とある令嬢が男装し第二王子がいる全寮制魔法学院へ転入する

春夏秋冬/光逆榮

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第151話 揉み消し

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「はぁ……はぁ……やっぱりお前は強いな、ルーク」
「ふぅ……ふぅ……お前程肉体派じゃないよ、ダンデ」

直後、ダンデは真後ろに大の字に倒れ声を上げる。

「俺の負けだ、ルーク」

その言葉が会場に響き渡った後、試合終了の合図が鳴り響き学院対抗戦2日目の第2学年代表者がルークに決定したのだった。
観客たちは大きな拍手をしながら盛り上がっていた。
そして試合終了後、私とトウマはルークがいる控室へと向かい扉をノックし部屋へと入った。
部屋に入ると同時にトウマが第一声を切り出した。

「ルーク! やったな、優勝じゃないか!」
「おめでとう、ルーク」

私はルークの代表者決定を素直に喜んだ。
だが、ルークはどこか気の抜けた返事を返して来た。

「おいルーク、何だよその返事は? 嬉しくないのかよ?」
「そんなわけないだろ」
「じゃ、何でそんな気が抜けた感じ何だよ。もっと喜べよ」
「いや、ちょっとな」

その答えに私とトウマは顔を見合わせて首を傾げた。
何か気になっている様な感じではあるが、そこまで深く気にしている感じでもない様な表情にルークはどうしたのかと思ったが考えても分からなかったので、一度考えるは止めた。
するとトウマは思い出した様に話し始めた。

「そう言えば、レオンは大丈夫かね? 席からはあまり聞こえなかったが、何か言い合ってなかったかルーク?」
「……あぁ。大した事じゃないよ」
「にしても、まさかレオンが魔力暴走を起こすとは驚きだったが、そこにジュリルやオービン先輩が入って来たのも驚いたな」

とトウマは普通に話していたが、私はあの時レオンが発した赤い魔力について知っており、あの時レオンがどう言う状況であるかを私は理解していた。
赤い魔力については、あまり記されている書物は少ないが私は一時期魔力について書物を漁っていたから知っていたが、あの時それを理解していたのは数多くはないと思う。
だが、咄嗟に飛び出て行ったジュリルとオービンは直ぐに状況を理解した上での行動であると私は思っている。

にしても、どうしてあの時レオンが赤い魔力を発現したのかが分からないが、たぶんルークの言い合いにその原因があるんだろうな。
そう私は思っていたが、ルークにはそれを聞くことはせずにルークの表情を見ていた。
どうせルークに訊いたとしても、適当にはぐらかされると思ったからだ。
ルークはトウマの話を聞きつつ相槌をうっていたが、どこか上の空である様な表情であった。
ん~……ルークは大した事ないとか言っていたけど、やっぱりレオンと何かあったに違いないな。
そうでなければ、赤い魔力なんてものが発現するはずがない。
だけど、ルークに訊いた所で素直に話してくれないだろうし、レオンの所に向かうのもちょっとな……

「クリス、何か考え事か?」
「えっ、あ、あぁ。…………なぁ、ルーク。レオンに何を言われたんだ?」
「……」

ルークは私の問いかけに直ぐには答えず、じっと私の方を見ていた。
やっぱり答えはしないか……ダメ元で聞いてみたが、失敗だったかな。
そう私が諦めかけていた時に、ルークが口を開いた。

「そうだな、言っていいのか分からないが隠しているより、お前に話しておいた方がましか」
「えっ」
「何だよクリス、その顔は?」
「い、いや。聞いてもどうせ話さないんだろうなと思ってたから」
「お前は、俺をどんな風に思っているんだ。まぁ、それは今はいいか。話を戻すが、あの時レオンは俺の事を両親の仇だと言って来たんだよ」

私とトウマは思いもしない発言に、言葉が出なかった。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「……っん……ここは……」

そう言ってレオンが次に目を覚ますと、その視界に入って来たのは覗き込む様に見つめるタツミ先生であった。

「おぉ。起きたか、レオン」

するとタツミ先生は、覗き込むのを止めた。
レオンはそのままタツミ先生の方を向きつつ、周囲を見て自身が医務室に居る事を理解する。

「タツミ先生、僕は何を……」
「はぁ~何でお前らの学年は、無理する奴や危ない事をする奴ばかりなんだ。お陰で仕事が増えて困るんだよ。たっくよ、限界ってのは超えるもんじゃない、体が自分自身を守る為にあるもんなんだよ。覚えとけ」
「は、はい……何か、すいません」

レオンは自分がどうして医務室へと運ばれているのか、まだ理解出来ていないままタツミ先生へと謝罪した。

「おい、まさか何をして運ばれてきたか覚えてないのか?」
「えっと……その~……はい……途中までは覚えてるんですが、どうして意識を失ったか覚えてなくて」
「……そうか。それも副作用なのかもな」
「え?」

タツミ先生は急に真剣な表情で答えたので、レオンは少し動揺していた。

「いいか、お前は赤い魔力を使ったんだよ。現状、体に異常は見られないが、明日にはもっと専門的な場所で精密検査をするから覚悟しておけ。1週間は病院だろうからな」
「えっ……え!? ぼ、僕が赤い魔力をですか? い、いつですか!?」
「自覚症状がないままの発現とは、本当に訳が分からないな。詳しく聞きたきゃ、見てた奴に訊きな。おい、目も覚めたしひとまず異常は見られないから入ってもいいぞ」

そう言いながらタツミ先生は、レオンが寝ているベッドの周りにあるカーテンを少し開けると、外にいた誰かを呼びいれた。
そしてカーテンを開けて中へと入って来たのは、ジュリルであった。

「ジュリル様……」

レオンがそう呟いた後、ジュリルの後ろにオービンがいる事に気付く。
ジュリルとオービンはタツミ先生と入れる変わる様に、レオンが横たわる所へと入る。

「それじゃ俺は、今回の書類やら何やらを向こうでやっているから、何かあれば呼べ」
「分かりましたタツミ先生。ありがとうございます」

ジュリルとオービンが一礼すると、タツミ先生は背を向けたまま軽く手を上げ、レオンのいる所から出て行った。

「ジュリル様にオービン先輩……」

レオンは起き上がり声を掛けると、オービンが先に口を開いた。

「良かった。思っていたより大丈夫そうだね。安心したよ、レオン君」
「レオン、貴方自分がやった事は覚えている?」
「はい……僕はルークに対して、自分自身の怒りをぶつけました……でも、赤い魔力を使っていたなんて知らないんです」
「そうだとしても、貴方は試合形式を無視してまで襲い」
「まぁまぁ、ジュリル君」

とルークがジュリルを止めると、一度座り話を整理しようと言い出す。
そのままジュリルは一度息を吸い、吐いてから席に座り、オービンも反対側の席に座った。
そしてレオン自身からあの行動に至った経緯を改めて聞き、ルークに襲い掛かった時の事も確認するのだった。

「君の過去、あの時の状況などもろもろ理解したよ」
「……それでオービン先輩。あの時の約束は本当なんですよね?」

唐突にレオンは思い出したかの様に、オービンへと訊ねるとオービンは指にはめた指輪を見せながら「もちろんだ」と答えた。

「オービン先輩、レオンにあの時何を言ったんですか?」
「あぁ、レオン君にはあの日の事を全て話すと約束したんだ」
「あの日の事って、レオンの過去の事ですよね? ……その感じだと、知らない話じゃなかった様子ですね」
「そうだな、知らない話じゃかったよ。分かりやすく言えば、揉み消されたと言うべき話だね」
「っ!?」

オービンから出た言葉に、レオンとジュリルは耳を疑った。
すぐさまレオンが、乗り出す様に問い返す。

「揉み消されたって、どう言う事ですかオービン先輩!」
「簡単な話さ、現クリバンス王国の王の家族が関わったからさ。そして単刀直入に言おう、あの日君の両親を魔物と共に消し去ったのはルークではなく、俺だ」
「えっ……」
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