とある令嬢が男装し第二王子がいる全寮制魔法学院へ転入する

春夏秋冬/光逆榮

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第191話 家族の時間~クリバンス家~

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「はぁ~……」

 俺が軽くため息をつくと、隣にいた兄貴が声を掛けて来る。

「ルーク、分かりやすくため息をつくな」
「いや兄貴、そりゃため息も出るだろ。母さんが試合に出てたんだぞ? 誰かと知った時、すげ~恥ずかしかったんだぞ。てか、兄貴は知ってたのかよ」
「いいや。知らなかったよ。と言う訳で、父上説明をお願いします」
「おいおい、何でお前らちょっと呆れている感じなんだ?」

 ルークとオービンが並んで立った先には、父親でもありクリバンス王国の王でもあるハンスが立っていた。
 そしてその奥には2人の母親であり、王女でもあるティアが物凄く気まずそうな顔をして椅子に座っていた。
 今4人がいるのは、会場にある観戦室の一室であった。
 学院対抗戦が終了してからルークは、すぐさま両親の元へと向かっていると途中でオービンと出会い、オービンも同じく両親の元へと向かっていたので2人で両親がいる観戦室へとやって来ていたのだった。

「確かに、ティアが出場する事を黙っていたのは悪かったが、ティアだって盛り上げようとして一役買ってくれたんだ」
「どうせ、大会運営にでも頼まれ引き受けたんですよね。でも、母上が出るのはどうなんですか? アバンさんはギリギリ分かりますが、王女が直々に学院生たちと手合わせをするなんて聞いた事なんてないですよ」
「だってちょっと面白そうだったし、正体は隠したままだから問題ないと思って」

 母さんは父親の後ろの方から、意見すると兄貴は片手で頭を押さえてため息をついた。

「母上、気持ちは分からなくはないですが、今日の皆の反応を見てましたよね。姿が分からない時はいいですが、素直に最後まで出て来る必要はなかったのではないですか? 最悪正体を明かす時だけ、別の人にすればあんな混乱は起きませんでしたよね?」
「あ~確かに。そうすればよかったね」
「母上は、たまに変な所で抜けていますよね。と言うか、ここいう事は父上から言う事ではないのですか?」
「いや、たまには息抜きとしてはいいかと思ってな。オービンの言う通り、俺の考慮が足りてなかった。すまない」

 親父は兄貴の言葉を素直に受け止めると、兄貴は「いえ、俺も少し言い過ぎました」と反省の言葉を口にした。
 閉会式直後に母さんが正体を現した事で、あの後会場でちょっと騒ぎなり沈静化に時間が掛かったが今ではひとまず落ち着き観客たちも既に会場から立ち去っていた。
 大会運営としては、これまでにない大きな盛り上がりを見せた学院対抗戦が行えて喜んでいた半面、あそこまで騒ぎになり数名であるが軽傷者が出てしまった事を反省していた。
 騒ぎ自体は当の本人である母さんが中心となって収め、親父や大会運営の方々が協力して沈静化させたのであった。
 その後、母さんも反省しておりこれ以上その事についての話はおしまいとなった。

 つうか俺何も言ってないな。
 まぁ、別に文句があったと言うより恥ずかしかったから、あんな事はもうしないでくれって言いたかっただけだしいいか。
 兄貴がだいたい言ってくれたし、終わりって言う話を掘り返す趣味もないしな。
 でも、昔の俺だったら分からないな……そんな事考えても仕方ないけど。
 てかそんな事言ったら、今兄貴と横に並んでいるだけでも昔からしたら考えられないな。
 その後、俺たちは何だかんだで久しぶり家族4人で集まったので、何となく最近の話や今日の試合の話を自然としていた。

「そう言えばルーク、あの魔法融合を放つ時だけど、あれアバンさんのマネだろ」
「はぁ? ち、ちげぇよ! あんな奴のマネなんてするかよ」
「いいや。あれは絶対にアバンさんのマネだね。一回やられた時後に、形から入ってそれが抜けてないんだろ」
「っ! 違うって言ってんだろうが兄貴。あれが一番魔力を集中しやすいだけだよ」
「はいはい。そう言う事にしといてやるし、誰にも言わないよ。まぁ、アバンさんも気にしてないと思うし大丈夫だろ」
「だから、違うって言ってるだろ」

 俺と兄貴の言い合いの姿を見た親父が急にクスッと笑い出した。
 突然の事に、俺たちは言い合いを止めて親父の方を向くと、親父は「いや、ごめん」と声を掛けて来た。

「何だよ急に」
「本当に久しぶりに、お前らが兄弟喧嘩をしているなって思ってよ。関係が元に戻って、ただ素直に嬉しんだよ俺は」

 親父の言葉に、俺も兄貴も黙って軽くそっぽを向く。
 そうやって改めて言われると、気恥ずかしいんだよな……でも親父や母さんからすれば、そんな気持ちになるもんなのかもな。
 今まで険悪な仲であったし、顔を合わせるだけで酷い言い合いだったからな。
 でも、それが変わったのはあいつが学院に来てからだな。
 まだ半年だって言うのに、色々とあって俺も改めて色々と考える機会が出来て、こうして兄貴との関係も修復したし、トウマたちとも昔の様に戻りつつある。
 もしお前と会えてなかったら、こうはなっていなかったんだろうな。
 俺が、そんな事を思っていると母さんが口を開いた。

「やっぱり、こんな風になれたのはアリスちゃんのお陰かな」
「?」
「そうかもな。でも、最終的にはルークが成長出来たからじゃないか? 自分から色々を変え始めているのだからな」
「??」
「そう言う意味では、アリス君には感謝だなルーク。いや、クリス君にだな」
「ちょっと待て。もしかして、アリスの転入はやっぱり仕組まれてたのか?」

 俺の問いかけに母さんが答えた。

「まぁ、そうね。ちょっと悪知恵を貰って強引だけど、貴方たちの起爆剤となればと思ってね」
「ルークの口ぶりからすると、何となく分かっていたみたいだけど。黙っていて悪かったよ」
「兄貴も関与してたのは予想外だけど、まぁ何となくそうなんじゃないかと思ってたよ。あいつの正体とか、目的とか知ってからな」
「怒ってるか?」

 親父かの問いかけに俺は、首を横に振った。

「別に怒ってないよ。そのお陰で今があるようなものだし、アリスには感謝しているくらいだ」
「確かにアリス君には、感謝してもし足りないくらいだな。俺たちの関係に関しては特にね。それに、トウマ君にもかな」

 兄貴の言葉に対して、俺は軽く頷いた。
 その様子を見て親父と母さんは顔を見合わせて、軽く笑い合った。

「そう言えばルーク、訊いたぞ。お前アリス君に昔の事覚えてないと言われたそうだな」
「なっ! ……な、何で兄貴がそんな事知って」
「そうなのルーク? それは残念ね。昔はあんなに仲良しだったのにね」
「そうだな。あの頃は良く遊びに言っていたもんな」
「親父も母さんも、そこを掘り返さなくてもいいから。兄貴も、いらない事言わなくていいから!」

 すると兄貴は「悪い。もういらない事は口にしないよ」と言っていたが、俺は暫く兄貴の方を睨む様に見つめ、本当に言わないかを見張り続けた。
 その後、何のたわいもない話をしたりと久しぶりに家族だけの時間を過ごした。
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