とある令嬢が男装し第二王子がいる全寮制魔法学院へ転入する

春夏秋冬/光逆榮

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第192話 祝勝会は地獄の地にて

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 学院対抗戦2日目が終了し、日も落ち街では各地で大きく人々が盛り上がっていた。
 そんな中、私とマリアはお母様お父様お兄ちゃんとは会場にて別れて、賑わう夜の街を歩いていた。
 既に私とマリアの入れ替わりは完了しており、マリアは私の姿で私はクリスとしての姿で街中に溶け込んでいた。

「姉さんは、このまま泊まっているホテルに戻るよね」
「そうね。皆もも待っているだろうし、先に打ち上げ的な事もやっているかもね」
「一応メイナたちには、親に会いに行くって言っておいたからそこまで追求とかされないと思うけど、何か別の追求された時はお願いね」
「分かっているわ。それと、口調が戻っているよクリス」

 私は不意に素の自分としてマリアに話していた事を注意され、再度気を引き締めなくては感じた。
 たった2日間だけであったが、マリアと何度か入れ替わった事で、少しクリスとしての意識が下がっていると私は思っていた。
 こんなんじゃ、正体がバレちゃうぞ。
 しっかりしろ私! お母様たちにわがままを言ってこの学院で過ごすんだから、クリスとして正体がバレない様にしなきゃダメだぞ。
 私は軽く両手で頬を叩いて、分かりやすく気を引き締めた。

「あんまり気負いすぎない程度でね。半年前と違って、今じゃクリスの事情を知っている人もいるんだからね」
「うん。そうだね。そう言えば、あいつら今頃何してるのかな?」

 そんな事を話していると、マリアと別れる所までやって来た。

「それじゃ、私はこっちだからここで今日はお別れね、クリス」
「学院対抗戦自体は終わったけど、明日って慰労会があるんだよね?」
「そうね。だから他の学院も明日まではこの街にいて、夕方から慰労会の予定ね。他学院との交流も含んでるから、またそこで会えるかもね」
「そうだね。それじゃまた明日、姉さん。ゆっくり休んでね」
「疲れているのは貴方の方でしょう。騒ぐなら騒ぎ過ぎない程度にね」

 それだけ言って、マリアはホテルの方へと歩いて行った。
 私はそれを見送った後、学院へと少し急ぎ足で戻って行き、寮へと戻った。

「ただいまー……って、あれ? 何か静かだし、暗いな」

 寮に着き、中に入って行くが電気はほとんど付いておらず人気が全然なかった。
 皆もう寝た? いやいや、あいつらが今日に限ってもう寝るとかないない。
 そんな事を思いながらリビング兼食堂へと向かうと、そこにも誰もいなかった。
 ここにも居ないか。
 本当にどこに行ったんだ? ん? 何か机の上にあるな。
 私は机の上に一枚の紙がある事に気付き、その机に近付き紙を手に取ると、そこには私宛の手紙であった。

「祝勝会は、地獄の地にて……え? 地獄の地ってどこ?」

 その内容を読み、皆は祝勝会に参加しているのだと分かったが、開催場所が全く持って理解出来ず、私はその場で首を傾げてしまった。
 地獄の地って何? 何でこんな謎解き的な文章なのよ。
 普通に書いてよ! 分からないんだけど! てか、誰が書いたのよこれ。
 私は両腕を組んで、考え込んだが全く検討が付かず諦めようとした時だった。

「おや、クリスではありませんか。何故こんな所に?」
「っ! ビックリしたー! 急に後ろから話し掛けてくるなよモーガン」
「これはすいません。でも、どうしてこんな所でお1人でいるのですかクリス?」

 急に背後から現れたモーガンに私は、心臓が口から飛び出るのではないかと言う位驚いたが、モーガンにさっき寮へと戻って来た事と謎の置手紙の事を伝える。
 するとモーガンは、納得したのか軽く頷いてくれた。

「そう言う事でしたか。祝勝会の場所が分からないという事ですね」
「参加しようにも、場所が意味不明で詰まってたんだよ。モーガンはこれ、誰が書いたか知ってるか?」
「トウマですよ」
「あのやろ~分かりずらい物残しやがって。で、どこでやってるか教えてくれるかモーガン」
「もちろんです」

 その後、モーガンから祝勝会が行われている場所を聞き、トウマが残したメモの意味が何となく理解出来たが、そう言う風に私は直結出来ずに軽くため息をついた。
 祝勝会が行われていた場所は、メルトボーイ・クイーンコンテストが開催された建物であった。
 確かにあのイベントの事を、地獄のイベントって言ってたけど……普通分からないだろ。
 モーガンは祝勝会に出ていたが、疲れて一足先に戻って来たらしく私はモーガンに感謝し、そのまま祝勝会の会場へと向かおうとするとモーガンに呼び止められた。
 私は、足を止めて振り返るとモーガンが魔力を見ていいかと聞いて来たので、教えてもらったお礼の代わりに見せてもいいかと思い私は承諾した。

「ありがとうございます。それでは早速失礼します」

 モーガンは右手で人差し指と親指で丸を作り、それを右目を当てて私を見る。
 そのまま暫くすると、見終わったのか右目に当てていた手を外した。

「どうだった?」
「……ピンクと複数の青が交わってますね」
「それって、どう言う意味?」
「簡単に言えば、色恋沙汰にこの先巻き込まれるという事でですね。あまり野暮な事は聞きませんので、頑張ってください」
「あ~う、うん。ありがとう。それじゃ、行くね……はぁ~何か面倒そうな予知結果を聞いちゃったな」

 そのまま私はモーガンに別れを告げて、祝勝会が行われている会場へと向かった。
 私が立ち去った後、食堂兼リビングに残ったモーガンは近くにあった椅子に座り小さくため息をついた。

「私としては少し騒ぎすぎましたね……にしても、さっきのクリスから見えた魔力結果、あれは見たことがないものでしたね」

 モーガンはクリスの魔力を見て嘘は言ってはいなかったが、伝えていない事が1つだけあった。
 あの時モーガンが見た中に、中心にピンク色の魔力に周囲から青い魔力が迫っている形ではあったが、中心のピンクの魔力の内側から青く黒ずんだ魔力が浸食していくイメージが見えていたのだった。

「やはり伝えた方が良かったですかね。いや、私にも分かりかねない事をクリスに伝えた所で、混乱させるだけですね。ですが、このまま謎のままにするのは良くないですね」

 そう独り言の様に呟き、暫く考え込むモーガン。

「やはり、私の目は特殊体質なのかどうかも含めて、師匠に一度会って話すべきですね。師匠ならば知っている事も多いですし、この悩みも解決されるでしょうね。そうと決まれば早速準備ですね」

 モーガンは椅子から立ち上がり、足早に自室へと向かっていた。
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