とある令嬢が男装し第二王子がいる全寮制魔法学院へ転入する

春夏秋冬/光逆榮

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第190話 家族の時間

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 特別枠選手の衝撃の正体に驚愕したまま、学院対抗戦は閉幕した。
 その後私はマリアの元へは行かずに、お兄ちゃんを探すために会場を歩いているとクリス姿のマリアを見つけ声を掛けた。

「マリ――じゃなくて、クリス」
「姉さん」
「特別枠選手の正体は知っていた? 何でお兄ちゃんなのよ?」
「いや、俺もまさかの人で驚きました」

 私がマリアとそんな会話をしていると、そこに当事者のアバンが現れる。

「お疲れ様、アリス。それにクリスも」
「お兄ちゃん! ちょっとどう言うことなのよ」
「あ~まぁ~その、指示と言うか雑用と言うか、詳しくは言えないが俺にも色々とあるんだよ」
「そうよアリス。アバンにも立場があるのだから、そう強く当たらないの」

 アバンの後ろから現れたのは、母親であるリーリアであった。

「リーリア様」
「お母様!」

 その時マリアはリーリアの姿を見て、思わずクリスである事を忘れマリアとして声が出ていた。

「アリス、それに今はクリスね。2人共一度私たちの部屋に来なさい」

 そのまま私たちは、リーリアの言う通り個室へと移動すると、部屋には父親であるエリックもいた。
 するとリーリアはマリアにクリスの姿を解いても良いと言われ、マリアは本来の姿に戻った。

「皆久しぶりだね。それと、お疲れ様。少しゆっくりして行くといい」
「お父様、お久しぶりです」

 私はお父様に挨拶すると、お兄ちゃんも同じ様に挨拶をし、クリスは一歩下がった扉近くで静かに一礼していた。

「アリス。話には聞いていたが、見ないうちに更に成長していて嬉しいよ。これからも頑張りなさい」
「はい! ありがとうございます、お父様」
「アバン。今日は本当にお疲れ様。色々と事情があって、今回参加したのだろうけど、これからも精進していきなさい。あ、でもたまには休みなさいね。アバンは研究熱心だからね。やり過ぎて倒れたら皆が心配するからさ」
「分かりました、父上」
「そしてマリア」
「は、はい!」

 マリアはまさか自分にまで話し掛けられるとは思っていなかった為、突然の事に驚いて少し裏声で返事をしてしまう。

「いつも君には苦労を掛けるね。本当に助かっているよ、マリア」
「い、いえ。これが私の仕事ですので」
「これからもマリアの力に頼ってしまうかもしれないが、どうかよろしく頼む。休みが欲しければ、リーリアではなく私に相談してきなさいね」
「ありがたいお言葉を頂き、感謝しますエリック様。私は拾われた身。この先一生、貴方方に尽くすと既に決めていますので、今後も何なりとお申し付け下さい」

 マリアはその場で忠誠を尽くす事を口にし、改めて頭を下げた。
 その姿を見たお父様は、笑顔で「今後もよろしく頼むよ」と声を掛けるとマリアにお母様が近付いて行き声を掛ける。

「本当に変わったわねマリア。昔はかなり尖っていた――」
「リーリア様! それはまだ私が若かったからでして」
「そんなに動揺すると、アリスたちが気になるじゃないか。まぁ、聞かれたら話すのもいいかもね」
「そ、それだけは止めて下さいリーリア様。あれは若気の至りというもので」

 お母様がマリアをからかっていると、お父様が止めに入りお母様は笑いながらからかうのを止め、マリアは少し顔を赤くしながら俯いていた。
 私とお兄ちゃんはそんなマリアの姿を初めて見たので、互いに顔を見合わせて小さく笑い合った。
 何でも完璧にこなしているマリアも、そんな時期があったんだね。
 私的にはちょっと気になるけど、お母様に訊きに行こうとしたらマリアに止められそうだよな~。
 でも、マリアの過去は凄く気になるし、全く話してくれないからいつか隙を見てお母様に訊いてみよう。
 私はそんな事を密かに心に誓った。
 その後、本当に少しの間ではあるが久々に家族団らんの時間を過ごした。

「リーリア、そろそろ」
「えぇ、分かっているわあなた」

 すると皆それぞれの場所へと帰る時間が迫っており、最後にお母様が口を開いた。

「アリス。最後にこの場で今後の貴方についての話をするわ」
「今後ですか、お母様」

 それを言われた瞬間、私は急に胸が締め付けられるような感じに陥った。
 瞬間的に何を言われるか何となく理解してしまったからだ。
 私はお母様から、元の生活に戻れと言われるのだと直感的に思ったのだ。
 当初、王都メルト魔法学院に転入した目的は既に達成しており、このままリスクを冒してまで学院に居る意味がなく、このまま元の生活に戻るのが普通である。
 その事を考えなかった訳ではなかったが、実際にそれをお母様からの口から聞く覚悟が私にはまだ出来ていなかった。
 私は心の中で、元の生活に戻るべきだと思いつつも、今の生活をまだ続けたいと思ってもいた。

 だが、それは私のわがままでバレてしまったら、お父様もお母様にも家の皆にも迷惑を掛ける事になる。
 それならば、お母様から言われた事に従うのが全てが丸く収まり、正しい事なのだ。
 ただでさえ今やっている事は、正しい事とは言えないし多くの人を騙しているのだから、辞められるのであれば辞めるべきである。
 そう、それが正しいし事で、今の状況は異常なんだ……間違っているんだ……いつかは正さなければいけない事なんだ……
 でも……でももし……もしも、ほんの少しだけでも今の時間がまだ許されるのであれば私は……

「貴方には第二王子の件で、王都メルト魔法学院に少し強引に転入してもらったけど、現状当初の目的は既に達成しているわ。しかも、貴方は達成以上の成果を出した。だからこそ、貴方の役割は既に終わっていると言えるわ」
「……はい」
「そこで、アリスはこの先どうしたい?」
「……え? ……え? どう言う事ですか、お母様?」

 私は今何を言われいるのか分からず、お母様に訊き返してしまうと、お母様はもう一度同じ事を訊いて来た。

「貴方がどうしたいのかと、訊いたのよアリス」
「私が転入した役目がないのなら、元の生活に戻るのではないのですか?」
「貴方がそう望むならそうするけど、貴方は転入した先で目的を進めながら、夢に向かって努力し続けて来たのでしょ? 性別を偽りバレない様にするのは大変だったでしょう。だけども、貴方はそんな環境でも投げ出さず、逃げ出さず全く異なる環境内で成長し続けた。そして今日、その姿を私たちに見せてくれた」
「そ、それは無我夢中でやったことですし、目的も私がやったと言うよりルークが自分で進み出したと言うのが正しいですし」
「どんな経緯だろうと、貴方はそれに関わっているのでしょ。なら、同じ事よ。初めは目的を達成したら、直ぐにでも元の生活に戻すつもりだったけど、転入してから貴方が大きく成長したのを知り、改めて話あったの」

 するとお父様が次に話し始めた。

「アリス。私たちの勝手な都合に振り回したからこそ、早く元の生活に戻すことがアリスの為だと思っていたが、日々の報告を聞くにつれその考えが合っているのかと思い始めたのだよ。アリスは、今の環境の方がより成長して行けるのではないかとね」
「っ、お父様……」
「だから私たちで貴方の今後を決めるよりも、貴方自身がどうしたいを訊き、それを私たちは尊重しようと決めたのよ。それじゃアリス、改めて訊くわ。貴方は今後どうしたいの?」
「お母様……」

 私はその場で黙り込んで俯いてしまう。
 私が、この先どうしたいかを決めていい? お父様やお母様が決めるのではなく、私が決めていいの? それはわがままを言ってもいいという事?
 そう思った私は、直ぐに顔を上げ口を開き思っていた事を声に出そうとしたが、寸前で止めた。
 待って、本当にいいの? この気持ちを口に出してしまったら、私だけじゃなく皆も付き合わせる事になって、ただの重荷になるんじゃ……
 そう考えてしまった私は、思っている事を口にだせず、どうしていいか分からずまた俯きだすと、そこへお兄ちゃんが近付いて来て軽く背中に手を置いて来た。

「アリス。今思っている事を素直に言っていいんだ。やりたい事を我慢するな」
「お兄ちゃん」
「ほら、俯いてないで顔を上げろ。母上、父上にお前の今の気持ちを伝えるんだ。何を思っていて、どうしたいかをそのまま口に出せ、アリス」

 私はお兄ちゃんの言葉に背中を押され、一度深呼吸してから顔を上げお母様とお父様にありのままの気持ちを伝えた。

「私はまだこの生活を続けたいです! 毎日が新鮮で、互いに刺激を与えあえて、いい友人も出来ました。私はこの環境でまだ学んで行きたいです! でも、私のわがままにお母様やお父様、それにお兄ちゃんやマリアを振り回して迷惑を掛け続けてまでやる事なのかと思っていて。それに正体が公にバレてしまったらと思ったら、この思いは胸にしまうべきだと思っていました……だけども、どうしても消せないんです。あいつらとまだ一緒に居て、学び続けたいと言う気持ちが!」

 一気に私は思っていた事を吐き出して、少し息切れしてしまう。

「アリス。貴方の気持ちはよく分かったわ。そんなに強い思いがあるなら、それに従いなさい。そうよね、あなた?」
「あぁ、そうだな。アリスがそうしたいならそうすればいい。アリスが決めた事を尊重すると言ったしな。まぁ、アリスの不安要素はこの半年間あったが、何とかやって来れているし、このまま続けて行けばいい事だ。だが、もしもの時の為に準備は進めておくか」
「良かったな、アリス。俺は凄く不安だが、お前のやりたい事を妨げる様な兄ではいたくないから反対はしないぞ」
「お母様、お父様、お兄ちゃん、本当にいいの? 本当にまだこの生活を続けていていいの?」

 その問いかけに、お父様は大きく頷き返してくれた。
 私はそれを見て力が抜けてしまい、その場に崩れる様に座り込んでしまう。

「そっか……いいのか。私はまだルークやトウマたちと一緒に居ていいんだ。まだ皆と過ごしていていいんだ」
「良かったですね、アリスお嬢様」
「マリア。あっ、でもそうするとマリアにはこれからも、私をやってもらう事になるだよね?」
「えぇ、そうですね。ですが、それが私の仕事でありアリスお嬢様のメイドとしての仕事なのです。心配される必要はありませんよ、完璧にアリスお嬢様として振る舞っていましたし、問題ありません」
「そうね。それがこの2日間でよく分かったわ。マリア、私のわがままにもう少しだけ付き合ってね」
「もちろんです、アリスお嬢様。でも、本当に良かったです。これでルークからの告白の返事が出来ますね?」
「マ、マリア!?」

 突然の爆弾発言に、私は戸惑い、お父様お母様は驚いた表情をしながら温かい目で見つめて来ていた。

「ちょ、ちょちょっと! 何言ってるのよマリア! わ、私は別に」
「おや、まさか本当に告白されてましたか? ちょっとした冗談でしたが、まさか図星でしたか。これは面白く……いえ、大変な事になりますね」
「マリア、今面白くって言ったよね? 言ったよね?」
「いいえ。そんな事言っていませんよ」
「まぁ~まさかアリス、第二王子とそんな関係になっていたなんて、お母さんビックリだな~」
「ア~リ~ス~その話、もう少しお兄ちゃんに詳しく話してくれないか? あの野郎、告白なんてしてたのか」
「あははは。そりゃ、男子たちの中で過ごせば好きな子くらい出来るよね。うんうん、普通の事で学院生活を満喫していて、いいじゃないか」

 その後部屋では、お兄ちゃんに詰め寄らてたり、お母様とマリアからニマニマと見られたりと残りの家族時間を過ごした。
 こうして、私はまだ王都メルト魔法学院に通い続けられる事が許されるのであった。
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