首の鎖は破壊され消えてしまう。
力のまま破ったレオンは、そこから顔を上げルークへと近付こうとした直後、目の前にオービンが観客席から飛び降りてレオンの前に立ち塞がった。
オービンはレオンの両手首を掴み、そのまま地面へと押し下げるとレオン自身も地面へと倒れる。
そのままレオンの両手首を『ロック』の魔法で拘束した。
「兄貴!?」
「オービン先輩!」
するとオービンはレオンの耳元に顔を近付けると、何かを呟いた。
それを聞いたレオンは、驚きの表情をしてオービンの方を見た。
「……それは本当ですか?」
「あぁ、俺が約束しよう。と言っても、信じられないよな。なら、この魔道具に誓おう」
オービンが取りだしたのは2つの指輪であり、オービンは1つを自分の人差し指にはめ、もう1つをレオンの片手に握らせた。
するとオービンは先程呟いた事を必ず呟いた最後に「約束だ」と言うと、レオンに同じ様に約束と言わせた直後、オービンの付けた指輪がギュッと閉まり薄く赤い光が出だした。
同じくレオンの握った指輪も同じ様に光りだした。
オービンは指輪の魔道具の事を簡単に説明しだし、約束を守らないと装着した指輪は一生外れず、日々閉まり続けるというものだと話した。
昔一般的に発売された魔道具であったが、今は事故や事件があった為販売されておらず改良している最中なのだそうだ。
「今俺がしてるのは、昔の問題がある方だ。約束を果たさないと外れずに、痛みが続くという物だ」
「そんなのが約束の印だと? それこそ、オービン先輩なら直ぐに外せたり出来る物じゃないのか?」
「いや~残念ならが、今の俺にそんな事は出来ないよ。それに、これは約束を果たす以外に外す方法はないからこそ、改良を命令されているんだよ。後、君の魔力で誓いをしたから、君が自由にこの指輪を操れるんだよ」
そう聞いたレオンは、握られた指輪をギュッと握るとオービンは少し顔を歪めた。
レオンはそれを見てオービンが言っている事が本当だと理解する。
「分かってもらえたかな? それじゃ、少し落ち着こうかレオン君」
するとレオンが放っていた赤い魔力が徐々に収まり始めると、同時にレオンの瞼も下がり始めた。
そこへ遅れて教員たちがやって来てオービンが対応し、レオンの拘束を解き教員たちが医務室へと運び始めた。
その後をジュリルが追って行く際に、オービンが何かを呟くとジュリルは頷きそのままレオンの跡を追って行った。
「兄貴……」
「ルーク、大丈夫か?」
「あぁ、俺は大丈夫だか、レオンの方はどうなったんだ?」
「疲れ果てて、眠っちゃったよ。赤い魔力も収まったし問題ないだろう」
オービンはルークの方へと歩いて行き、軽く肩を叩いた後先に通路へと進み立ち去って行く。
ルークは少し納得できない表情をしていたが、今は決勝戦に勝ち代表者になる事が優先であったので、一度レオンの事は置いておくことにし控室へと戻って行った。
その後、教員たちからざわつく会場へ説明が入り、レオンは魔力暴走してしまったと説明され、勝者は変わらずルークとし10分後に決勝戦を行う事が言い渡されたのだった。
ルークは終了の合図を聞き、小さく息をついた。
そのままちらっとレオンの方を見ると、レオンも終了の合図を聞きその場で動かずに立ち尽くしていた。
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「?」
まさかのレオンからの呼びかけに、ルークは足を止め振り返る。
「このまま僕の両親を殺したあの日の事を、うやむやにして逃げるのか!」
「何度も言ったかが、俺にそんな記憶はない! お前は俺と誰かを間違えているんだよ!」
「違う! 間違いなはずない! あの時、お前は名前を呼ばれていたじゃないか!」
「だから、俺は知らないと言ってるだろうが! お前が勘違いしてるんじゃないのか?」
「嘘を付くなー!」
「っ」
レオンは鬼気迫る様な表情で、ルークに向かって叫ぶと観客たちも何事かとざわつきだす。
「レオン、お前の過去はよく知らないが、両親が誰かに殺されたのはよく分かった。だが、俺の話も聞け! お前のだけの先入観だけで、俺を犯人にするな!」
「それじゃお前以外に誰がいると言うんだ! 僕はただ、あの日の真実が知りたいだけだ! ……だから……だから、嘘を付かずにあの日の事を教えてくれるだけでいいんだ……」
レオンの必死な訴えを聞き、ルークはゆっくりと息を吸った後口を開いた。
「……レオン、俺は嘘もついていないし、何も隠していない。信じてくれ」
真っすぐにレオンを見つめたままルークが答えると、レオンは黙ったまま俯いた。
そしてレオンが顔を上げた。
「そこまでして、隠したい事なのか……ルーク!」
直後、レオンの全身から赤い魔力が全身から溢れ出す。
「っ! あれは、赤い魔力。レオン! お前、今何をしているのか分かっているのか!」
「どうして、そこまでして隠そうとする! どうして、嘘を付く! どうして、己が犯した罪を認めないんだ!」
レオンがそう叫ぶと更に全身から溢れ出ていた赤い魔力が、勢いよく全身から溢れ出る。
「(ダメだ、完全に聞こえてない……あの赤い魔力は自らの命を魔力に変えている証)」
魔力に色などなく、一般的には透明と表される事しかない。
だが、例外として魔力に色が付くことがあるのだ。
それが自らの命を魔力に変換した時である。
しかし、命を魔力に変換する事などやろうとしても出来る事ではなく、今までにそれが確認された事例もほんの一握りであり、全て状況が異なり何が条件で発現したのかは今でも判明していないのである。
だだ2つだけ分かっている事があり、1つは普通の魔力を使う攻撃よりも強大な威力を持った攻撃になる事と、2つ目は赤い魔力を使い切るとその対象者は命を落とすという事である。
「ルーーークーーッ!」
レオンはそう叫ぶと力強く地面を蹴り、ルークとの距離を一瞬で詰めて来た。
ルークは咄嗟に回避行動をとるも、レオンの速さに反応が遅れ完全に回避するのは不可能だと察する。
「(速いっ……)」
そしてレオンは右拳を勢いよくルークの顔面目掛けて突きだした時、その拳がルークに届く寸前で止まる。
「っ!?」
ルークもレオンも何が起きたのか理解出来ずにいたが、レオンの突き出した手首から後方に鎖が伸びており、その先にはジュリルがその鎖を握って引っ張っていた。
「ジュリル!」
「ルーク様、今のうちに」
ルークはジュリルの言葉に頷き、後方へと距離をとるとジュリルは左手をレオンへと向け何かを呟くと、レオンの左手首から鎖が出現しジュリルの左手へと伸びて行く。
「レオン、貴方何をしているか分かっているの? 少し冷静になりなさい!」
「ジュリル様……」
レオンはそう呟くと、一瞬我に返った様な表情をするも目を瞑りジュリルから視線を逸らし、ルークの方を向いた。
「すいません、ジュリル様。もう僕は、ルークに対する怒りが抑えられないのです……」
「レオン!」
再びジュリルがレオンを呼ぶも、レオンは顔を向ける事はなかった。
そしてレオンは拘束されいていた両手首を、力づくで前へと引き下げ破ろうとし出す。
ジュリルは引っ張られつつもその場で耐え続けていたが、レオンの赤い魔力のせいか両手首の鎖は破壊され消えてしまう。
力のまま破ったレオンは、そこから顔を上げルークへと近付こうとした直後、目の前にオービンが観客席から飛び降りてレオンの前に立ち塞がった。
オービンはレオンの両手首を掴み、そのまま地面へと押し下げるとレオン自身も地面へと倒れる。
そのままレオンの両手首を『ロック』の魔法で拘束した。
「兄貴!?」
「オービン先輩!」
するとオービンはレオンの耳元に顔を近付けると、何かを呟いた。
それを聞いたレオンは、驚きの表情をしてオービンの方を見た。
「……それは本当ですか?」
「あぁ、俺が約束しよう。と言っても、信じられないよな。なら、この魔道具に誓おう」
オービンが取りだしたのは2つの指輪であり、オービンは1つを自分の人差し指にはめ、もう1つをレオンの片手に握らせた。
するとオービンは先程呟いた事を必ず呟いた最後に「約束だ」と言うと、レオンに同じ様に約束と言わせた直後、オービンの付けた指輪がギュッと閉まり薄く赤い光が出だした。
同じくレオンの握った指輪も同じ様に光りだした。
オービンは指輪の魔道具の事を簡単に説明しだし、約束を守らないと装着した指輪は一生外れず、日々閉まり続けるというものだと話した。
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「今俺がしてるのは、昔の問題がある方だ。約束を果たさないと外れずに、痛みが続くという物だ」
「そんなのが約束の印だと? それこそ、オービン先輩なら直ぐに外せたり出来る物じゃないのか?」
「いや~残念ならが、今の俺にそんな事は出来ないよ。それに、これは約束を果たす以外に外す方法はないからこそ、改良を命令されているんだよ。後、君の魔力で誓いをしたから、君が自由にこの指輪を操れるんだよ」
そう聞いたレオンは、握られた指輪をギュッと握るとオービンは少し顔を歪めた。
レオンはそれを見てオービンが言っている事が本当だと理解する。
「分かってもらえたかな? それじゃ、少し落ち着こうかレオン君」
するとレオンが放っていた赤い魔力が徐々に収まり始めると、同時にレオンの瞼も下がり始めた。
そこへ遅れて教員たちがやって来てオービンが対応し、レオンの拘束を解き教員たちが医務室へと運び始めた。
その後をジュリルが追って行く際に、オービンが何かを呟くとジュリルは頷きそのままレオンの跡を追って行った。
「兄貴……」
「ルーク、大丈夫か?」
「あぁ、俺は大丈夫だか、レオンの方はどうなったんだ?」
「疲れ果てて、眠っちゃったよ。赤い魔力も収まったし問題ないだろう」
オービンはルークの方へと歩いて行き、軽く肩を叩いた後先に通路へと進み立ち去って行く。
ルークは少し納得できない表情をしていたが、今は決勝戦に勝ち代表者になる事が優先であったので、一度レオンの事は置いておくことにし控室へと戻って行った。
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